Clinical snapshot

イミフィンジ点滴静注500mg

デュルバルマブ(遺伝子組換え)製剤

添付文書改訂 2026年01月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法

  • 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

  • *非小細胞肺癌における術前・術後補助療法

  • 進展型小細胞肺癌

  • 限局型小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法

  • 切除不能な肝細胞癌

  • 治癒切除不能な胆道癌

  • 進行・再発の子宮体癌

  • *膀胱癌における術前・術後補助療法

用法・用量

  • 〈切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法〉

通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。投与期間は12カ月間までとする。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

  • 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉

トレメリムマブ(遺伝子組換え)及び白金系抗悪性腫瘍剤を含む他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを3週間間隔で4回、60分間以上かけて点滴静注する。その後、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

  • *〈非小細胞肺癌における術前・術後補助療法〉

*術前補助療法では、他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを3週間間隔で4回まで、60分間以上かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で12回まで、60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

  • 〈進展型小細胞肺癌〉

白金系抗悪性腫瘍剤及びエトポシドとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを3週間間隔で4回、60分間以上かけて点滴静注する。その後、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

  • 〈限局型小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法〉

通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。投与期間は24カ月間までとする。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

  • 〈切除不能な肝細胞癌〉

通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

  • 〈治癒切除不能な胆道癌〉

ゲムシタビン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、3週間間隔で、1回1500mgを60分間以上かけて点滴静注する。3週間間隔での繰り返し投与後、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

  • 〈進行・再発の子宮体癌〉

カルボプラチン及びタキサン系抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1120mgを3週間間隔で、60分間以上かけて点滴静注する。その後の維持療法において、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合、維持療法における1回投与量は、20mg/kg(体重)とする。

  • *〈膀胱癌における術前・術後補助療法〉

*術前補助療法では、ゲムシタビン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを3週間間隔で4回まで、60分間以上かけて点滴静注する。その後、術後補助療法では、デュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1500mgを4週間間隔で8回まで、60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。

使用上の注意

  1. 8.1本剤のT細胞活性化作用により、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患や病態があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、過度の免疫反応による副作用の発現を考慮し、適切な鑑別診断を行うこと。過度の免疫反応による副作用が疑われる場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等を考慮すること。また、本剤投与終了後に重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤投与終了後も観察を十分に行うこと。

  2. 8.2間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、必要に応じて胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。

  3. 8.3甲状腺機能障害、副腎機能障害及び下垂体機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に内分泌機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4、ACTH、血中コルチゾール等の測定)を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて画像検査等の実施も考慮すること。

  4. 8.41型糖尿病があらわれることがあるので、口渇、悪心、嘔吐等の発現や血糖値の上昇に十分注意すること。

  5. 8.5肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  6. 8.6腎障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  7. 8.7筋炎、横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋力低下、筋肉痛、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等の観察を十分に行うこと。

  8. 8.8心筋炎があらわれることがあるので、胸痛、CK上昇、心電図異常等の観察を十分に行うこと。

  9. 8.9重症筋無力症があらわれることがあるので、筋力低下、眼瞼下垂、呼吸困難、嚥下障害等の観察を十分に行うこと。

  10. 8.10Infusion reactionがあらわれることがあり、2回目以降の本剤投与時にもInfusion reactionがあらわれることがあるので、本剤投与時には毎回患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1自己免疫疾患の合併又は慢性的若しくは再発性の自己免疫疾患の既往歴のある患者

自己免疫疾患が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.2間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)のある患者又はその既往歴のある患者

間質性肺疾患(放射線肺臓炎を含む)が発現又は増悪するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤の生殖発生毒性試験において、妊娠カニクイザルに妊娠成立時から分娩まで本剤を投与したときに、AUC比較で臨床用量(1,500mgを3週間間隔又は4週間間隔で投与)における曝露量の約3.4倍に相当する曝露量で、対照群と比較して妊娠後期における胎児の死亡及び新生児の死亡の増加が認められた。ヒトIgG1は胎盤を通過することが知られている。また、PD-1/PD-L1経路は母体胎児間免疫寛容による妊娠維持に重要であり、同種異系妊娠マウスにおいてPD-L1経路の阻害により流産率が増加することが報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト母乳中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。また、妊娠カニクイザルを用いた実験において用量依存的な本剤の乳汁への移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
TSH上昇 1%未満
TSH低下 1%未満
インフルエンザ 1%未満
そう痒症 頻度不明
上気道感染 1%未満
下痢 頻度不明
口腔カンジダ 1%未満
口腔感染 頻度不明
咳嗽・湿性咳嗽 頻度不明
寝汗 1%未満
尿崩症 頻度不明
排尿困難 1%未満
末梢性浮腫 頻度不明
歯周炎 1%未満
歯周病(歯肉炎 1%未満
歯感染) 1%未満
消化管穿孔 1%未満
発声障害 1%未満
発熱 頻度不明
発熱性好中球減少症 1%未満
発疹 頻度不明
皮膚炎 1%未満
筋肉痛 頻度不明
肺炎 1%未満
腹痛 頻度不明
膵炎 1%未満
関節炎 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

デュルバルマブは、ヒトPD-L1に対するヒト型免疫グロブリンGサブクラス1、κ型アイソタイプ(IgG1κ)モノクローナル抗体であり、PD-L1とその受容体であるPD-1との結合を阻害すること等により、抗腫瘍免疫応答を増強し、腫瘍増殖を抑制すると考えられる11)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

第I相試験(D4190C00002試験)で日本人の進行性固形癌患者に本剤を10mg/kgの用量で投与注2)したときの血清中濃度時間推移と薬物動態パラメータを示す。

Cmax(µg/mL) AUC14days(day·µg/mL) Tmax(day)
145(51.2) 826(51.4) 0.047(0.044, 0.073)

n=3、幾何平均値(変動係数%)を示す。Tmaxは中央値(最小値、最大値)を示す。

第I相試験(D4880C00010試験)で日本人の進行性固形癌患者に本剤1,500mgとトレメリムマブ75mgを投与したときの本剤の薬物動態パラメータを示す。

Cmax(µg/mL) AUC28days(day·µg/mL) Tmax(day)
439(15.8) 4,680(15.7) 0.048(0.044, 0.076)

n=6、幾何平均値(変動係数%)を示す。Tmaxは中央値(最小値、最大値)を示す。

  1. 16.1.2反復投与

国際共同第III相試験(PACIFIC試験)で切除不能な局所進行の非小細胞肺癌患者に、本剤10mg/kgを2週間間隔で反復静脈内持続投与注2)したときの血清中濃度を示す(日本人を含む)。

評価時点 血清中濃度(µg/mL)
幾何平均値(例数、変動係数)
初回投与後 191(n=385, 72.4%)
8週目(投与前) 120(n=289, 62.2%)
24週目(投与前) 177(n=225, 47.9%)
24週目(投与終了時) 373(n=207, 43.6%)
48週目(投与前) 186(n=213, 67.4%)

国際共同第III相試験(CASPIAN試験)で進展型小細胞肺癌患者に、本剤1,500mgを3週間間隔で反復静脈内持続投与(併用療法としてエトポシド及び白金製剤を投与)したときの本剤の血清中濃度を示す(日本人を含む)。

評価時点 血清中濃度(µg/mL)
幾何平均値(例数、変動係数)
初回投与後 502.9(n=227, 30.46%)
3週目(投与前) 109.9(n=236, 64.41%)
12週目(投与前) 240.9(n=199, 49.70%)

国際共同第III相試験(HIMALAYA試験)で切除不能な肝細胞癌患者に、本剤1,500mg及びトレメリムマブ300mgを1日目に、さらに4週後から本剤1,500mgを4週間間隔で反復静脈内持続投与したとき、及び本剤単独で1,500mgを4週間間隔で反復静脈内持続投与したときの本剤の血清中濃度を示す(日本人を含む)。

評価時点 血清中濃度(µg/mL)
幾何平均値(例数、変動係数)
トレメリムマブ併用群 本剤群
4週目(投与前) 59.9(n=314, 101.6%) 74.7(n=340, 86.7%)
12週目(投与前) 77.5(n=253, 280.1%) 113.9(n=252, 116.2%)
12週目(投与終了時) 539.3(n=248, 38.6%) 556.9(n=255, 32.7%)

注2)本剤の承認された単独投与の用法及び用量は「通常、成人にはデュルバルマブ(遺伝子組換え)として、1回1,500mgを4週間間隔で60分間以上かけて点滴静注する。ただし、体重30kg以下の場合の1回投与量は20mg/kg(体重)とする。」である。