肺動脈性肺高血圧症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1重度の肝障害のある患者
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2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性
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2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはアンブリセンタンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量する。
使用上の注意
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8.1エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)の投与時に肝酵素上昇が認められているため、本剤の投与開始前に必ず肝機能検査を実施し、投与中においては必要に応じて定期的に、肝機能検査を実施しモニターすること。本剤投与中に、臨床的に顕著なアミノトランスフェラーゼ(AST、ALT)上昇、肝障害の徴候を伴うアミノトランスフェラーゼ上昇、又は黄疸が発現した場合には本剤の投与を中止すること。
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8.2ヘモグロビン減少及びヘマトクリット減少が起こる可能性があり、貧血に至った症例があるため、投与開始前及び投与開始1ヵ月後に血液検査を実施すること。また、その後も定期的に検査を実施することが望ましい。
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8.3本剤の投与により急性肺水腫の徴候が見られた場合は、肺静脈閉塞性疾患の可能性を考慮すること。
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8.4特発性肺線維症(IPF)を対象とした海外臨床試験において、本剤投与によりIPFの病態増悪リスクの増加の可能性が示されている。肺の線維化を伴う肺動脈性肺高血圧症の患者に本剤を投与する際は、肺線維症の治療に精通した呼吸器科医に相談するなど、本剤投与によるリスクとベネフィットを考慮した上で、投与の可否を慎重に検討すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1重度の貧血患者
貧血が悪化するおそれがある。
- 9.1.2間質性肺炎患者
間質性肺炎が増悪することがある。
- 9.1.3肺静脈閉塞性疾患を有する患者
本剤を投与しないことが望ましい。心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。
- 9.1.4出血の危険因子を有する患者
出血の危険性に注意すること。国内臨床試験において鼻出血など出血の副作用が認められている。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1重度の腎障害のある患者
これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1重度の肝障害のある患者
投与しないこと。類薬で重篤な肝障害を起こしたとの報告がある。
- 9.3.2中等度の肝障害のある患者
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
- 9.3.3投与開始前のアミノトランスフェラーゼ(AST、ALT)のいずれかが基準値上限の3倍を超える患者
肝機能障害を増悪させるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
*本剤の投与に際し、妊娠する可能性のある女性には以下について説明すること。また、必要に応じて投与前又は投与期間中に定期的に妊娠検査を行うこと。
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妊娠中に本剤を服用した場合の胎児に及ぼす危険性。
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本剤の投与中及び最終投与後5日間において避妊する必要性及び適切な避妊法。
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妊娠した場合若しくはその疑いがある場合には、医師に直ちに連絡すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラット及びウサギにおいて本剤の催奇形性(ラット及びウサギでは下顎・舌・口蓋の異常、さらにラットでは心室中隔欠損、動脈幹遺残、甲状腺及び胸腺の異常、底蝶形骨過剰骨化、左臍動脈)が認められている。
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。母動物(ラット)に妊娠15日から分娩後20日まで経口投与した結果、出生児生存率の低下が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に、生理機能が低下していることが多い。海外臨床試験において、末梢性浮腫の多くは軽度から中等度であったが、高齢者では発現する可能性が高く、重症例が多い傾向が示唆された。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| シクロスポリン | シクロスポリンとの併用により本剤のAUCが約2倍になるとの報告がある。併用する場合には、本剤は成人1日1回5mgを上限として投与すること。 | 詳細な機序は不明であるが、シクロスポリンとの併用により、本剤の血中濃度が上昇する。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| トランスアミナーゼ上昇 | 頻度不明 |
| めまい | 頻度不明 |
| 低血圧 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 副鼻腔炎 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 呼吸困難注2) | 頻度不明 |
| 喀血 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 末梢性浮腫 | 頻度不明 |
| 潮紅 | 頻度不明 |
| 無力症 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発疹等) | 頻度不明 |
| 白血球減少 | 頻度不明 |
| 眼窩周囲浮腫 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 視覚障害(霧視等) | 頻度不明 |
| 過敏症反応(血管性浮腫 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 鼻出血 | 頻度不明 |
| 鼻咽頭炎 | 頻度不明 |
| 鼻閉注1) | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
アンブリセンタンはエンドセリン(ET)受容体のうちETA受容体に高親和性、ETB受容体には低親和性(ETA受容体に比べて1/4000以下の親和性)を示す選択的ETA受容体拮抗薬である。PAH患者において血漿中ET-1濃度は高く、右心房圧や病態の程度と相関することなどから、ET-1がPAHの発症及び進展に重要であると考えられている。アンブリセンタンは、肺血管ETA受容体阻害作用を介して内因性のET-1による肺血管平滑筋の収縮及び増殖を抑制し、PAHの症状を改善すると考えられる35),36)。
18.2 肺高血圧症モデルにおける作用
モノクロタリン誘発肺高血圧症モデルラットにおいて、4週間の反復経口投与により肺高血圧症の症状(右心室収縮期圧の上昇、右心肥大及び肺血管中膜肥厚)をそれぞれ有意に抑制した37)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人男性にアンブリセンタン2.5mg注)、5mg又は10mgを単回経口投与した時、アンブリセンタンは速やかに吸収され、投与後2~2.5時間(中央値)に最高血漿中濃度(Cmax)に達した。Cmax及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)は用量の増加にほぼ比例して増加した。消失半減期(t1/2)は約10~19時間であった1)。
| 投与量(例数) | Cmax(ng/mL) | tmax(h) | AUC0-∞(ng・h/mL) | t1/2(h) |
|---|---|---|---|---|
| 2.5mg注)(11例) | 178.7±32.05 | 2.5(1.0-4.0) | 1438.8±372.60 | 10.0±3.62 |
| 5mg(11例) | 362.0±42.53 | 2.0(1.0-4.0) | 2944.5±608.55 | 13.6±4.83 |
| 10mg(12例) | 766.8±90.68 | 2.0(1.0-4.0) | 6894.1±1612.50 | 18.8±10.98 |
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(範囲)
注)本剤の成人承認用量は1日1回5mg、症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量である。
- 16.1.2反復投与
成人肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者にアンブリセンタン5mgを1日1回12週間反復経口投与した時、投与後4時間にCmaxに達し、t1/2は11時間であった。定常状態におけるAUC0-24は8337.4ng・h/mL、Cmaxは674.3ng/mLであった。 また、アンブリセンタン5mg及び10mgを投与した時の定常状態時における投与前及び投与後2~4時間の血漿中アンブリセンタン濃度は表2のとおりであった2)。
| 投与群(症例数) | 血漿中アンブリセンタン濃度(ng/mL):投与前 | 血漿中アンブリセンタン濃度(ng/mL):投与2~4時間後 |
|---|---|---|
| 5mg(28例) | 147.8±157.2 | 635.2±260.7 |
| 10mg(17例) | 263.3±265.5 | 1083.2±318.9 |
平均値±標準偏差
- 16.1.3母集団薬物動態解析
健康成人及び成人PAH患者における母集団薬物動態解析の結果から、年齢及び性別はアンブリセンタンの薬物動態に大きな影響を与えなかった3)(外国人データ)。
- 16.1.4生物学的同等性試験
アンブリセンタン錠2.5mg「サワイ」とヴォリブリス錠2.5mgを健康成人男性にそれぞれ1錠(アンブリセンタンとして2.5mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中アンブリセンタン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された4)。
| Cmax (ng/mL) |
Tmax (hr) |
T1/2 (hr) |
AUC0-48hr (ng・hr/mL) |
|
|---|---|---|---|---|
| アンブリセンタン錠2.5mg「サワイ」 | 273.2±49.8 | 1.8±0.8 | 11.6±2.2 | 2218±582 |
| ヴォリブリス錠2.5mg | 280.7±30.4 | 1.7±0.8 | 11.7±1.9 | 2204±586 |
(Mean±S.D., n=23)
血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人男性にアンブリセンタン10mgを空腹時又は食後(標準的な朝食)単回経口投与した時、食後投与では空腹時投与と比較し、Cmaxは約17%低下したが、AUC0-48、最高血漿中濃度到達時間(tmax)及びt1/2には影響は認められなかった5)。
| 投与量(例数) | Cmax(ng/mL) | tmax(h) | AUC0-48(ng・h/mL) | t1/2(h) |
|---|---|---|---|---|
| 10mg(12例)空腹時 | 766.8±90.68 | 2.0(1.0-4.0) | 6437.3±1487.68 | 18.8±10.98 |
| 10mg(12例)食後 | 637.1±102.65 | 2.5(1.5-4.0) | 6251.9±1389.96 | 19.9±11.20 |
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(範囲)
16.3 分布
In vitroでのアンブリセンタン(0.2~20μg/mL)のヒト血漿蛋白結合率は98.8%であった。また、アンブリセンタンは主にアルブミンと結合し(96.5%)、一部はα1-酸性糖蛋白質と結合した6)。
16.4 代謝
アンブリセンタンはin vitroでUDP-グルクロン酸転移酵素のUGT1A9、UGT2B7及びUGT1A3によりグルクロン酸抱合され、その他に、チトクロームP450(CYP)で酸化的に代謝される。CYPによる代謝には主にCYP3A4、一部にCYP2C19及びCYP3A5が関与する7)。
16.5 排泄
健康成人男性を対象に2H及び14C標識したアンブリセンタンを単回経口投与した時の主要排泄経路は糞中であり、投与量の約40%が未変化体、約21%が4-水酸化体として糞中に排泄された。また、尿中には、投与量の約4%が未変化体、約18%が未変化体のグルクロン酸抱合体及び4-水酸化体のグルクロン酸抱合体として排泄された8)(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎障害患者
腎障害患者におけるアンブリセンタンの薬物動態は検討されていない。 アンブリセンタンの主要排泄経路は糞中であるため、腎障害患者では、アンブリセンタンの血中濃度が上昇する可能性は低い9)。
- 16.6.2肝障害患者
肝障害患者におけるアンブリセンタンの薬物動態は検討されていない。 アンブリセンタンは、UGT及びCYPで代謝されるため、肝障害患者では、アンブリセンタンの血中濃度が上昇する可能性がある7),10)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1代謝酵素に及ぼす影響
非臨床試験において、アンブリセンタンは第Ⅰ及びⅡ相代謝酵素を阻害・誘導しなかったことから、アンブリセンタンがこれらの代謝酵素で代謝される薬剤の体内動態に影響を及ぼす可能性は低いと考えられる11)。
- 16.7.2薬剤トランスポーターに及ぼす影響
アンブリセンタンはin vitroでP-糖蛋白質及びorganic anion transporting polypeptide(OATP)の基質である。また、アンブリセンタンはin vitroでOATP1B1、OATP1B3及びsodium taurocholate co-transporting polypeptide(NTCP)を阻害し、IC50はそれぞれ47、45及び約100μMであった。アンブリセンタンはin vitroでP-糖蛋白質、bile salt export pump(BSEP)、breast cancer resistance protein(BCRP)及びmulti-drug resistance protein-2(MRP2)を阻害しなかった12),13)。
- 16.7.3CYP3A4に対する誘導の検討
健康成人を対象にアンブリセンタンがCYP3A4を誘導する可能性について尿中6β-ヒドロキシコルチゾール濃度を指標として検討した結果、アンブリセンタンはCYP3A4を誘導しなかった14)(外国人データ)。
- 16.7.4シクロスポリン
健康成人男女に、アンブリセンタン5mg反復投与時にシクロスポリン100~150mgを併用した結果、定常状態におけるアンブリセンタンのAUCは約2倍となった。シクロスポリン100~150mgを反復投与時にアンブリセンタン5mgを併用した結果、アンブリセンタンは定常状態におけるシクロスポリンの薬物動態に影響を与えなかった15)(外国人データ)。
- 16.7.5ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)
健康成人男性に、ケトコナゾール400mg反復投与時にアンブリセンタン10mgを併用した結果、アンブリセンタンのCmax及びAUCは非併用時に比べ、それぞれ約20%及び35%増加した16)(外国人データ)。
- 16.7.6リファンピシン
健康成人男女に、アンブリセンタン10mg反復投与時にリファンピシン600mgを併用した結果、リファンピシン併用初期にはアンブリセンタンのAUCの一過性の増加(約2倍)が認められたが、リファンピシンを8日間併用投与後には、リファンピシンはアンブリセンタンの薬物動態に影響を与えなかった17)(外国人データ)。
- 16.7.7経口避妊薬(エチニルエストラジオール35μg及びノルエチステロン1mg含有)
健康成人女性に、アンブリセンタン10mg反復投与時に経口避妊薬を併用した結果、アンブリセンタンはエチニルエストラジオール及びノルエチステロンの薬物動態に影響を与えなかった18)(外国人データ)。
- 16.7.8ジゴキシン
健康成人男性に、アンブリセンタン10mg反復投与時にジゴキシン0.5mgを併用した結果、アンブリセンタンはジゴキシンの薬物動態に影響を与えなかった19)(外国人データ)。
- 16.7.9オメプラゾール
オメプラゾールによる血漿中未変化体濃度及び薬物動態に与える影響を評価するため、PAH患者での長期第Ⅲ相試験における薬物動態データを用いてpost-hoc解析を行ったところ、オメプラゾール併用投与群と非併用投与群で差は認められなかった20)(外国人データ)。
- 16.7.10その他の薬剤
健康成人男女に、アンブリセンタン10mgとシルデナフィル20mg、タダラフィル40mg、又はワルファリン25mgを併用した結果、アンブリセンタンの薬物動態に変化は認められなかった。また、アンブリセンタンはシルデナフィル、タダラフィル、ワルファリンの薬物動態に影響を与えなかった21),22),23)(外国人データ)。