18.1 作用機序
グラム陽性・陰性菌に作用し、抗菌スペクトルと試験管内抗菌力はアンピシリンとほぼ同等であるが、肺炎球菌に対する抗菌力は多少すぐれる。作用機序は細胞壁の合成阻害であり、多くの菌に殺菌的に作用し、アンピシリンより強く、耐性菌の生産するペニシリナーゼによってアンピシリンと同様に不活化される17)。
16.1 血中濃度
- 16.1.1アモキシシリン水和物単独投与の場合
アモキシシリン水和物として250mg(力価)を健康成人へ空腹時単回経口投与すると、1-2時間で3.03μg/mLの最高血中濃度が得られた2)。
- 16.1.2アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びランソプラゾール併用の場合
健康成人6例にアモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)注1)、クラリスロマイシンとして1回400mg(力価)及びランソプラゾールとして1回30mgの3剤を同時に経口投与したとき、アモキシシリン水和物の薬物動態学的パラメータ(絶食下)は下表のとおりである。
Tmax (hr) |
Cmax (μg/mL) |
t1/2 (hr) |
AUC (μg・hr/mL) |
| 1.67±0.52 |
10.05±1.62 |
1.0±0.2 |
29.04±7.15 |
Mean±S.D.
なお、3剤併用時の3剤各々の血中濃度は単独投与時の血中濃度とほぼ同様の推移を示す。
また、健康成人7例に3剤を同様の用量で同時に1日2回7日間反復経口投与したとき、薬物動態に変化は認められていない3)。
- 16.1.3アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びオメプラゾール併用の場合
健康成人にアモキシシリン水和物として1回750mg(力価)、クラリスロマイシンとして1回400mg(力価)及びオメプラゾールとして1回20mgの3剤を同時に1日2回7日間反復経口投与した場合、最終投与後のアモキシシリン水和物の血中濃度パラメータは下表のとおりである4)。
Tmax (hr) |
Cmax (μg/mL) |
t1/2 (hr) |
AUC0~∞ (μg・hr/mL) |
| 4.2±1.1 |
5.69±1.76 |
1.15±0.14※ |
27.1±10.0※ |
n=11(※:n=3)
Mean±S.D.
- 16.1.4アモキシシリン水和物、クラリスロマイシン及びラベプラゾールナトリウム併用の場合
健康成人にアモキシシリン水和物として1回750mg(力価)、クラリスロマイシンとして1回400mg(力価)及びラベプラゾールナトリウムとして1回20mg注2)の3剤を同時に1日2回7日間反復経口投与した場合、最終投与後のアモキシシリン水和物の血中濃度パラメータは下表のとおりである。
ただし、投与第1日目及び第7日目は1日1回朝経口投与(絶食下)とした(計12回)5)。
Tmax (hr) |
Cmax (μg/mL) |
t1/2 (hr) |
AUC0~12 (μg・hr/mL) |
| 1.0-2.0 |
9.86 |
1.09※ |
25.82※ |
n=19(※:n=16)
Tmaxは最小値-最大値、それ以外はMean
- 16.1.5生物学的同等性試験
アモキシシリンカプセル125mg「日医工」及びパセトシンカプセル125を、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(アモキシシリン水和物として125mg(力価))健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中アモキシシリン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された6)。
|
判定パラメータ |
参考パラメータ |
|
|
AUC0→6 (μg・hr/mL) |
Cmax (μg/mL) |
Tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
|
| アモキシシリンカプセル125mg「日医工」 |
7.03±1.50 |
2.98±0.94 |
1.53±0.62 |
1.01±0.07 |
| パセトシンカプセル125 |
6.58±1.16 |
2.76±0.84 |
1.66±0.51 |
0.97±0.09 |
(1カプセル投与, Mean±S.D., n=16)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.3 分布
- 16.3.1乳汁中移行
授乳婦6例にアモキシシリン水和物として500mg(力価)注1)単回経口投与後の乳汁中移行は投与後2~6時間後でtrace~0.6μg/mLであった7),8)。
16.4 代謝
ヒトの血中及び尿中には抗菌活性代謝物質を認めなかった9)。
16.5 排泄
アモキシシリン水和物として250mg(力価)、500mg(力価)注1)経口投与時の尿中排泄率は46.2~52.7%であった。また、一部は胆汁中に排泄され、血清中濃度と胆汁中濃度を同時に測定した3例では胆汁中濃度のpeakは血清中濃度に比べて明らかに高かった2),10)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
アモキシシリン水和物として250mg(力価)を空腹時単回投与したときの最高血中濃度は腎機能正常例(2例)の3.5μg/mLに対し、慢性腎不全例(5例)では7.7μg/mLとなり、半減期はそれぞれ0.97時間、12.6時間であった11)。
注1)「ヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」においては、アモキシシリン水和物としての承認用量は通常1回750mg(力価)である。また、「ヘリコバクター・ピロリ感染を除く感染症」においては、アモキシシリン水和物としての承認用量は通常1回250mg(力価)である。
注2)「ヘリコバクター・ピロリ感染症」においては、ラベプラゾールナトリウムとしての承認用量は通常1回10mgである。