Clinical snapshot

ウテメリン注50mg

日本薬局方リトドリン塩酸塩注射液

添付文書改訂 2022年01月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1強度の子宮出血、子癇、前期破水例のうち子宮内感染を合併する症例、常位胎盤早期剥離、子宮内胎児死亡、その他妊娠の継続が危険と判断される患者[妊娠継続が危険と判断される。]

  2. 2.2重篤な甲状腺機能亢進症の患者[症状が増悪するおそれがある。]

  3. 2.3重篤な高血圧症の患者[過度の昇圧が起こるおそれがある。]

  4. 2.4重篤な心疾患の患者[心拍数増加等により症状が増悪するおそれがある。]

  5. 2.5重篤な糖尿病の患者[過度の血糖上昇が起こるおそれがある。また、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることもある。]

  6. 2.6重篤な肺高血圧症の患者[肺水腫が起こるおそれがある。]

  7. 2.7妊娠16週未満の妊婦

  8. 2.8本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

緊急に治療を必要とする切迫流・早産

用法・用量

通常、1アンプル(5mL)を5%ブドウ糖注射液または10%マルトース注射液500mLに希釈し、リトドリン塩酸塩として毎分50μgから点滴静注を開始し、子宮収縮抑制状況および母体心拍数などを観察しながら適宜増減する。子宮収縮の抑制後は症状を観察しながら漸次減量し、毎分50μg以下の速度を維持して収縮の再発が見られないことが確認された場合には投与を中止すること。 通常、有効用量は毎分50~150μgである。なお、注入薬量は毎分200μgを越えないようにすること。

使用上の注意

  1. 8.1肺水腫は心疾患、妊娠高血圧症候群の合併、多胎妊娠、副腎皮質ホルモン剤併用時等に発生しやすいとの報告があるので、これらの患者には、水分の過負荷を避け、十分な観察を行うこと。水分の過負荷を避けるには、薬剤濃度を上げて注入液量を減らすことが効果的である。シリンジポンプを使用することにより、薬剤濃度を3mg/mL(全50mL中リトドリン塩酸塩150mg)まで上げることができる。この場合、注入速度1mL/hrで毎分50μgの初期注入薬量が得られ、水分の負荷は通常用法(液量500mL中リトドリン塩酸塩50mg)の1/30となる。

  2. 8.2本剤投与直後に帝王切開術を行うと、循環動態の大きな変動により心不全があらわれることがある。休薬期間をおくことが望ましいが、やむを得ず投与直後に帝王切開術を行う場合には、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

  3. 8.3本剤継続投与によって、白血球減少又は無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うとともに観察を十分に行い、発熱、咽頭痛等の異常があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、白血球減少及び無顆粒球症はほとんどが2-3週間以上の継続投与例において発現しているので、特に注意すること。

  4. 8.4本剤投与中、血糖値の急激な上昇や糖尿病の悪化から、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることがある。投与前から口渇、多飲、多尿、頻尿等の糖尿病症状の有無や血糖値、尿糖、尿ケトン体等の観察を十分に行うこと。

  5. 8.5子宮収縮の状態及び母体心拍数・血圧、胎児心拍数を含む心血管系への作用の監視を行いながら投与し、投与中に過度の心拍数増加(頻脈)、血圧低下があらわれた場合には、注入速度を遅らせ、減量するなど適切な処置を行うこと。

  6. 8.6*本剤を投与した母体から出生した早産児において、低血糖のリスクが高いことが報告されている1)ので、症状の有無にかかわらず新生児の血糖値のモニタリングを適切に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

  7. 8.7*本剤と硫酸マグネシウム水和物(注射剤)を併用した母体から出生した早産児において、高カリウム血症のリスクが高いことが報告されている1)ので、これらを併用した場合には、症状の有無にかかわらず新生児の心電図又は血清カリウム値のモニタリングを適切に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

  8. 8.8注入薬量毎分200μgを越えて投与する場合、副作用発現の可能性が増大するので注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1甲状腺機能亢進症の患者(重篤な甲状腺機能亢進症の患者を除く)

症状が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.2高血圧症の患者(重篤な高血圧症の患者を除く)

過度の昇圧が起こるおそれがある。

  1. 9.1.3心疾患の患者(重篤な心疾患の患者を除く)

  2. (1)心拍数増加等により症状が増悪するおそれがある。

  3. (2)水分の過負荷を避け、十分な観察を行うこと。肺水腫が発生しやすいとの報告がある。

  4. 9.1.4糖尿病の患者(重篤な糖尿病の患者を除く)、糖尿病の家族歴、高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者

過度の血糖上昇があらわれることがある。また、糖尿病性ケトアシドーシスがあらわれることもある。

  1. 9.1.5肺高血圧症の患者(重篤な肺高血圧症の患者を除く)

肺水腫が起こるおそれがある。

  1. 9.1.6筋緊張性(強直性)ジストロフィー等の筋疾患又はその既往歴のある患者

横紋筋融解症があらわれることがある。

  1. 9.1.7妊娠高血圧症候群の患者

水分の過負荷を避け、十分な観察を行うこと。肺水腫が発生しやすいとの報告がある。

  1. 9.1.8本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者(重篤な過敏症の既往歴のある患者を除く)

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊娠16週未満の妊婦

投与しないこと。本剤の臨床適用は切迫流・早産であるが、妊娠16週未満の症例に関する安全性及び有効性は確立していない。臨床試験において妊娠16週未満の症例数は少ない。

  1. 9.5.2多胎妊娠の患者

  2. (1)水分の過負荷を避け、十分な観察を行うこと。肺水腫が発生しやすいとの報告がある。

  3. (2)本剤使用時あるいは、中止直後に麻酔を行う際には特に注意すること。麻酔薬を投与した直後に重篤な不整脈から心停止に至った症例が報告されている。

9.6 授乳婦

出産直前に本剤を投与した場合には、母乳栄養の有益性を考慮し、出産直後の授乳を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 副腎皮質ホルモン剤• ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム等 併用により肺水腫を発生することがあるとの報告がある。水分の過負荷を避け、十分な観察を行うこと。 体内の水分貯留傾向が促進される。
• β刺激剤 作用が増強されることがある。 相加的に作用が増強される。
• β遮断剤 作用が減弱されることがある。 β受容体において競合的に拮抗する。
• 硫酸マグネシウム水和物(注射剤) CK上昇、呼吸抑制、循環器関連の副作用(胸痛、心筋虚血)があらわれることがある2)。また、出生した早産児の高カリウム血症のリスクが高いことが報告されている1)。 機序は不明である。
• カリウム減少性利尿剤 過度の血清カリウム低下が起こるおそれがある。 相加的にカリウム低下が増強される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALTの上昇等) 1〜5%未満
CK上昇 頻度不明
こわばり 頻度不明
しびれ感 頻度不明
そう痒 頻度不明
一過性の血糖上昇 頻度不明
上室性頻拍 頻度不明
下痢 頻度不明
便秘 1〜5%未満
倦怠感 頻度不明
冷汗 1〜5%未満
動悸・頻脈 5%以上
咳嗽 頻度不明
唾液腺腫脹 頻度不明
嘔吐 1〜5%未満
嘔気 1〜5%未満
四肢末梢熱感 1〜5%未満
多形滲出性紅斑 頻度不明
尿糖の変動 1〜5%未満
心電図異常(ST・Tの異常) 頻度不明
息苦しさ 頻度不明
振戦 1〜5%未満
新生児呼吸障害(多呼吸等) 頻度不明
新生児腎機能障害 頻度不明
新生児頻脈 頻度不明
発汗 1〜5%未満
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
眩暈 1〜5%未満
肝機能障害(AST 1〜5%未満
胎児不整脈 頻度不明
胎児頻脈 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱力感 1〜5%未満
腫脹 頻度不明
血圧の変動 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血管痛 1〜5%未満
貧血 頻度不明
静脈炎 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
顔面潮紅 1〜5%未満
顔面疼痛 1〜5%未満
高アミラーゼ血症(唾液腺型アミラーゼ増加) 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

薬理学的な分析より、リトドリン塩酸塩はβ受容体に対する選択的な刺激効果に基づきc-AMP含量を増加させ、Ca++の貯蔵部位への取り込みを促進して子宮運動抑制をきたすと考えられるとともに、膜の過分極、膜抵抗減少及びスパイク電位発生抑制をきたし、子宮収縮抑制作用を発揮する8),9)(in vitro)。

18.2 生体位子宮運動抑制作用

妊娠後期のラット、ウサギ、ヒツジ及びアカゲザルの自発性子宮運動ならびにPGF2α、オキシトシンなどの薬物誘発子宮運動亢進反応をリトドリン塩酸塩は用量依存的に抑制した10),11),12),13)。

18.3 摘出子宮運動抑制作用

妊娠ラット摘出子宮筋の自発運動ならびにアセチルコリン、オキシトシン、PGF2α、KCl及び電気刺激による誘発子宮収縮をリトドリン塩酸塩は濃度依存的に著明に抑制した10)(in vitro)。

18.4 子宮筋への選択性

ラット摘出妊娠子宮筋及びモルモット摘出右心房標本を用いた実験で、リトドリン塩酸塩はイソプレナリン塩酸塩、イソクスプリン塩酸塩に比し優れた子宮筋への選択性を示した8)(in vitro)。

薬物動態

16.1 血中濃度

本剤を健康成人5例に注入薬量100μg/分で1時間点滴静注した際注2)の薬物動態パラメータは下表のとおりであった3)。

Tmax
(hr)
Cmax
(ng/mL)
AUC
(ng・hr/mL)
T1/2
(hr)
0.67 31.7 52.62 0.15及び4.66

16.5 排泄

本剤を健康成人に注入薬量100μg/分で1時間点滴静注した際注2)、投与開始から48時間以内に投与量の50%が尿中に排泄され、そのほとんどは12時間以内に排泄された3)。

注2)本剤の承認されている用法及び用量は「通常、1アンプル(5mL)を5%ブドウ糖注射液または10%マルトース注射液500mLに希釈し、リトドリン塩酸塩として毎分50μgから点滴静注を開始し、子宮収縮抑制状況および母体心拍数などを観察しながら適宜増減する。子宮収縮の抑制後は症状を観察しながら漸次減量し、毎分50μg以下の速度を維持して収縮の再発が見られないことが確認された場合には投与を中止すること。通常、有効用量は毎分50~150μgである。なお、注入薬量は毎分200μgを越えないようにすること。」である。