Clinical snapshot

アービタックス注射液500mg

セツキシマブ(遺伝子組換え)製剤

添付文書改訂 2025年12月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2重度のinfusion reactionが発現し、死亡に至る例が報告されている。症状としては、気管支痙攣、蕁麻疹、低血圧、意識消失、ショックがあらわれ、心筋梗塞、心停止も報告されている。これらの症状は本剤の初回投与中又は投与終了後1時間以内に観察されているが、投与数時間後又は2回目以降の本剤投与でも発現することがあるので、患者の状態を十分に確認しながら慎重に投与すること。また、重度のinfusion reactionが発現した場合は、本剤の投与を直ちに中止し、再投与しないこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • RAS遺伝子野生型の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

  • 頭頸部癌

用法・用量

1週間間隔投与の場合: 通常、成人には、セツキシマブ(遺伝子組換え)として、初回は400mg/m2(体表面積)を2時間かけて、2回目以降は250mg/m2(体表面積)を1時間かけて1週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。

2週間間隔投与の場合: 通常、成人には、セツキシマブ(遺伝子組換え)として、500mg/m2(体表面積)を2時間かけて2週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与は、重度のinfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。2回目以降の本剤投与時に初めて重度のinfusion reactionを発現することもあるので、本剤投与中は毎回患者の状態に十分に注意すること。本剤投与中及び本剤投与終了後少なくとも1時間は観察期間(バイタルサインをモニターするなど)を設けること。

  2. 8.2抗ヒスタミン剤の前投薬を行った患者においても、重度のinfusion reactionが発現したとの報告があるので、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 8.3低マグネシウム血症、低カリウム血症、低カルシウム血症が発現することが報告されている。また、心不全等の心臓障害の発現も報告されているので、治療開始前、治療中及び治療終了後は血清中電解質(マグネシウム、カリウム及びカルシウム)をモニタリングすること。

  4. 8.4重度の皮膚症状があらわれることがあるので、必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること。

  5. 8.5本剤の使用にあたっては、本剤と一般名が類似しているセツキシマブ サロタロカンナトリウム(遺伝子組換え)との取り違えに注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1間質性肺疾患の既往歴のある患者

間質性肺疾患を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.2心疾患のある患者又はその既往歴のある患者

本剤による治療を開始するにあたっては、患者の冠動脈疾患、うっ血性心不全及び不整脈等の既往歴に注意すること。心疾患を増悪させるおそれがある。また、本剤と放射線療法を併用した頭頸部扁平上皮癌患者に対する海外臨床試験において、心肺停止及び突然死が報告されている。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中、適切な避妊法を用いるように指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。サルの胚・胎児発生への影響に関する試験において、流産及び胎児死亡の発現頻度の上昇がみられた。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトIgG1はヒト乳汁中に排出される。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
C-反応性蛋白増加 頻度不明
PO2低下 頻度不明
ざ瘡/ざ瘡様皮膚炎(44.5%) 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
リンパ球減少症 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠症 頻度不明
低アルブミン血症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低カルシウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低リン酸血症 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
剥脱性皮膚炎 頻度不明
卵巣嚢胞破裂 頻度不明
口内炎 頻度不明
口唇炎 頻度不明
吐血 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
喀血 頻度不明
嘔吐 頻度不明
多毛症 頻度不明
好中球増加症 頻度不明
好中球減少症 頻度不明
尿中ウロビリン陽性 頻度不明
尿中血陽性 頻度不明
尿蛋白 頻度不明
心筋梗塞 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
手足症候群 頻度不明
放射線性皮膚炎注5) 頻度不明
末梢神経障害 頻度不明
歯槽出血 頻度不明
毛髪障害 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
無力症 頻度不明
爪の障害 頻度不明
爪囲炎 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛(皮膚・筋肉等) 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹(45.0%) 頻度不明
白血球増加症 頻度不明
白血球減少症 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚亀裂 頻度不明
皮膚反応 頻度不明
皮膚毒性 頻度不明
皮膚障害 頻度不明
眼瞼炎 頻度不明
粘膜の炎症 頻度不明
結膜炎 頻度不明
総蛋白減少 頻度不明
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血中アミラーゼ増加 頻度不明
血中ビリルビン増加 頻度不明
血小板減少症 頻度不明
血尿 頻度不明
角膜炎 頻度不明
遅発性放射線障害注5) 頻度不明
過敏症 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 頻度不明
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

セツキシマブはヒトIgG1の定常領域とマウス抗体の可変領域からなるキメラ型モノクローナル抗体であり、EGFR発現細胞のEGFRに対して高い親和性で結合する18) 。

18.2 抗腫瘍作用

多様なEGFR陽性癌細胞株において、セツキシマブのin vitro増殖阻害作用は濃度依存的であった19),20),21),22) 。また、セツキシマブの増殖阻害作用は多様なEGFR陽性癌細胞株(ヒト結腸癌由来GEO細胞株、ヒト咽頭癌由来FaDu細胞株等)を用いたin vivoモデルにおいても確認されている23),24) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

固形癌患者にセツキシマブを投与量100~500mg/m2で点滴静注注6) した時の血清中濃度推移を図1に、また、薬物動態パラメータを表1に示す。最高血清中濃度(Cmax)の平均値は49~396.7μg/mL、また、血清中濃度曲線下面積(AUC)の平均値は3469~34817μg・h/mLで、投与量とCmax又はAUCとの間に線形性が認められた。消失相半減期(t1/2)の平均値は53.9~111.4時間であった。クリアランス(CL)の平均値は0.014~0.029L/h/m2で、100~250mg/m2の用量範囲でCL値は投与量とともに減少し、250mg/m2以上ではCL値は安定していた。定常状態における分布容積(Vss)と投与量との間に明らかな傾向は認められなかった。

図1 固形癌患者にセツキシマブを投与量100~500mg/m2で点滴静注した時の血清中濃度推移

投与量 100mg/m2
(n=6)
250mg/m2
(n=6)
400mg/m2
(n=6)
500mg/m2
(n=6)
400/250mg/m2
(n=6)c
Cmax(μg/mL)a 49
(8.5)
157
(31.9)
287.2
(37.9)
396.7
(83.6)
297.8
(30.5)
AUC(INF)
(μg・h/mL)a
3469
(583)
12132
(2300)
25823
(6525)
34817
(11498)
29213
(6431)
t1/2(hr)a 53.9
(16.8)
74.3
(12.3)
101
(31)
111.4
(19.2)
106
(23.7)
Tmax(hr)b 3.0
(1.9, 8.0)
2.5
(2.0, 3.0)
2.75
(2.0, 8.0)
2.5
(2.0, 6.0)
2.5
(2.0, 3.0)
CL(L/h/m2)a 0.029
(0.005)
0.021
(0.004)
0.016
(0.005)
0.017
(0.009)
0.014
(0.003)
MRT(h)a 77.7
(24.9)
115.5
(14.9)
136.1
(33.2)
147.3
(36.6)
148.9
(32.6)
Vss(L/m2)a 2.22
(0.47)
2.42
(0.37)
2.14
(0.38)
2.22
(0.44)
2.08
(0.4)

a:算術平均値(標準偏差) b:中央値(最小値, 最大値) c:初回投与量400mg/m2で点滴静注した時の薬物動態パラメータ値を示す。

注6)本剤の承認された用法及び用量は、以下のとおりである。 1週間間隔投与の場合: 通常、成人には、セツキシマブ(遺伝子組換え)として、初回は400mg/m2(体表面積)を2時間かけて、2回目以降は250mg/m2(体表面積)を1時間かけて1週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。 2週間間隔投与の場合: 通常、成人には、セツキシマブ(遺伝子組換え)として、500mg/m2(体表面積)を2時間かけて2週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  1. 16.1.2反復投与

固形癌患者を対象とし、400mg/m2の初回投与に続き、7日後から250mg/m2の週1回反復投与注7) を行い、また、250、400及び500mg/m2の初回投与に続き、14日後から250mg/m2の週1回反復投与を行った結果、9週目の平均トラフ濃度(Cmin)は83~114μg/mLの範囲であった4) 。

注7)本剤の承認された用法及び用量は、以下のとおりである。 1週間間隔投与の場合: 通常、成人には、セツキシマブ(遺伝子組換え)として、初回は400mg/m2(体表面積)を2時間かけて、2回目以降は250mg/m2(体表面積)を1時間かけて1週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。 2週間間隔投与の場合: 通常、成人には、セツキシマブ(遺伝子組換え)として、500mg/m2(体表面積)を2時間かけて2週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  1. 16.1.3母集団薬物動態解析

母集団薬物動態解析を実施し、体表面積、年齢、性別、人種、肝機能及び腎機能の要因がセツキシマブの薬物動態に及ぼす影響を評価した。その結果、体表面積が1.3から2.3m2に増加するとCL値は1.8倍増加した。女性患者のCL値は男性患者より25%低かったが、臨床試験で安全性に男女差が観察されていないことから、性別に基づく用量調節の必要はないと考えられた。他の要因がセツキシマブの薬物動態に及ぼす影響は認められなかった5) (外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

セツキシマブとイリノテカン塩酸塩水和物の併用投与試験を行った結果、両者の間に薬物動態学的相互作用は認められなかった6) (外国人データ)。