Clinical snapshot

エルレフィオ皮下注44mg

エルラナタマブ(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

  2. 1.2重度のサイトカイン放出症候群(CRS)及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)があらわれることがあるので、特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。

  3. 1.3重度のCRSがあらわれることがあるので、CRSに対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するCRS管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。

  4. 1.4重度又は生命を脅かす神経学的事象(ICANS含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するICANS管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)

用法・用量

*通常、成人にはエルラナタマブ(遺伝子組換え)として、1日目に12mg、4日目に32mgを1回皮下投与する。8日目以降は1回76mgを1週間間隔で皮下投与する。なお、24週間以上投与し、奏効が認められている場合は、投与間隔を2週間間隔とすること。2週間間隔で24週間以上投与した場合は、投与間隔を4週間間隔とすることができる。

使用上の注意

  1. 8.1サイトカイン放出症候群(CRS)及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は投与初期に多く認められることから、少なくとも初回投与(12mg投与)後48時間及び2回目の投与(32mg投与)後24時間は必ず入院管理とし、以降の投与についても患者の状態に応じて入院管理を検討すること。

  2. 8.2CRSがあらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。

  3. 8.2.1CRSに対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うこと。

  4. 8.2.2本剤の投与中は発熱、低酸素症、悪寒、低血圧、頻脈、頭痛、肝酵素増加等について、観察を十分に行うこと。また、CRSが疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

  5. 8.2.3緊急時に備えてトシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと。

  6. 8.3神経学的事象(ICANS含む)があらわれることがあるので、本剤の投与中は、失語症、意識レベルの変化、認知能力の障害、筋力低下、痙攣発作、脳浮腫等について、観察を十分に行うこと。また、ICANSが疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

  7. 8.4神経学的事象(ICANS含む)として意識レベルの変化、痙攣発作等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。

  8. 8.5感染症(日和見感染症を含む)の発現若しくは悪化、又はサイトメガロウイルス感染等の再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立ってニューモシスチス・イロベチイ等の感染の有無を確認すること。本剤投与前に適切な処置を行い、本剤の投与中は感染症の発現又は悪化に十分注意すること。

  9. 8.6血球減少があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を実施すること。

  10. 8.7低γグロブリン血症があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に免疫グロブリンの値を測定すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1感染症を合併している患者

血球減少により感染症が悪化するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。ヒトIgGは胎盤通過性があることが知られており、本剤の作用機序から、本剤の妊娠中の曝露により、B細胞リンパ球減少症及び発育遅延等、胎児に有害な影響を及ぼす可能性がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト母乳中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
*治療域の狭いCYP基質
• シクロスポリン、フェニトイン、シロリムス等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤の投与開始から32mg投与の14日後まで、並びにサイトカイン放出症候群発現時及び発現後一定期間は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 本剤の投与によりサイトカインが放出され、CYPが抑制されることにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
生ワクチン又は弱毒生ワクチン 接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う。 本剤のBリンパ球傷害作用により発病するおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 頻度不明
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
C-反応性蛋白増加 頻度不明
GGT増加 頻度不明
LDH増加 頻度不明
SARS-CoV-2検査陽性 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
サイトメガロウイルス検査陽性 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ドライアイ 頻度不明
上気道咳症候群 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠症 頻度不明
低アルブミン血症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低リン血症 頻度不明
低血圧 頻度不明
低酸素症 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
全身健康状態悪化 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
多汗症 頻度不明
失神寸前の状態 頻度不明
平衡障害 頻度不明
急性呼吸不全 頻度不明
急性腎障害 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
慢性気管支炎 頻度不明
手足症候群 頻度不明
気管支拡張症 頻度不明
注射部位反応(37.7%) 頻度不明
洞性頻脈 頻度不明
浮腫 頻度不明
湿性咳嗽 頻度不明
無力症 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚剥脱 頻度不明
皮膚病変 頻度不明
眼充血 頻度不明
眼球浮腫 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
背部痛 頻度不明
腫瘍崩壊症候群 頻度不明
腹痛 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
血中ビリルビン増加 頻度不明
視覚障害 頻度不明
鉄欠乏 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節炎 頻度不明
関節痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
顔面浮腫 頻度不明
食欲減退 頻度不明
骨痛 頻度不明
高カルシウム血症 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

エルラナタマブは、B細胞成熟抗原(BCMA)及びCD3に対するヒト化免疫グロブリン(Ig)G2二重特異性モノクローナル抗体である。エルラナタマブは、T細胞の細胞膜上に発現するCD3と骨髄腫細胞の細胞膜上に発現するBCMAの両者に結合することによりT細胞を活性化し、BCMA陽性の腫瘍細胞を傷害すると考えられる。

18.2 抗腫瘍作用

エルラナタマブは、ヒトCD3陽性T細胞の存在下において、BCMAを発現するヒト多発性骨髄腫由来細胞株(MM.1S、OPM2、MOLP8等)に対して増殖抑制作用を示した(in vitro)9)。 エルラナタマブは、ヒト多発性骨髄腫由来細胞株(MM.1S、OPM2及びMOLP8)を尾静脈内に移植し、ヒトT細胞を腹腔内移植したインターロイキン2受容体γ鎖の完全欠損を有する非肥満型糖尿病/重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した(in vivo)10)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1*反復投与

日本人再発又は難治性の多発性骨髄腫患者4例に、1日目に本剤600μg/kg注)、8日目に本剤1,000μg/kg注)を皮下投与したときの可溶性B細胞成熟抗原(sBCMA)非結合型エルラナタマブ並びに総エルラナタマブ[sBCMA非結合型及びsBCMA結合型]の薬物動態パラメータを下表に示す3)。 注)本剤の承認された用法及び用量は、下記のとおりである。 通常、成人にはエルラナタマブ(遺伝子組換え)として、1日目に12mg、4日目に32mgを1回皮下投与する。8日目以降は1回76mgを1週間間隔で皮下投与する。なお、24週間以上投与し、奏効が認められている場合は、投与間隔を2週間間隔とすること。2週間間隔で24週間以上投与した場合は、投与間隔を4週間間隔とすることができる。

測定対象 投与量
(μg/kg)
薬物動態パラメータ
AUCtau
(μg・day/mL)
Cmax
(μg/mL)
Tmaxa)
(day)
非結合型エルラナタマブ 600 4.04(33) 0.853(39) 7.00(2.96-8.00)
1000 5.83, 15.1b) 2.10(91) 5.99(2.99-8.97)
総エルラナタマブ 600 21.2(42) 4.38(33) 7.00(2.96-8.00)
1000 43.1, 47.3b) 8.85(39) 2.98(2.08-5.98)

幾何平均値(%幾何変動係数) a)中央値(最小値-最大値) b)個別値(2例)

再発又は難治性の多発性骨髄腫患者(日本人を含む)に、1サイクルを28日とし、第1サイクルの第1日目及び第4日目にそれぞれ本剤12及び32mgを皮下投与、第1サイクルの第8日目以降は76mgを1週間に1回皮下投与したときの第7サイクル(定常状態)における非結合型エルラナタマブ及び総エルラナタマブのトラフ濃度を下表に示す4)。

測定対象 例数 トラフ濃度(μg/mL)
非結合型エルラナタマブ 38 33.8(60)
総エルラナタマブ 38 35.6(55)

幾何平均値(%幾何変動係数)

再発又は難治性の多発性骨髄腫患者321例(日本人を含む)のデータを用いて、母集団薬物動態解析を実施した。第1日目及び第4日目にそれぞれ本剤12及び32mgを皮下投与、第8日目以降は76mgを1週間に1回24週目まで皮下投与し、その後2週間に1回24週間皮下投与し、さらに4週間に1回皮下投与したときの、定常状態における非結合型エルラナタマブの薬物動態パラメータの推定値を下表に示す5)。また、母集団薬物動態解析に基づき、非結合型エルラナタマブの半減期の幾何平均値は22日と推定された6)。

薬物動態パラメータa)
Cavgb)(μg/mL) Cmax(μg/mL) Ctrough(μg/mL)
24週目 32.0(46) 33.0(46) 30.5(48)
48週目 17.7(53) 19.5(51) 15.1(60)
72週目 8.8(58) 11.5(54) 5.9(78)

幾何平均値(%幾何変動係数) a)奏効が認められた患者における結果 b)平均血清中濃度

16.2 吸収

母集団薬物動態解析に基づき、皮下投与時のエルラナタマブの絶対的バイオアベイラビリティの平均値は56.2%と推定された7)。