Clinical snapshot

アタラックス−Pカプセル50mg

ヒドロキシジンパモ酸塩

添付文書改訂 2020年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分、セチリジン、ピペラジン誘導体、アミノフィリン、エチレンジアミンに対し過敏症の既往歴のある患者1)

  2. 2.2ポルフィリン症の患者2)

  3. 2.3妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 蕁麻疹、皮膚疾患に伴う瘙痒(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症)

  • 神経症における不安・緊張・抑うつ

用法・用量

皮膚科領域には、ヒドロキシジンパモ酸塩として、通常成人1日85~128mg(ヒドロキシジン塩酸塩として50~75mg)を2~3回に分割経口投与する。 神経症における不安・緊張・抑うつには、ヒドロキシジンパモ酸塩として、通常成人1日128~255mg(ヒドロキシジン塩酸塩として75~150mg)を3~4回に分割経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械類の操作には従事させないよう注意すること。
  • 〈蕁麻疹、皮膚疾患に伴う瘙痒(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症)〉
  1. 8.2本剤投与により皮膚疾患の改善が認められない場合には、本剤による皮膚症状を考慮し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者

痙攣閾値を低下させることがある。

  1. 9.1.2QT延長のある患者(先天性QT延長症候群等)、著明な徐脈や低カリウム血症等がある患者

QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)を起こすことがある。

  1. 9.1.3下記の患者
  • 緑内障の患者3)

  • 前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患のある患者3)

  • 重症筋無力症の患者3)

  • 認知症の患者

  • 狭窄性消化性潰瘍又は幽門十二指腸閉塞等消化管運動が低下している患者3)

  • 不整脈を発現しやすい状態にある患者

  • 本剤の抗コリン作用により症状が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

中等度又は重度の腎障害のある患者で血中濃度半減期が延長したとの報告がある。

9.3 肝機能障害患者

血中濃度半減期が延長したとの報告がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠初期(約3ヵ月)に本剤を投与された女性が、口蓋裂等の奇形を有する児を出産したとの報告がある4)。また、妊娠中の投与により、出産後新生児に傾眠、筋緊張低下、離脱症状、錐体外路障害、間代性運動、中枢神経抑制等の精神神経系症状、新生児低酸素症があらわれたとの報告がある4),5)。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。本剤がヒト母乳中に移行するかどうかは知られていないが、授乳中の新生児に中枢神経抑制、緊張低下があらわれたとの報告がある。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

相互作用

  • 本剤は、in vitro試験において、主としてCYP3A4/CYP3A5及びアルコール脱水素酵素で代謝されることが報告されているため、これらの薬物代謝酵素を阻害する薬剤と併用した場合、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤、アルコール、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 相互に作用を増強するおそれがある3)ので減量するなど慎重に投与すること。 両剤ともに中枢神経抑制作用を有するため、併用により作用が増強されるおそれがある。
ベタヒスチン、抗コリンエステラーゼ剤(ネオスチグミン臭化物等) これらの薬剤の作用を減弱させるおそれがある6)。 本剤はこれらの薬剤の作用と拮抗することがある。
シメチジン シメチジンとの併用により、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある7)。 シメチジンは本剤の肝臓での主な代謝酵素であるCYP1A2、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4、CYP3A5を阻害し、本剤の代謝、排泄を遅延させる。
不整脈を引き起こすおそれのある薬剤(シベンゾリンコハク酸塩等) 併用により心室性不整脈等の副作用があらわれたとの報告がある。 ともに心血管系の副作用を起こすおそれがある。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)を起こすおそれがある。 併用によりQT延長作用が増強されるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
そう痒 頻度不明
めまい 1%未満
不安 頻度不明
不眠 頻度不明
不随意運動 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
傾眠 頻度不明
口渇 1%未満
嘔気・嘔吐 1%未満
多形滲出性紅斑 頻度不明
尿閉 頻度不明
幻覚 頻度不明
振戦 頻度不明
浮腫性紅斑 頻度不明
痙攣 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 1%未満
眠気 頻度不明
紅斑 頻度不明
紅皮症 頻度不明
胃部不快感 1%未満
興奮 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血圧降下 頻度不明
錯乱 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1中枢抑制作用

ヒドロキシジンは、視床、視床下部、大脳辺縁系などに作用し、中枢抑制作用を示すものと考えられている16)。

  1. 18.1.2抗アレルギー作用

ヒドロキシジンは、標的細胞のヒスタミン受容体においてヒスタミンと競合し、ヒスタミンが受容体に結合するのを阻害することで抗ヒスタミン作用(H1受容体拮抗作用)を示す17)。

18.2 薬効を裏付ける試験成績

  1. 18.2.1中枢抑制作用

ヒドロキシジンは、電気刺激によるマウス情動行動に対し優れた静穏効果を示す。電撃闘争ラットにおける馴化作用は、クロルジアゼポキシドとほぼ同等である17)。 ヒドロキシジンは、ラットのアポモルヒネによるそしゃく運動に対して抑制作用を示すが、カタレプシー作用は認められていない18)。

  1. 18.2.2抗アレルギー作用

ヒドロキシジンは、モルモット卵白感作喘息に対して、強力な抗アレルギー作用を有することが確認されている19)。 in vitro(摘出腸管)でみた抗ヒスタミン作用はジフェンヒドラミンとほぼ同程度にとどまるが、モルモットのヒスタミン致死量(皮下注射)を指標に、ヒドロキシジンの抗ヒスタミン作用を検討すると、ヒドロキシジン経口投与1時間後のヒスタミン致死量は、対照の1,200倍、24時間後のそれは600倍となり、本剤が強力で持続的な抗ヒスタミン作用を有することが明らかにされている18)。

時間
投与法
1分後 30分後 1時間後 4時間後 24時間後
経口 2.5mg/kg - 600 1,200 800 600
静注 2.5mg/kg 25以下 600 800 600 400

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

ヒドロキシジン塩酸塩を健康成人(7人)に0.7mg/kg単回経口投与(シロップ液)した結果、投与後1時間の血中濃度は42.6ng/mL、2時間で70.0ng/mL、24時間で13.6ng/mLとなり、その消失半減期は20.0時間であった8)(高速液体クロマトグラフ法)(外国人データ)。

例数 Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
(hr)
クリアランス
(mL/min/kg)
Vd
(L/kg)
AUC
(ng・hr/mL)
健康成人 7 72.5±11.1 2.1±0.4 20.0±4.1 9.8±3.2 16.0±3.0 642.0~1581.2

16.3 分布

  1. 16.3.1血液-脳関門通過性

通過する9),10)。

  1. 16.3.2胎児への移行性

通過する9),10)。但し、ヒドロキシジン塩酸塩注射の成績により、分娩前投与で新生児のapgar指数に特に影響を与えないと考えられる11)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1代謝経路

ヒドロキシジンは肝で代謝される。

  1. 16.4.2代謝に関与する酵素

主としてCYP3A4/CYP3A5及びアルコール脱水素酵素で代謝される。

  1. 16.4.3代謝物の活性の有無

ヒトの主要代謝物として、中枢抑制作用がなく抗ヒスタミン作用をもつ活性物質セチリジンがあるが、代謝過程等の詳細については明らかでない12)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

ヒドロキシジンを腎機能障害患者に投与し、体内薬物動態を検討した報告はない。但し、以下の結果より、腎機能障害患者ではヒドロキシジンの活性代謝産物であるセチリジンの投与時に、セチリジンのt1/2を延長させること等が報告されているので、腎機能障害患者への投与は、ヒドロキシジンの作用が延長する可能性がある。 セチリジン10mgを、健康成人(Normal, Group Ⅰ)、腎機能障害患者(Mild, Group Ⅱ、Moderate, Group Ⅲ)に投与し、体内動態を検討した結果、健康成人に比較し、腎機能障害患者では、分布容積Vd/Fには、差がみられないが、t1/2は延長し、総クリアランスTBC/Fは低値となった13)(外国人データ)。

Normal, Group Ⅰ
(n=5)
Mild, Group Ⅱ
(n=5)
Moderate, Group Ⅲ
(n=5)
Tmax(hr) 0.9±0.2 1.1±0.2 2.2±1.1
Cmax(ng/mL) 313±45 356±64 357±172
AUC(mg・hr/L) 2.7±0.4 6.9±1.8 10.7±2.4
t1/2(hr) 7.4±3.0 19.2±3.3 20.9±4.4
TBC/F(mL/hr/kg) 47±7 17±4 15±4
Vd/F(L/kg) 0.50±0.07 0.46±0.1 0.54±0.21
腎クリアランス(mL/min) 40.5±10.1 7.1±3.6 2.8±1.5
クレアチニンクリアランス(mL/min) 122±16 44±11 19±10
  1. 16.6.2肝機能障害患者

ヒドロキシジン塩酸塩0.7mg/kg(シロップ液)を原発性胆汁性肝硬変の患者8人に単回投与した結果、t1/2の平均値は36.6±13.1hrであり、健康成人のt1/2 20.0±4.1hrに比較して延長した。また、ヒドロキシジンの活性代謝産物であるセチリジンのt1/2も同患者群では健康成人のt1/2 11.4±3.1hrと比較し25.0±8.2hrに延長した14)(外国人データ)。

健康成人
(n=7)
肝機能障害患者
(n=8)
年齢(yr) 29.3±9.4 53.4±11.2
ヒドロキシジン Cmax(ng/mL) 72.5±11.1 116.5±60.6
Tmax(hr) 2.1±0.4 2.3±0.7
t1/2(hr) 20.0±4.1 36.6±13.1
クリアランス(mL/min/kg) 9.8±3.2 8.7±7.5
Vd(L/kg) 16.0±3.0 22.7±13.3
セチリジン Cmax(ng/mL) 373.8±157.6 500.4±302.0
Tmax(hr) 3.8±0.9 4.8±2.8
t1/2(hr) 11.4±3.1 25.0±8.2
  1. 16.6.3高齢者

ヒドロキシジン塩酸塩を高齢健康者9名(平均69.5歳)に0.7mg/kg(平均49mg)単回経口投与した結果、加齢による分布容積の増加から半減期の延長が認められた8),15)(外国人データ)。

分布容積
(L)
クリアランス
(mL/min/kg)
t1/2
(hr)
AUC
(ng・hr/mL)
高齢健康者 22.5±6.3 9.6±3.2 29.3±10.1 1383.1±1039.0
若年健康者 16.0±3.0 9.8±3.3 20.0±4.1 642.0±1581.2