食道静脈瘤出血の止血及び食道静脈瘤の硬化退縮
【警告】
本剤による内視鏡的食道静脈瘤硬化療法では、ときにショック等の重篤な副作用が起こることがある。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1ショックあるいは前ショック状態にある患者。[ショックによる障害を起こし易い。]
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2.2多臓器障害あるいは播種性血管内凝固症候群(DIC)状態の患者。[全身状態が悪いので障害が起こり易い。]
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2.3胃潰瘍出血、十二指腸潰瘍出血又は胃びらん出血のある患者。[食道静脈瘤塞栓の結果、血行路の変化による胃・十二指腸部出血悪化のおそれがある。]
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2.4内視鏡検査が危険と判断される患者。[内視鏡的食道静脈瘤硬化療法で障害が起こり易い。]
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2.5重篤な心疾患のある患者。[用量依存性の血圧降下作用(心拍数減少、心伝導系抑制作用)によると考えられるショックのおそれがある。]
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2.6動脈硬化又は糖尿病性細小血管症のある患者。[末梢血管病変が悪化するおそれがある。]
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2.7血液凝固阻止剤を使用している患者。[血栓形成が抑制・阻害されるおそれがある。]
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2.8投与部位並びにその周辺に炎症又は潰瘍のある患者。[催炎作用により既存炎症の悪化、また潰瘍部よりの出血のおそれがある。]
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2.9妊娠初期(妊娠3ケ月以内)の女性。
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2.10本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
効能・効果
用法・用量
本剤は、経内視鏡的食道静脈瘤硬化療法に用いるものである。 通常、成人には1穿刺あたり本剤1~3mLを食道静脈瘤周囲に注入する。なお、注入量は静脈瘤の状態及び患者の病態により適宜増減するが、1内視鏡治療あたりの総注入量は30mL以内とする。
使用上の注意
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8.1本剤は、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法に十分な知識及び経験のある医師が使用すること。
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8.2ときに、ショック等の重篤な症状を起こすことがあるので、内視鏡的食道静脈瘤硬化療法施行に際しては、十分に問診し、患者の全身状態を観察し、異常が生じた場合直ちに中止すること。使用に際しては、救急処置がとれるようにすること。
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8.3本剤の投与により食道血腫を形成することがあるので、経過観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1全身消耗性疾患を有する患者
全身状態が悪くなるおそれがある。
- 9.1.2心疾患のある患者
用量依存性の血圧降下作用(心拍数減少、心伝導系抑制作用)によると考えられるショックのおそれがある。
- 9.1.3発熱のある患者
催炎性物質であり、発熱症状が悪化するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
腎機能障害が悪化するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者
肝機能障害が悪化するおそれがある。
9.5 妊婦
- 9.5.1妊娠初期(妊娠3ケ月以内)の女性
投与しないこと。動物実験(ラット)で妊娠初期に胎児への移行が報告されている。
- 9.5.2妊婦(妊娠3ケ月以内の女性を除く)又は妊娠している可能性のある女性
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること。動物実験(ウサギ)において器官形成期の投与により胚胎児死亡率の増加及び胎児体重の低下が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
用量に注意すること。一般に生理機能が低下している。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| モノエタノールアミンオレイン酸塩 | 同時投与を避けることが望ましい。1内視鏡治療で同時に使用すると、食道潰瘍、食道狭窄、胸水貯留の発現率が高くなることが報告されている。 | 同様の作用機序を有する。 |
| 麻酔剤 | 麻酔剤の心臓に対する作用(抗不整脈作用)を増強することがある。 | 本剤は当初、麻酔剤として開発されたものであり、本剤の心拍数減少、心伝導系抑制作用により、相互に心機能抑制作用を増強させることが考えられる。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| Al-P・アンモニアの上昇 | 1%未満 |
| AST・ALT・ビリルビン・LDHの上昇 | 1〜5%未満 |
| BUN上昇 | 1%未満 |
| アルブミン低下 | 1〜5%未満 |
| クレアチニン上昇 | 1%未満 |
| プロトロンビン時間延長 | 1%未満 |
| 出血性胃炎 | 1%未満 |
| 嘔吐 | 1%未満 |
| 嘔気 | 1%未満 |
| 嚥下障害 | 1〜5%未満 |
| 好酸球増多 | 頻度不明 |
| 尿糖陽性 | 1%未満 |
| 心窩部痛 | 1%未満 |
| 発熱 | 1〜5%未満 |
| 白血球増加 | 1%未満 |
| 白血球減少 | 1%未満 |
| 縦隔炎 | 1%未満 |
| 肺塞栓 | 頻度不明 |
| 肺炎 | 頻度不明 |
| 胃・十二指腸潰瘍出血 | 頻度不明 |
| 胸水貯留 | 1%未満 |
| 胸痛 | 1〜5%未満 |
| 脳血管障害 | 頻度不明 |
| 菌血症 | 頻度不明 |
| 血小板減少 | 1〜5%未満 |
| 血清総蛋白減少 | 1%未満 |
| 血腫 | 1%未満 |
| 貧血 | 1〜5%未満 |
| 門脈血栓 | 頻度不明 |
| 食道びらん・潰瘍出血 | 1%未満 |
| 食道潰瘍 | 5%以上 |
| 食道狭窄 | 1〜5%未満 |
| 食道穿孔 | 頻度不明 |
| 食道静脈瘤出血 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
本剤の粘膜注入により形成されたクアーデルによる出血孔の圧迫止血と破綻局所の血栓化により止血する。さらに、出血部へ血液を供給する静脈瘤をクアーデルにより圧迫狭小化することで、血流を減少させることも止血に対して有効に作用すると考えられる。 本剤注入により、注入部位の周囲に浮腫、急性炎症性変化、潰瘍形成、肉芽組織を経て潰瘍治癒、線維化が起こる。この炎症性変化や線維化による食道静脈瘤の圧迫、狭小化及び閉鎖や食道静脈瘤を線維化層で覆うことにより、食道静脈瘤の硬化・退縮をもたらす。 また、細い静脈瘤に対しては、外部から静脈内膜炎を誘発し、血栓の形成を起こし、血栓の器質化をもたらすことにより静脈瘤を消失させる7),8),9) 。
18.2 止血作用
静脈瘤周囲注入により、出血孔及び出血血液供給静脈を圧迫閉鎖すると共に、血管破綻部における血栓形成を促進して急性出血の止血に有効に作用する7) 。
18.3 組織線維化作用
注入部位周囲に、炎症反応・潰瘍形成に続く、組織線維化作用をきたし、静脈瘤を硬化、退縮させる(イヌ)8) 。
18.4 血管内皮細胞障害作用
血管内皮細胞障害による外因性血栓を形成し、それに続く器質化により静脈瘤を硬化、退縮させる(イヌ)9) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
ラット及びイヌに14C標識ポリドカノール(2mg/kg)を静脈内投与したとき、血中からのポリドカノールの消失は比較的速やかであった。また、ラット及びイヌのいずれにおいても、血漿中濃度が血中濃度を上回った1),2) 。
16.3 分布
ラットに14C標識ポリドカノール(2mg/kg)を静脈内投与したとき、投与1時間後に、腎、肝に高濃度で認められた。14C標識ポリドカノールを24時間毎4回の反復静脈投与で、14C標識ポリドカノールの蓄積は認められなかった。また、血液-脳関門通過性は低く、胎盤の通過性は分化の進む妊娠後期(19日目)には低下した。哺育中ラットに14C標識ポリドカノール(2mg/kg)静脈内投与したとき、乳汁中放射能濃度は投与後30分に最高濃度に達したのち、6時間から48時間まで半減期17時間で消失した3),4) 。
16.4 代謝
イヌに14C標識ポリドカノール(2mg/kg)を静脈内投与したとき、尿中に5種類のポリドカノール代謝体を認め、その代謝体は尿より検出された全放射能の40%を占めた5) 。
16.5 排泄
ラット及びイヌに14C標識ポリドカノール(2mg/kg)を静脈内投与したとき、ラットでは、48時間後に投与量の約100%(尿中約43%、糞中約57%)が排泄され、イヌでは、72時間後に投与量の約97%(尿中約61%、糞中約37%)が排泄された1),2) 。