Clinical snapshot

アルタットカプセル37.5mg

ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩

添付文書改訂 2025年04月01日

効能・効果

  • 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、Zollinger-Ellison症候群、逆流性食道炎、麻酔前投薬

  • 下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善

  • 急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

用法・用量

  • 〈胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎〉

通常、成人にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として1回75mgを1日2回(朝食後、就寝前又は夕食後)経口投与する。また、1回150mgを1日1回(就寝前)経口投与することもできる。 通常、小児にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として、体重30kg未満では1回37.5mgを、体重30kg以上では1回75mgを1日2回(朝食後、就寝前又は夕食後)経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • 〈Zollinger-Ellison症候群〉

通常、成人にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として1回75mgを1日2回(朝食後、就寝前又は夕食後)経口投与する。 通常、小児にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として、体重30kg未満では1回37.5mgを、体重30kg以上では1回75mgを1日2回(朝食後、就寝前又は夕食後)経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • 〈麻酔前投薬〉

通常、成人にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として1回75mgを手術前日就寝前及び手術当日麻酔導入2時間前の2回経口投与する。また、1回150mgを手術前日就寝前に1回経口投与することもできる。 通常、小児にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として、体重30kg未満では1回37.5mgを、体重30kg以上では1回75mgを手術前日就寝前及び手術当日麻酔導入2時間前の2回経口投与する。

  • 〈下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善 急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期〉

通常、成人にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として1回75mgを1日1回(就寝前又は夕食後)経口投与する。 通常、小児にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として、体重30kg未満では1回37.5mgを、体重30kg以上では1回75mgを1日1回(就寝前又は夕食後)経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1薬物過敏症の既往歴のある患者

9.2 腎機能障害患者

血中濃度が持続することがあるので、投与量を減ずるか投与間隔をあけるなど注意すること。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝機能障害患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラット及びウサギの器官形成期投与試験でラットの400mg/kg投与群に分娩異常1)、ウサギの400mg/kg投与群の少数例に流早産2)が、ラットの周産期・授乳期投与試験で200mg/kg投与群の少数例に分娩異常3)がみられている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児、乳児又は幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

投与量を減ずるか投与間隔をあけるなど慎重に投与すること。本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多く、血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP 1%未満
ALTの上昇等 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
BUN上昇 1%未満
LDHの上昇等 1%未満
しびれ 1%未満
そう痒感等 1%未満
めまい 1%未満
下痢 1%未満
不眠 1%未満
乳汁分泌 1%未満
便秘等 1〜5%未満
倦怠感 1%未満
口渇等 1%未満
可逆性の錯乱状態 1%未満
女性型乳房 1%未満
好酸球数増多 1〜5%未満
幻覚 1%未満
悪心 1%未満
痙攣 頻度不明
発疹 1%未満
白血球数減少 1%未満
眠気 1%未満
肝機能異常 頻度不明
腹部膨満感 1%未満
血圧上昇 1%未満
貧血 頻度不明
頭痛等 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

胃粘膜壁細胞のヒスタミンH2受容体を選択的に遮断することにより胃酸分泌抑制作用を示す。

18.2 胃酸分泌抑制作用

  1. 18.2.1基礎分泌

消化性潰瘍患者に25mg、50mg及び80mgを経口投与した結果、酸分泌量は投与150~180分後においてそれぞれ80.7%、94.8%及び97.9%抑制された45)。

  1. 18.2.2ベタゾール、ペンタガストリン及びインスリン刺激分泌

消化性潰瘍患者及び健康成人に75mgを経口投与した結果、ベタゾール(1mg/kg)筋注、ペンタガストリン(6μg/kg)筋注及びインスリン(0.2U/kg)静注による刺激後2時間の総酸分泌量はそれぞれ97.7%、83.7%及び64.4%抑制された46),47)。

  1. 18.2.3食事刺激分泌

健康成人男性に75mgを経口投与した結果、食事刺激後2時間の総酸分泌量は78.2%抑制された48)。

  1. 18.2.4夜間分泌

消化性潰瘍患者及び健康成人に75mgを経口投与した結果、夜間7時間の総酸分泌量は95.5%抑制された49)。

  1. 18.2.5胃内pH

消化性潰瘍患者に1回75mgを1日2回(朝食後、就寝前)又は1回150mgを1日1回(就寝前)経口投与した結果、胃内のpHは上昇し、特に夜間において顕著であった。また、pH3以上を示す時間の総和はプラセボ投与時より有意に延長した50)。 6~13歳の小児患者(逆流性食道炎又はその疑い)に37.5mgを夕食後に経口投与した結果、夜間の胃内pHは上昇した。また、pH3以上を示す時間の総和は非投与時と比較し有意に延長した51)。

18.3 ペプシン分泌抑制作用

消化性潰瘍患者及び健康成人に75mgを経口投与した結果、ベタゾール(1mg/kg)筋注、ペンタガストリン(6μg/kg)筋注及びインスリン(0.2U/kg)静注による刺激後2時間の総ペプシン分泌量はそれぞれ89.8%、60.8%及び22.6%抑制された46),47)。また、夜間7時間の総ペプシン分泌量は89.4%抑制された49)。

18.4 胃粘液増加作用

胃切除術を施行予定の患者に、手術の1週間前から1回75mgを1日2回経口投与した結果、胃体部、幽門部の表層粘液ゲル層の厚さが増加する傾向が認められた52)。

18.5 血清ガストリンに及ぼす影響

消化性潰瘍患者に1日150mgを8週間経口投与した結果、血清ガストリン値は投与前後において有意な変動は認められなかった12)。

18.6 血清プロラクチン等に及ぼす影響

消化性潰瘍患者に1日150mgを6~8週間経口投与した結果、血清プロラクチン、LH、FSH、テストステロン、エストラジオール、DHEA-S及びコルチゾール値は投与前後において有意な変動は認められなかった53)。

18.7 胃粘液生合成・分泌増加作用

ラット胃組織培養系において粘液生合成増加作用が認められた54)(in vitro)。また、ラットに50、100及び200mg/kgを経口投与した結果、100mg/kg以上で胃粘液分泌を増加させた55)。

18.8 胃粘膜ヘキソサミン量に対する作用

ラットに300mg/kgを経口投与した結果、胃粘膜ヘキソサミン量には影響がみられなかったが、アスピリン経口投与及び水浸拘束ストレス負荷によるヘキソサミン量の減少はそれぞれ32及び90mg/kg経口投与により有意に抑制された56)。

18.9 胃粘膜電位差に対する作用

ラットに25mg/kgを静脈内投与した結果、基礎状態の胃粘膜電位差には影響がみられなかったが、アスピリン胃内注入による胃粘膜電位差の低下は有意に抑制された56)。

18.10 胃粘膜血液量及び粘膜内ヘモグロビン酸素飽和度に対する作用

ラットに10mg/kgを静脈内投与した結果、基礎状態の粘膜血液量及び粘膜内ヘモグロビン酸素飽和度には影響がみられなかったが、脱血ショックによるこれら指標の低下は有意に抑制された57)。

18.11 胃粘膜プロスタグランジン産生能に対する作用

ラットに200mg/kgを経口投与した結果、胃粘膜のプロスタグランジンE2及びプロスタグランジンI2の産生能を低下させなかった58)。

18.12 胃粘膜障害抑制作用

ラットに30mg/kgを腹腔内投与した結果、無水エタノール、0.6N塩酸及び0.2N水酸化ナトリウム投与による胃粘膜障害の発生を有意に抑制した59)。

18.13 実験的急性胃出血に対する作用

ラットの実験的急性胃出血に対し、用量依存的に胃出血量を抑制した60)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人に37.5mg、75mg又は150mgを単回経口投与した結果、最大血漿中濃度到達時間及び血漿中半減期等の薬物動態パラメータは以下のとおりであった4)。 また、健康成人に50mgを1日2回56日間連続経口投与した時の血漿中薬物動態の解析結果から蓄積性は認められなかった5)。

投与量 AUC
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
37.5mg 1353.15±249.41 157.5±20.2 2.38±0.69 5.57±0.28
75mg 2424.47±396.78 329.0±53.8 2.88±0.35 5.03±0.64
150mg 5275.24±695.70 628.5±66.7 2.13±0.35 5.01±0.43

(mean±S.D., n=8)

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合率

6~11%(平衡透析法, in vitro)6)。腎機能障害患者においても同程度であった7)。

  1. 16.3.2胎児への移行

帝王切開患者に75mgを手術前2回経口投与した結果、臍帯血漿中濃度は母体静脈血漿中濃度の約60%であり、羊水への移行量は投与量の0.3%以下であった8)。

  1. 16.3.3乳汁への移行

授乳期ラットに[14C]ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩を経口投与した結果、乳汁中濃度は血漿中の約2倍であったが、半減期は血漿中と同程度であった9)。

16.4 代謝

健康成人に75mgを経口投与した結果、尿中代謝物は主に脱アセチル体であり、ついで多かったのはカルボン酸誘導体であった10)。

16.5 排泄

健康成人に75mgを経口投与した結果、24時間以内に投与量の約70%が尿中に排泄され、そのうち約80%が脱アセチル体であった10)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害患者に75mgを経口投与すると、表1に示すとおり健康成人と比較して吸収過程に変化はみられなかったが、最大血漿中濃度に到達した後の血漿からの消失は腎機能の低下とともに遅延した7)。したがって腎機能障害患者に本剤を投与する場合には、投与量、投与間隔の適切な調節が必要である。

クレアチニンクリアランス
(mL/min)
T1/2
(hr)
AUC
(ng・hr/mL)
Ccr≧90 3.94±0.34 2362±160
90>Ccr≧60 5.68±0.51 4101±618
60>Ccr≧30 7.70±0.49 4981±477
30>Ccr 12.13±1.13 12993±1245
  1. 16.6.2小児

小児患者(6~14歳)に37.5mg又は75mgを朝食後単回経口投与した結果、最大血漿中濃度到達時間及び血漿中半減期等の薬物動態パラメータは以下のとおりであった11)。

投与量 n AUC
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
37.5mg 12 2053.64±619.36 353.6±131.1 2.67±1.23 4.62±1.08
75mg 13 3587.48±889.94 530.2±148.4 2.92±1.38 4.17±0.89

(mean±S.D.)

また、上記の小児患者を「用法及び用量」に合わせて再解析した結果は以下のとおりであった11)。

体重 投与量 n 体重
(kg)
AUC
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
30kg未満 37.5mg 4 26.2±3.5 2405.4±478.2 445.0±103.1 2.25±0.50 4.10±0.86
30kg以上 75mg 6 43.1±10.8 2963.7±725.8 472.7±141.9 3.17±0.75 4.12±1.01

(mean±S.D.)