Clinical snapshot

エナジア吸入用カプセル中用量

インダカテロール酢酸塩、グリコピロニウム臭化物、モメタゾンフランカルボン酸エステル

添付文書改訂 2025年05月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により、眼圧が上昇し症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2前立腺肥大等による排尿障害がある患者[抗コリン作用により、尿閉を誘発するおそれがある。]

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  4. 2.4有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[ステロイドの作用により症状を悪化させるおそれがある。]

  5. 2.5デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者

効能・効果

気管支喘息(吸入ステロイド剤、長時間作用性吸入β2刺激剤及び長時間作用性吸入抗コリン剤の併用が必要な場合)

用法・用量

通常、成人にはエナジア吸入用カプセル中用量1回1カプセル(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μg及びモメタゾンフランカルボン酸エステルとして80μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。 なお、症状に応じてエナジア吸入用カプセル高用量1回1カプセル(インダカテロールとして150μg、グリコピロニウムとして50μg及びモメタゾンフランカルボン酸エステルとして160μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具を用いて吸入する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は喘息の急性症状を速やかに軽減する薬剤ではないので、毎日規則正しく使用するよう患者を指導すること。

  2. 8.2本剤の投与期間中に発現する気管支喘息の急性の発作に対しては、短時間作用性吸入β2刺激剤等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。 また、その薬剤の使用量が増加したり、あるいは効果が十分でなくなってきた場合には、疾患の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し医師の治療を求めるよう患者に注意を与えること。 そのような状態では患者の生命が脅かされる可能性があるので、患者の症状に応じてステロイド療法の強化(本剤のより高い用量への変更等)を考慮すること。

  3. 8.3本剤の投与終了後に症状の悪化があらわれることがあるので、患者自身の判断で本剤の使用を中止することがないよう指導すること。また、投与を中止する場合には観察を十分に行うこと。

  4. 8.4本剤の投与期間中に喘息に関連した事象及び喘息の悪化があらわれることがある。本剤の投与開始後に喘息症状がコントロール不良であったり、悪化した場合には、患者自身の判断で本剤の吸入を中止せずに、医師に相談するよう指導すること。

  5. 8.5本剤は患者の喘息症状に応じて最適な用量を選択する必要があるため、本剤の投与期間中は患者を定期的に診察すること。

  6. 8.6全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、吸入ステロイド剤の投与により全身性の作用(クッシング症候群、クッシング様症状、副腎皮質機能抑制、小児の成長遅延、骨密度の低下、白内障、緑内障を含む)が発現する可能性があるので、吸入ステロイド剤の投与量は患者毎に喘息をコントロールできる最少用量に調節すること。特に長期間、高用量投与の場合には定期的に検査を行い、全身性の作用が認められた場合には患者の喘息症状を観察しながら適切な処置を行うこと。

  7. 8.7本剤の吸入により気管支痙攣が誘発され生命を脅かすおそれがある。気管支痙攣が認められた場合は、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  8. 8.8過度に使用を続けた場合、不整脈、場合により心停止を起こすおそれがあるので、用法・用量を超えて使用しないよう注意すること。また、患者に対し、本剤の過度の使用による危険性を理解させ、1日1回を超えて使用しないよう注意を与えること。本剤の気管支拡張作用は通常24時間持続するので、その間は次の投与を行わないこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1結核性疾患又は感染症(有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症を除く)の患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2甲状腺機能亢進症の患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.3心血管障害(冠動脈疾患、急性心筋梗塞、不整脈、高血圧、心不全、QT間隔延長等)の患者又はこれらの既往歴のある患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.4糖尿病の患者

血糖値をモニタリングするなど慎重に投与すること。高用量のβ2刺激剤又はステロイド剤を投与すると、血糖値が上昇するおそれがある。

  1. 9.1.5てんかん等の痙攣性疾患のある患者

痙攣の症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.6前立腺肥大(排尿障害のある場合を除く)のある患者

排尿障害が発現するおそれがある。

  1. 9.1.7低酸素血症の患者

血清カリウム値に注意すること。低酸素血症により血清カリウム値の低下の心リズムに及ぼす影響が増強されることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害のある患者(eGFRが30mL/min/1.73m2未満の患者)又は透析を必要とする末期腎不全の患者

治療上の有益性と危険性を勘案して慎重に投与し、副作用の発現に注意すること。グリコピロニウムの血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。モメタゾンフランカルボン酸エステルの経皮又は経口投与による動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形性作用が報告されている。インダカテロールの動物実験(ウサギ)で骨格変異の発生率増加を伴う生殖発生毒性が報告されている。また、インダカテロール及びグリコピロニウムの動物実験で胎盤通過性が報告されている(インダカテロール:ラット、グリコピロニウム:マウス、ウサギ、イヌ)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。インダカテロール、グリコピロニウム及びモメタゾンフランカルボン酸エステルの動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • インダカテロールは主に代謝酵素チトクロームP450 3A4(CYP3A4)で代謝され、またP糖蛋白(Pgp)の基質である。モメタゾンフランカルボン酸エステルの代謝にはCYP3A4が関与している。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• デスモプレシン酢酸塩水和物 • ミニリンメルト
• (男性における夜間多尿による夜間頻尿)
低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 機序不明

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• CYP3A4を阻害する薬剤• エリスロマイシン等 ステロイド剤を全身投与した場合と同様の症状があらわれる可能性がある。 CYP3A4の活性を阻害することにより、モメタゾンフランカルボン酸エステルの代謝が阻害され、血中濃度が上昇する可能性がある。
• CYP3A4を阻害する薬剤• エリスロマイシン等 インダカテロールの血中濃度が上昇するおそれがある。エリスロマイシンとの併用投与によりインダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.2倍及び1.4~1.6倍に上昇したとの報告がある。 CYP3A4の活性を阻害することにより、インダカテロールの代謝が阻害され、血中濃度が上昇すると考えられる。
• P糖蛋白を阻害する薬剤• ベラパミル等 インダカテロールの血中濃度が上昇するおそれがある。ベラパミルとの併用投与によりインダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.5倍及び1.4~2.0倍に上昇したとの報告がある。 P糖蛋白の活性を阻害することにより、インダカテロールの排泄が阻害され、血中濃度が上昇すると考えられる。
• リトナビル インダカテロールのAUCが上昇するおそれがある。リトナビルとの併用投与によりインダカテロールのAUCが1.6~1.8倍に上昇したとの報告がある。 CYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害することにより、インダカテロールの代謝及び排泄が阻害されると考えられる。
• QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤• MAO阻害剤
• 三環系抗うつ剤等
QT間隔が延長され心室性不整脈等のリスクが増大するおそれがある。 いずれもQT間隔を延長させる可能性がある。
• 交感神経刺激剤 インダカテロールの作用が増強するおそれがある。 交感神経刺激剤との併用により、アドレナリン作動性神経刺激が増大する可能性がある。
• キサンチン誘導体
• ステロイド剤
• 利尿剤• サイアザイド系利尿剤
• サイアザイド系類似利尿剤
• ループ利尿剤
低カリウム血症による心血管事象(不整脈)を起こすおそれがあるため、血清カリウム値に注意すること。 キサンチン誘導体はアドレナリン作動性神経刺激を増大させるため、血清カリウム値の低下が増強する可能性がある。
ステロイド剤及びこれらの利尿剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用があるため、血清カリウム値の低下が増強する可能性がある。
• β遮断剤(点眼剤を含む) インダカテロールの作用が減弱するおそれがある。やむを得ず併用する場合には、心選択性β遮断剤が望ましいが、注意すること。 β遮断剤との併用により、インダカテロールの作用が拮抗される可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
1%未満
1%未満
頻度不明
1%未満
頻度不明
頻度不明
頻度不明
1%未満
頻度不明
1%未満
頻度不明
1%未満
1%未満
頻度不明
頻度不明
1%未満
頻度不明
頻度不明
1%未満
カンジダ症 頻度不明
そう痒症 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
咳嗽 頻度不明
尿路感染 頻度不明
排尿困難 頻度不明
発声障害(8.7%) 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
筋痙縮 1%未満
筋骨格痛 1%未満
胃腸炎 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
高血糖 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  • 〈インダカテロール〉

長時間作用性のβ受容体刺激薬であり、β1及びβ3受容体と比較してβ2受容体に対して高い親和性を示す28) 。

  • 〈グリコピロニウム〉

長時間作用性のムスカリン受容体拮抗薬であり、すべてのムスカリン受容体M1~M5受容体に対して高い親和性を示す。チオトロピウムと比較した場合、M2受容体に比べてM3受容体に対してやや高い選択性を有する29) 。

  • 〈モメタゾンフランカルボン酸エステル〉

合成ステロイドであり、グルココルチコイド受容体に親和性を示す30) 。

18.2 気管支拡張作用

  • 〈インダカテロール/グリコピロニウム〉

モルモット摘出気管を用いたカルバコール誘発収縮に対して濃度依存的な抑制作用を示した。インダカテロールとグリコピロニウムの併用により、相加作用が示された31) 。

  • 〈インダカテロール〉

覚醒下モルモットにおけるセロトニン及び麻酔下アカゲザルにおけるメサコリンによる気管支収縮に対して持続的な抑制作用を示した32),33) 。

  • 〈グリコピロニウム〉

ムスカリン受容体刺激によって誘発されたモルモット及びヒトの摘出気管収縮に対して抑制作用を示した34) 。ラット及びアカゲザルにおけるメサコリン誘発気道収縮に対して持続的な抑制作用を示した35),36) 。

18.3 抗炎症作用

  • 〈モメタゾンフランカルボン酸エステル〉

ヒトのヘルパーT細胞からのインターロイキン-4(IL-4)及びIL-5産生を抑制した37) (in vitro)。能動感作マウスにおいて、抗原惹起による気管支肺胞洗浄液又は肺組織中における好酸球等の炎症細胞数増加、肺組織におけるIL-4及びIL-5のmRNA発現に対して、吸入投与により抑制作用を示した38) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

日本人健康成人に本剤中用量(150/50/80μg)又は本剤高用量(150/50/160μg)を反復吸入投与したとき、投与初日及び投与14日目のインダカテロール、グリコピロニウム及びモメタゾンフランカルボン酸エステルの血漿中濃度はそれぞれ15分、5分及び1~2時間(中央値)で最高値に達した。AUCから算出した累積率(Racc、平均値)は、インダカテロールで3.09~3.32、グリコピロニウムで2.74~2.86、モメタゾンフランカルボン酸エステルで1.37~1.50であった。

薬物動態パラメータ 投与日 インダカテロール
150/50/80μg
16例
150/50/160μg
14例
Tmax(h) Day1 0.250(0.250-0.500) 0.250(0.250-0.250)
Day14 0.250(0.250-0.250) 0.250(0.250-0.250)
Cmax(pg/mL) Day1 388±98.2 338±96.8
Day14 595±162 593±165
AUC0-24h(h・pg/mL) Day1 1090±273 1010±347
Day14 3360±1020 3330±1240
薬物動態パラメータ 投与日 グリコピロニウム
150/50/80μg
16例
150/50/160μg
14例
Tmax(h) Day1 0.0833(0.0833-0.0833) 0.0833(0.0833-0.0833)
Day14 0.0833(0.0833-0.0833) 0.0833(0.0833-0.08330)
Cmax(pg/mL) Day1 318±170 296±141
Day14 467±164 464±198
AUC0-24h(h・pg/mL) Day1 294±74.4 278±87.8
Day14 772±162 751±131
薬物動態パラメータ 投与日 モメタゾンフランカルボン酸エステル
150/50/80μg
16例
150/50/160μg
14例
Tmax(h) Day1 2.00(0.500-3.00) 1.00(0.250-2.00)
Day14 2.00(0.250-3.00) 2.00(0.250-3.00)
Cmax(pg/mL) Day1 105±17.2 197±36.0
Day14 141±26.5 268±50.6
AUC0-24h(h・pg/mL) Day1 936±141 1730±291
Day14 1270±202 2540±357

Tmaxは中央値(最小値-最大値)を、それ以外は平均値±標準偏差を示す。

日本人及び白人健康成人に本剤150/50/80又は150/50/160μgを1日1回14日間反復吸入投与したときのインダカテロール、グリコピロニウム及びモメタゾンフランカルボン酸エステルの14日目の血漿中濃度推移

インダカテロールグリコピロニウムモメタゾンフランカルボン酸エステル

MF:モメタゾンフランカルボン酸エステル 血漿中濃度は、平均値±標準偏差で示した。

本剤を吸入投与したときの定常状態におけるインダカテロール、グリコピロニウム、及びモメタゾンフランカルボン酸エステルの血漿中トラフ濃度は、単剤投与時のインダカテロールマレイン酸塩、グリコピロニウム、及びモメタゾンフランカルボン酸エステル(ツイストヘラーによる中用量400μg及び高用量800μg)と同程度であった。

16.2 吸収

健康成人に本剤を吸入投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは、インダカテロールで約43%1) 、グリコピロニウムで40%2) と推定された(外国人のデータ)。 健康成人にインダカテロールを経口投与注1) したときの吸入投与時に対する相対的バイオアベイラビリティは46%であり、インダカテロールは消化管からも吸収されることが考えられた3) (外国人のデータ)。 健康成人にグリコピロニウムを吸入投与したときの血漿中曝露量に対する肺吸収及び消化管吸収の寄与はそれぞれ約90%及び約10%であった。経口投与時注1) の絶対的バイオアベイラビリティは約5%であった2) (外国人のデータ)。

16.3 分布

インダカテロールのヒト血清中蛋白結合率は94%~95%、ヒト血漿中蛋白結合率は95%~96%であった4) 。 健康成人にインダカテロールを静脈内投与したときの分布容積は2,560Lであった1) (外国人のデータ)。 グリコピロニウムのヒト血漿中蛋白結合率は1~10ng/mLの濃度範囲で38%~41%であった5) 。 健康成人にグリコピロニウムを静脈内投与したときの定常状態時及び消失相での分布容積はそれぞれ83L及び376Lであった2) (外国人のデータ)。 モメタゾンフランカルボン酸エステルのヒト血漿蛋白結合率は99.0%~99.5%であった。

16.4 代謝

健康成人男子に14Cインダカテロール800μg注1) を単回経口投与したとき、血清中には主として未変化体が存在し、総放射能の約1/3を占めた。主な代謝経路は、ベンジル炭素の一水酸化、グルクロン酸抱合、酸化的開裂及びN-脱アルキル化反応と推察された6) 。 インダカテロールは主としてCYP3A4とUGT1A1で代謝され、Pgpの低親和性の基質であることが示唆された7),8) (外国人のデータ)。 In vitro試験において、グリコピロニウムの主な代謝物は、水酸化による一水酸化体、二水酸化体、並びに加水分解で生じたカルボン酸誘導体であった。酸化的代謝には複数のCYP分子種の関与が考えられた9),10),11),12) 。 グリコピロニウム吸入投与時のカルボン酸誘導体の血漿中曝露量は未変化体と同程度であった2) 。慢性閉塞性肺疾患患者にグリコピロニウムを吸入投与したとき、抱合代謝物は尿中に投与量の約3%排泄された13) (外国人のデータ)。 モメタゾンフランカルボン酸エステルはヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験では広範な代謝が認められ、生成する複数の代謝物の1つとして6β水酸化体が確認された。6β水酸化体の生成に関与するP450分子種はCYP3A4であることが確認されている。

16.5 排泄

日本人健康成人男子にインダカテロールを単回吸入投与したとき、未変化体の尿中排泄量は投与量の1.6%~1.9%であった。また、このときの腎クリアランスは1.2~1.7L/hであった。インダカテロールの全身クリアランス(23L/h)との比較から、腎排泄の寄与は小さいことが示唆された。健康成人男子に14C標識したインダカテロール800μgを単回経口投与したとき、投与量の85%が糞中に排泄され、尿中への排泄は9.7%であった。糞中への排泄は未変化体(投与量の54%)及び水酸化代謝物(投与量の24%)が主であった1),6),14) (日本人及び外国人のデータ)。 日本人健康成人にグリコピロニウムを吸入投与したときの未変化体の尿中排泄量は、投与量の13.0%~15.5%であった。 グリコピロニウムの腎クリアランスは21.4~23.5L/hであり、尿細管分泌の関与が考えられた15) 。グリコピロニウムの腎クリアランス及び腎外クリアランスは、それぞれ全身クリアランスの60%~70%及び30%~40%であった2),16) 。グリコピロニウムを吸入投与したときの消失半減期は33~57時間であった2),17) (外国人のデータ)。 健康成人男性に3H-モメタゾンフランカルボン酸エステル約971μg注1) を単回吸入投与したとき、放射能は主に糞中に排泄され(73.5%)、尿中放射能排泄率は7.57%であった(外国人のデータ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者におけるインダカテロールの薬物動態

軽度及び中等度の肝機能障害患者にインダカテロールを単回吸入投与したとき、インダカテロールのCmaxは健康成人の0.98倍及び0.77倍、AUCは健康成人の0.87~1.0倍及び0.95~1.1倍であった。肝機能障害による血清中蛋白結合率の変化はみられなかった。重度の肝機能障害患者に対する検討は行っていない18) (外国人のデータ)。

  1. 16.6.2腎機能障害患者におけるグリコピロニウムの薬物動態

腎機能障害患者にグリコピロニウムを吸入投与したとき、軽度又は中等度の腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73m2以上)及び重度(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)又は透析を必要とする末期腎不全患者のAUCは、それぞれ健康成人の1.0~1.4倍及び2.1~2.2倍であった16) (外国人のデータ)。

  1. 16.6.3UGT1A1変異型を有する被験者におけるインダカテロールの薬物動態

活性の低いUGT1A1変異型を有する被験者にインダカテロールを反復吸入投与したとき、定常状態時のCmax及びAUCはそれぞれ野生型を有する被験者の1.2倍であった19) (外国人のデータ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1インダカテロールとエリスロマイシン

健康成人男子にエリスロマイシン400mg(経口投与)とインダカテロール300μg(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.2倍及び1.4~1.6倍に上昇した20) (外国人のデータ)。

  1. 16.7.2インダカテロールとベラパミル

健康成人男子にベラパミル80mg(経口投与)とインダカテロール300μg(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.5倍及び1.4~2.0倍に上昇した21) (外国人のデータ)。

  1. 16.7.3インダカテロールとリトナビル

健康成人にリトナビル300mg(経口投与)とインダカテロール300μg(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのAUCが1.6~1.8倍に上昇した22) (外国人のデータ)。

  1. 16.7.4インダカテロールとケトコナゾール(経口剤は国内未発売)

健康成人男子にケトコナゾール200mg(経口投与)とインダカテロール300μg(吸入投与)を併用したとき、インダカテロールのCmax及びAUCがそれぞれ1.3倍及び1.9倍に上昇した23) (外国人のデータ)。

  1. 16.7.5グリコピロニウムとシメチジン

健康成人にシメチジン800mg(経口投与)とグリコピロニウム100μg(吸入投与)を併用したとき、グリコピロニウムのAUCは1.2倍に上昇し、腎クリアランスは23%低下した17) (外国人のデータ)。

  1. 16.7.6グリコピロニウムのin vitro試験

グリコピロニウムはCYP2D6及びCYP3A4/5(ミダゾラム水酸化)に対して阻害作用を示し、IC50はそれぞれ100μM及び230μMであった24),25) 。トランスポーターを強制発現させたMDCKII細胞を用いた検討で、グリコピロニウムはOCT1及びOCT2に対して阻害作用を示し、IC50はそれぞれ47μM及び17μMであった26) 。

  1. 16.7.7モメタゾンフランカルボン酸エステルとケトコナゾール(経口剤は国内未発売)

健康成人男子にケトコナゾール200mgを1日2回(経口投与)とモメタゾンフランカルボン酸エステル400μgを1日2回(ツイストヘラーによる吸入投与)を併用したとき、血漿中モメタゾンフランカルボン酸エステル濃度の明らかな上昇を示す例が認められた(外国人のデータ)。

注1)承認されたインダカテロールの用法及び用量は、1日1回150μgの吸入投与である。承認されたグリコピロニウムの用法及び用量は、1日1回50μgの吸入投与である。承認されたモメタゾンフランカルボン酸エステルの最大用量は1日800μgである。