片頭痛発作の発症抑制
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはエレヌマブ(遺伝子組換え)として70mgを4週間に1回皮下投与する。
使用上の注意
-
8.1本剤は片頭痛の治療に関する十分な知識及び経験を有する医師のもとで使用すること。
-
8.2本剤は発現した頭痛発作を緩解する薬剤ではないので、本剤投与中に頭痛発作が発現した場合には必要に応じて頭痛発作治療薬を頓用させること。投与前にこのことを患者に十分に説明しておくこと。
-
8.3本剤投与後に、重篤な合併症を伴う便秘が発現する場合があることを患者に説明し、便秘が回復しない又は悪化する場合には医療機関を受診するよう患者に指導すること。特に、便秘の既往歴を有する患者及び消化管運動低下を伴う薬剤を併用している患者では発現リスクが高くなるおそれがあるため注意すること。
-
8.4*本剤の自己投与にあたっては、以下の点に留意すること。
-
*本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。
-
*自己投与の適用については、その妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
-
*自己投与適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。
-
*自己投与を適用する場合は、使用済みの注射器を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ヒトIgGは胎盤関門を通過することが知られている。生殖発生毒性試験(カニクイザル)において胎盤移行が認められた1)。なお、臨床用量の40倍の曝露量で実施した生殖発生毒性試験(カニクイザル)において、妊娠、胚胎児又は出生後の発達(生後6カ月まで)に影響は認められなかった1)。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトの乳汁中への移行及び授乳された乳児への影響は不明である。ヒトIgGは乳汁中へ移行することから、本剤も移行する可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
相互作用
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| アラニンアミノトランスフェラーゼ増加 | 1%未満 |
| インフルエンザ様疾患 | 1%未満 |
| そう痒性皮疹 | 1%未満 |
| そう痒感 | 頻度不明 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| 上咽頭炎 | 1%未満 |
| 上腹部痛 | 1%未満 |
| 下腹部痛 | 1%未満 |
| 不安 | 1%未満 |
| 丘疹性皮疹 | 頻度不明 |
| 乳癌 | 1%未満 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 傾眠 | 頻度不明 |
| 全身性エリテマトーデス | 1%未満 |
| 円形脱毛症 | 1%未満 |
| 出血性腸憩室 | 1%未満 |
| 剥脱性発疹 | 頻度不明 |
| 口内炎 | 1%未満 |
| 口腔内潰瘍形成 | 頻度不明 |
| 口腔粘膜水疱形成 | 頻度不明 |
| 喉頭肉芽腫 | 1%未満 |
| 四肢痛 | 1%未満 |
| 好中球数減少 | 1%未満 |
| 子宮頚部上皮異形成 | 1%未満 |
| 帯状疱疹 | 1%未満 |
| 後頭神経痛 | 1%未満 |
| 悪心 | 1%未満 |
| 慢性胃炎 | 1%未満 |
| 振戦 | 1%未満 |
| 排便困難 | 1%未満 |
| 水疱 | 頻度不明 |
| 注射部位反応(紅斑 | 頻度不明 |
| 異常感 | 1%未満 |
| 疼痛 | 頻度不明 |
| 発熱 | 1%未満 |
| 発疹 | 1%未満 |
| 白血球数減少 | 1%未満 |
| 筋痙縮 | 頻度不明 |
| 紅斑性皮疹 | 頻度不明 |
| 胃炎 | 1%未満 |
| 脱毛症 | 頻度不明 |
| 腫脹など) | 頻度不明 |
| 蕁麻疹 | 1%未満 |
| 逆流性喉頭炎 | 1%未満 |
| 関節リウマチ | 1%未満 |
| 頻尿 | 1%未満 |
| 高血圧 | 1%未満 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
エレヌマブは、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体に直接作用するヒトIgG2モノクローナル抗体である。エレヌマブによる片頭痛発作の発症抑制の作用機序は、エレヌマブが内因性のCGRPのCGRP受容体への結合を防ぐことにより、片頭痛発作の発現に関与するとされるCGRP受容体シグナルの伝達を阻害することである10)。
18.2 In vitroにおける薬理活性
エレヌマブは、ヒトCGRP受容体への[125I]-CGRPの結合に対して競合的に拮抗した(Ki値:0.02nM)。エレヌマブは、細胞を用いた機能解析(ヒトCGRP受容体)において、CGRP刺激によるcAMPの産生を阻害し(IC50:2.3nM)、アドレノメデュリン、カルシトニン、アミリン受容体を含む他のヒトカルシトニンファミリー受容体よりもCGRP受容体に対して5000倍以上高い選択性を示した11)。
18.3 In vivoにおける薬理活性
エレヌマブは、カニクイザルへの単回静脈内投与により、カプサイシンによる皮膚血流量増加を用量依存的に抑制した11)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人にエレヌマブ21mg、70mg又は140mgを単回皮下投与注)したときの血清中エレヌマブの濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1にそれぞれ示す2)。
図1 健康成人における血清中エレヌマブ濃度-時間推移(平均値+標準偏差)
| 用量 | N | tmax (day) |
Cmax (µg/mL) |
AUClast (day・µg/mL) |
|---|---|---|---|---|
| 21mg | 6 | 7.0(3.0–12) | 1.43(0.38) | 33.6(10.8) |
| 70mg | 6 | 5.6(4.0–7.0) | 6.13(0.56) | 178(33) |
| 140mg | 6 | 4.0(3.0–11) | 12.6(3.9) | 461(104)a |
AUClast及びCmax:平均値(標準偏差) tmax:中央値(最小値-最大値) a:5例
- 16.1.2反復投与
反復性片頭痛患者及び慢性片頭痛患者にエレヌマブを4週間に1回、70mgを反復皮下投与したときのエレヌマブの血清中トラフ濃度は表2のとおりであった3)。
| 用量 | 4週間後 | 8週間後 | 12週間後 | 24週間後 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 70mg | 平均値 | 4.14 | 6.11 | 6.94 | 8.44 |
| 標準偏差 | 1.36 | 2.08 | 2.49 | 3.07 | |
| 例数 | 129 | 128 | 128 | 127 |
16.2 吸収
母集団薬物動態解析4)において、健康成人にエレヌマブ70mg又は140mgを単回皮下投与注)したときの絶対バイオアベイラビリティは82%と推定された(外国人データ)。
16.3 分布
エレヌマブ140mgを単回静脈内投与注)したところ、終末相の分布容積の平均値(標準偏差)は3.86(0.77)Lと推定された5)(外国人データ)。
16.5 排泄
エレヌマブには二種の消失経路がある。低濃度では主に標的(CGRP-R)との飽和性の結合による経路を介し、高濃度では主にタンパク質の異化作用により消失する6)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
母集団薬物動態解析4)において、軽度(eGFR:50~80mL/min/1.73m2以上)又は中等度(30~50mL/min/1.73m2)の腎機能障害患者と健康成人(eGFR:80mL/min/1.73m2以上)との間で、エレヌマブの薬物動態に差は認められなかった(外国人データ)。
- 16.6.2肝機能障害患者
肝機能障害患者におけるエレヌマブの薬物動態に関する検討は行っていない。モノクローナル抗体であるエレヌマブは主にタンパク質の異化作用により消失することから、肝機能障害はエレヌマブのクリアランスに影響しないと考えられる。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1経口避妊薬
健康成人女性を対象とした非盲検薬物相互作用試験において、エレヌマブ(140mg皮下、単回投与)注)は、併用した経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びノルゲスチメートを含む)の薬物動態に影響を及ぼさなかった7)(外国人データ)。
- 16.7.2スマトリプタン
健康成人を対象としたランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験で、エレヌマブ(140mg静脈内、単回投与)注)とスマトリプタン(1時間間隔で6mgを2回皮下投与)を併用したところ、スマトリプタン単独と比較して、安静時の血圧に対する影響は認められなかった8)(外国人データ)。また、エレヌマブはスマトリプタンの薬物動態に影響を及ぼさなかった。 注)本剤の承認用法・用量は70mgを4週間に1回皮下投与である。