再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫
【警告】
本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはロミデプシンとして14mg/m2(体表面積)を1、8、15日目に4時間かけて点滴静注した後、休薬(16~28日目)する。この28日間を1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
-
8.1本剤の投与により、細菌、真菌、ウイルス又は原虫による感染症や日和見感染が発現又は悪化することがあるので、本剤の投与中は、感染症の発現又は悪化に十分注意すること。また、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)においてB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立ってB型肝炎ウイルスの感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。
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8.2節外性NK/T細胞リンパ腫, 鼻型患者を対象とした外国臨床試験において、エプスタイン・バー(EB)ウイルスの再活性化による肝不全があらわれ、死亡に至った例も報告されている。本剤の投与中は、定期的に肝機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
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8.3本剤の投与により、血小板減少症、リンパ球減少症、白血球減少症及び好中球減少症等があらわれることがあるので、定期的に血液学的検査を行うこと。
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8.4本剤の投与により、QT間隔延長等の心電図異常があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム、カルシウム等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて、電解質を補正するなどの適切な処置を行うこと。
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8.5本剤の投与により、腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度測定及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1骨髄抑制のある患者
重篤な血小板減少症、好中球減少症、リンパ球減少症及び貧血が発現することがある。
- 9.1.2感染症を合併している患者
感染症が悪化するおそれがある。
- 9.1.3QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者
QT間隔延長を起こすおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性及びパートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。ラット及びイヌにおいて、AUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量で、精巣の萎縮等が認められている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットにおいて、AUC比較で臨床曝露量未満に相当する用量で、胎児の死亡、催奇形性及び発育遅延が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁中への移行は不明である。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
相互作用
- 本剤は主にCYP3Aにより代謝される。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| • CYP3A阻害剤• アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール等)、クラリスロマイシン、アタザナビル硫酸塩、ネルフィナビルメシル酸塩、リトナビル等 | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。 |
| • リファンピシン | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 機序不明 |
| • 抗不整脈剤• アミオダロン塩酸塩、ジソピラミド、プロカインアミド塩酸塩、キニジン硫酸塩水和物、ソタロール塩酸塩等 • QT間隔延長を起こすことが知られている他の薬剤• クラリスロマイシン、オンダンセトロン塩酸塩水和物、メサドン塩酸塩、モキシフロキサシン塩酸塩、ベプリジル塩酸塩水和物、ピモジド等 |
QT間隔延長等の重篤な心電図異常を起こすおそれがある。 | 本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあり、併用により増強する可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT増加 | 頻度不明 |
| AST増加 | 頻度不明 |
| ヘモグロビン減少 | 頻度不明 |
| 上気道の炎症 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 低アルブミン血症 | 頻度不明 |
| 低カリウム血症 | 頻度不明 |
| 低カルシウム血症 | 頻度不明 |
| 低ナトリウム血症 | 頻度不明 |
| 低マグネシウム血症 | 頻度不明 |
| 低リン酸血症 | 頻度不明 |
| 低酸素症 | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 頻度不明 |
| 出血 | 頻度不明 |
| 口内炎 | 頻度不明 |
| 味覚異常 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 心房細動 | 頻度不明 |
| 心電図ST-T変化 | 頻度不明 |
| 心電図ST-T部分上昇 | 頻度不明 |
| 心電図T波逆転 | 頻度不明 |
| 悪寒 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 末梢性感覚ニューロパチー | 頻度不明 |
| 末梢性浮腫 | 頻度不明 |
| 注射部位反応 | 頻度不明 |
| 深部静脈血栓症 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 肺塞栓症 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 静脈炎 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 頻脈 | 頻度不明 |
| 食欲減退 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ロミデプシンは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)の活性を阻害する。HDAC活性阻害によりヒストン等の脱アセチル化が阻害され、細胞周期停止及びアポトーシス誘導が生じることにより、腫瘍増殖が抑制されると推測されている。しかし、詳細な作用機序は解明されていない9) 。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回及び反復投与
再発又は難治性のPTCL患者又は皮膚T細胞リンパ腫患者に本剤9又は14mg/m2を1、8、15日目に4時間点滴静注したとき注2) の投与1日目(単回投与時)及び15日目(反復投与時)の薬物動態パラメータを示す。また、本剤14mg/m2単回及び反復投与時の血漿中濃度推移を示す。なお、反復投与による本剤の蓄積性は認められなかった1) 。
| 用量 | 9mg/m2 | 14mg/m2 | ||
|---|---|---|---|---|
| 1日目 (3例) |
15日目 (3例) |
1日目 (7例) |
15日目 (6例) |
|
| AUCt (ng・h/mL) |
1023.76 (66.7) |
1024.66 (78.1) |
2325.55 (35.3) |
1825.74 (25.8) |
| AUC∞ (ng・h/mL) |
1027.08 (66.6) |
NA | 2330.91 (35.2) |
NA |
| Cmax (ng/mL) |
269.75 (48.9) |
250.05 (63.3) |
593.47 (37.2) |
489.47 (31.2) |
| tmax(h) | 4.02 (1.9, 4.0) |
1.95 (1.9, 3.9) |
2.00 (1.0, 4.1) |
2.94 (1.0, 4.3) |
| t1/2(h) | 9.52 (19.8) |
8.77 (18.6) |
9.12 (11.6) |
9.01 (15.8) |
| CL(L/h) | 14.29 (60.8) |
NA | 9.31 (35.4) |
NA |
| Vz(L) | 196.24 (86.8) |
NA | 122.47 (40.4) |
NA |
幾何平均(%変動係数) tmaxは中央値(最小, 最大) NA:Not Applicable(該当データなし)
血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
16.3 分布
本剤のヒト血漿中での蛋白結合率は50~1000ng/mLの濃度範囲で92%~94%と高く、主な結合蛋白はα1-酸性糖蛋白であった2) (in vitro試験)。
16.4 代謝
本剤は主にCYP3A4によって代謝され、CYP3A5、CYP1A1、CYP2B6及びCYP2C19による代謝はわずかであった3) (in vitro試験)。
16.5 排泄
進行性悪性腫瘍患者に本剤14mg/m2を4時間点滴静注したときの投与24時間後までの本剤の尿中排泄率は0.5%未満であった4) (外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者
肝機能正常患者、軽度障害患者、中等度障害患者、重度障害患者にそれぞれ本剤14mg/m2、14mg/m2、7mg/m2、5mg/m2を4時間点滴静注したとき注2) の本剤の薬物動態パラメータを示す5) (外国人データ)。
| 肝機能障害 用量 |
正常 14mg/m2 (12例) |
軽度障害 14mg/m2 (8例) |
中等度障害 7mg/m2 (5例) |
重度障害 5mg/m2 (6例) |
|---|---|---|---|---|
| AUC∞ (ng・h/mL) |
1692a (38.6) |
2443b (30.2) |
1921 (54.1) |
1957 (44.8) |
| Cmax (ng/mL) |
428 (35.3) |
494 (40.1) |
411 (55.9) |
405 (28.6) |
| tmax(h) | 3.94 (3.82, 4.42) |
3.84 (3.78, 4.12) |
3.92 (3.80, 4.00) |
4.00 (3.80, 4.00) |
| t1/2(h) | 11.13a (18.9) |
13.55b (10.4) |
14.08 (27.6) |
14.52 (29.2) |
| CLs(L/h) | 16.2a (53.9) |
9.6b (27.8) |
6.9 (50.6) |
4.8 (57.6) |
| Vss(L) | 20.7a (60.6) |
17.1b (14.7) |
19.0 (33.4) |
15.4 (33.5) |
幾何平均(%変動係数) tmaxは中央値(最小, 最大) a:評価患者数10例、b:評価患者数7例
肝機能障害の定義は以下のとおりとした。
-
正常:ビリルビン値、AST値がともに正常範囲内
-
軽度障害:ビリルビン値は正常範囲内だがAST値が正常上限値を超える、又はビリルビン値が正常上限値を超えるが1.5倍以下(AST値は問わない)
-
中等度障害:ビリルビン値が正常上限値の1.5倍を超えるが3倍以下(AST値は問わない)
-
重度障害:ビリルビン値が正常上限値の3倍を超える(AST値は問わない)
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1CYP3A阻害剤
進行性悪性腫瘍患者15例に単独又はCYP3A阻害剤であるケトコナゾール(400mg、国内未承認の経口剤)との併用で本剤8mg/m2注2) を4時間点滴静注したとき、本剤のAUC∞及びCmaxは単独投与時と比べて併用投与時でそれぞれ約25%及び約10%増加した6) (外国人データ)。
- 16.7.2リファンピシン
進行性悪性腫瘍患者14例に単独又はリファンピシン(600mg)との併用で本剤14mg/m2を4時間点滴静注したとき、本剤のAUC∞及びCmaxは単独投与時と比べて併用投与時でそれぞれ約80%及び約60%増加した6) (外国人データ)。
- 16.7.3その他
本剤はP糖蛋白の基質であることが示されている7) (in vitro試験)。
注2)本剤の承認用法・用量は「14mg/m2を4時間点滴静注」である。