Clinical snapshot

アザクタム注射用0.5g

アズトレオナム

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分によるショックの既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

本剤に感性の淋菌、髄膜炎菌、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌

  • 〈適応症〉

敗血症、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、尿道炎、子宮頸管炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆囊炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、中耳炎、副鼻腔炎

用法・用量

通常、成人には、1日1~2g(力価)を2回に分けて静脈内注射、点滴静注又は筋肉内注射する。ただし、通常、淋菌感染症及び子宮頸管炎には、1日1回1~2g(力価)を筋肉内注射又は静脈内注射する。 通常、小児には、1日40~80mg(力価)/kgを2~4回に分けて静脈内注射又は点滴静注する。 なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、難治性又は重症感染症には、成人では1日量4g(力価)まで増量し2~4回に分けて投与し、小児では1日量150mg(力価)/kgまで増量し3~4回に分けて投与する。 通常、未熟児、新生児には、1回20mg(力価)/kgを生後3日までは1日2回、4日以降は1日2~3回静脈内注射又は点滴静注する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
  • 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。

  • 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。

  • 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

  1. 8.2急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  2. 8.3本剤の投与により、肝機能異常があらわれることがあるので、必要に応じ肝機能検査を行うことが望ましい。

  3. 8.4本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1ペニシリン系又はセフェム系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

交叉アレルギー反応が起こるとの報告がある。

  1. 9.1.2本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質の患者

  2. 9.1.3経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症があらわれるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

投与量を減ずるか、投与間隔を開けて使用すること。血中濃度が持続する。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することがある。

9.8 高齢者

次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

  • 本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多く、高齢者の体内薬物動態試験で高い血中濃度が持続する傾向が認められている。

  • ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 利尿剤• フロセミド等 腎障害が悪化した報告がある。 機序は不明である。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P 1〜5%未満
ALT 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
LAPの上昇 1〜5%未満
LDH 1〜5%未満
γ-GTP 1〜5%未満
カンジダ症 頻度不明
ビタミンB群欠乏症状(舌炎 頻度不明
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症 頻度不明
出血傾向等) 頻度不明
動悸 1%未満
口内炎 頻度不明
口内炎 頻度不明
嘔吐 1%未満
好酸球増多 1〜5%未満
末梢性浮腫 1%未満
瘙痒感 1%未満
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
発赤 頻度不明
知覚減退 1%未満
神経炎等) 頻度不明
胸痛 1%未満
蕁麻疹 1%未満
蛋白尿 頻度不明
血小板減少 1%未満
血尿 1%未満
血清カリウムの上昇 1%未満
貧血 1%未満
頭痛 1%未満
顆粒球減少 1%未満
食欲不振 1%未満
食欲不振 頻度不明
黄疸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

感受性細菌のペニシリン結合蛋白(PBP)のうち、特にPBP3に高い結合親和性を有し、細胞壁合成阻害により強い殺菌作用を示す。また、グラム陰性菌の外膜に対する透過性も良好である20),21),22)。

18.2 抗菌作用

大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、アズトレオナムに感性の淋菌、髄膜炎菌に対して強い抗菌力を示し、さらに、多くのβ-ラクタム系抗生物質に抵抗を示す緑膿菌、セラチア属、エンテロバクター属にもすぐれた抗菌力を有する20),21),23),24),25)。

18.3 β-ラクタマーゼに対する安定性及びその産生誘導能

各種細菌の産生するβ-ラクタマーゼに対して安定であり、β-ラクタマーゼ産生グラム陰性菌にも強い抗菌作用を示す。また、β-ラクタマーゼ産生誘導能もほとんど認められていない20),23),24),25)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与(静脈内注射)

健康成人5名に本剤1g(力価)を単回静脈内注射した場合、投与5分後の平均血清中濃度は130.6μg/mLと高値を示し、半減期は1.85時間であった。また健康成人3~5名に本剤0.5、2g(力価)を単回静脈内注射した場合、投与5分後の平均血清中濃度はそれぞれ70.7、256.0μg/mLを示し、投与量にほぼ比例していた2)。

図1 本剤0.5~2g単回静脈内投与後の平均血清中濃度

投与量
定数
0.5g(n=3) 1g(n=5) 2g(n=5)
t1/2(h) 1.76 1.85 1.63
AUC(μg・h/mL) 99.0 222 389
Vd(L) 15.9 13.1 13.6
  1. 16.1.2単回投与(点滴静注)

健康成人5名に本剤1g(力価)を1時間で点滴静注した場合、平均血清中濃度は点滴終了直後に最高値93.4μg/mLであった。以後の血清中濃度の推移は静脈内注射と同様であった2)。

図2 本剤1g単回点滴静注後の平均血清中濃度

  1. 16.1.3単回投与(筋肉内注射)

健康成人5名に本剤1g(力価)を単回筋肉内注射した場合、平均血清中濃度は投与40分後に最高値66.3μg/mLを示し、半減期は2.01時間であった2)。

図3 本剤1g単回筋肉内注射後の平均血清中濃度

  1. 16.1.4反復投与

健康成人6名に本剤1g(力価)を12時間ごと、連続9回(5日間)静脈内注射しても、血清中濃度及び尿中排泄の推移から蓄積性は認められていない2)。

16.3 分布

患者の喀痰、胆汁、腹腔内浸出液、髄液、骨盤死腔浸出液、眼房水等の体液中への移行性及び胆囊組織、前立腺組織、子宮・子宮付属器各組織、中耳粘膜等への移行性は良好である3),4),5),6),7),8),9),10)。

16.5 排泄

生体内でほとんど代謝されることなく主として尿中に排泄される。健康成人に静脈内注射及び筋肉内注射した場合の投与後24時間までの尿中排泄率はそれぞれ57%、81%を示し、そのほとんどは投与後8時間以内に排泄された2)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害成人8例に本剤1g(力価)を単回静脈内注射した時の血中濃度は、クレアチニン・クリアランス(Ccr)の低下とともに高値を示し、その半減期は延長した。尿中排泄率もCcrの低下とともに減少した11)。

  1. 16.6.2小児

小児に本剤10、20及び50mg(力価)/kgを単回静脈内注射した場合、投与15分後の平均血中濃度は50.1、160.4及び179.2μg/mLと高値を示した。半減期は1.35~1.56時間と健康成人と比べてやや短かった6)。