Clinical snapshot

エヴキーザ点滴静注液345mg

エビナクマブ(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2024年05月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

ホモ接合体家族性高コレステロール血症

用法・用量

通常、エビナクマブ(遺伝子組換え)として15mg/kgを4週に1回、60分以上かけて点滴静注する。

使用上の注意

投与中は血中脂質値を定期的に検査し、本剤に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後少なくとも5ヵ月間は、適切な避妊法を用いるように指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ウサギを用いた生殖発生毒性試験において胎児の奇形が認められており、母動物の血中脂質濃度の減少に起因した影響と考えられている。なお、妊娠中のウサギでは本剤の薬理作用に対して感受性が高く、当該所見のヒトへの外挿性は低いと考えられる。ヒトIgGは胎盤を通過することが知られている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明である。ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている。

9.7 小児等

新生児、乳児、5歳未満又は体重15kg未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
インフルエンザ様疾患 頻度不明
上咽頭炎 頻度不明
便秘 頻度不明
悪心 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
背部痛 頻度不明
腹痛 頻度不明
鼻漏 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ANGPTL3は主に肝臓に発現するアンジオポエチン様タンパク質ファミリーの1つであり、リポタンパクリパーゼ及び内皮リパーゼを阻害することにより脂質代謝の調節に重要な役割を果たす。ヒトを対象とした遺伝子研究において、ANGPTL3に機能喪失変異のある者は、これらの変異がない者と比較してLDL-C、HDL-C及びTGの値が低く、冠動脈疾患のリスクが低いことが報告されている9) 。本剤は、ANGPTL3に特異的に結合して阻害する遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体であり、ANGPTL3の阻害によりリポタンパクリパーゼ及び内皮リパーゼを活性化し、LDL形成の上流に位置する超低比重リポタンパクのクリアランスを促進することにより10) 、LDL受容体の有無と関係なくLDL-C値を低下させる。

18.2 血中脂質低下作用

In vitro試験において、エビナクマブは、組換え型ヒトANGPTL3に選択的に結合し(平衡解離定数(Kd値)は0.3~1.3n mol/L)、ANGPTL3により阻害されたリポタンパクリパーゼ及び内皮リパーゼの酵素活性を上昇させた。Ldlr-/-マウスにおいて、エビナクマブの単回投与による血清中LDL-C濃度の低下が認められた。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

TG高値(150mg/dL以上450mg/dL以下)及び/又はLDL-C高値(100mg/dL以上)の成人に本剤5~20mg/kg注1) を単回静脈内投与(投与時間は60分)したときの本剤の薬物動態パラメータ及び血清中濃度推移は下表及び下図のとおりであった(外国人データ)。また、母集団薬物動態解析により、成人HoFH患者に本剤15mg/kgを単回静脈内投与(投与時間は60分)したときのCmaxの推定値は453±96.7mg/L(平均値±標準偏差)であった2) 。

注1)本剤の承認用量は15mg/kgである。

投与量
(mg/kg)
例数 Cmax
(mg/L)
AUC0-last
(mg・day/L)
CLtot
(L/day/kg)
5 10 177±23.0 1093±170 0.00466±0.000620
10 9 313±43.0 3261±775 0.00320±0.000774
20 11 591±71.9 7706±1512 0.00259±0.000448a

平均値±標準偏差 a:10例

  1. 16.1.2反復投与

母集団薬物動態解析により、成人HoFH患者に本剤15mg/kgを4週間に1回反復静脈内投与(投与時間は60分)したときの薬物動態パラメータは下表のとおりであった。定常状態には4回の投与後に到達し、定常状態におけるCmaxは初回投与時の約2倍であった3) 。

投与量
(mg/kg)
例数 Cmin
(mg/L)
Cmax
(mg/L)
Cavg
(mg/L)
AUCtau
(mg・day/L)
15 84 266±120 718±183 401±139 11222±3887

平均値±標準偏差

16.3 分布

母集団薬物動態解析により推定した定常状態の分布容積は成人患者で約4.7Lであり、本剤は主に血管系に分布すると考えられる。

16.4 代謝

本剤はヒトIgG4モノクローナル抗体であり、内因性IgGと同様に、異化経路を介してペプチド及びアミノ酸に分解されると考えられる。

16.5 排泄

本剤は線形及び非線形経路の双方により消失する。高濃度では、本剤は主に非飽和性の異化経路を介して消失し、低濃度では主に標的(ANGPTL3)との非線形の飽和性結合を介して消失する。母集団薬物動態解析により、本剤15mg/kgを4週に1回反復静脈内投与し、定常状態に到達した後、最終投与時から本剤の濃度が検出下限(78ng/mL)未満に低下するまでの平均期間は約21週間と推測された。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害

軽度(eGFR60mL/分/1.73m2以上~90mL/分/1.73m2未満)及び中等度(eGFR30mL/分/1.73m2以上~60mL/分/1.73m2未満)の腎機能障害患者と腎機能が正常な被験者との間で、本剤15mg/kgを4週に1回反復静脈内投与したときの定常状態におけるトラフ濃度は同等であった4) (外国人データ)。

  1. 16.6.2小児*母集団薬物動態解析及び母集団薬物動態/薬力学解析の結果、12歳以上17歳以下のHoFH患者(14例)に本剤15mg/kgを4週に1回反復静脈内投与したときの定常状態におけるトラフ濃度及びベースラインからのLDL-Cの低下の程度は成人HoFH患者と大きく異ならないと推定された。また、5歳以上11歳以下のHoFH患者(20例)に本剤15mg/kgを4週に1回反復静脈内投与したときの定常状態におけるトラフ濃度は成人HoFH患者よりも低いと推定されたが、ベースラインからのLDL-Cの低下の程度は成人HoFH患者よりも大きいと推定された5) 。 生後6ヵ月以上5歳未満のHoFH患者に本剤15mg/kgを4週に1回反復静脈内投与したときの曝露量及び薬力学的作用を、5歳以上のHoFH患者の臨床データを用いて構築した母集団薬物動態解析及び母集団薬物動態/薬力学解析により推定した。その結果、生後6ヵ月以上5歳未満のHoFH患者の定常状態における曝露量は、概ね5歳以上のHoFH患者で観察された範囲内であり、ベースラインからのLDL-Cの低下の程度は、5歳以上のHoFH患者と大きく異ならないと推定された6) 。