Clinical snapshot

ウインタミン細粒(10%)

クロルプロマジンフェノールフタリン酸塩

添付文書改訂 2024年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1昏睡状態、循環虚脱状態にある患者[これらの状態を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる。]

  3. 2.3*アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)

  4. 2.4フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の患者

効能・効果

統合失調症、躁病、神経症における不安・緊張・抑うつ、悪心・嘔吐、吃逆、破傷風に伴う痙攣、麻酔前投薬、人工冬眠、催眠・鎮静・鎮痛剤の効力増強

用法・用量

通常、成人にはクロルプロマジン塩酸塩として1日30~100mgを分割経口投与する。 精神科領域において用いる場合には、クロルプロマジン塩酸塩として、通常1日50~450mgを分割経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

  2. 8.2制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。

  3. 8.3治療初期に起立性低血圧があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には減量等適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1皮質下部の脳障害(脳炎、脳腫瘍、頭部外傷後遺症等)の疑いのある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。高熱反応があらわれるおそれがあるので、このような場合には全身を氷で冷やすか、又は解熱剤を投与するなど適切な処置を行うこと。

  1. 9.1.2血液障害のある患者

血液障害を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.3*褐色細胞腫又はパラガングリオーマ、動脈硬化症あるいは心疾患の疑いのある患者

血圧の急速な変動がみられることがある。

  1. 9.1.4重症喘息、肺気腫、呼吸器感染症等の患者

呼吸抑制があらわれることがある。

  1. 9.1.5てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者

痙攣閾値を低下させることがある。

  1. 9.1.6高温環境にある患者

体温調節中枢を抑制するため、環境温度に影響されるおそれがある。

  1. 9.1.7脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者

Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい。

  1. 9.1.8不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者

肺塞栓症、 静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。

9.3 肝機能障害患者

肝機能障害を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物試験(げっ歯類)では、大量投与で胎児死亡、流産等の胎児毒性が報告されている。妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

9.6 授乳婦

投与中及び投与後一定期間は授乳しないことが望ましい。ヒトで母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1錐体外路症状、特にジスキネジアが起こりやすい。

  2. 9.7.2小児では、発達段階や症状の程度により、個人差が特に著しいが、多くの場合クロルプロマジン塩酸塩として1回体重1kgあたり0.5~1mgを、1日3~4回をめどとし、症状の程度により加減する。

  3. 9.7.3生後6ヵ月未満の乳児への使用は避けることが望ましい。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。起立性低血圧、錐体外路症状、脱力感、運動失調、排泄障害等が起こりやすい。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
*アドレナリン
• (アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)ボスミン
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧低下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧低下作用が増強される1)。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
中枢神経抑制剤
• (バルビツール酸誘導体・麻酔剤等)
睡眠(催眠)・精神機能抑制の増強、麻酔効果の増強・延長、血圧低下等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。
降圧剤 起立性低血圧等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 相互に降圧作用を増強させることがある。
アトロピン様作用を有する薬剤 口渇、眼圧上昇、排尿障害、頻脈、腸管麻痺等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 相互にアトロピン様作用を増強させることがある。
アルコール
• (飲酒)
眠気、精神運動機能低下等を起こすことがある。 相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。
ドンペリドン
メトクロプラミド
内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現するおそれがある。 ともに中枢ドパミン受容体遮断作用を有する。
リチウム 心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性のSyndrome malin(悪性症候群)、非可逆性の脳障害を起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。 機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている。
ドパミン作動薬
• (レボドパ製剤、ブロモクリプチンメシル酸塩)
相互に作用を減弱させるおそれがある。 ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。
有機燐殺虫剤 縮瞳、徐脈等の症状があらわれることがあるので、接触しないように注意すること。 本剤は有機燐殺虫剤の抗コリンエステラーゼ作用を増強し毒性を強めることがある。
*アドレナリン含有歯科麻酔剤
• (リドカイン・アドレナリン)
*重篤な血圧低下を起こすことがある。 *アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧低下作用が増強されるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
アカシジア(静坐不能) 頻度不明
ジスキネジア(口周部 頻度不明
ジストニア(眼球上転 頻度不明
パーキンソン症候群(手指振戦 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
不眠 頻度不明
乳汁分泌 頻度不明
体幹側屈 頻度不明
体重増加 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
光線過敏症 頻度不明
口渇 頻度不明
四肢等の不随意運動等) 頻度不明
女性化乳房 頻度不明
射精不能 頻度不明
尿失禁 頻度不明
尿閉 頻度不明
後弓反張等) 頻度不明
心疾患悪化 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
易刺激 頻度不明
月経異常 頻度不明
流涎等) 頻度不明
浮腫 頻度不明
無尿 頻度不明
痙性斜頸 頻度不明
痙攣 頻度不明
発熱 頻度不明
白血球減少症 頻度不明
皮膚の色素沈着 頻度不明
眩暈 頻度不明
眼内圧亢進 頻度不明
眼瞼痙攣 頻度不明
筋強剛 頻度不明
糖尿 頻度不明
縮瞳 頻度不明
興奮 頻度不明
舌突出 頻度不明
舌苔 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板減少性紫斑病 頻度不明
視覚障害 頻度不明
過敏症状 頻度不明
錯乱 頻度不明
頭痛 頻度不明
頸後屈 頻度不明
頻尿 頻度不明
頻脈 頻度不明
顆粒球減少症 頻度不明
食欲不振 頻度不明
食欲亢進 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

条件反射抑制作用を含めた抗ドパミン作用は、幻覚・妄想や概念の統合障害等の陽性症状の改善及び悪心・嘔吐の改善に関連する。 自発運動抑制作用を含めた抗ノルアドレナリン作用は、躁状態や緊張状態の改善に関連する。 抗セロトニン作用は、思考の貧困化や感情鈍麻等の陰性症状の改善に関連する13)。

18.2 薬理作用13)

項目 動物 クロルプロマジン ハロペリドール
抗ドパミン作用 アンフェタミンによる運動亢進の抑制 ED50 マウス 3.84mg/kg p.o. 0.18mg/kg p.o.
抗ドパミン作用 アポモルフィンによるよじ登り行動の抑制 ED50 マウス 1.97mg/kg p.o. 0.17mg/kg p.o.
抗ドパミン作用 アポモルフィンによる嘔吐の抑制 ED50 イヌ 3.27mg/kg p.o. 0.15mg/kg p.o.
抗ドパミン作用 ドパミン受容体(D2)への親和性 Ki ラット線条体 8.6nmol/L 0.8nmol/L
抗ノルアドレナリン作用 ノルアドレナリンによる致死への拮抗 ED50 マウス 5.67mg/kg p.o. 37.39mg/kg p.o.
抗ノルアドレナリン作用 ノルアドレナリン受容体(α1)への親和性 Ki ラット大脳皮質 8nmol/L 35nmol/L
自発運動抑制作用 ED50 マウス 4.39mg/kg p.o. 0.40mg/kg p.o.
抗セロトニン作用 トリプタミンによる首振り運動の抑制 ED50 マウス 2.00mg/kg p.o. 5.18mg/kg p.o.
抗セロトニン作用 セロトニン受容体(5-HT2)への親和性 Ki ラット大脳皮質 22nmol/L 96nmol/L
条件反射抑制作用 ED50 ラット 15.09mg/kg p.o. 0.97mg/kg p.o.

ED50:50%有効量、Ki:阻害定数

薬物動態

16.1 血中濃度

精神病患者女性8例にクロルプロマジン100mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータを表16-1に示す5)(外国人データ)。

投与量
(mg)
n Tmax
(hr)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
T1/2
(hr)
100 8 2~3 838 30.5

(測定法:ガスクロマトグラフィー)(mean)

16.3 分布

  1. 16.3.1母乳中および髄液への移行性

クロルプロマジン投与中の授乳婦4例の血漿中濃度が16~52ng/mLのとき、母乳中濃度は7~98ng/mLであり、脳脊髄液中濃度は血漿中濃度にかかわらず約3%であった6),7)(外国人データ)。

  1. 16.3.2母体脳内および胎児内への移行性(参考)

妊娠19日目のラットに3H-標識クロルプロマジン塩酸塩5mg/kgを皮下投与すると、速やかに胎児内に移行し、その胎児血漿中濃度推移は母体とほぼ等しかった。母体脳内への移行は極めて高かったが、投与4時間後の濃度は投与1時間後に比して約半分に減少していた8)。

  1. 16.3.3蛋白結合率

95~98%9)

16.4 代謝

  1. 16.4.1小腸壁及び肝臓で代謝される9)。主代謝経路は、フェノチアジン核のSの酸化、水酸化、側鎖の脱メチル化とNの酸化であり、尿中に未変化体あるいはグルクロン酸抱合等を受けて排泄される10)。

  2. 16.4.2肝代謝には主としてCYP2D6が関与する11)(外国人データ)。

16.5 排泄

尿、糞便又は汗に排泄される。腎臓より排泄された未変化体やその他の脂溶性の代謝物は、尿細管より再吸収され、また、腸管からの再吸収も知られている10)。未変化体は1%未満が尿中へ、0.03%未満が糞便中へ排泄される9)。

16.8 その他

  1. 16.8.1生物学的利用率:32%(10~70%)12)