Clinical snapshot

エストラサイトカプセル156.7mg

エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物カプセル

添付文書改訂 2022年09月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分、エストラジオール又はナイトロジェンマスタードに対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2血栓性静脈炎、脳血栓、肺塞栓等の血栓塞栓性障害、虚血等の重篤な冠血管疾患、又はその既往歴のある患者[エストロゲン様作用により症状を悪化又は再発させるおそれがある。]

  3. 2.3重篤な肝障害のある患者

  4. 2.4重篤な血液障害のある患者[血液障害を悪化させるおそれがある。]

  5. 2.5消化性潰瘍のある患者[消化性潰瘍を悪化させるおそれがある。]

効能・効果

前立腺癌

用法・用量

通常成人1回2カプセル(エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物として313.4mg)を1日2回経口投与する。 症状により適宜増減する。

使用上の注意

肝機能異常、血液障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心疾患又はその既往歴のある患者

体液の貯留が生じ症状を悪化又は再発させるおそれがある。

  1. 9.1.2てんかん患者

エストロゲン様作用により、時折体液貯留が生じ状態が悪化することがある。

  1. 9.1.3糖尿病患者

十分な管理を行いながら投与すること。血糖値を上昇させるおそれがある。

  1. 9.1.4血液障害のある患者(重篤な血液障害のある患者を除く)

血液障害を悪化させるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎疾患又はその既往歴のある患者

浮腫を生じることがあり、体液の貯留を伴うような腎疾患では症状を悪化又は再発させるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝障害のある患者

投与しないこと。肝障害を悪化させたとの報告がある。

  1. 9.3.2肝障害のある患者(重篤な肝障害のある患者を除く)

肝障害を悪化させたとの報告がある。

9.4 生殖能を有する者

生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ACE阻害剤
• エナラプリルマレイン酸塩
• イミダプリル塩酸塩
• アラセプリル
血管浮腫 報告された多くの症例に血管浮腫の副作用が知られたACE阻害剤が併用されている。これらの薬剤との併用により血管浮腫発現の可能性が高まることが否定できない。
牛乳
乳製品
カルシウムを多量に含有する食物
カルシウム製剤
同時に服用することにより吸収が抑制され、本剤の作用を減弱させる。 カルシウムイオンとの間に不溶性の複合体が形成されるため。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇等の肝機能異常 頻度不明
AST 頻度不明
BUNの上昇 頻度不明
そう痒 頻度不明
下痢 頻度不明
低蛋白血症 頻度不明
全身倦怠感 頻度不明
口渇 頻度不明
味覚異常 頻度不明
女性化乳房(71.2%) 5%以上
心悸亢進 頻度不明
性欲減退 頻度不明
息切れ 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
浮腫 5%以上
消化不良 5%以上
疲労 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球増多 頻度不明
白血球減少 頻度不明
胸痛 頻度不明
腹痛 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血清トリグリセライドの上昇 頻度不明
貧血 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振(23.2%) 5%以上
高血圧 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物は、卵胞ホルモン剤のエストラジオールとアルキル化剤のナイトロジェンマスタードを化学的に結合させた化合物である。 前立腺癌組織に特異的に存在するestramustine binding protein(EMBP)により癌組織に集積され、マイクロチューブルの重合を阻害することにより殺細胞作用を示す。

18.2 抗腫瘍作用

マウス移植果糖肉腫、アンドロゲン依存性乳癌(SC-115)9)及びラットDMBA誘発乳癌10)の増殖抑制効果、Ehrlich腹水癌及びSarcoma180移植マウス11)並びに腹水肝癌(AH66、AH41C)移植ラット12)の延命効果、更にはヌードマウス移植ヒト前立腺癌の病理組織学的変性が認められている13),14)。 また、ヒト前立腺癌の動物モデルとして最も類似の特性を示すラット自然発症前立腺癌(R-3327)に対しても明らかな増殖抑制、細胞変性を示す15)。

18.3 殺細胞作用

ヒト前立腺癌細胞(DU145、PC3)に対してノルナイトロジェンマスタードより低濃度からmitotic arrestにより殺細胞作用を示す16)。

18.4 抗前立腺作用

内因性及び外因性アンドロゲンに拮抗して、ラット前立腺重量の抑制、前立腺DNA、RNA含量の低下を示すほか、前立腺クエン酸水和物、果糖含量の低下、5α-reductase活性の低下が認められている17),18)。 更に、病理組織学的にも前立腺細胞の明らかな退行性所見が得られるなど、抗アンドロゲン作用にとどまらず細胞毒作用も認められる19)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

前立腺癌患者4例にエストラムスチンリン酸エステル420mg注1)を単回経口投与して主要代謝物の血漿中濃度を測定した。主代謝物であるエストロムスチン濃度は投与後2.2時間で最高値に達し、その後、13.6時間の半減期で消失した。なお、未変化体は検出されなかった1)(外国人データ)。

前立腺癌患者にエストラムスチンリン酸エステル420mgを単回経口投与した後の血漿中活性代謝物濃度推移(4例のうちの1例の患者)

  1. 16.1.2反復投与

前立腺癌患者7例にエストラムスチンリン酸エステル1日560mgを2年半にわたり投与し、4週間後、1年半後、2年半後の主要代謝物の血漿中濃度を測定したところ、各代謝物濃度の有意な変化はなかった1)(外国人データ)。

16.3 分布

エストラムスチンリン酸エステル560~840mg/日注1)を1~9年間経口投与されている前立腺癌患者6例で、エストラムスチンリン酸エステルの主要代謝物の前立腺癌組織中及び血漿中濃度を測定した。前立腺癌組織、血漿中ともにエストロムスチンの濃度が最も高かった。エストラムスチンの前立腺癌組織中濃度は血漿中より約6倍高く、組織へ良好に移行していることが示された2)(外国人データ)。

患者No. 濃度(ng/gm)
エストラムスチン エストロムスチン エストラジオール エストロン
1 105 300 14 125
2 210 480 11 100
3 370 395 36 160
4 95 310 19 120
5 180 205 6.6 63
6 185 335 8.4 63

16.4 代謝

エストラムスチンリン酸エステル経口投与後の前立腺癌患者の前立腺癌組織中及び血漿中代謝物はエストラムスチン、エストロムスチン、エストロン及びエストラジオールであった3),4)(外国人データ)。

16.5 排泄

前立腺癌患者3例にエストラジオール6,7位に3H、カルバメート結合部に14Cで二重標識したエストラムスチンリン酸エステル145mg注1)を経口投与し、尿中及び糞中の3H及び14Cの放射能を測定した。投与96時間後までに投与量の約60%が尿及び糞中に排泄された5)(外国人データ)。

注1)本剤の承認された1回用量は313.4mg(エストラムスチンリン酸エステルとして280mg)である。