過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
【警告】
生殖可能な年齢の患者への本剤の投与はできる限り避けること。動物実験(ラット)で、精嚢、前立腺及び子宮の重量低値あるいは萎縮等の生殖器系への影響が認められ、高用量では発情休止期の延長、黄体数の減少に伴う着床数及び生存胎児数の減少が認められている。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
-
2.2 重篤な心疾患を有する患者[心拍数増加等が報告されており、症状が悪化するおそれがある。]
-
2.3 妊婦及び妊娠している可能性のある女性
-
2.4 授乳婦
-
2.5 重度の肝機能障害患者(Child-Pughスコア10以上)
-
2.6 フレカイニド酢酸塩あるいはプロパフェノン塩酸塩投与中の患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはミラベグロンとして50mgを1日1回食後に経口投与する。
使用上の注意
-
8.1 過活動膀胱の適応を有する抗コリン剤と併用する際は尿閉などの副作用の発現に十分注意すること。
-
8.2 現時点では、ステロイド合成・代謝系への作用を有する5α還元酵素阻害薬と併用した際の安全性及び臨床効果が確認されていないため併用は避けることが望ましい。
-
8.3 血圧の上昇があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血圧測定を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1 心血管系障害を有する患者
本剤の投与を開始する前に心電図検査を実施するなどし、心血管系の状態に注意をはらうこと。QT延長を生じるおそれがある。
- 9.1.2 QT延長又は不整脈の既往歴を有する患者
定期的に心電図検査を行うこと。QT延長を来すリスクが高いと考えられる。
- 9.1.3 クラスⅠA(キニジン、プロカインアミド等)又はクラスⅢ(アミオダロン、ソタロール等)の抗不整脈薬を投与中の患者を含むQT延長症候群患者
定期的に心電図検査を行うこと。QT延長を来すリスクが高いと考えられる。
- 9.1.4 重度の徐脈等の不整脈、急性心筋虚血等の不整脈を起こしやすい患者
心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、QT延長を起こすことがある。
- 9.1.5 低カリウム血症のある患者
心室頻拍(Torsades de Pointesを含む)、QT延長を起こすことがある。
- 9.1.6 緑内障の患者
定期的な眼科的診察を行うこと。眼圧の上昇を招き、症状を悪化させるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1 重度の腎機能障害のある患者(eGFR15~29mL/min/1.73m2)
血中濃度が上昇するおそれがある。,
- 9.2.2 中等度又は軽度の腎機能障害のある患者
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1 重度の肝機能障害のある患者(Child-Pughスコア10以上)
投与しないこと。血中濃度が過度に上昇するおそれがある。,
- 9.3.2 中等度の肝機能障害のある患者(Child-Pughスコア7~9)
血中濃度が上昇するおそれがある。,
- 9.3.3 軽度の肝機能障害のある患者
血中濃度が上昇するおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
生殖可能な年齢の患者への本剤の投与はできる限り避けること。動物実験(ラット)で、精嚢、前立腺及び子宮の重量低値あるいは萎縮等の生殖器系への影響が認められ、高用量では発情休止期の延長、黄体数の減少に伴う着床数及び生存胎児数の減少が認められている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)で、胎児において着床後死亡率の増加、体重低値、肩甲骨等の屈曲及び波状肋骨の増加、骨化遅延(胸骨分節、中手骨、中節骨等の骨化数低値)、大動脈の拡張及び巨心の増加、肺副葉欠損が認められている。
9.6 授乳婦
*投与しないこと。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。また、授乳期に本薬を母動物に投与した場合、出生児で生存率の低値及び体重増加抑制が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした国内の臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
副作用発現に留意し、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。高齢者では肝機能、腎機能が低下していることが多い。,,
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 | 症状・説明 |
|---|---|---|
| Al-P上昇 | 1〜5%未満 | — |
| ALT上昇 | 1〜5%未満 | — |
| AST上昇 | 1〜5%未満 | — |
| BUN上昇 | 1%未満 | — |
| BUN減少 | 1%未満 | — |
| CK上昇 | 1〜5%未満 | — |
| CK減少 | 1%未満 | — |
| γ-GTP上昇 | 1〜5%未満 | — |
| クレアチニン上昇 | 1%未満 | — |
| コレステロール上昇 | 1%未満 | — |
| そう痒症 | 頻度不明 | — |
| ビリルビン上昇 | 1%未満 | — |
| 上室性期外収縮 | 1%未満 | — |
| 上腹部痛 | 頻度不明 | — |
| 下痢 | 1%未満 | — |
| 下腹部痛 | 頻度不明 | — |
| 便秘 | 1〜5%未満 | — |
| 倦怠感 | 1%未満 | — |
| 傾眠 | 頻度不明 | — |
| 動悸 | 1%未満 | — |
| 十二指腸潰瘍 | 1%未満 | — |
| 口内乾燥 | 1〜5%未満 | — |
| 口内炎 | 1%未満 | — |
| 口渇 | 1%未満 | — |
| 右脚ブロック | 1%未満 | — |
| 嘔吐 | 頻度不明 | — |
| 回転性めまい | 1%未満 | — |
| 尿中ブドウ糖陽性 | 1%未満 | — |
| 尿中蛋白陽性 | 1〜5%未満 | — |
| 尿沈渣異常 | 1〜5%未満 | — |
| 尿酸上昇 | 1%未満 | — |
| 心室性期外収縮 | 1%未満 | — |
| 心房細動 | 頻度不明 | — |
| 心拍数増加 | 1%未満 | — |
| 悪心 | 頻度不明 | — |
| 感覚鈍麻 | 頻度不明 | — |
| 振戦 | 頻度不明 | — |
| 残尿 | 1%未満 | — |
| 浮動性めまい | 1%未満 | — |
| 浮腫 | 1%未満 | — |
| 発疹 | 1%未満 | — |
| 白血球数増加 | 1%未満 | — |
| 白血球数減少 | 1%未満 | — |
| 胃炎 | 1%未満 | — |
| 胸痛 | 頻度不明 | — |
| 胸部不快感 | 頻度不明 | — |
| 腹痛 | 頻度不明 | — |
| 腹部不快感 | 1%未満 | — |
| 腹部膨満 | 1%未満 | — |
| 膀胱炎 | 1%未満 | — |
| 蕁麻疹 | 1%未満 | — |
| 血中ブドウ糖増加 | 1%未満 | — |
| 血中ブドウ糖減少 | 1%未満 | — |
| 血圧上昇 | 1%未満 | — |
| 血小板数増加 | 1%未満 | — |
| 血小板数減少 | 1%未満 | — |
| 霧視 | 頻度不明 | — |
| 頭痛 | 1%未満 | — |
| 頻脈 | 1%未満 | — |
| 食欲減退 | 頻度不明 | — |
| 高血圧 | 1%未満 | — |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
膀胱平滑筋のβ3アドレナリン受容体を刺激し、膀胱を弛緩させることで蓄尿機能を亢進し、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁を改善する。
18.2 β3アドレナリン受容体に対する刺激作用
ヒトβ3アドレナリン受容体を発現させた細胞において、濃度依存的な細胞内cAMP濃度上昇作用を示した。ヒトβ1及びβ2アドレナリン受容体を発現させた細胞においては、細胞内cAMP濃度上昇作用をほとんど示さなかった23)(in vitro試験)。
18.3 膀胱弛緩作用
ラット摘出膀胱において、組織内cAMP濃度上昇作用を示した24)。カルバコールにより持続性収縮を惹起させたラット及びヒト摘出膀胱において弛緩作用を示した25)(in vitro試験)。
18.4 膀胱内圧に対する作用
麻酔ラットにおいて、静止時膀胱内圧低下作用を示した26)。
18.5 膀胱機能に対する作用
無麻酔カニクイザルにおいて、平均一回排尿量増加作用及び排尿回数減少作用を示した27)。また、無麻酔脳梗塞ラットにおいて、平均一回排尿量増加作用を示した23)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1 単回投与
健康成人男性に本剤を空腹時注)単回経口投与したときのCmax及びAUCinfは、用量比を超えて上昇した。Tmax及びt1/2は各用量間でほぼ一定であった1)。
| 投与量 (mg) | Cmax (ng/mL) | Tmax (h) | AUCinf※ (ng・h/mL) | t1/2※ (h) | CL/F※ (L/h) |
|---|---|---|---|---|---|
| 50 | 31.01 ±18.06 | 3.5 ±1.4 | 292.24 ±76.93 | 36.4 ±11.8 | 183.49 ±58.11 |
| 100注) | 130.67 ±43.79 | 3.3 ±0.8 | 882.40 ±234.53 | 30.8 ±3.4 | 119.34 ±28.11 |
| 200注) | 164.51 ±82.99 | 2.8 ±1.3 | 1382.68 ±441.45 | 26.4 ±3.6 | 157.61 ±50.64 |
| 300注) | 548.52 ±92.50 | 3.7 ±1.0 | 3285.08 ±333.94 | 25.1 ±4.3 | 92.24 ±10.89 |
| 400注) | 720.14 ±264.40 | 4.0 ±1.3 | 4142.50 ±735.89 | 23.9 ±4.9 | 99.79 ±22.03 |
| (平均値±標準偏差、n=6) | |||||
※:投与後72時間までの測定可能な時点までの実測値に基づいた値
- 16.1.2 反復投与
健康成人男性に本剤100mg注)及び200mg注)を1日1回食後7日間反復投与したときの血漿中濃度は、投与開始後第4日目以降トラフ値はほぼ一定となり、7日以内に定常状態に達した。また、AUC24hは反復投与により、1.75~2.12倍上昇することが示唆された1)。
| 投与量 (mg) | 評価日 (日) | Cmax (ng/mL) | Tmax (h) | AUC24h (ng・h/mL) | t1/2 (h) | CL/F (L/h) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 100注) | 1 | 91.23±42.00 | 4.8±0.5 | 377.16 ±90.67 | 28.8±6.8 | 167.16 ±31.36 |
| 10 | 136.14±52.52 | 5.0±0.0 | 792.75 ±156.88 | 30.0±4.4 | 131.76 ±33.39 | |
| 200注) | 1 | 313.08±77.57 | 5.0±0.0 | 1102.22 ±284.28 | 27.4±7.7 | 127.95 ±27.23 |
| 10 | 290.94±90.64 | 5.0±0.5 | 1909.36 ±366.20 | 28.0±1.8 | 108.03 ±19.75 | |
| (平均値±標準偏差、n=8) | ||||||
16.2 吸収
本剤25mg注)、50mg及び100mg注)を単回経口投与したときの絶対バイオアべイラビリティはそれぞれ28.9%、35.4%及び45.0%であった2)(外国人データ)。高脂肪食食後に投与したときに比べ空腹時注)投与で本剤血漿中濃度が高くなり、本剤50mg及び100mg注)を空腹時に投与したときのCmax は2.11倍及び1.95倍に増加した。AUClastは1.47倍及び1.40倍に増加した3)。また、本剤はP-糖蛋白の基質である4)(in vitro試験)。
16.3 分布
ミラベグロン15mg注)を静脈内注)単回投与したときの分布容積は1643Lであった2)(外国人データ)。血漿蛋白結合率は76.3~76.9%であり、主結合蛋白はアルブミンであった(in vitro試験)。
16.4 代謝
本剤は主としてエステラーゼによって加水分解を受け、一部はCYP及びグルクロン酸抱合酵素によっても代謝される5),6)。本剤を経口投与後、未変化体の他に8種の代謝物が血漿中に認められたが、代謝物の濃度はいずれも未変化体に比べ顕著に低かった7)。また、いずれの代謝物も薬理活性は弱かったことから、薬効への寄与は低いと考えられた。本剤はCYP2D6に対して中等度の阻害作用を示すことが示されたが、その他のCYP分子種に対しては阻害作用は弱かった8)。また、本剤は、CYP1A2及び3A4/5に対して誘導作用を示さなかった8)(in vitro試験)。
16.5 排泄
14Cで標識したミラベグロン溶液160mg注)を投与したマスバランス試験の結果、投与放射能の55%が尿中に、34%が糞中に排泄され、呼気中には排泄されなかった。尿中放射能の45%が未変化体であり、糞中では放射能のほとんどが未変化体であった9)。 健康成人男性に本剤を絶食下注)単回経口投与したときの尿中排泄率は用量増加に伴い上昇する傾向が認められた1)。
| 投与量(mg) | Ae72h% |
|---|---|
| 50 | 7.20±2.32 |
| 100注) | 7.61±3.62 |
| 200注) | 9.01±2.66 |
| 300注) | 14.57±2.48 |
| 400注) | 11.81±2.55 |
| (平均値±標準偏差、n=6) | |
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1 腎機能障害患者
軽度の腎機能障害(eGFR60~89mL/min/1.73m2)を持つ患者では、健康成人と比べて本剤100mg注)投与時のCmax及びAUCinfがそれぞれ1.06倍及び1.31倍高かった。中等度の腎機能障害(eGFR30~59mL/min/1.73m2)を持つ患者では、健康成人と比べてCmax及びAUCinfが1.23倍及び1.66倍高かった。重度の腎機能障害(eGFR15~29mL/min/1.73m2)を持つ患者では、健康成人と比べてCmax及びAUCinfが1.92倍及び2.18倍高かった10)(外国人データ)。,
- 16.6.2 肝機能障害患者
軽度の肝機能障害(Child-Pughスコア5~6)を持つ患者では、本剤100mg注)投与時のCmax及びAUCinfは健康成人に比べてそれぞれ1.09倍及び1.19倍高かった。中等度の肝機能障害(Child-Pughスコア7~9)を持つ患者では、本剤100mg注)投与時のCmax及びAUCinfは健康成人に比べてそれぞれ2.75倍及び1.65倍高かった10)(外国人データ)。,,
- 16.6.3 性差
非高齢及び高齢外国健康成人男女に本剤25mg注)、50mg及び100mg注)を反復投与したときのCmax及びAUCtauは、男女間で差が認められ、男性被験者に比べ女性被験者で1.44倍及び1.38倍の高い値を示した7)(外国人データ)。
- 16.6.4 高齢者
55~77歳の外国健康成人に本剤25mg注)、50mg及び100mg注)を反復投与したときのCmax及びAUCtauは、18~45歳の外国健康成人と比べて差は認められなかった7)(外国人データ)。 日本人過活動膀胱患者に本剤50mgを1日1回投与したときの血漿中濃度は、65歳未満より65歳以上の患者集団で1.32倍に増加した11)。
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1 ケトコナゾール
本剤100mg注)とケトコナゾール400mgと併用したとき、本剤のAUCinfは1.81倍に上昇した12)(外国人データ)。
- 16.7.2 リファンピシン
本剤100mg注)とリファンピシン600mgと併用したとき、本剤のAUCinfは0.56倍に減少した12)(外国人データ)。
- 16.7.3 メトプロロール
ミラベグロン160mg(IRカプセル)注)とメトプロロール100mgと併用したとき、メトプロロールのAUCinfは3.29倍に上昇した13)(外国人データ)。
- 16.7.4 デシプラミン
本剤100mg注)とデシプラミン50mgと併用したとき、デシプラミンのAUCinfは併用により3.41倍に上昇した13)(外国人データ)。
- 16.7.5 ジゴキシン
本剤100mg注)とジゴキシン0.25mgと併用したとき、ジゴキシンのAUClastは併用により1.27倍に上昇した14)(外国人データ)。
- 16.7.6 トルテロジン
本剤50mgとトルテロジン4mgと併用したとき、トルテロジン及びその活性代謝物5-HMTのAUC24hはそれぞれ1.86倍及び1.25倍に、Cmaxはそれぞれ2.06倍及び1.36倍に上昇した15)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、通常50mgを1日1回食後経口投与である。