Clinical snapshot

アスペノンカプセル20

アプリンジン塩酸塩

添付文書改訂 2021年08月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な刺激伝導障害(完全房室ブロック等)のある患者[刺激伝導障害を増悪させるおそれがある。]

  2. 2.2重篤なうっ血性心不全の患者[心筋収縮力低下により、心不全を悪化させるおそれがある。]

  3. 2.3妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 下記の状態で他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合

  • 頻脈性不整脈

用法・用量

通常、成人にはアプリンジン塩酸塩として、1日40mgより投与をはじめ、効果が不十分な場合は60mgまで増量し、1日2~3回に分けて経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与中に、無顆粒球症、顆粒球減少あるいは白血球減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うこと。なお、無顆粒球症による死亡例が報告1),2)されている。

  2. 8.2本剤の投与に際しては、頻回に患者の状態を観察し、心電図、脈拍、血圧、心胸比を定期的に調べること。PQの延長、QRS幅の増大、QTの延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。

  3. 8.3本剤の投与中に、AST、ALT、Al-P、LDH等、肝・胆道系酵素値及び総ビリルビンの上昇があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行うこと。特に投与初期においては2週間に1回検査を行うことが望ましい。

  4. 8.4本剤の投与中に、手指振戦、めまい、ふらつき等の精神神経系症状が発現し、増悪する傾向がある場合には、直ちに減量又は投与を中止すること(精神神経系の症状は用量依存的に発現しやすい)。また、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1うっ血性心不全の患者(重篤なうっ血性心不全の患者を除く)又は基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者

開始後1~2週間は入院させること。また、少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。 心室頻拍、心室細動等が発現するおそれが高い。うっ血性心不全の患者においては心筋収縮力低下により、心不全を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2軽度の刺激伝導障害(不完全房室ブロック、脚ブロック等)のある患者

刺激伝導障害を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.3著明な洞性徐脈の患者

徐脈を助長させるおそれがある。

  1. 9.1.4パーキンソン症候群の患者

パーキンソン様症状を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.5血清カリウム低下のある患者

QT延長、催不整脈(Torsades de pointes等)などを発現させるおそれがある。

  1. 9.1.6他の抗不整脈薬を投与中の患者

少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。併用時の有効性、安全性は確立していない。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重篤な腎機能障害のある患者

腎機能障害を増悪させるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害のある患者

肝機能障害を増悪させるおそれがある。また、アプリンジンは肝代謝型の薬剤であるため、肝機能障害のある患者では血中アプリンジン濃度が上昇するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。動物実験で、母体の一般状態悪化による二次的影響と考えられるが、経口投与(ラット)による胎児の発育抑制3)、静脈内投与(ウサギ)による生存胎児数の減少及び胎児死亡数の増加4)がみられている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物(ラット)の乳汁中への移行が報告されている5)。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

入院させて開始することが望ましい。少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ジソピラミド
キニジン硫酸塩水和物
メキシレチン塩酸塩
動物実験において作用増強の報告があることから、刺激伝導障害(房室ブロック、脚ブロック等)を起こすおそれがあるので、慎重に投与すること。 心筋の最大脱分極速度を抑制することから、本剤並びに併用薬剤の刺激伝導系の抑制作用を相加的又は相乗的に増強すると考えられる。
ジルチアゼム塩酸塩 両剤の血中濃度が上昇したとの報告6)があるので、併用する場合には両剤共減量する等、慎重に投与すること。 肝臓の同一薬物代謝酵素に影響を及ぼし合い、両剤の血中濃度を上昇させる。
アミオダロン塩酸塩 アプリンジンの血中濃度が上昇するとの海外報告7)があるため、併用する場合には慎重に投与すること。 機序不明
局所麻酔剤
• メピバカイン塩酸塩
両剤の中枢神経系及び心臓に対する副作用が増強される可能性が報告8)されているので、併用する場合には慎重に投与すること。 両剤の抗不整脈作用及び局所麻酔作用が、併用により相加することが考えられる。
ベラパミル塩酸塩 アプリンジンの血中濃度が上昇するとの報告9)があるので、併用する場合には慎重に投与すること。 ベラパミルによるチトクロームP450(CYP3A4)に対する競合的阻害作用による。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P 頻度不明
ALT 頻度不明
AST 頻度不明
CKの上昇 頻度不明
LDH 頻度不明
PQ・QRS・QTcの延長 頻度不明
γ-GTP 頻度不明
しびれ感 頻度不明
そう痒感 頻度不明
めまい・ふらつき 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
前胸部痛 頻度不明
動悸 頻度不明
口渇 頻度不明
嘔吐 頻度不明
好酸球増多 頻度不明
幻覚 頻度不明
徐脈 頻度不明
心不全 頻度不明
悪心・嘔気 頻度不明
房室ブロック 頻度不明
抑うつ症状 頻度不明
抗核抗体の陽性化 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿障害 頻度不明
沈みこむ感じ 頻度不明
洞停止 頻度不明
消化不良 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球減少 頻度不明
眠気 頻度不明
総ビリルビンの上昇 頻度不明
緑視 頻度不明
肝炎 頻度不明
胆汁うっ滞性肝炎 頻度不明
腎機能異常 頻度不明
腹痛 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板減少 頻度不明
複視 頻度不明
視力異常 頻度不明
言語障害 頻度不明
貧血 頻度不明
足のもつれ 頻度不明
頭がボーとする 頻度不明
頭痛 頻度不明
頭重感 頻度不明
顆粒球減少 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

心筋細胞のNaイオンチャネル抑制作用により、活動電位の最大脱分極速度(Vmax)を抑制し、心筋の興奮性、刺激伝導系を抑制することにより抗不整脈作用をもたらす。 Sicillian Ganbit(日本版)による薬剤分類によると本剤はNaイオンチャネル抑制作用だけでなく、Caイオンチャネル、Kイオンチャネルなどに抑制的な作用をもたらし、心房、心室筋の各活動電位相に影響をもたらし抗不整脈作用を発揮すると考えられている。

18.2 実験的不整脈に対する作用

  1. 18.2.1イヌの冠動脈二段結紮による実験的心筋梗塞時不整脈を、静脈内投与及び経口投与で抑制する。最小有効血漿中濃度は、クラスⅠ群の抗不整脈薬の中で最も低値である20),21)。

  2. 18.2.2アドレナリン、ウアバイン、アコニチンにより惹起された実験的不整脈を抑制し、その効果はジソピラミド、メキシレチン、キニジン、リドカイン、プロカインアミドより優れている(イヌ、モルモット、マウス)20),21)。

18.3 電気生理学的作用

  1. 18.3.1最大脱分極速度に対する作用

イヌのプルキンエ線維及び心室筋の最大脱分極速度(Vmax)を用量依存性に抑制し、モルモット心室筋のVmaxを刺激頻度依存性及び膜電位依存性に抑制する22),23)。

  1. 18.3.2ナトリウムチャネル遮断作用

モルモットの心室乳頭筋のNaチャネルを活性化状態(AC)よりもむしろ不活性化状態(IC)でより強く抑制する24)。

  1. 18.3.3活動電位持続時間に対する作用

イヌのプルキンエ線維の活動電位持続時間(APD)を用量依存性に短縮させ、心室筋のAPDを僅かに延長させる。

  1. 18.3.4有効不応期に対する作用

ウシのプルキンエ線維の有効不応期(ERP)を短縮させるが、ERP/APD比を増大させ、心室筋のERPを延長させる25)。

  1. 18.3.5ペースメーカー活性に対する作用

ウシのプルキンエ線維の低カリウム、ノルアドレナリンによる自発性拡張期脱分極を抑制する25)。

  1. 18.3.6心筋興奮伝導に対する作用

ウサギ摘出心臓の心房-ヒス伝導時間(AH時間)及びヒス-心室伝導時間(HV時間)を延長させる26)。

18.4 臨床電気生理学的作用

不整脈患者42例(14~82歳)に本剤100mgを静脈内投与した場合、洞周期、最大洞自動能回復時間及び洞房伝導時間を変化させず、AH時間、HV時間を延長させ、また、心房筋、房室結節及び心室筋のERPを延長させる27)。

18.5 心機能に対する作用

心室性不整脈患者9例(15~62歳)に本剤50~75mgを反復投与した場合、心拍数、血圧及び左室駆出率に変化はみられない28)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人11)及び不整脈患者12)に経口投与した場合、消化管からの吸収は良好で投与後2~4時間で最高血漿中濃度に達する。 血漿中濃度の半減期は投与量に依存して延長し11)、投与量と血漿中濃度は非直線関係を示す11),13)。 アスペノンカプセルを単回投与後の血漿中濃度の推移及び投与量と血漿中濃度曲線下面積(AUC0~24)、最高血漿中濃度(Cmax)との関係は下図のとおりで、アプリンジン塩酸塩は非線形の薬物動態を示す11)ため、投与量と最高血漿中濃度(Cmax)、曲線下面積(AUC)は比例しない。投与量の増加に伴い、半減期(T1/2β)は延長し、予想以上の血漿中濃度上昇が見られることがある。

  1. 16.1.2反復投与

不整脈患者に反復経口投与した場合、血漿中濃度は7~14日でほぼ定常状態に達し、その後の消失半減期は約50時間である13),14)。 不整脈患者(14名)にアスペノンカプセル60mgを反復投与した時の血漿中濃度推移は下図のとおりである14)。

  1. 16.1.3有効血中濃度

0.25~1.25μg/mL15)

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿タンパク結合率

94~97%(平衡透析法)11)

16.4 代謝

アプリンジンは主に肝臓で代謝され、健康成人での主要代謝物はアプリンジンのデスエチル体及び水酸化体である11)。 肝臓の薬物代謝酵素のうち、CYP2D6が本剤の代謝に関与しているとの報告がある16)(外国人データ)。 代謝物のうちデスエチルアプリンジンには、動物実験(イヌ)においてアプリンジンと同等の抗不整脈作用が認められているが、ヒトの血中には検出されないか、認められてもわずかである12),13),17)。

16.5 排泄

健康成人に3H-アプリンジンを経口投与した場合、尿中への排泄量は24時間で17.0%、120時間で42.5%である18)(外国人データ)。 健康成人に経口投与したときの未変化体尿中排泄率(96時間)は1%以下である11)。