Clinical snapshot

エザルミア錠100mg

バレメトスタットトシル酸塩錠

添付文書改訂 2024年06月01日

【警告】

本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫

  • **再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫

用法・用量

通常、成人にはバレメトスタットとして200mgを1日1回空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害のある患者

本剤は重度の肝機能障害を合併する患者注3)を対象とした臨床試験は実施していない。本剤の主たる消失経路は肝臓である。

注3)NCI-ODWG(National Cancer Institute-Organ Dysfunction Working Group)基準による分類

9.4 生殖能を有する者

  1. **9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  2. **9.4.2男性には、本剤投与中及び最終投与後2週間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。精液を介して胎児に悪影響を及ぼす可能性がある。

  3. 9.4.3生殖可能な男性に投与する場合には、造精機能の低下があらわれる可能性があることを考慮すること。動物実験(イヌ、ラット)において、精巣への影響が報告されている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)において、臨床曝露量の約0.05倍の曝露に相当する用量で胚・胎児毒性(着床後胚損失率の高値)及び催奇形性が報告されている1)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒトにおける乳汁中への移行に関するデータはないが、動物実験(ラット)において、乳汁中への移行が認められている2)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は主にCYP3Aによって代謝され、P-gpの基質である。また、P-gpの阻害作用を示す。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
強いCYP3A阻害作用及びP-gp阻害作用を有する薬剤
• イトラコナゾール
• クラリスロマイシン
• リトナビル等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 これらの薬剤がCYP3A及びP-gpを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
強いCYP3A阻害剤
• ポサコナゾール
• ボリコナゾール等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
P-gp阻害剤
• キニジン
• ベラパミル
• カルベジロール等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 これらの薬剤がP-gpを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
中程度のCYP3A阻害剤
• フルコナゾール
• エリスロマイシン
• ジルチアゼム等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
強い又は中程度のCYP3A誘導剤
• リファンピシン
• フェニトイン
• エファビレンツ等
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又はCYP3A誘導作用の弱い薬剤への代替を考慮すること。 これらの薬剤がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
P-gpの基質となる薬剤
• ダビガトランエテキシレート
• ジゴキシン
• フェキソフェナジン等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがある。 本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
下痢 頻度不明
味覚不全(31.6%) 頻度不明
咳嗽 頻度不明
悪心 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
脱毛症 頻度不明
食欲減退 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

バレメトスタットは、ヒストン等のメチル基転移酵素であるEZH1/2の酵素活性に対する阻害作用を有する低分子化合物である。バレメトスタットは、EZH1/2のメチル化活性を阻害することで、ヒストンH3の27番目のリジン残基等のメチル化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと推測されている24),25)。しかし、詳細な作用機序は解明されていない。

18.2 抗腫瘍作用

バレメトスタットは、in vitroにおいて、ヒト成人T細胞白血病リンパ腫由来TL-Om1細胞株に対して増殖抑制作用を示した26)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人に本剤50mg、100mg又は200mg(各投与量6例)を空腹時に単回経口投与したときのバレメトスタットの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった7)。

単回経口投与時のバレメトスタットの血漿中濃度推移(健康成人)

投与量
(例数)
Cmax
(ng/mL)
AUCinf
(ng・hr/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
CL/F
(L/hr)
Vz/F
(L)
50mg
(N=6)
386
(236)
1,900
(968)
3.50
(1.50, 5.00)
23.1
(10.1)
35.8
(25.4)
1,410
(1,760)
100mg
(N=6)
873
(486)
5,870
(3,220)
4.00
(2.50, 5.00)
20.8
(3.56)
45.7
(74.5)
1,110
(1,520)
200mg
(N=6)
1,500
(615)
10,800
(3,740)
4.50
(2.50, 5.00)
20.4
(2.23)
20.5
(7.41)
592
(172)

算術平均値(標準偏差)、Tmax:中央値(最小値, 最大値)

  1. 16.1.2反復投与

再発又は難治性成人T細胞白血病リンパ腫患者25例に本剤200mg注6)を空腹時に1日1回反復経口投与したときのバレメトスタットの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった8)。本剤200mgを空腹時に1日1回反復経口投与したときの投与15日目におけるバレメトスタットの累積係数は1.19であった。

反復経口投与時のバレメトスタットの血漿中濃度推移

投与(例数) Cmax(ng/mL) Tmax(hr) AUC0-24hr(ng・hr/mL)
1日目(N=25) 2,230(1,880) 2.00(0.92, 6.07) 18,100(17,500)注4)
15日目(N=22) 2,300(2,180) 3.79(0.50, 6.02) 20,800(20,600)注5)

算術平均値(標準偏差)、Tmax:中央値(最小値, 最大値)

注4)N=23

注5)N=21

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人15例に本剤200mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与におけるバレメトスタットのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.487及び0.703であった7)。また、健康成人28例に本剤200mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する低脂肪食後投与におけるバレメトスタットのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.375及び0.466であった9)。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

健康成人20例に本剤200mgを単回経口投与したとき、バレメトスタットのヒト血漿蛋白結合率は約94%~95%であった10)。バレメトスタットは主にヒトα1-酸性糖蛋白に結合した11)(in vitro)。

  1. 16.3.2血球移行率

ヒト血液/血漿濃度比は、低濃度(300ng/mL)で0.58、中濃度(1,500ng/mL)で0.61、高濃度(5,000ng/mL)で0.74であった12)(in vitro)。

16.4 代謝

バレメトスタットは主にCYP3Aによって代謝される13)(in vitro)。健康成人8例に14Cで標識されたバレメトスタット200mgを単回経口投与したとき、血漿中に主として未変化体及び代謝物CALZ-1809a(酸化体)が検出された14)。血漿中総放射能のAUCinfに対する未変化体の割合は54.6%であった15)。未変化体に対するCALZ-1809aのAUCinfの割合は83.0%であった15)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人8例に14Cで標識されたバレメトスタット200mgを単回経口投与したとき、投与360時間後までに排泄された総放射能は、尿及び糞中でそれぞれ投与量の15.6%及び79.8%であった15)。また、未変化体は尿中に10.0%、糞中に64.9%が排泄された16)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

肝機能正常者、軽度及び中等度の肝機能障害患者注7)(各8例)に本剤50mg注8)を単回経口投与したとき、肝機能正常者に対する軽度及び中等度の肝機能障害患者での非結合型バレメトスタットのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.701及び0.811、1.23及び1.15であった17)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1イトラコナゾール

健康成人16例にイトラコナゾール(強いCYP3A阻害作用及びP-gp阻害作用を有する薬剤)200mg(投与1日目は1日2回、以降1日1回14日間)を反復経口投与し、本剤25mg注8)を単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時のバレメトスタットのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ2.92及び4.19であった18)。

  1. 16.7.2フルコナゾール

健康成人13例にフルコナゾール(中程度のCYP3A阻害剤)200mg(投与1日目は400mgを1回、以降200mgを1日1回12日間)を反復経口投与し、本剤25mg注8)を単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するフルコナゾール併用投与時のバレメトスタットのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.61及び1.58であった18)。

  1. 16.7.3リファンピシン

健康成人20例にリファンピシン(強いCYP3A誘導剤)600mgを1日1回15日間反復経口投与し、本剤200mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するリファンピシン併用投与時のバレメトスタットのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.417及び0.286であった10)。

  1. 16.7.4生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション

  2. (1)本剤200mgの単独投与時に対する強いCYP3A阻害剤併用投与時のバレメトスタットのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ2.13及び2.67と予測された19)。

  3. (2)本剤200mgの単独投与時に対するP-gp阻害剤併用投与時のバレメトスタットのCmax及びAUC0-96hの幾何平均値の比は、最大でそれぞれ1.59及び2.58と予測された19)。

  4. (3)エファビレンツ(中程度のCYP3A誘導剤)600mgを1日1回12日間反復投与し、本剤200mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するエファビレンツ併用投与時のバレメトスタットのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.666及び0.575と予測された19)。

  5. 16.7.5ジゴキシン

再発又は難治性の非ホジキンリンパ腫患者16例に本剤200mgを1日1回反復投与し、ジゴキシン(P-gpの基質)0.25mgを単回経口投与したとき、ジゴキシン単独投与時に対する本剤併用投与時のジゴキシンのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.30及び1.27であった20)。

  1. 16.7.6その他**

  2. (1)再発又は難治性の非ホジキンリンパ腫患者15例に本剤200mgを1日1回反復投与し、ミダゾラム(CYP3Aの基質)2mgを単回経口投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対する本剤併用投与時のミダゾラムのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ0.966及び0.874であった20)。

  3. (2)バレメトスタットはMATE1及びMATE2-Kの基質であり、MATE1を阻害した(IC50値は0.548μmol/L)21),22)(in vitro)。

注6)投与量を減量した1名を含む。

注7)NCI-ODWG(National Cancer Institute-Organ Dysfunction Working Group)基準による分類

注8)本剤の承認された用法及び用量は「200mgを1日1回空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。」である。