【警告】

  • 〈虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全〉

慢性心不全治療の経験が十分にある医師のもとで使用すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 気管支喘息、気管支痙攣のおそれのある患者[気管支筋を収縮させることがあるので喘息症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。]

  2. 2.2 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[心筋収縮力の抑制が増強されるおそれがある。]

  3. 2.3 高度の徐脈(著しい洞性徐脈)、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)、洞房ブロックのある患者[症状が悪化するおそれがある。]

  4. 2.4 心原性ショックの患者[循環不全症が悪化するおそれがある。]

  5. 2.5 強心薬又は血管拡張薬を静脈内投与する必要のある心不全患者[心収縮力抑制作用により、心不全が悪化するおそれがある。]

  6. 2.6 非代償性の心不全患者[心収縮力抑制作用により、心不全が悪化するおそれがある。]

  7. 2.7 肺高血圧による右心不全のある患者[心拍出量が抑制され症状が悪化するおそれがある。]

  8. 2.8 未治療の褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者,

  9. 2.9 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 本態性高血圧症(軽症~中等症)

  • 腎実質性高血圧症

  • 狭心症

  • 次の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、ジギタリス製剤等の基礎治療を受けている患者 虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全

  • 頻脈性心房細動

用法・用量

  • 〈本態性高血圧症(軽症~中等症)、腎実質性高血圧症〉

カルベジロールとして、通常、成人1回10~20mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • 〈狭心症〉

カルベジロールとして、通常、成人1回20mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • 〈虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全〉

カルベジロールとして、通常、成人1回1.25mg、1日2回食後経口投与から開始する。1回1.25mg、1日2回の用量に忍容性がある場合には、1週間以上の間隔で忍容性をみながら段階的に増量し、忍容性がない場合は減量する。用量の増減は必ず段階的に行い、1回投与量は1.25mg、2.5mg、5mg又は10mgのいずれかとし、いずれの用量においても、1日2回食後経口投与とする。通常、維持量として1回2.5~10mgを1日2回食後経口投与する。 なお、年齢、症状により、開始用量はさらに低用量としてもよい。また、患者の本剤に対する反応性により、維持量は適宜増減する。

  • 〈頻脈性心房細動〉

カルベジロールとして、通常、成人1回5mgを1日1回経口投与から開始し、効果が不十分な場合には10mgを1日1回、20mgを1日1回へ段階的に増量する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最大投与量は20mgを1日1回までとする。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1 投与が長期にわたる場合は、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を定期的に行うこと。また、徐脈となったとき及び低血圧を起こした場合には、ショックに至る例も報告されているので、観察を十分に行い本剤を減量又は中止すること。必要に応じアトロピン硫酸塩、ドブタミン塩酸塩、イソプレナリン塩酸塩、アドレナリン等を使用すること。なお、肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。,

  2. 8.2 狭心症などの虚血性心疾患を有する患者において、本剤の投与を急に中止した場合、狭心症発作の頻発・悪化、まれに心筋梗塞及び短時間に過度の突然の血圧上昇を起こす可能性があるので、中止を要する場合は原則として1~2週間かけて段階的に減量し、観察を十分に行うこと。虚血性心疾患以外の患者についても同様の注意をすること(特に高齢者)。また、患者に医師の指示なしに服薬を中止しないよう説明すること。,

  3. 8.3 手術前48時間は投与しないことが望ましい。

  4. 8.4 めまい・ふらつきがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者(特に投与初期や増量時)には、自動車の運転等危険を伴う機械の作業をしないように注意させること。

  • 〈虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全〉
  1. 8.5 重症慢性心不全患者に対する本剤の投与は特に慎重な管理を要するので、本剤の投与初期及び増量時は入院下で行うこと。

  2. 8.6 本剤の投与初期及び増量時は、心不全の悪化、浮腫、体重増加、めまい、低血圧、徐脈、血糖値の変動及び腎機能の悪化が起こりやすいので、観察を十分に行い、忍容性を確認すること。

  3. 8.7 心不全や体液貯留の悪化(浮腫、体重増加等)を防ぐため、本剤の投与前に体液貯留の治療を十分に行うこと。心不全や体液貯留の悪化(浮腫、体重増加等)がみられ、利尿薬増量で改善がみられない場合には本剤を減量又は中止すること。低血圧、めまいなどの症状がみられ、アンジオテンシン変換酵素阻害薬や利尿薬の減量により改善しない場合には本剤を減量すること。高度な徐脈を来たした場合には、本剤を減量すること。また、これら症状が安定化するまで本剤を増量しないこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 特発性低血糖症、コントロール不十分な糖尿病、絶食状態、栄養状態が不良の患者

血糖値に注意すること。低血糖症状を起こしやすく、かつその症状をマスクしやすい。

  1. 9.1.2 糖尿病を合併した慢性心不全患者

血糖値が変動するおそれがある。

  1. 9.1.3 心不全を合併した頻脈性心房細動患者

臨床症状に注意し、心機能検査(脈拍、血圧、心電図、X線等)を行う等、観察を十分に行うこと。心不全を悪化させる可能性がある。

  1. 9.1.4 房室ブロック(Ⅰ度)のある患者

房室伝導時間が延長し、症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.5 徐脈のある患者(高度の徐脈(著しい洞性徐脈)のある患者を除く)

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.6 末梢循環障害のある患者(レイノー症候群、間欠性跛行症等)

末梢血管の拡張を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.7 過度に血圧の低い患者

血圧をさらに低下させるおそれがある。

  1. 9.1.8 褐色細胞腫又はパラガングリオーマ患者

本剤の単独投与により急激に血圧が上昇するおそれがある。,

  1. 9.1.9 甲状腺中毒症患者

本剤の中止を要する場合は原則として1~2週間かけて段階的に減量し、観察を十分に行うこと。急に投与を中止すると、症状を悪化させることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 重篤な腎機能障害(血清クレアチニン値6mg/dL以上)のある患者

血中濃度の上昇傾向が報告されている。特に慢性心不全の患者では腎機能が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者

投与量を減量するか投与間隔をあけて使用すること。本剤は主として肝臓で代謝される薬剤であり、肝硬変患者において血中濃度の上昇が報告されている。肝機能が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。投与に際しては、母体及び胎児の状態を十分に観察すること。また、出生後も新生児の状態を十分に観察し、新生児の低血糖、徐脈、哺乳不良等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

*妊婦にβ遮断薬を投与した場合に、胎児の発育不全、新生児の低血糖、徐脈、哺乳不良等が認められたとの報告がある。また、ラットにおける妊娠前及び妊娠初期投与試験において、体表面積換算で臨床用量の約150倍(300mg/kg)で黄体数の減少及び骨格異常(13肋骨の短小)の増加が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

  1. 9.7.1 重症心不全の幼児及び小児の患者

重篤な低血糖症状があらわれ、死亡に至った例が報告されている。

9.8 高齢者

低用量から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与することが望ましい。肝機能が低下していることが多いため血中濃度が上昇するおそれがあり、また過度な降圧は好ましくないとされている(脳梗塞等が起こるおそれがある)。

  1. 9.8.1 重症慢性心不全患者

本剤の副作用が生じやすい。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
ALP上昇 頻度不明
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
CK上昇 1〜5%未満
LDH上昇 頻度不明
カリウム上昇 頻度不明
カリウム低下 頻度不明
クレアチニン上昇等) 頻度不明
そう痒感 1〜5%未満
トリグリセリド上昇 頻度不明
ナトリウム低下 頻度不明
めまい 1〜5%未満
下痢 頻度不明
不眠 頻度不明
低血圧 頻度不明
低血糖 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 1〜5%未満
勃起不全 頻度不明
動悸 頻度不明
口渇 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
喘息様症状 1%未満
嘔吐 1〜5%未満
四肢冷感 頻度不明
失神 頻度不明
尿失禁 頻度不明
尿糖 頻度不明
尿酸上昇 頻度不明
幻覚 頻度不明
徐脈 1〜5%未満
心房細動 頻度不明
心胸比増大 頻度不明
息切れ 頻度不明
悪心 1%未満
房室ブロック 頻度不明
抑うつ 頻度不明
期外収縮 頻度不明
注意力低下 頻度不明
浮腫 頻度不明
涙液分泌減少 頻度不明
狭心症 頻度不明
異常感覚(四肢のしびれ感等) 頻度不明
疲労感 頻度不明
疼痛 頻度不明
発汗 頻度不明
発疹 1〜5%未満
白血球減少 頻度不明
眠気 1〜5%未満
糖尿病悪化 頻度不明
総コレステロール上昇 頻度不明
耳鳴 頻度不明
胃部不快感 1〜5%未満
胸痛 頻度不明
脚ブロック 頻度不明
脱力感 頻度不明
腎機能障害(BUN上昇 頻度不明
腹痛 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血糖値上昇 頻度不明
貧血 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
頻尿 頻度不明
頻脈 頻度不明
顔面潮紅 1〜5%未満
食欲不振 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

交感神経α及びβ受容体に拮抗作用を示す薬物であるが、主体はβ遮断作用で、降圧作用も主としてこれに基づく(プロプラノロール)。β遮断薬投与により内因性カテコールアミンのα作用が強まり血管収縮が起こることがあるので、これを抑制するためにα遮断作用を付加した薬物である6)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 生物学的同等性試験

カルベジロール錠2.5mg「アメル」、カルベジロール錠10mg「アメル」及びカルベジロール錠20mg「アメル」と各標準製剤について、下記のとおりクロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して、錠2.5mgは血漿中(S)-カルベジロール濃度を、錠10mg及び錠20mgは血漿中カルベジロール濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された1)。

標準製剤 試験投与量
カルベジロール錠2.5mg「アメル」 アーチスト錠2.5mg それぞれ1錠(カルベジロールとして2.5mg)
カルベジロール錠10mg「アメル」 アーチスト錠10mg それぞれ1錠(カルベジロールとして10mg)
カルベジロール錠20mg「アメル」 アーチスト錠20mg それぞれ1錠(カルベジロールとして20mg)
判定パラメータ 参考パラメータ
AUC(0→12) (ng・hr/mL) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) T1/2 (hr)
カルベジロール錠2.5mg「アメル」 4.76±1.66 1.84±0.72 0.80±0.51 4.52±1.52
アーチスト錠2.5mg 4.94±2.09 1.91±0.86 0.91±0.45 4.61±1.08
(Mean±S.D.,n=24)

血漿中(S)-カルベジロール濃度(生物学的同等性)

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC(0→12) (ng・hr/mL) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) T1/2 (hr)
カルベジロール錠10mg「アメル」 73.87±32.32 20.72±6.79 1.05±0.43 3.06±1.06
アーチスト錠10mg 73.36±32.39 21.39±8.25 1.07±0.48 3.03±0.97
(Mean±S.D.,n=20)

血漿中カルベジロール濃度(生物学的同等性)

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC(0→12) (ng・hr/mL) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) T1/2 (hr)
カルベジロール錠20mg「アメル」 159.72±62.41 47.24±17.69 0.89±0.30 3.02±1.07
アーチスト錠20mg 158.85±58.66 51.96±21.34 0.93±0.40 3.09±0.81
(Mean±S.D.,n=20)

血漿中カルベジロール濃度(生物学的同等性)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.4 代謝

  1. 16.4.1 薬物の肝酸化型代謝に関与するチトクロームP450分子種

カルベジロールの代謝に関与するチトクロームP450の主な分子種はCYP2D6及びCYP2C9であり、次いでCYP3A4、CYP1A2、CYP2E1が関与した2)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

腎実質性高血圧患者9例にカルベジロール5mgを単回及び連続経口投与したとき、血清クレアチニン値が6mg/dL以下の腎機能障害患者では、Cmaxの上昇はみられず、連続投与においても健康成人と同様、蓄積性は認められなかったが、血清クレアチニン値が6mg/dL以上の腎機能障害患者では、健康成人に比べCmaxが上昇する傾向が認められた3)。

  1. 16.6.2 透析患者

透析患者6例にカルベジロール10mgを透析直前に単回経口投与し、投与5時間まで透析を実施したときの血漿中未変化体濃度推移は、健康成人に比してTmaxがやや遅延したが、Cmaxには差がなかった4)。

16.8 その他

カルベジロール錠1.25mg「アメル」について、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成24年2月29日 薬食審査発0229第10号)」に基づき、カルベジロール錠2.5mg「アメル」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた5)。