Clinical snapshot

エムプリシティ点滴静注用300mg

エロツズマブ(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2026年04月01日

【警告】

本剤は,緊急時に十分対応できる医療施設において,造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで,本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また,治療開始に先立ち,患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し,同意を得てから投与を開始すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

再発又は難治性の多発性骨髄腫

用法・用量

  • 〈レナリドミド及びデキサメタゾン併用〉

通常,成人にはエロツズマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kgを点滴静注する。28日間を1サイクルとし,最初の2サイクルは1週間間隔で4回(1,8,15,22日目),3サイクル以降は2週間間隔で2回(1,15日目)点滴静注する。

  • 〈ポマリドミド及びデキサメタゾン併用〉

通常,成人にはエロツズマブ(遺伝子組換え)として,28日間を1サイクルとし,最初の2サイクルは1回10mg/kgを1週間間隔で4回(1,8,15,22日目),3サイクル以降は1回20mg/kgを4週間間隔(1日目)で点滴静注する。

使用上の注意

  1. 8.1Infusion reactionがあらわれることがあるので,本剤の投与は,重度のinfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。Infusion reactionは,本剤の初回投与時に多く報告されているが,2回目以降の本剤投与時にもあらわれることがあるので,本剤投与中は患者の状態を十分に観察すること。

  2. 8.2リンパ球減少等があらわれることがあるので,本剤の投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い,患者の状態を十分に観察すること。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性及びパートナーが妊娠する可能性のある男性には,本剤投与中及び本剤投与後一定期間,適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。生殖発生毒性試験は実施されていない(本剤がヒトSLAMF7特異的で動物実験が実施できないため)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し,授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト母乳中への移行に関するデータはないが,ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
下痢,便秘,悪心 頻度不明
不眠症 頻度不明
体重減少,皮膚有棘細胞癌,基底細胞癌 頻度不明
咳嗽,湿性咳嗽 頻度不明
好中球減少(27.2%),血小板減少,貧血 頻度不明
寝汗 頻度不明
帯状疱疹,鼻咽頭炎,上気道感染 頻度不明
気分変化,感覚鈍麻 頻度不明
疲労(25.9%),末梢性浮腫,発熱,無力症 頻度不明
白内障 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
胸痛 頻度不明
過敏症 頻度不明
高血糖 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

エロツズマブは,ヒトSignaling Lymphocyte Activation Molecule Family Member 7(SLAMF7)に結合するヒト化IgG1モノクローナル抗体である。SLAMF7は多発性骨髄腫細胞に高発現することが報告されている。 エロツズマブは骨髄腫細胞膜上のSLAMF7に結合し,Fc受容体を介したナチュラルキラー(NK)細胞との相互作用により抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導することにより,腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられる5),6)。また,エロツズマブはNK細胞に発現するSLAMF7との結合によりNK細胞を直接活性化する作用を有することが報告されている7)。

18.2 抗腫瘍作用

エロツズマブはヒト骨髄腫由来OPM2細胞株を移植したマウスにおいて,腫瘍の増殖を抑制した6)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

多発性骨髄腫患者8例に本剤10mg/kgをレナリドミド及びデキサメタゾンと併用投与したときの血清中濃度推移及び血清中濃度から算出した薬物動態パラメータを以下に示す1)(外国人における成績)。

図1:単回投与時の血清中エロツズマブ濃度推移(平均値+標準偏差)

Cmaxa
(μg/mL)
Tmaxb
(h)
AUC(0-T)a
(μg・h/mL)
AUC(INF)a
(μg・h/mL)
T-HALFa
(h)
CLTa
(mL/h/kg)
Vza
(mL/kg)
217
(24)
3.23
(2.9-4.9)
39559
(28)
46401
(39)
147
(66)
0.215
(46)
59.4
(30)

a:幾何平均値(変動係数%),b:中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.2反復投与

再発又は難治性の日本人多発性骨髄腫患者3例に本剤10mg/kgをレナリドミド及びデキサメタゾンと併用で毎週投与したときの静脈内投与後の血清中濃度と血清中トラフ濃度推移を以下に示す2)。

図2:反復投与時の血清中エロツズマブ濃度推移(平均値+標準偏差)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

多発性骨髄腫患者で腎機能が正常(CrCL 90mL/min以上)な患者8例,重度腎機能障害(CrCL 30mL/min未満)患者7例及び末期腎不全(CrCL 30mL/min未満で血液透析を実施)患者8例に,本剤10mg/kgをレナリドミド及びデキサメタゾンと併用投与したときの本剤の薬物動態を評価した結果,腎機能が正常な患者と,重度腎機能障害及び末期腎不全患者との間に,臨床的に重要な薬物動態の違いは認められなかった1)(外国人における成績)。