【警告】

  1. 1.1 本剤の使用にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。,,,

  2. 1.2 インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤の予防使用はワクチンによる予防に置き換わるものではない。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防

用法・用量

効能又は効果 用法及び用量
治療 成人 ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。
小児 10歳以上
10歳未満 ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。
予防 成人 ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。また、20mgを1日1回、2日間吸入投与することもできる。
小児 10歳以上
10歳未満 ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。

使用上の注意

  1. 8.1 抗インフルエンザウイルス薬の服薬の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている。 異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、1)異常行動の発現のおそれがあること、2)自宅において療養を行う場合、少なくとも発熱から2日間、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じること、について患者・家族に対し説明を行うこと。 なお、転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いこと、が知られている。

  2. 8.2 細菌感染症がインフルエンザウイルス感染症に合併したり、インフルエンザ様症状と混同されることがある。細菌感染症の場合には、抗菌剤を投与するなど適切な処置を行うこと。

  3. 8.3 本剤投与後に失神やショック症状があらわれたとの報告がある。この失神やショック症状はインフルエンザウイルス感染症に伴う発熱、脱水等の全身状態の悪化に加え、本剤を強く吸入したこと又は長く息を止めたことが誘因となった可能性及び本剤による可能性がある。患者には使用説明書に記載されている吸入法を十分に理解させ、くつろいだ状態(例えば座位等)で吸入するよう指導すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者

本剤は、夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しており、アナフィラキシーがあらわれたとの報告がある。

  1. 9.1.2 慢性呼吸器疾患(気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患等)を有する患者

患者の状態を十分に観察しながら投与すること。インフルエンザウイルス感染症により気道過敏性が亢進することがあり、気管支攣縮や呼吸機能低下がみられた例が報告されている。

  1. 9.1.3 基礎疾患(糖尿病を含む慢性代謝性疾患、慢性腎機能障害、慢性心疾患)を有する患者、あるいは免疫低下状態の患者等

患者の状態を十分に観察しながら投与すること。使用経験が少ない。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1 本剤を適切に吸入投与できると判断された場合にのみ投与すること。

  2. 9.7.2 幼児へ投与する場合には、患者の状態を十分に観察しながら投与すること。

  3. 9.7.3 低出生体重児、新生児又は乳児に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
ALT上昇 5%以上
AST上昇 頻度不明
CRP上昇 頻度不明
γ-GTP上昇 頻度不明
そう痒 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 5%以上
口内炎 頻度不明
咳嗽(むせ) 頻度不明
嘔吐 頻度不明
尿中ブドウ糖陽性 頻度不明
尿蛋白 頻度不明
悪心 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球数増加 頻度不明
紅斑 頻度不明
肝機能異常 頻度不明
胃腸炎 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲減退 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ラニナミビルオクタン酸エステル水和物はプロドラッグであり、加水分解により活性代謝物ラニナミビルに変換された後、抗ウイルス作用を示す。 ラニナミビルは、A型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する。

18.2 抗ウイルス作用(in vitro

ラニナミビルはA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを低濃度(実験室株IC50:2.32~38.8nM、臨床分離株IC50:1.29~26.5nM)で阻害した11)。また、ラニナミビルは、オセルタミビルリン酸塩耐性株(IC50:5.62~48.9nM)や、インフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルス(IC50:0.41nM)及び高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルス(IC50:0.28~2.1nM)に対しても抗ウイルス作用(ノイラミニダーゼ阻害活性)を示した11),12),13)。

18.3 抗ウイルス作用(in vivo

A型インフルエンザウイルスのマウス感染モデルでは、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与により、6.6~660μg/kgで有意な肺中ウイルス力価の減少、21~190μg/kgで有意な生存数の増加といった治療効果が認められた14)。 B型インフルエンザウイルスのフェレット感染モデルでは、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与(24μg/kg及び240μg/kg)は、鼻腔洗浄液中のウイルス力価を低下させた14),15)。 また、インフルエンザA型(H1N1)pdm09ウイルスのマウス感染モデルにおいて、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物700μg/kgの単回経鼻投与で有意な肺中ウイルス力価の減少が認められた12)。 高病原性鳥インフルエンザA型(H5N1)ウイルスのマウス感染モデルにおいても、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の単回経鼻投与は、75μg/kg以上の投与量で感染3日後の、750μg/kg以上の投与量で感染6日後までの肺中ウイルス力価を減少させた13)。

18.4 耐性

インフルエンザウイルス感染症に対するラニナミビルオクタン酸エステル水和物の効果を検討した国内臨床試験8試験(国際共同試験の1試験含む)で、1,917例の患者から分離したインフルエンザウイルス株において活性代謝物ラニナミビルに対する感受性が低下した株は認められなかった。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈成人〉

健康成人男性16例にラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg又は40mgを単回吸入投与したときの活性代謝物ラニナミビルの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった1)。

ラニナミビルの血漿中濃度推移

投与量 例数 Cmax (ng/mL) Tmax注2) (hr) AUC0-tz (ng・hr/mL) t1/2 (hr)
20mg 8 19.0±3.1 4.0(3.0~6.0) 558.0±96.4 66.6±9.1
40mg 8 38.3±9.8 4.0(3.0~6.0) 1080±156 74.4±19.3
注2)中央値(最小値~最大値)平均値±標準偏差
  • 〈小児〉

4~12歳の小児のインフルエンザウイルス感染症患者19例にラニナミビルオクタン酸エステルとして20mg又は40mgを単回吸入投与したときの活性代謝物ラニナミビルの血漿中濃度は次のとおりであった。

投与量 例数 投与 1時間後 投与 4時間後 投与 24時間後 投与 144時間後
20mg 8 12.0±8.1 17.6±10.0 5.3±2.7 0.5±0.8
40mg 11 21.7±7.7 32.7±10.0 9.6±3.0 2.0±1.1
単位:ng/mL平均値±標準偏差

16.3 分布

  1. 16.3.1 組織移行

健康成人男性35例にラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与したときの活性代謝物ラニナミビルの血漿、肺胞粘液及び肺胞マクロファージ中濃度推移並びに薬物動態パラメータの推定値は次のとおりであった2)。

ラニナミビルの血漿、肺胞粘液及び肺胞マクロファージ中濃度推移

各測定時点5例(ただし、0.25時間、2時間、3.5時間後の血漿中濃度は35例) 注)血漿中濃度は0.25時間後で1例、168時間後で2例、240時間後で4例が定量下限未満であった。

試料 Cmax (ng/mL) Tmax (hr) AUClast (ng・hr/mL) t1/2 (hr)
血漿 25.45 3.5 826 45.7
肺胞粘液 3.51×103 4.0 88.1×103 358.5
肺胞マクロファージ 143×103 8.0 11.2×106 211.0

ラットに14C-ラニナミビルオクタン酸エステル水和物を単回経気管投与したところ、放射能は主な標的組織である気管や肺に高濃度に認められ、肺中放射能濃度は消失半減期23.2時間で推移した。放射能は中枢神経系(脳・脊髄)にはほとんど認められなかった。

  1. 16.3.2 蛋白結合率(超遠心法)

ヒト血漿蛋白結合率は、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物では67~70%、活性代謝物ラニナミビルでは0.4%以下であった(in vitro)。

16.4 代謝

ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は、吸入投与後、気管及び肺において加水分解により活性代謝物ラニナミビルに変換されると推測される。 ラニナミビルオクタン酸エステル水和物及びラニナミビルは、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝試験で主要なチトクロームP450分子種(1A2、2C9、2C19、2D6及び3A4)に対して阻害を示さなかった。また、ヒト培養肝細胞にて、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物及びラニナミビルによるチトクロームP450分子種(1A2、3A4)の誘導は認められなかった。

16.5 排泄

健康成人男性8例にラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与したとき、活性代謝物ラニナミビルの投与144時間後までの累積尿中排泄率は投与量の23.1%であった。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

クレアチニンクリアランス(CLcr)値により規定された腎機能低下者13例にラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与したところ、活性代謝物ラニナミビルのt1/2に変化は認めず、AUC0-infは、腎機能正常者と比較して、軽度(CLcr:50~80mL/min)、中等度(CLcr:30~50mL/min)及び重度(CLcr:30mL/min未満)の腎機能低下者でそれぞれ1.1倍、2.0倍、4.9倍であった3)。

  1. 16.6.2 高齢者

健康な高齢者(65歳以上)6例にラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与したところ、非高齢者(20~45歳)と比較して、活性代謝物ラニナミビルのTmax及びt1/2に変化は認めず、Cmaxが0.5倍、AUC0-infが0.8倍であった。

注)本剤の承認された1回の最大用量は、20mg(10歳未満の小児)及び40mg(成人及び10歳以上の小児)である。