骨髄線維症
【警告】
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1.1本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
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1.2本剤の投与により、重篤な細菌性又はウイルス性の感染症等が発現し、死亡に至った症例が報告されていることから、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはモメロチニブとして200mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
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8.1血小板減少症、貧血、好中球減少症等があらわれることがあるので、本剤の投与開始前、及び投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うこと。
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8.2免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルス又は原虫による感染症や日和見感染が発現又は増悪することがある。肝炎ウイルス、結核等が再活性化するおそれがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤の投与開始前に適切な処置の実施を考慮すること。本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。
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8.3帯状疱疹があらわれることがあるので、本剤の投与開始前に、患者に対して帯状疱疹の初期症状について説明し、異常が認められた場合には速やかに連絡し、適切な処置を受けるよう指導すること。
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8.4肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前、及び投与中は定期的に肝機能検査を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)
結核を活動化させるおそれがある。
- 9.1.2感染症(敗血症、肺炎、ウイルス感染等)を合併している患者
免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。活動性の感染症を合併している患者は臨床試験では除外されている。
- 9.1.3B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性かつHBc抗体若しくはHBs抗体陽性の患者
B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれるおそれがある。急性B型肝炎患者又はB型肝炎ウイルスキャリアの患者は臨床試験では除外されている。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)患者
本剤の開始用量を減量するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット及びウサギ)において、臨床曝露量(AUC)の約23倍(ラット)及び約1.2倍(ウサギ)の投与で、流産、胚死亡、胎児体重減少、骨変異、骨化遅延等が認められた。また、他のJAK阻害剤の動物実験において催奇形性が報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行は不明であるが、動物実験(ラット)において、妊娠期間から授乳終了までの経口投与により、臨床曝露量(AUC)の4.2倍の生後10日目における母動物の曝露量の投与で、出生児の生存率減少、体重減少等が認められた。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
相互作用
- 本剤は主にCYP3A4により代謝される。また、本剤は有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1/1B3の基質であり、乳癌耐性タンパク(BCRP)の阻害作用を示す。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| OATP1B1/1B3阻害剤 • シクロスポリン • ロピナビル・リトナビル等 |
本剤の副作用の発現が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤のOATP1B1/1B3阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| 強いCYP3A誘導剤 • カルバマゼピン • フェノバルビタール • フェニトイン等セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察すること。 | これらの薬剤等のCYP3A誘導作用により、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| プロトンポンプ阻害剤 • オメプラゾール • ランソプラゾール • ラベプラゾール等 |
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察すること。 | これらの薬剤による胃内pHの上昇により本剤の溶解度が低下し、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。 |
| BCRPの基質となる薬剤 • ロスバスタチンカルシウム • サラゾスルファピリジン等 |
これらの薬剤の副作用の発現が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤のBCRP阻害作用により、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ビタミンB1欠乏 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 低血圧 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 四肢痛 | 頻度不明 |
| 回転性めまい | 頻度不明 |
| 失神 | 1%未満 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 挫傷 | 1%未満 |
| 末梢性ニューロパチー | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 潮紅 | 頻度不明 |
| 無力症 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発熱 | 1%未満 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 血腫 | 1%未満 |
| 錯感覚 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
モメロチニブは、ヤヌスキナーゼ(JAK)1/2及びアクチビンA受容体1型(ACVR1)に対する阻害作用を有する低分子化合物である。モメロチニブは、JAK1/2の下流のシグナル伝達分子(STAT等)のリン酸化を阻害することにより、骨髄線維症に対して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。また、モメロチニブは、ACVR1の下流のシグナル伝達分子(SMAD)のリン酸化を阻害することでヘプシジン産生を抑制し、循環血中の鉄濃度を増加させ、造血を促進すると考えられている。
18.2 造血作用
モメロチニブをJAK2 V617F変異を導入した骨髄増殖性腫瘍モデルマウスに反復経口投与した時、網状赤血球数減少、脾臓重量減少、脾臓における初期赤血球前駆細胞減少、骨髄における前駆細胞及び成熟赤血球前駆細胞の増加等が認められた(in vivo)3)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
日本人健康成人14例にモメロチニブ200mgを単回経口投与した時のモメロチニブ及び主要活性代謝物(M21)の薬物動態パラメータ及び血漿中薬物濃度推移を表1、図1及び図2に示す。
| 薬物動態パラメータ | モメロチニブ (14例) |
M21 (14例) |
|---|---|---|
| Cmax(ng/mL)注1) | 958.3(29.3) | 626.4(40.9) |
| Tmax(h)注2) | 3.00(0.50, 4.00) | 4.00(1.00, 8.00) |
| t1/2(h)注1) | 4.83(33.27) | 5.65(31.42) |
| AUCinf(ng・h/mL)注1) | 7321.8(44.0) | 6305.3(36.3) |
注1)幾何平均値(変動係数%) 注2)中央値(最小値、最大値)
図1 日本人健康成人にモメロチニブ200mgを単回経口投与した時のモメロチニブの血漿中濃度推移:片対数スケール(平均値±標準偏差)図2 日本人健康成人にモメロチニブ200mgを単回経口投与した時のM21の血漿中濃度推移:片対数スケール(平均値±標準偏差)
- 16.1.2反復投与
骨髄線維症患者にモメロチニブ200mgを1日1回経口投与した時の定常状態(2週目)におけるモメロチニブ及びM21の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を表2、図3及び図4に示す(外国人データ)。
| 薬物動態パラメータ | 例数 | モメロチニブ | M21 |
|---|---|---|---|
| Cmax(ng/mL)注1) | 20 | 388.2(61.4) | 362.4(53.1) |
| Tmax(h)注2) | 20 | 1.75(0.50, 9.17) | 3.00(1.00, 9.17) |
| t1/2(h)注1) | 19注3) | 5.63(39.9) | 7.72(45.3) |
| AUCtau (ng・h/mL)注1) | 19 | 2613.0(60.4) | 3713.6(39.0) |
注1)幾何平均値(変動係数%) 注2)中央値(最小値、最大値) 注3)M21:18例
図3 外国人の骨髄線維症患者にモメロチニブ200mgを反復経口投与した時の2週時のモメロチニブの血漿中濃度推移:片対数スケール(平均値±標準偏差)図4 外国人の骨髄線維症患者にモメロチニブ200mgを反復経口投与した時の2週時のM21の血漿中濃度推移:片対数スケール(平均値±標準偏差)
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人12例にモメロチニブ200mgを単回経口投与した時、空腹時投与に対する①低脂肪食後投与及び②高脂肪食後投与におけるモメロチニブのCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ①1.38及び1.16、並びに②1.28及び1.28であり、M21のCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ①1.19及び1.04、並びに②0.812及び0.936であった(外国人データ)。
16.3 分布
モメロチニブ及びM21の血漿タンパク非結合率は、ヒト血漿中でそれぞれ19.2及び14.6%であった(in vitro)。
16.4 代謝
モメロチニブは主にCYP3A4により代謝され、CYP3A、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19及びCYP1A2による代謝の後にアルデヒド酸化酵素による代謝を経てM21が生成される(in vitro)。健康成人6例に14C標識したモメロチニブ200mgを単回経口投与した時、血漿中には主にM21及び未変化体が検出された(血漿中総放射能のAUC24hに対する割合は、それぞれ64.2及び17.3%)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人6例に14C標識したモメロチニブ200mgを単回経口投与した時、放射能の69.3%が糞中に、27.5%が尿中に排泄された。また、放射能の12.7%がM21として、12.6%が未変化体として糞中に、放射能の11.5%がM21として、0.6%が未変化体として尿中に排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
健康成人(eGFR≧90mL/min/1.73m2)、中等度腎機能障害患者(eGFR30~59mL/min/1.73m2)、重度腎機能障害患者(eGFR15~29mL/min/1.73m2)にモメロチニブ200mgを単回経口投与した時、健康成人(9例)に対する中等度腎機能障害患者(10例)におけるモメロチニブ及びM21のAUCinfの最小二乗幾何平均値の比はそれぞれ0.867及び1.20であり、健康成人(10例)に対する重度腎機能障害患者(10例)におけるモメロチニブ及びM21のAUCinfの最小二乗幾何平均値の比はそれぞれ0.839及び1.41であった(外国人データ)。
- 16.6.2肝機能障害患者
健康成人、中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)及び重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)(各群10例)にモメロチニブ200mgを単回経口投与した時、健康成人に対する①中等度肝機能障害患者及び②重度肝機能障害患者におけるモメロチニブ及びM21のAUCinfの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ①1.08及び0.524、並びに②1.97及び0.521であった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1リファンピシン
健康成人12例にリファンピシン600mgを単回投与(OATP1B1/1B3阻害)し、モメロチニブ200mgを投与した時、モメロチニブ単独投与時に対する併用投与時における①モメロチニブ及び②M21のCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ①1.40及び1.57、並びに②1.06及び1.12であった(外国人データ)。 また、健康成人12例にリファンピシン600mgを1日1回9日間反復投与(強いCYP3A誘導)し、モメロチニブ200mgを投与した時、リファンピシン単回併用投与時に対するリファンピシン反復併用投与時における①モメロチニブ及び②M21のCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ①0.706及び0.539、並びに②1.31及び0.854であった(外国人データ)。
- 16.7.2オメプラゾール
健康成人12 例にオメプラゾール(プロトンポンプ阻害剤)20mgを1日1回6日間反復投与し、モメロチニブ200mgを投与した時、モメロチニブ単独投与時に対する併用投与時における①モメロチニブ及び②M21のCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ①0.645及び0.667、並びに②0.530及び0.630であった(外国人データ)。
- 16.7.3ロスバスタチンカルシウム
健康成人12例にモメロチニブ200mgを1日1回5日間反復投与し、ロスバスタチン(BCRP基質)10mgを投与した時、ロスバスタチン単独投与時に対する併用投与時におけるロスバスタチンのCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ3.23及び2.73であった(外国人データ)。
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16.7.4その他
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(1)健康成人12例にリトナビル(CYP3A及びP-gp阻害剤)100mgを1日1回7日間反復投与し、モメロチニブ100mg注1)を投与した時、モメロチニブ単独投与時に対する併用投与時における①モメロチニブ及び②M21のCmax及びAUCtauの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ①1.23及び1.14、並びに②1.30及び1.24であった(外国人データ)。
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(2)健康成人12例にモメロチニブ200mgを1日1回8日間反復投与し、ミダゾラム(CYP3A基質)5mgを投与した時、ミダゾラム単独投与時に対する併用投与時におけるミダゾラムのCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比は、それぞれ0.918及び0.838であった(外国人データ)。
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(3)モメロチニブ及びM21はBCRPの基質であり、モメロチニブはUGT1A1を阻害した(in vitro)。 注1)承認用量は200mgである。