Clinical snapshot

エクテリー錠300mg

セベトラルスタット

添付文書改訂 2026年03月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2重度の肝機能障害(Child-Pugh分類 C)の患者

効能・効果

遺伝性血管性浮腫の急性発作

用法・用量

通常、成人及び12歳以上の小児にはセベトラルスタットとして1回300mgを経口投与する。効果が不十分な場合又は症状が再発した場合は、2時間以上の間隔をおいて1回300mgを追加投与することができる。ただし、24時間あたりの投与回数は2回までとする。

使用上の注意

  1. 8.1遺伝性血管性浮腫発作が喉頭に発現した場合、本剤の投与を行った後、直ちに医療機関を受診するよう患者又はその保護者に指導すること1) 。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類 C)

投与しないこと。重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。 本剤は主に肝代謝によって消失するため、重度の肝機能障害は血中濃度を上昇させる可能性がある。

  1. 9.3.2中等度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類 B)

本剤の血中濃度が上昇する可能性があり、強力なCYP3A4阻害剤を併用した場合、QT延長が生じるリスクがある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、投与後24時間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 本剤600mg/kg/日(臨床最大用量のCmax又はAUCに比してそれぞれ26倍又は105倍)を妊娠ラットに投与したとき、胚・胎児の喪失と奇形(口蓋裂、不完全心室中隔等)が認められたが、300mg/kg/日(臨床最大用量のCmax又はAUCに比しそれぞれ7.7倍又は26倍)では胎児への発育の影響は認められなかった2) 。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。 動物試験(ラット)で本薬及びその代謝物の乳汁中への移行が認められている3) 。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児、乳児、幼児、12歳未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は主としてCYP3A4で代謝される。 また本剤はP-糖蛋白質(P-gp)及び乳癌耐性タンパク質(BCRP)の基質である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
強いCYP3A4阻害剤
(イトラコナゾール等)
本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。中等度の肝機能障害患者が強力なCYP3A4阻害剤を併用している場合、本剤の血中濃度が上昇しQT延長が生じるリスクがあることから、これらの薬剤との併用は避け、CYP3A4阻害作用のない又は中程度以下の他の薬剤への変更を考慮すること。 CYP3A4による本剤の代謝が阻害されることにより、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
中程度のCYP3A4阻害剤
(ベラパミル等)
本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。 CYP3A4による本剤の代謝が阻害されることにより、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
強い又は中程度のCYP3A4誘導剤
(フェニトイン、エファビレンツ等)
本剤の効果が減弱する可能性があるので、これらの薬剤は誘導作用のない又は弱い他の類薬に変更する等を考慮すること。 CYP3A4による本剤の代謝が促進されることにより、本剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
弱いCYP3A4誘導剤
(モダフィニル等)
本剤の血中濃度が低下したとの報告がある。 CYP3A4による本剤の代謝が促進されることにより、本剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
P-gp阻害剤
(キニジン等)
本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。 本剤はP-gpの基質であり、P-gp阻害作用により本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
BCRP阻害剤
(エルトロンボパグオラミン等)
本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。 本剤はBCRPの基質であり、BCRP阻害作用により本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
消化不良 頻度不明
疲労 頻度不明
頭痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

血漿カリクレイン(PKa)は、遺伝性血管性浮腫(HAE)において浮腫を引き起こすブラジキニンを遊離する高分子キニノーゲンを切断するセリンプロテアーゼである。本剤は、経口投与可能なPKa阻害剤であり、経口投与後、速やかに吸収され、PKa活性を低下させ、過剰なブラジキニン産生を抑制する。また、本剤は、PKaの阻害を介し、活性型血液凝固第XII因子及び追加のPKaを産生するカリクレイン系のフィードバック機構を阻害する16) 。

18.2 血漿カリクレイン阻害作用

ヒト血漿より精製したカリクレインに対するセベトラルスタットの結合能(Ki)は3.02nmol/Lであった17) (in vitro)。 HAE患者に本剤を投与した結果、投与後15分で速やかな血漿カリクレインの95%以上の抑制が認められた18) 。

18.3 高分子キニノーゲンからのブラジキニン遊離抑制作用

セベトラルスタットはヒト血漿中の血漿カリクレインによる高分子キニノーゲン切断を用量依存的に阻害することにより、ブラジキニン遊離抑制作用を示す17) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回経口投与時の血漿中濃度

日本人健康成人に本剤300、600、1,200mgを投与した時の薬物動態パラメータは以下の通りであった5) 。

投与量
(mg)
Cmax
(ng/mL)
Tmax(h) AUC0-t
(h・ng/mL)
T1/2(h)
300
[n=6]
2,830
(90.4)
1.26
(0.55, 1.75)
7,460
(51.2)
3.75±1.75
600注1)
[n=6]
6,180
(51.8)
0.99
(0.50, 1.50)
16,400
(66.8)
6.07±3.32
1,200注1)
[n=6]
7,740
(112)
0.75
(0.50, 4.00)
23,500
(62.8)
6.67±4.12
[n=4]

注:AUC、Cmax:平均値、Tmax:中央値(最小値, 最大値)、T1/2:平均±SD

注1)承認用法・用量は1回300mg(一日最大600mg)である。

図:本剤300mgの血漿中濃度の経時変化(日本人健康成人)

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

高脂肪食後にセベトラルスタット600mg注2) 注)を投与した場合、AUCに差は認められなかった。Cmaxは約17%低下し、Tmaxの中央値は約1.75時間遅延した7) (外国人データ)。

注2)承認用法・用量は1回300mg(一日最大600mg)である。

16.3 分布

ヒト血漿タンパク質結合率は約77%であった8) 。 [14C]標識セベトラルスタット600mg注3) を投与したところ、放射能の血液対血漿比は約0.65であった9) 。300mg投与後における見かけの分布容積(Vz/F)の幾何平均値は208Lであった5) (外国人データ)。

注3)承認用法・用量は1回300mg(一日最大600mg)である。

16.4 代謝

本剤は主にCYP3A4により代謝される。 [14C]標識セベトラルスタット600mg注4) を投与したところ、総血漿中放射能のAUC0-24に占めるセベトラルスタットの割合は64.1%であり、その他の代謝物が占める割合は0.39%~7.1%であった10) 。セベトラルスタットは主に肝代謝される9) 。

注4)承認用法・用量は1回300mg(一日最大600mg)である。

16.5 排泄

[14C]標識セベトラルスタット600mg注5) を投与したところ、放射能の約32%が尿中に、63%が糞便中へ排出された。また、未変化体セベトラルスタットとして投与量の約8.7%が尿中に、12.5%が糞便中に回収された。セベトラルスタットは主に糞中に排泄される9) (外国人データ)。

注5)承認用法・用量は1回300mg(一日最大600mg)である。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者における薬物動態

本剤600mg注6) を投与した結果、肝機能が正常な成人と比較して軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスA)患者ではCmaxが7%、AUCが16%増加し、中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスB)患者では、Cmaxが63%、AUCが100%増加した11) 。

注6)承認用法・用量は1回300mg(一日最大600mg)である。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1イトラコナゾール

強力なCYP3A4阻害剤であるイトラコナゾールとの併用により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ135%、420%増加した12) (外国人データ)。

  1. 16.7.2ベラパミル

中程度のCYP3A4阻害剤であるベラパミルとの併用により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ76%、102%増加した12) (外国人データ)。

  1. 16.7.3シメチジン

弱いCYP3A4阻害剤であるシメチジンとの併用投与では、本剤のCmax及びAUCの増加は認められなかった12) (外国人データ)。

  1. 16.7.4フェニトイン

強力なCYP3A4誘導剤であるフェニトインとの併用投与により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ66%、83%低下した12) (外国人データ)。

  1. 16.7.5エファビレンツ

中等度のCYP3A4誘導剤であるエファビレンツとの併用により、本剤の血漿中Cmax及びAUCはそれぞれ63%、79%低下した12) (外国人データ)。

  1. 16.7.6モダフィニル

弱いCYP3A4誘導剤であるモダフィニルとの併用により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ11%、21%低下した12) (外国人データ)。

  1. 16.7.7キニジン

P-gp阻害剤であるキニジンとの併用により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ18%、14%増加した12) (外国人データ)。

  1. 16.7.8エルトロンボパグ

BCRP阻害剤であるエルトロンボパグとの併用投与により、本剤のCmaxは12%増加したが、AUCに変化は認められなかった12) (外国人データ)。

  1. 16.7.9in vitro試験

本剤が他の医薬品に及ぼす影響を評価する臨床薬物相互作用試験は実施されていない。本剤は発作時に服用し、吸収及び排泄が速いため、CYP及びトランスポーターを介した薬物相互作用の誘発因子となる可能性は低い。in vitro試験においては、CYP2C9及びCYP3A4並びにトランスポーターであるOATP1B3、OAT3、OCT2、MATE1、MATE2-K、BCRP及びBSEPを阻害する可能性が示唆された13) 。

16.8 その他

  1. 16.8.1薬力学(血漿カリクレインの用量依存的阻害)

遺伝性血管性浮腫(HAE)患者に本剤を投与したところ、血漿カリクレインは速やかに用量依存的な阻害を示し、15分後から速やかな血漿カリクレインのほぼ完全な抑制が認められた5) 。

図:日本人健康成人における本剤300mg投与後の血漿中濃度と血漿カリクレイン酵素活性の経時的変化