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アイトロール錠10㎎

日本薬局方一硝酸イソソルビド錠

添付文書改訂 2025年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な低血圧又は心原性ショックのある患者 [血管拡張作用により更に血圧を低下させ、症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2閉塞隅角緑内障の患者 [眼圧を上昇させるおそれがある。]

  3. 2.3頭部外傷又は脳出血のある患者 [頭蓋内圧を上昇させるおそれがある。]

  4. 2.4高度な貧血のある患者 [血圧低下により貧血症状(めまい、立ちくらみ等)を悪化させるおそれがある。]

  5. 2.5硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  6. 2.6ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)を投与中の患者

効能・効果

狭心症

用法・用量

通常、成人には一硝酸イソソルビドとして1回20㎎1日2回を経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、効果不十分な場合には1回40㎎1日2回まで増量できる。

ただし、労作狭心症又は労作兼安静狭心症で発作回数及び運動耐容能の面で重症と判断された場合には1回40㎎1日2回を経口投与できる。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与に際しては、症状及び経過を十分に観察し、狭心症発作が増悪するなど効果が認められない場合には他の療法に切りかえること。

  2. 8.2硝酸・亜硝酸エステル系薬剤を使用中の患者で、急に投与を中止したとき症状が悪化した症例が報告されているので、休薬を要する場合には他剤との併用下で徐々に投与量を減じること。

また、患者に医師の指示なしに使用を中止しないよう注意すること。

  1. 8.3過度の血圧低下が起こった場合には、本剤の投与を中止し、下肢の挙上あるいは昇圧剤の投与等、適切な処置を行うこと。

  2. 8.4起立性低血圧を起こすことがあるので注意すること。

  3. 8.5本剤の投与開始時には、他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤と同様に血管拡張作用による頭痛等の副作用を起こすことがある。このような場合には鎮痛剤を投与するか、減量又は投与中止するなど適切な処置を行うこと。

また、これらの副作用のために注意力、集中力、反射運動能力等の低下が起こることがあるので、このような場合には、自動車の運転等の危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1低血圧の患者(重篤な低血圧のある患者を除く)

血管拡張作用により更に血圧を低下させるおそれがある。

  1. 9.1.2原発性肺高血圧症の患者

心拍出量が低下しショックを起こすおそれがある。

  1. 9.1.3肥大型閉塞性心筋症の患者

心室内圧較差の増強をもたらし、症状を悪化させるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

副作用が発現しやすくなる。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で大量投与により、胎児及び出生児の体重増加抑制、出生児生存率の低下、発育・分化の遅延が報告されている1)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている2)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

頭痛等の副作用の発現がないことを確認しながら必要に応じて低用量(例えば1回10㎎)より投与を開始し、増量するなど慎重に投与すること。本剤は他の硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に比べて肝臓での初回通過効果を受けにくいが、一般に肝・腎機能が低下していることが多い。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
シルデナフィルクエン酸塩(バイアグラ、レバチオ)
バルデナフィル塩酸塩水和物
(レビトラ)
タダラフィル
(シアリス、アドシルカ、ザルティア)
併用により、降圧作用を増強することがある。
本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。
本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤
リオシグアト
(アデムパス)
併用により、降圧作用を増強することがある。
本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。
本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

下記の薬剤等との相互作用により、過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、下肢の挙上あるいは昇圧剤の投与等、適切な処置を行うこと。

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アルコール摂取 血圧低下等が増強されるおそれがある。 血管拡張作用が増強される。
利尿剤 血圧低下等が増強されるおそれがある。 血圧低下作用を増強させる。
血管拡張剤
硝酸・亜硝酸エステル系薬剤
頭痛、血圧低下等の副作用が増強されるおそれがある。 血管拡張作用が増強される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
BUN上昇 頻度不明
CK上昇 頻度不明
LDH上昇 頻度不明
クレアチニン上昇 頻度不明
しびれ 頻度不明
そう痒感 頻度不明
めまい・ふらつき 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠 頻度不明
全身倦怠感 頻度不明
動悸 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嘔気 頻度不明
浮腫 頻度不明
熱感 頻度不明
発疹 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
胃もたれ 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満感 頻度不明
血圧低下 頻度不明
頭痛(13.4%) 頻度不明
頭重感 頻度不明
食欲不振 頻度不明
鼓腸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

一硝酸イソソルビドは、冠血流の増加作用に加えて静脈還流量の減少による前負荷減少作用と全末梢血管抵抗の減少による後負荷減少作用が心筋酸素需給のアンバランスを改善して抗狭心症作用を発現すると考えられ、主にcGMPによって媒介される静脈血管の弛緩作用が重要であると考えられる8),9),10)。

18.2 血管拡張作用

一硝酸イソソルビドは、ウサギの摘出胸部大動脈及び腹部大静脈において用量依存的な血管弛緩作用を示し、血管組織内のcGMP含量を増加した。このような血管弛緩作用は静脈血管に対して高い選択性を有し、cGMP含量の増加も動脈より静脈において著明であった8)。

18.3 血行動態に対する作用

  1. 18.3.1一硝酸イソソルビドは、麻酔イヌにおいて静脈血管の拡張作用に起因する静脈還流量の減少により心臓の前負荷を減少し、また、全末梢血管抵抗の減少により後負荷を減少した。更に、心筋収縮力に対して直接的な影響を与えず、冠血流量を用量依存的に増加した9),10)。

  2. 18.3.2無麻酔イヌに一硝酸イソソルビドを経口投与した場合、用量依存的な脈圧減少作用を示し、生物学的利用率も高かった。血漿中一硝酸イソソルビド濃度と脈圧減少作用の間には正の相関がみられた11)。

  3. 18.3.3本剤は狭心症患者の安静時の肺動脈楔入圧及び左室拡張末期容積を有意に減少させ、運動負荷試験中の肺動脈楔入圧及び左室拡張末期容積の増加を有意に抑制した12)。

18.4 虚血時の心電図及び運動耐容能に対する作用

  1. 18.4.1一硝酸イソソルビドは、労作狭心症の病態モデルの1つと考えられているコレステロール餌負荷ウサギのhigh-pacingによるST下降を著明に抑制した。

  2. 18.4.2本剤は労作狭心症患者のトレッドミル運動負荷試験において、運動耐容能を有意に延長(p<0.01)し、その作用は7時間以上持続した。また、血漿中一硝酸イソソルビド濃度と運動持続時間の増加との間には正の相関が示された13)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男子(6例)に一硝酸イソソルビドとして10注1)、20及び40㎎を経口投与したとき、血漿中濃度は投与後2時間でほぼCmaxに達し、T1/2は5~6時間であった。なお、Cmax及びAUCは投与量に比例して増加した4)。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0→∞
(ng・hr/mL)
10mg 157.2±29.7 1.8±0.7 5.5±0.5 1701±263
20mg 373.3±29.3 1.7±0.4 5.0±0.3 3306±391
40mg 709.7±107.3 1.5±0.4 6.0±0.2 6525±951

健康成人男子に一硝酸イソソルビドとして10注1)、20及び40㎎を経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差、n=6)

  1. 16.1.2反復投与

健康成人男子(6例)に一硝酸イソソルビド20㎎を12時間間隔で7回反復経口投与したときの最低血漿中濃度は、130~150ng/mLの一定範囲内にあり、漸増する傾向は認められなかった4)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人男子(3例)に12時間絶食後及び摂食1.5時間後に一硝酸イソソルビド10mg注1)を単回経口投与した結果、摂食により一硝酸イソソルビドのCmaxは低下し、Tmaxは延長する傾向を示したが、T1/2及びAUCには差が認められなかったことから、摂食による一硝酸イソソルビドの薬物動態に及ぼす影響は少ないものと考えられた4)。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

虚血性心疾患患者注2)(28例)に投与したときの血漿蛋白結合率は約2~4%であった(投与3時間後、限外濾過法)5)。

16.4 代謝

健康成人男子(3例)に一硝酸イソソルビド40mgを単回経口投与したとき、投与48時間までの尿中に投与量の29.0%が一硝酸イソソルビドのグルクロン酸抱合体として、42.0%がイソソルビドとして、2.0%が未変化体としてそれぞれ排泄された6)。

16.5 排泄

ほぼ完全に代謝された後、主として尿中に排泄される。

注1)本剤の承認された用法及び用量は1回20㎎1日2回経口投与である(効果不十分な場合は1回40㎎1日2回まで増量)。

注2)本剤の承認された効能又は効果は狭心症である。