Clinical snapshot

アムノレイク錠2mg

タミバロテン錠

添付文書改訂 2022年10月01日

【警告】

  1. 1.1本剤による治療は危険性を伴うため、投与期間中は入院又はそれに準ずる管理のもとで適切な処置を行うこと。また、緊急時に十分対応できる医療施設において、白血病[特に急性前骨髄球性白血病(APL)]のがん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2本剤は分化症候群が発現し、致死的な転帰をたどることがあるので、十分な経過観察を行うこと。このような症状があらわれた場合には休薬し、副腎皮質ホルモン剤のパルス療法等の適切な措置を行うこと。

  3. 1.3本剤には催奇形性があるので、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、妊娠する可能性のある女性には投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には使用上の注意を厳守すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.3ビタミンA製剤を投与中の患者

  4. 2.4ビタミンA過剰症の患者[ビタミンA過剰症が増悪するおそれがある。]

効能・効果

再発又は難治性の急性前骨髄球性白血病

用法・用量

寛解導入療法:1日6mg/m2を2回にわけて朝、夕食後経口投与し、骨髄寛解が得られるまで投与する。投与期間は本剤の投与開始日から8週間を越えないこと。

使用上の注意

  1. 8.1本剤には催奇形性があり、副作用の発現頻度が高いので、使用上の注意を厳守し、患者又はそれに代わり得る適切な者に副作用についてよく説明した上で投与すること。

  2. 8.2末梢血中の「芽球及び前骨髄球」の和が1,000/mm3を超える場合には、化学療法により「芽球及び前骨髄球」の和を1,000/mm3以下にしてから本剤を投与すること。

  3. 8.3APLに併発する播種性血管内凝固(DIC)では、致命的な出血傾向(脳出血、肺出血等)が報告されている。本剤投与中にこのような症状があらわれた場合には、出血傾向に対する適切な処置を行うこと。

  4. 8.4脂質代謝異常が引き起こされることがあるので、定期的に血中の総コレステロール及びトリグリセリドの検査を行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

  5. 8.5肝機能異常が引き起こされることがあるので、定期的に肝機能検査を行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

  6. 8.6本剤投与中に関節痛・骨痛の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。

  7. 8.7間質性肺疾患があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1脂質異常症の素因がある患者

  2. 9.1.2無酸症等著しい低胃酸状態が持続している患者 本剤は中性付近において溶解度、溶出性等が増加する性質をもつため、本剤の吸収が増加し、作用が増強されるおそれがある。また、類薬(エトレチナート)で牛乳又は高脂肪食と服用すると吸収が増加することが報告されている。

  3. 9.1.325歳以下の患者 骨の成長が終了していない可能性があるので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ観察及び定期的な検査を十分に行いながら慎重に投与すること。ラット、イヌを用いた動物実験で過骨症及び骨端の早期閉鎖を起こすことが報告されている1),2) 。

9.2 腎機能障害患者

類薬(トレチノイン)で重篤な腎障害を起こすおそれがあることが報告されている。

9.3 肝機能障害患者

類薬(エトレチナート)で肝障害が悪化するおそれがあることが報告されている。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠する可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。疾患の重症度及び治療の緊急性を考慮した上で、患者には胎児への毒性の可能性及び次の注意事項についてよく説明し理解させた後、投与すること。

  2. (1)本剤には催奇形性があるので、妊娠する可能性のある女性で他に代わるべき治療法がない重症な患者にやむを得ず投与する場合には、投与開始前の少なくとも1カ月間、投与中及び投与中止後少なくとも2年間は必ず避妊させること。

  3. (2)本剤の投与は次の正常な生理周期の2日又は3日目まで開始しないこと。

  4. (3)本剤の投与開始前2週間以内の妊娠検査が陰性であるとの結果を確認すること。

  5. (4)本剤の投与中は1カ月毎に追加の妊娠検査を実施することが望ましい。

  6. 9.4.2男性に投与する場合には、投与中及び投与終了後6カ月間は避妊させること。ラット、イヌを用いた動物実験で、精子形成能に異常を起こすことが報告されている。

  7. 9.4.3男性に投与する場合には、不妊など性腺に対する影響を考慮すること。ラット及びイヌにおいて、精巣毒性の所見が報告されており2),3),4),5) 、これらの所見は臨床投与条件下におけるAUCと同程度で認められている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットの0.3mg/kg/dayで、後期死亡胎児数の増加、胎児の外形及び内臓異常として口蓋裂、顔面裂、無眼球、小眼球、眼瞼開存、口角部の裂、外脳、髄膜瘤、耳介形態異常、骨格変異である頸肋、胸推体ダンベル状骨化が、ウサギの0.1mg/kg/dayで、流産頻発、死亡胎児数の増加、胎児の外表、内臓及び骨格異常などの催奇形性が報告されている6),7),8) 。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が認められている9) 。

9.7 小児等

  1. 9.7.1小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

  2. 9.7.2類薬(トレチノイン)において、長期投与した場合に頭蓋内圧上昇症状が報告されている。

9.8 高齢者

用量に留意して定期的に血漿アルブミン検査を行い、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。血漿アルブミンが減少していることが多く、本剤は血漿蛋白との結合性が強いため、血漿アルブミンが減少していると遊離の薬物血漿中濃度が高くなるおそれがある。また、生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。

相互作用

  • 本剤は薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP3A4)により代謝されることが示されている。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ビタミンA製剤(チョコラA等) ビタミンA過剰症と類似した副作用症状を起こすおそれがある。 本剤はビタミンAと同じレチノイドである。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A4誘導剤
• フェニトイン
カルバマゼピン
リファンピシン
デキサメタゾン
フェノバルビタール等セイヨウオトギリソウ〔St.John’s Wort(セント・ジョーンズ・ワート)〕含有食品
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。 本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、本剤の代謝が亢進し血中濃度が低下する可能性がある。
CYP3A4阻害剤
• アゾール系抗真菌剤
マクロライド系抗生物質
カルシウム拮抗剤等グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が増加し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがある。 本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、本剤の代謝が阻害され血中濃度が増加する可能性がある。
制酸剤
• H2-受容体拮抗剤• シメチジン等
• プロトンポンプ阻害剤• オメプラゾール等
本剤の吸収が増加するおそれがある。 これらの薬剤により胃内のpHが上昇し、本剤の溶解度が上昇し、吸収が増加する可能性がある。
フェニトイン フェニトインの血中濃度が上昇し、フェニトインの作用が増強するおそれがある。 類薬(エトレチナート)でフェニトインとの併用により、フェニトインの蛋白結合能を低下させるとの報告がある。
抗線溶剤
• トラネキサム酸等アプロチニン製剤
類薬(トレチノイン)において、これらの薬剤を併用した患者で血栓症を発現し、重大な転帰をたどったとの報告があるので、併用に際しては慎重に行うこと。 類薬(トレチノイン)投与により、凝固線溶系のバランスが変化するためと考えられている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 5%以上
ALT増加 5%以上
AST増加 5%以上
CPK増加 頻度不明
CRP増加 5%以上
LDH増加 5%以上
TC増加 5%以上
TG増加 5%以上
γ-GT(GTP)増加 頻度不明
アミラーゼ増加 頻度不明
しゃっくり 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ヘモグロビン減少 5%以上
下痢 頻度不明
低酸素症 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
剥脱性皮膚炎 5%以上
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
喀血 頻度不明
嗅覚錯誤 頻度不明
嘔吐 頻度不明
尿潜血 頻度不明
尿蛋白 頻度不明
悪心 頻度不明
感覚減退 頻度不明
毛包炎 5%以上
水疱性皮膚炎 頻度不明
消化不良 頻度不明
湿疹 5%以上
痔核 頻度不明
発熱 5%以上
発疹 5%以上
白血球数増加 5%以上
皮膚乾燥 5%以上
皮膚刺激 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
粘膜疹 頻度不明
紅斑 頻度不明
総蛋白増加 頻度不明
耳痛 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
腫脹 頻度不明
腹痛 頻度不明
血中アルブミン減少 頻度不明
血中クロール減少 頻度不明
血中ナトリウム減少 頻度不明
血中尿素減少 頻度不明
血小板数増加 頻度不明
血小板数減少 頻度不明
関節痛 5%以上
頭痛 5%以上
骨痛 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

APLに特異的な染色体異常[t(15;17)転座]の結果生じるPML-RARAキメラ遺伝子は、PMLあるいはRARαの機能を阻害することでアポトーシスの抑制及び骨髄系細胞の分化を阻害しAPLの発症に関与していると考えられている。ここに、本剤が作用するとAPL細胞のPML-RARAキメラ遺伝子の抑制機構が解離され前骨髄球の分化が誘導されると考えられる18),19),20),21),22) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1APL患者10名に本剤2.0mg、4.0mg又は6.0mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
投与量(mg/body) 2.0*1 4.0*2 6.0*2
Tmax(hr) 2~4
Cmax(ng/mL) 18.02 44.87 65.22
AUC(hr・ng/mL) 128.37 320.41 430.26
t1/2(hr) 3.4 4.5 4.0

1:n=4,2:n=3

16.2 吸収

雌雄ラットに14C標識した本剤を0.4mg/kgの用量で単回経口投与したとき、血漿中濃度は投与後30分で最高値の80%以上に達したことから、本剤は消化管から速やかに吸収されることが示唆された13) 。

16.3 分布

本剤のヒト血漿蛋白への結合率はin vitro試験において約99%と高く、主にアルブミンと結合する15) 。

16.4 代謝

in vitro試験の結果から本剤の代謝には主にCYP3A4が関与していることが示唆された。また、本剤は高濃度(100μmol/L)でCYP2C8/9、CYP2C19及びCYP3A4に対して阻害作用を示した16) 。

16.5 排泄

ラット及びイヌを用いて検討したところ、本剤の主排泄経路は糞であった。雄性ラットに14C標識した本剤を0.4mg/kgの用量で単回経口投与したとき、投与後168時間までの尿中には投与した放射能の11.9%、糞中には86.4%が排泄された。また、投与後48時間までの胆汁中には投与量の53.7%の放射能が排泄されたことから、糞中に排泄される放射能の約60%は胆汁経由であると推察された。また、雄性イヌに14C標識した本剤を0.4mg/kgの用量で単回経口投与したとき、投与後168時間までの尿中には投与した放射能の1.7%、糞中には99.7%が排泄された。さらに14C標識した本剤を0.4mg/kgの用量で単回経口投与した雄性ラットから採取した胆汁の一部を別の雄性ラットの十二指腸に注入したところ、胆汁中及び尿中に注入量の43.3%及び6.9%の放射能が排泄されたことから、胆汁中に排泄された放射能はその約50%が再吸収されるものと考えられた13),14) 。