下記疾患における他の抗HIV薬との併用療法 HIV感染症
【警告】
-
1.1膵炎を発症する可能性のある小児の患者(膵炎の既往歴のある小児、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている小児)では、本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと。これらの患者で膵炎を疑わせる重度の腹痛、悪心・嘔吐等又は血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の上昇があらわれた場合は、本剤の投与を直ちに中止すること。
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1.2B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合、重症化するおそれがあるので注意すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人には他の抗HIV薬と併用して、ラミブジンとして1日量300mgを1日1回又は2回(150mg×2)に分けて経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
使用上の注意
- 8.1*本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
- 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
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8.2重篤な血液障害、乳酸アシドーシス、脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)、横紋筋融解症、ニューロパシー、錯乱、痙攣、心不全があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。
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8.3本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
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8.4膵炎が発症する可能性があるので、血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の生化学的検査を定期的に行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1B型肝炎ウイルス感染を合併している患者
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合、重症化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1腎機能障害(Ccrが50mL/min未満)を有する患者
Ccrを測定し、減量するか又は投与間隔を延長すること。高い血中濃度が持続するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 本剤はヒト胎盤を通過する。出生児の血清中ラミブジン濃度は、分娩時の母親の血清中及び臍帯血中の濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。 動物実験(ウサギ)で胎児毒性(早期の胚死亡数の増加)が報告されている。 ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性の血清乳酸値の上昇が報告されている。 非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。 経口投与されたラミブジンはヒト乳汁中に排泄されることが報告されている(乳汁中濃度:<0.5-8.2μg/mL)4)(外国人データ)。 ラミブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.6~3.3であることが報告されている(外国人データ)。 乳児の血清中のラミブジン濃度は18~28ng/mLであったとの報告がある(外国人データ)。
9.7 小児等
小児等を対象とした本剤と他の抗HIV薬との併用投与の安全性及び有効性を指標とした臨床試験は実施していない。 膵炎を発症する可能性のある小児の患者(膵炎の既往歴のある小児、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている小児)では、本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。本剤は、主として未変化体として腎から排泄される。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| スルファメトキサゾール・トリメトプリム | 本剤のAUCが43%増加し、全身クリアランスが30%、腎クリアランスが35%減少したとの報告がある。 | 腎臓における排泄がトリメトプリムと競合すると考えられている。 |
| ソルビトール | 経口ソルビトール溶液(ソルビトールとして3.2g、10.2g、13.4g)とラミブジンの併用により、ラミブジンのAUCが減少した(それぞれ18%、36%、42%減少)との報告がある。 | ソルビトールによりラミブジンの吸収が抑制されると考えられている。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT等の上昇) | 頻度不明 |
| CK上昇 | 1%未満 |
| アミラーゼ上昇 | 1%未満 |
| アレルギー反応 | 頻度不明 |
| うつ病 | 1%未満 |
| そう痒 | 1%未満 |
| トリグリセリド上昇・血清コレステロール上昇 | 頻度不明 |
| めまい | 1%未満 |
| リンパ球減少 | 1%未満 |
| リンパ節症 | 1%未満 |
| 上気道炎 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不安感 | 1%未満 |
| 体幹部の脂肪増加 | 頻度不明 |
| 体温調節障害 | 頻度不明 |
| 体脂肪の再分布/蓄積(胸部 | 頻度不明 |
| 体重減少 | 1%未満 |
| 倦怠感 | 1%未満 |
| 副鼻腔炎 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 1%未満 |
| 呼吸障害 | 頻度不明 |
| 咳 | 1%未満 |
| 咽頭痛 | 1%未満 |
| 嘔吐 | 1%未満 |
| 嘔気 | 頻度不明 |
| 平均赤血球容積(MCV)増加 | 1%未満 |
| 心筋症 | 頻度不明 |
| 感情障害 | 頻度不明 |
| 敗血症 | 1%未満 |
| 末梢神経障害 | 頻度不明 |
| 末梢部 | 頻度不明 |
| 気管支炎 | 1%未満 |
| 消化不良 | 1%未満 |
| 湿疹 | 頻度不明 |
| 無力症 | 1%未満 |
| 疲労 | 1%未満 |
| 疼痛 | 1%未満 |
| 痔核 | 頻度不明 |
| 痤瘡・毛嚢炎 | 1%未満 |
| 発汗 | 1%未満 |
| 発熱 | 1%未満 |
| 発疹(皮膚炎 | 頻度不明 |
| 皮疹を含む) | 頻度不明 |
| 睡眠障害 | 1%未満 |
| 筋痙直 | 1%未満 |
| 筋肉痛 | 1%未満 |
| 総蛋白上昇 | 頻度不明 |
| 総蛋白低下 | 頻度不明 |
| 耳管炎 | 頻度不明 |
| 肝機能検査値異常(AST | 頻度不明 |
| 肺炎 | 1%未満 |
| 胃炎 | 1%未満 |
| 脱毛 | 1%未満 |
| 脱水(症) | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 腹部痙直 | 頻度不明 |
| 血中尿酸上昇 | 頻度不明 |
| 血清クレアチニン上昇 | 1%未満 |
| 血清脂質増加 | 頻度不明 |
| 血糖値上昇 | 1%未満 |
| 血糖値低下 | 頻度不明 |
| 血糖増加) | 頻度不明 |
| 重炭酸塩上昇 | 頻度不明 |
| 重炭酸塩低下 | 頻度不明 |
| 野牛肩 | 頻度不明 |
| 錯感覚 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 1%未満 |
| 頭痛 | 1%未満 |
| 顔面の脂肪減少 | 頻度不明 |
| 食欲不振 | 1%未満 |
| 骨痛 | 頻度不明 |
| 高乳酸塩血症 | 頻度不明 |
| 鼓腸放屁 | 1%未満 |
| 鼻炎 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ラミブジンは細胞内でリン酸化され、HIVを感染させた細胞内での半減期が約12時間の活性化型の三リン酸化体に変換される17)。ラミブジン-三リン酸化体はHIVの逆転写酵素によりデオキシシチジン三リン酸の代わりにウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する18)。また、ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素を競合的に阻害する18)。一方、in vitroで、ヒト末梢血リンパ球、リンパ球系・単球-マクロファージ系の株化細胞19)及び種々のヒト骨髄前駆細胞に対するラミブジンの細胞毒性は弱かった。
18.2 抗ウイルス作用
In vitroでのラミブジンのHIV-1(RF、GB8、U455及びⅢB)に対するIC50値は670nM以下、HIV-2 RODに対するIC50値は40nMであった19)。 In vitroでアバカビル、ジダノシン、ネビラピン、ザルシタビン及びジドブジンとの相加又は相乗作用が認められた20)。また、in vitroにおいて、ラミブジンは単独で、ジドブジン耐性臨床分離株の平均p24抗原量を薬物無処置群に比べ66~80%低下させた。 In vitroでの26種のHIV-1臨床分離株[グループM(サブタイプA、B、C、D、E、F、G)]並びに3種類のHIV-2臨床分離株に対するラミブジンのIC50値(平均値)はHIV-1株及びHIV-2株でそれぞれ40nM(範囲は1~120nM)及び42nM(範囲は2~120nM)であった。
18.3 薬剤耐性
ラミブジンを含む抗HIV薬で治療を受けたHIV-1感染症患者で発現するラミブジン耐性HIV-1には、HIV逆転写酵素の活性部位に近い184番目のアミノ酸のメチオニンからバリンへの変異(M184V)がみられる21)。このM184V変異の結果、ウイルスのラミブジンに対する感受性は著明に低下し21),22)、in vitroでのウイルスの複製能力は低下する23)。 In vitroにおいて、ジドブジン耐性臨床分離株にラミブジン耐性変異を導入すると、ジドブジンに対する感受性は回復することが確認されている。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジン及びラミブジンを併用することにより、ジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する24)。さらに、抗HIV薬(ラミブジンを含む)の多剤併用療法はM184V変異ウイルスを有する患者と同様、抗HIV薬の治療経験のない患者においても有効性が確認されている25),26)。
18.4 交差耐性
ジドブジン及びサニルブジンは、ラミブジン耐性HIV-1に対し抗ウイルス活性を維持する22),24),27)。 アバカビルはM184V変異のみが認められているウイルスに対しては、抗ウイルス活性を維持する28)。 また、ジダノシン及びザルシタビンは、M184V変異ウイルスに対して感受性が低下するというin vitroでの報告があるが、これらの感受性の低下と臨床効果の関係は明らかにされていない29)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回経口投与
健康成人76例にドルテグラビル・ラミブジン50mg・300mgを空腹時に単回経口投与した時のラミブジンの血漿中濃度の推移を図-1に、薬物動態パラメータを表-1に示した31)(外国人データ)。
図-1 健康成人にドルテグラビル・ラミブジンを単回経口投与した時のラミブジンの血漿中濃度の推移(平均値+標準偏差)
| AUC0-inf (μg・h/mL) |
Cmax (μg/mL) |
Tmax (h)注1) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|
| 13.59(17.99) | 3.22(29.30) | 1.00(0.50,3.50) | 18.63(26.85) |
幾何学平均値(CV%) 注1)中央値(範囲)
- 16.1.2反復経口投与
HIV感染症患者6例に対し、ラミブジン150mg1日2回とジドブジン100mg1日4回を25日間以上連続経口投与した時のラミブジン、ジドブジンの血漿中薬物濃度の推移を図-2に、薬物動態パラメータを表-2に示した。ラミブジンは投与約1.3時間後に最高血漿中濃度(Cmax)平均1.55μg/mLに達し、半減期は平均2.3時間であった5)。
図-2 血漿中薬物濃度の推移(平均値±標準偏差、6例)
| Cmax (μg/mL) |
Tmax (h) |
t1/2 (h) |
AUC0-6 (μg・h/mL) |
AUC0-12 (μg・h/mL) |
|
|---|---|---|---|---|---|
| ラミブジン | 1.547±0.302 | 1.3±0.6 | 2.3±0.6 | 5.089±1.692 | 6.165±2.312 |
| ジドブジン | 0.549±0.261 | 0.8±0.3 | 1.1±0.1 | 0.858±0.266 | ― |
平均値±標準偏差、6例
健康成人60例に300mgを1日1回及び150mgを1日2回、それぞれ7日間反復経口投与した時の血漿中濃度推移を図-3に示した。300mg1日1回投与した時の定常状態におけるAUC0-24は150mg1日2回投与した時と生物学的に同等であった6)(外国人データ)。
図-3 血漿中薬物濃度の推移(平均値±標準偏差)
成人HIV感染症患者に2mg/kg注)を1日2回15日間経口投与した時、初回投与時では投与1.5時間後に最高血中濃度の1.5μg/mLに達し、半減期は2.6時間であり、15日間投与後では血中濃度は定常状態に達し、最高血中濃度は1.9μg/mLであった7)(外国人データ)。
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
無症候性HIV感染症患者12例に対して、空腹時と食後(1,099kcal:脂肪75g、タンパク質34g、炭水化物72g)の2つの条件で、ラミブジン50mg注)を経口投与した。食後投与のラミブジンの最高血中濃度到達時間(Tmax)は3.2時間で、空腹時投与のTmaxの0.9時間と比較して遅くなり、食後投与での最高血中濃度は空腹時投与より約47%低かった。しかし、食後投与と空腹時投与のAUC間に有意な差はみられなかった8)(外国人データ)。
- 16.2.2バイオアベイラビリティ
成人HIV感染症患者にカプセル製剤0.25~8mg/kg注)を単回経口投与した時の生物学的利用率は約82%であった9)(外国人データ)。
16.3 分布
- 16.3.1脳脊髄液への移行
成人HIV感染症患者に4~10mg/kg注)を1日2回2週間以上反復経口投与した時、投与2時間後の脳脊髄液中濃度は血中濃度の約6%であった10)(外国人データ)。
16.4 代謝
ヒトでの主代謝物はトランス-スルホキシド体(1-[(2R5S)-trans-2-hydroxymethyl-1,3-oxathiolan-3-oxide-5-yl]cytosine)であった11)(外国人データ)。
16.5 排泄
成人HIV感染症患者に2mg/kg注)を経口投与した時、投与後12時間尿中にトランス-スルホキシド体が投与量の5.2%排泄された。また、血中濃度が定常状態での未変化体の尿中排泄率は投与量の約70%であり、腎排泄がラミブジンの体内からの除去の主要な経路であることが示された11)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1小児等
小児HIV感染症患者に4mg/kg注)を単回経口投与した時、投与2.0時間後に最高血中濃度の1.1μg/mLに達し、半減期は2.0時間であり生物学的利用率は約66%であり、成人HIV感染症患者の生物学的利用率(約82%)より低い値を示した。小児で生物学的利用率が減少する機序はわかっていない。 図-4に示すように、小児患者では年齢が上がるにつれて全身クリアランスは減少した。
図-4 ラミブジンの全身クリアランス(L/時/kg)と年齢の関係
ラミブジンのAUCは、8mg/kg/日注)を投与された小児患者と4mg/kg/日注)を投与された成人との間で同じ程度であった。また、脳脊髄液中のラミブジンの濃度は血中濃度の約13%であった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1ジドブジン併用時の薬物動態
ラミブジンとジドブジンの併用投与を行った時、ジドブジンの最高血中濃度が28%上昇したが、ラミブジン及びジドブジンのAUCに有意な変化は認められなかった13)(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人には他の抗HIV薬と併用して、ラミブジンとして1日量300mgを1日1回又は2回(150mg×2)に分けて経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。」である。