2型糖尿病 ただし、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る。
【警告】
-
1.1重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されている。乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しないこと。
-
1.2腎機能障害又は肝機能障害のある患者、高齢者に投与する場合には、定期的に腎機能や肝機能を確認するなど慎重に投与すること。特に75歳以上の高齢者では、本剤投与の適否を慎重に判断すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤の成分又はビグアナイド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2次に示す患者[乳酸アシドーシスを起こしやすい。]
-
乳酸アシドーシスの既往のある患者
-
重度の腎機能障害(eGFR30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)
-
心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。]
-
脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
-
過度のアルコール摂取者[肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。]
-
2.3糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須である。]
-
2.4重度の肝機能障害のある患者[肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスを起こしやすい。また、肝機能障害が悪化するおそれがある。]
-
2.5重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。また、乳酸アシドーシスを起こしやすい。]
-
2.6栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者[低血糖を起こすおそれがある。]
-
2.7妊婦又は妊娠している可能性のある女性
効能・効果
用法・用量
通常、成人には1回1錠(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩として50mg/250mg又は50mg/500mg)を1日2回朝、夕に経口投与する。
使用上の注意
-
8.1本剤の使用にあたっては、患者及び家族に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。
-
8.2本剤の有効成分であるメトホルミンによりまれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがある。リスク因子としては、腎機能障害、肝機能障害、低酸素血症を伴いやすい状態、脱水(利尿作用を有する薬剤の併用を含む)、過度のアルコール摂取、感染症、高齢者等が知られている。特に、脱水、過度のアルコール摂取等により患者の状態が急変することもあるので、以下の点に注意すること。
-
8.2.1本剤の投与開始前及びその後も投与中は定期的に、腎機能(eGFR等)及び肝機能を確認するとともに、患者の状態に十分注意して投与の適否及び投与量の調節を検討すること。なお、高齢者等、特に慎重な経過観察が必要な場合には、より頻回に確認すること。
-
8.2.2脱水症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)との併用時には、特に脱水に注意すること。
-
8.2.3本剤の投与開始時及びその後も投与中は適切に、以下の内容を患者及びその家族に十分指導すること。
-
過度のアルコール摂取を避けること。
-
発熱、下痢、嘔吐、食事摂取不良等の体調不良(シックデイ)の時は、脱水状態が懸念されるため、いったん服用を中止し、医師に相談すること。
-
乳酸アシドーシスの症状(胃腸障害、けん怠感、筋肉痛、過呼吸等)があらわれた場合には、直ちに受診すること。
-
8.2.4ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては、本剤の有効成分であるメトホルミンの併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、検査前は本剤の投与を一時的に中止すること(ただし、緊急に検査を行う必要がある場合を除く)。ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しないこと。なお、投与再開時には、患者の状態に注意すること。
-
8.3肝機能障害(肝炎を含む)があらわれることがあるので、本剤投与開始前、投与開始後1年間は少なくとも3ヵ月毎に、その後も定期的に肝機能検査を行うこと。
-
8.4本剤の有効成分であるビルダグリプチンにより急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。
-
8.5本剤投与中は、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること。
-
8.6低血糖及び低血糖症状を起こすおそれがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。
-
8.7本剤と他の糖尿病用薬の併用における安全性は検討されていない。
-
8.8本剤の有効成分であるビルダグリプチンとGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
-
8.9本剤の有効成分であるメトホルミンとイメグリミンは作用機序の一部が共通している可能性があること、また、イメグリミンの国内臨床試験1) において、ビグアナイド系薬剤と併用した場合、他の糖尿病用薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたとの報告があることから、併用薬剤の選択の際には留意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1低血糖をおこすおそれのある以下の患者又は状態
-
不規則な食事摂取、食事摂取量の不足
-
激しい筋肉運動
- 9.1.2*腹部手術の既往又はイレウスの既往のある患者
*腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。
- 9.1.3感染症の患者
乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
腎臓における排泄が減少しメトホルミンの血中濃度が上昇するため、乳酸アシドーシス等の発現リスクが高くなる可能性がある。また、ビルダグリプチンの血中濃度が上昇する。
- 9.2.1重度の腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73m2未満)又は透析患者(腹膜透析を含む)
投与しないこと。
- 9.2.2中等度の腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)
本剤を使用せず、各単剤の併用を検討すること。
- 9.2.3軽度の腎機能障害のある患者
9.3 肝機能障害患者
肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性がある。
- 9.3.1重度の肝機能障害のある患者
投与しないこと。
- 9.3.2軽度~中等度の肝機能障害のある患者
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)でビルダグリプチン及びメトホルミンの胎児への移行が認められている。また、動物実験(ラット)でメトホルミンの催奇形作用が報告されている2) 。また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で、ビルダグリプチン及びメトホルミンが乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
乳酸アシドーシスを起こしやすいので、以下の点に注意すること。高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。
-
本剤の投与開始前、投与中は定期的に、特に慎重な経過観察が必要な場合にはより頻回に腎機能や肝機能を確認するなど十分に観察しながら慎重に投与すること。メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄される。また、肝機能の低下により乳酸の代謝能が低下する。
-
腎機能や脱水症状等患者の状態に十分注意して投与の中止や減量を検討すること。特に75歳以上の高齢者では、乳酸アシドーシスが多く報告されており、予後も不良であることが多いため、本剤投与の適否をより慎重に判断すること。
-
血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、年齢によっては実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFR等も考慮して、慎重に患者の状態を観察すること。
相互作用
- ビルダグリプチンは主に代謝により消失し、未変化体の尿中排泄率は23%であった。また、メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄される。
10.1 併用禁忌(併用しないこと)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • アルコール(過度の摂取) | 乳酸アシドーシスを起こすことがある。本剤投与中は過度のアルコール摂取(飲酒)を避けること。 | 肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。 |
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • ヨード造影剤 | 併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。 ヨード造影剤を用いて検査を行う場合には、本剤の投与を一時的に中止すること。 |
腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。 |
| • 腎毒性の強い抗生物質• ゲンタマイシン等 | 併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に減量・中止するなど適切な処置を行うこと。 | 腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。 |
| • 利尿作用を有する薬剤• 利尿剤 • SGLT2阻害剤等 |
脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがある。脱水症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。 | 利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある。 |
| • 血糖降下作用を増強する薬剤• 糖尿病用剤• スルホニルアミド系及びスルホニルウレア系薬剤 • ビグアナイド系薬剤 • インスリン製剤 • チアゾリジン系薬剤 • α-グルコシダーゼ阻害剤 • SGLT2阻害剤 • 速効型インスリン分泌促進剤 • GLP-1受容体作動薬 • イメグリミン等 • β-遮断剤 • サリチル酸剤 • MAO阻害剤 • フィブラート系薬剤等 |
低血糖症状が起こるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。 | 血糖降下作用の増強による。 |
| • たん白同化ホルモン剤 | 低血糖症状が起こるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。 | 機序は不明である。 |
| • イメグリミン | 消化器症状の発現に注意すること。 | 特に併用初期に多く発現する傾向が認められている。 |
| • 血糖降下作用を減弱する薬剤• アドレナリン • 副腎皮質ホルモン • 甲状腺ホルモン • 卵胞ホルモン • 利尿剤 • ニコチン酸 • フェノチアジン系薬剤等 |
血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 | 血糖降下作用の減弱による。 |
| • ピラジナミド | 血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 | 機序は不明である。 |
| • イソニアジド | 血糖値が上昇してコントロール不良になるおそれがある。血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。 | イソニアジドによる炭水化物代謝阻害が考えられている。 |
| • OCT2、MATE1、又はMATE2-Kを阻害する薬剤• シメチジン • ドルテグラビル • ビクテグラビル • バンデタニブ • イサブコナゾニウム • ピミテスピブ等 |
メトホルミンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。観察を十分に行い、必要に応じて本剤を減量するなど慎重に投与すること。 | OCT2、MATE1、又はMATE2-Kを介したメトホルミンの腎排泄が阻害されると考えられている。 |
| • アンジオテンシン変換酵素阻害剤 | ビルダグリプチンとアンジオテンシン変換酵素阻害剤を併用している患者では、併用していない患者に比べて血管性浮腫の発現頻度が高かったとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ― | 1〜5%未満 |
| ― | 1%未満 |
| ― | 1〜5%未満 |
| ― | 1〜5%未満 |
| ― | 1〜5%未満 |
| ― | 1〜5%未満 |
| ― | 1〜5%未満 |
| ― | 頻度不明 |
| ― | 1〜5%未満 |
| ― | 1%未満 |
| ― | 1〜5%未満 |
| ALP増加 | 1%未満 |
| ALT増加 | 1%未満 |
| AST増加 | 1%未満 |
| BUN増加 | 頻度不明 |
| CK-MB増加 | 1%未満 |
| CK増加 | 1%未満 |
| CRP増加 | 1%未満 |
| γ-GTP増加 | 頻度不明 |
| アミラーゼ増加 | 1〜5%未満 |
| カリウム増加 | 頻度不明 |
| クレアチニン増加 | 頻度不明 |
| ケトーシス | 頻度不明 |
| けん怠感注1) | 頻度不明 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| ビタミンB12減少注2) | 頻度不明 |
| めまい・ふらつき | 1〜5%未満 |
| リパーゼ増加 | 1%未満 |
| 下痢 | 1〜5%未満 |
| 乳酸増加 | 1%未満 |
| 体重増加 | 1%未満 |
| 便秘 | 1〜5%未満 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 味覚異常 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 多汗症 | 1%未満 |
| 好酸球数増加 | 頻度不明 |
| 尿酸増加 | 1%未満 |
| 悪寒 | 1%未満 |
| 悪心 | 1〜5%未満 |
| 振戦 | 1%未満 |
| 放屁増加 | 1%未満 |
| 水疱 | 頻度不明 |
| 浮腫 | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 湿疹 | 頻度不明 |
| 無力症 | 1%未満 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 白血球数増加 | 1%未満 |
| 白血球数減少 | 頻度不明 |
| 皮膚剥脱 | 頻度不明 |
| 皮膚血管炎 | 頻度不明 |
| 眠気 | 頻度不明 |
| 空腹 | 1〜5%未満 |
| 筋肉痛注1) | 頻度不明 |
| 胃炎 | 1%未満 |
| 胃腸障害 | 頻度不明 |
| 胃食道逆流性疾患 | 1%未満 |
| 胆嚢炎 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 腹部不快感 | 1%未満 |
| 腹部膨満 | 1%未満 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 血小板数減少 | 頻度不明 |
| 貧血 | 1%未満 |
| 関節痛 | 1%未満 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 頭重 | 頻度不明 |
| 食欲減退 | 頻度不明 |
| 高血圧 | 1%未満 |
| 鼓腸 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
本剤は、ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の配合剤である。
- 〈ビルダグリプチン〉
DPP-4を選択的かつ可逆的に阻害し、内因性GLP-1の濃度を高めることで、血糖依存性にインスリン分泌を促進させるとともにグルカゴン分泌を抑制し、血糖降下作用を発揮する34),35),36),37) 。
- 〈メトホルミン塩酸塩〉
主として肝臓における糖新生を抑制し、膵β細胞のインスリン分泌を介することなく血糖降下作用を発揮する。また、末梢での糖取り込み促進、腸管からの糖吸収抑制等の作用も知られている38) 。
18.2 DPP-4阻害作用
ビルダグリプチンはヒト血漿DPP-4を濃度依存的に阻害し、IC50値は2.7nMであった39) 。また、ビルダグリプチンは、ヒトDPP-4(組換え体)に対して高い親和性を示し、Ki値は2~3nMであった34),35) 。
18.3 血漿GLP-1に対する作用
2型糖尿病患者にビルダグリプチン50mgを1日2回7日間反復経口投与すると、血漿GLP-1濃度が上昇した40) 。
18.4 インスリン抵抗性に対する作用
2型糖尿病患者にビルダグリプチン50mgを1日2回41日間反復経口投与し、インスリンクランプ試験を実施したところ、インスリン抵抗性を表す指標が改善した41) (外国人のデータ)。
18.5 血糖降下作用及び耐糖能改善作用
-
18.5.1前糖尿病期及び2型糖尿病のカニクイザルにビルダグリプチンを1日1回10週間反復経口投与すると、HbA1cが、投与前値に比較してそれぞれ0.6%及び1.2%低下した42) 。
-
18.5.22型糖尿病患者にビルダグリプチン50mgを1日2回7日間反復経口投与すると、食後血糖及び空腹時血糖が低下した40) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
健康成人男子を対象としたビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩50mg/250mg配合錠と単剤併用の生物学的同等性試験(49例)、並びにビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩50mg/500mg配合錠と単剤併用の生物学的同等性試験(48例)のデータを以下に示す。本剤及び単剤併用をクロスオーバー法により空腹時に単回経口投与したとき、ビルダグリプチン及びメトホルミンの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは図表のとおりであり、生物学的同等性が認められた3) 。
50mg/250mg●:本剤50/250mg、○:ビルダグリプチン+メトホルミン塩酸塩(50mg及び250mg)の併用、n=49、平均値±標準偏差50mg/500mg●:本剤50/500mg、○:ビルダグリプチン+メトホルミン塩酸塩(50mg及び500mg)の併用、n=48、平均値±標準偏差
| ビルダグリプチン | メトホルミン | |||
|---|---|---|---|---|
| 本剤 | 単剤併用 | 本剤 | 単剤併用 | |
| 50mg/250mg(n=49) | ||||
| Cmax(ng/mL) | 263±63.9 | 272±69.9 | 831±187 | 831±180 |
| AUClast(ng・h/mL) | 1,180±203 | 1,190±194 | 5,370±936 | 5,370±797 |
| Tmax※(h) | 2.50 (0.750~5.00) |
2.50 (0.50~5.00) |
2.50 (0.500~5.00) |
2.50 (1.00~5.00) |
| T1/2(h) | 1.76±0.269 | 1.71±0.185 | 3.58±0.696 | 3.53±0.612 |
| 50mg/500mg(n=48) | ||||
| Cmax(ng/mL) | 256±68.5 | 263±68.2 | 1,450±383 | 1,470±385 |
| AUClast(ng・h/mL) | 1,180±224 | 1,190±212 | 9,370±2,020 | 9,380±1,980 |
| Tmax※(h) | 3.00 (1.00~5.02) |
3.00 (1.50~5.00) |
3.00 (0.750~5.02) |
3.00 (1.00~5.00) |
| T1/2(h) | 1.89±0.317 | 1.88±0.207 | 3.96±0.777 | 4.09±0.781 |
平均値±標準偏差、※:中央値(範囲)
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人男子(24例)にビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩50mg/500mg配合錠を空腹時及び食後に単回経口投与したとき、Cmax及びAUC0-24hの幾何平均値の比(食後投与/空腹時投与)とその90%信頼区間は、ビルダグリプチンで1.05[0.95, 1.17]及び1.08[1.02, 1.15]、メトホルミンで0.74[0.68, 0.80]及び0.90[0.83, 0.98]であった3) 。
16.3 分布
ビルダグリプチンのin vitro血漿蛋白結合率は9.3%であった4) 。メトホルミンは血漿蛋白に結合しないとの報告がある5) 。
16.4 代謝
-
16.4.1ビルダグリプチン
-
(1)ビルダグリプチンはCYP2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2E1、2J2、3A4では代謝されなかった。また、CYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4/5を阻害せず、CYP1A2、2C8、2B6、2C9、2C19、3Aを誘導しなかった6),7),8) (in vitro)。
-
(2)健康成人男子(4例)に14C標識したビルダグリプチン100mgを単回経口投与したとき、血漿中には主として未変化体(血漿中全活性の25.7%)及びシアノ基が加水分解された不活性代謝物(M20.7、55.5%)が存在し、その他グルクロン酸抱合体(9.5%)及びアミド結合の加水分解代謝物(8.1%)が認められた。尿及び糞中の主な代謝物は、M20.7(56.5%)であり、その他にグルクロン酸抱合体(4.4%)、アミド結合の加水分解代謝物(3.7%)が認められた。グルクロン酸抱合体はビルダグリプチンと同等のジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害活性を示すが、M20.7の阻害活性は極めて弱く、アミド結合加水分解代謝物は阻害活性を示さなかった9) (外国人のデータ)。(ビルダグリプチンの承認された用法及び用量は50mgを1日2回又は1回である。)
16.5 排泄
-
16.5.1ビルダグリプチン
-
(1)健康成人男子(6例)にビルダグリプチン50mgを単回経口投与した場合、投与後36時間までに未変化体として22.7%が尿中に排泄され、腎クリアランスは9.83L/h(164mL/min)であった。ビルダグリプチンの尿中への排泄は、能動的な尿細管分泌の関与が示唆される10) 。
-
(2)健康成人男子(4例)に14C標識したビルダグリプチン100mgを単回経口投与したとき、168時間以内に投与した放射能の85%が尿中に、15%が糞中に排泄された。尿及び糞中に排泄された未変化体の割合はそれぞれ投与量の23%及び5%であった9) (外国人のデータ)。 (ビルダグリプチンの承認された用法及び用量は50mgを1日2回又は1回である。)
-
(3)ビルダグリプチンは基底膜側の有機アニオントランスポーター、有機カチオントランスポーター、ペプチドトランスポーター等によって輸送されない。また、P糖蛋白の輸送基質であることが示されている(みかけのKm値が0.5mM以上)11),12),13),14) (in vitro)。
-
16.5.2メトホルミン
メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄される。健康成人(3例)にメトホルミン塩酸塩500mgを単回経口投与したとき、投与48時間後までの尿中排泄率は投与量の51.6%であった15) (外国人のデータ)。 ヒトのトランスポーター発現細胞を用いた検討の結果、メトホルミンは主にOCT2を介して尿中に排泄されると考えられた16) 。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
軽度から重度の腎機能障害患者(24例)にビルダグリプチン100mgを単回経口投与したとき、ビルダグリプチンのAUC0-tは健康被験者に比べて軽度、中等度、重度の腎機能障害患者及び血液透析が必要な患者でそれぞれ2.01倍、1.31倍、2.33倍、1.42倍高く、Cmaxはそれぞれ1.66倍、1.08倍、1.56倍、1.24倍高かった。M20.7のAUC0-24hは、軽度、中等度、重度の腎機能障害患者及び血液透析が必要な患者で健康被験者よりそれぞれ1.7倍、2.6倍、6.1倍、6.7倍高く、Cmaxはそれぞれ1.6倍、2.4倍、5.4倍、8.1倍高かった。透析によってビルダグリプチンは投与量の約3%が除去された。M20.7は透析によって血漿中濃度が透析前の50%以下に低下した17) 。 軽度から重度の腎機能障害患者(48例)にビルダグリプチン50mgを1日1回14日間経口投与したとき、ビルダグリプチンのAUC0-24hは健康被験者に比べて軽度、中等度、及び重度の腎機能障害患者でそれぞれ1.40倍、1.71倍、2.00倍高く、Cmaxはそれぞれ1.37倍、1.32倍、1.36倍高かった。M20.7のAUC0-24hは、軽度、中等度、及び重度の腎機能障害患者で健康被験者よりそれぞれ1.66倍、3.20倍、7.30倍高く、Cmaxはそれぞれ1.57倍、2.56倍、5.55倍高かった。グルクロン酸抱合体のAUC0-24hは、軽度、中等度、及び重度の腎機能障害患者で健康被験者よりそれぞれ1.35倍、2.69倍、7.25倍高く、Cmaxはそれぞれ1.13倍、1.60倍、3.00倍高かった18) (外国人のデータ)。(ビルダグリプチンの承認された用法及び用量は50mgを1日2回又は1回である。)
| 投与群 (腎機能障害の程度) |
Cmax (ng/mL) |
Tmax (h) |
AUC0-t (ng・h/mL) |
T1/2 (h) |
CLR (L/h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 健康被験者 n=24 |
477±114 | ※1.00(0.50、2.00) | 1,872±461 | 3.95±1.82 | 12.36±3.36 |
| 軽度 n=6 |
792±229 | ※1.50(1.50、2.00) | 3,764±967 | 2.83±0.76 | 6.06±2.71 |
| 中等度 n=6 |
514±279 | ※1.25(0.50、2.00) | 2,451±1,343 | 3.89±1.64 | 5.98±4.21 |
| 重度 n=6 |
745±235 | ※1.00(0.50、4.00) | 4,363±2,069 | 3.55±0.35 | 1.44±0.75 |
| 血液透析の必要な患者 n=6 |
591±166 | ※1.50(1.50、3.00) | 2,656±532 | 8.05±6.26 | ― |
平均値±標準偏差、※:中央値(最小値、最大値) 軽度:CLcrが50~80mL/min、中等度:CLcrが30~50mL/min、重度:CLcrが30mL/min未満
- 16.6.2肝機能障害患者
軽度から重度の肝機能障害患者(16例)にビルダグリプチン100mgを単回経口投与したとき、軽度及び中等度の肝機能障害患者におけるビルダグリプチンのAUC0-tは、それぞれ20%及び8%低下したが、重度の肝機能障害患者では22%上昇した。軽度、中等度の肝機能障害患者のCmaxは健康被験者と比べて約25%低かったが、重度の肝機能障害患者では健康被験者と同程度であった。軽度、中等度、重度の肝機能障害患者のM20.7のAUC0-tは、健康被験者と比べてそれぞれ27%、49%、92%高く、同様にCmaxはそれぞれ23%、46%、65%高かった19) (外国人のデータ)。(ビルダグリプチンの承認された用法及び用量は50mgを1日2回又は1回である。)
| 投与群 (肝機能障害の程度) |
Cmax (ng/mL) |
Tmax (h) |
AUC0-t (ng・h/mL) |
T1/2 (h) |
|---|---|---|---|---|
| 健康被験者 n=6 |
675±263 | ※1.25(1.00、3.00) | 2,567±428 | 2.01±0.50 |
| 軽度 n=6 |
497±229 | ※1.25(1.00、2.00) | 2,076±514 | 4.92±4.86 |
| 中等度 n=6 |
512±166 | ※1.00(0.50、3.00) | 2,411±740 | 3.08±1.59 |
| 重度 n=4 |
632±247 | ※2.04(1.00、4.00) | 3,322±1,472 | 2.40±0.25 |
平均値±標準偏差、※:中央値(最小値、最大値) 軽度:Child-Pughスコア5~6、中等度:Child-Pughスコア7~9、重度:Child-Pughスコア10~12
- 16.6.3高齢者
70歳以上の高齢者(20例)にビルダグリプチン100mgを単回経口投与したときのAUC及びCmaxは、非高齢者(18~40歳)に比較してそれぞれ1.32倍及び1.18倍高かった20) (外国人のデータ)。(ビルダグリプチンの承認された用法及び用量は50mgを1日2回又は1回である。)
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1ビルダグリプチンとその他の薬剤
2型糖尿病患者を対象にメトホルミン塩酸塩、グリブリド、及びピオグリタゾン、また、健康成人を対象にアムロジピン、バルサルタン、シンバスタチン、ラミプリル、ワルファリン、ジゴキシンとの薬物間相互作用を検討した結果、ビルダグリプチン及び併用薬の薬物動態は変化しなかった21),22),23),24),25),26) (外国人のデータ)。 日本人2型糖尿病患者(24例)を対象にビルダグリプチン50mgを1日2回及びボグリボース0.2mgを1日3回3日間併用投与したとき、投与3日目のビルダグリプチンのCmax及びAUC0-12hは単独投与時と比べそれぞれ34%及び23%低下したが、DPP-4阻害への影響は認められなかった27) 。
- 16.7.2メトホルミンとその他の薬剤
- シメチジン
健康成人(7例)に対しメトホルミン塩酸塩とシメチジンを併用した場合、シメチジンの薬物動態には影響がみられなかったものの、メトホルミンのAUCが約50%増加した28) (外国人のデータ)。
- ドルテグラビル
健康成人(30例)に対しメトホルミン塩酸塩とドルテグラビル50mg/日又は100mg/日を併用して反復投与した場合、メトホルミンのCmaxがそれぞれ66%及び111%上昇し、AUCがそれぞれ79%及び145%増加した29) (外国人のデータ)。
- バンデタニブ
健康成人(14例)に対しメトホルミン塩酸塩とバンデタニブを併用して単回投与した場合、メトホルミンのCmax及びAUC0-∞がそれぞれ50%及び74%増加し、腎クリアランスが52%減少した30) (外国人のデータ)。