【警告】

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病

用法・用量

通常、ブリナツモマブ(遺伝子組換え)として以下の投与量を28日間持続点滴静注した後、14日間休薬する。これを1サイクルとし、最大5サイクル繰り返す。その後、ブリナツモマブ(遺伝子組換え)として以下の投与量を28日間持続点滴静注した後、56日間休薬する。これを1サイクルとし、最大4サイクル繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 体重が45kg以上の場合:1サイクル目の1~7日目は1日9µg、それ以降は1日28µgとする。

  • 体重が45kg未満の場合:1サイクル目の1~7日目は1日5µg/m2(体表面積)、それ以降は1日15µg/m2(体表面積)とする。ただし、体重が45kg以上の場合の投与量を超えないこと。

使用上の注意

  1. 8.1 神経学的事象として痙攣発作があらわれることがある。痙攣発作の発現後、投与再開する場合は、抗痙攣薬の投与を考慮すること。,,

  2. 8.2 神経学的事象として痙攣発作、意識障害等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  3. 8.3 サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査等を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  4. 8.4 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。,

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 急性リンパ性白血病の活動性中枢神経系病変を有する患者、及びてんかん、痙攣発作等の中枢神経系疾患を有する患者又はその既往歴のある患者

神経学的事象の症状が悪化する又はあらわれるおそれがある。 ,

  1. 9.1.2 **ダウン症候群を有する患者

痙攣発作の発現リスクが高くなるおそれがある。,

  1. 9.1.3 感染症を合併している患者

骨髄抑制により感染症が悪化するおそれがある。 ,

  1. 9.1.4 治療前に骨髄中の白血病性芽球の割合が50%超又は末梢血中の白血病性芽球数が15,000/µL以上の患者

副作用の発現を軽減するため、治療前にデキサメタゾンによる治療を行った後、本剤を投与することが望ましい。

9.4 生殖能を有する者

*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後48時間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。本剤の妊娠中の曝露により胎児のリンパ球数が減少する可能性がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒトIgは母乳中に移行することが知られている。

9.7 小児等

低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般的に生理機能が低下している。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
C-反応性蛋白増加 1%未満
CSFリンパ球数異常 1%未満
CSF細胞数異常 1%未満
CSF蛋白増加 1%未満
アレルギー性皮膚炎 1%未満
イレウス 1%未満
インフルエンザ様疾患 1%未満
うっ血性心不全 1%未満
カテーテル留置部位関連反応 1%未満
ざ瘡様皮膚炎 1%未満
しゃっくり 1%未満
そう痒症 1〜5%未満
ネフローゼ症候群 1%未満
ほてり 1%未満
一過性脳虚血発作 1%未満
下痢 1〜5%未満
不快感 1%未満
中毒性皮疹 1%未満
乏尿 1%未満
低アルブミン血症 1〜5%未満
低カリウム血症 1〜5%未満
低カルシウム血症 1〜5%未満
低ナトリウム血症 1〜5%未満
低マグネシウム血症 1〜5%未満
低リン酸血症 1〜5%未満
低体温 1%未満
低酸素症 1%未満
体液貯留 1%未満
体重増加 1〜5%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
光視症 1%未満
免疫グロブリン減少 5%以上
全身性炎症反応症候群 1%未満
凝血異常 1〜5%未満
出血 1%未満
口の感覚鈍麻 1%未満
口内乾燥 1%未満
口内炎 1〜5%未満
口腔内出血 1%未満
口腔知覚不全 1%未満
吐血 1%未満
呼吸困難 1〜5%未満
咳嗽 1〜5%未満
嘔吐 1〜5%未満
四肢痛 1〜5%未満
回転性めまい 1%未満
国際標準比(INR)増加 1〜5%未満
多汗症 1%未満
多臓器機能不全症候群 1%未満
大腸炎 1%未満
好酸球増加 1%未満
寝汗 1%未満
尿意切迫 1%未満
尿閉 1%未満
形成不全 1%未満
徐脈 1%未満
心停止 1%未満
心室機能不全 1%未満
心房粗動 1%未満
心房細動 1%未満
心窩部不快感 1%未満
心電図QT延長 1%未満
急性心筋梗塞 1%未満
急性腎障害 1%未満
性器浮腫 1%未満
悪寒 1〜5%未満
悪液質 1%未満
挫傷 1%未満
月経過多 1%未満
末梢性ニューロパチー 1〜5%未満
歩行障害 1%未満
水分過負荷 1〜5%未満
活動性低下 1%未満
浮腫 1〜5%未満
潮紅 1〜5%未満
点状出血 1%未満
熱感 1%未満
疲労 5%以上
疼痛 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
白血病髄外浸潤 1%未満
皮膚乾燥 1%未満
皮膚潰瘍 1%未満
皮膚病変 1%未満
皮膚色素過剰 1%未満
眼充血 1%未満
眼痛 1%未満
眼瞼浮腫 1%未満
眼窩周囲浮腫 1%未満
神経学的検査異常 1%未満
移植片対宿主病 1%未満
穿刺部位紅斑 1%未満
筋力低下 1%未満
筋痙縮 1%未満
筋緊張 1%未満
筋緊張低下 1%未満
筋骨格痛 5%以上
粘膜の炎症 1%未満
結膜出血 1%未満
総蛋白減少 1%未満
緑内障 1%未満
羞明 1%未満
耳鳴 1%未満
肋骨骨折 1%未満
肝炎 1%未満
肝障害 1〜5%未満
肺水腫 1%未満
肺障害 1%未満
肺高血圧症 1%未満
胃炎 1%未満
胆汁うっ滞 1%未満
胸水 1%未満
胸痛 1%未満
胸膜痛 1%未満
胸骨の炎症 1%未満
脊椎痛 1%未満
脱毛症 1%未満
脳波異常 1%未満
脳虚血 1%未満
腋窩痛 1%未満
腎機能障害 1%未満
腟出血 1%未満
腸壁気腫症 1%未満
腹水 1%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満 1%未満
蛋白尿 1%未満
血中アルカリホスファターゼ増加 1〜5%未満
血中クレアチニン増加 1%未満
血中ブドウ糖減少 1%未満
血中乳酸脱水素酵素増加 1%未満
血清フェリチン増加 1%未満
視力障害 1%未満
転倒 1%未満
運動性低下 1%未満
過敏症 1%未満
錐体路症候群 1%未満
関節炎 1%未満
関節腫脹 1%未満
限局性浮腫 1%未満
頭蓋内出血 1%未満
頻呼吸 1%未満
頻尿 1%未満
頻脈 1〜5%未満
顎痛 1%未満
食欲減退 1〜5%未満
骨痛 1〜5%未満
骨盤痛 1%未満
高カリウム血症 1〜5%未満
高カルシウム血症性腎症 1%未満
高クレアチン血症 1%未満
高コレステロール血症 1%未満
高トリグリセリド血症 1%未満
高ビリルビン血症 5%以上
高尿酸血症 1%未満
高熱 1%未満
高血圧 1〜5%未満
高血糖 1%未満
鼓腸 1%未満
鼻出血 1〜5%未満
鼻漏 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ブリナツモマブは、CD3及びCD19に対する2種のマウスモノクローナル抗体の可変領域を、リンカーを介して結合させた遺伝子組換えタンパクである。ブリナツモマブは、T細胞の細胞膜上に発現するCD3とB細胞性腫瘍の細胞膜上に発現するCD19に結合し、架橋することによりT細胞を活性化し、CD19陽性の腫瘍細胞を傷害すると考えられる。

18.2 抗腫瘍効果

ブリナツモマブは、ヒト末梢血単核球(PBMC)の存在下において、ヒトB細胞性急性リンパ性白血病由来NALM-6、KOPN-8、SEM細胞株等に対して増殖抑制作用を示した。10),11) (in vitro試験) ブリナツモマブは、NALM-6及びSEM細胞株をヒトPBMCとともに皮下移植した非肥満型糖尿病/重度複合型免疫不全(NOD/SCID)マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。また、ブリナツモマブは、NALM-6細胞株をヒトPBMCとともに静脈内移植したNOD/SCIDマウスにおいて、生存期間の延長を示した。12),13)

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 反復投与

  2. (1) 成人(18歳以上) 再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者にブリナツモマブ1日9µgを7日間、その後1日28µgを21日間持続点滴静注し、14日間休薬(1サイクル目)した後、2サイクル目以降は1日28µgを28日間持続点滴静注したとき注1)の血清中ブリナツモマブの濃度時間推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す。1) 注1)本剤の承認用法・用量は、45kg以上の患者には1日9µgを7日間、その後1日28µgを21日間持続点滴静注する。45kg未満の患者には1日5µg/m2(体表面積)を7日間、その後1日15µg/m2(体表面積)を21日間持続点滴静注する。図1 成人(18歳以上)の再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者にブリナツモマブを固定用量にて持続点滴静注したときの血清中ブリナツモマブ濃度推移(平均値±標準偏差)

投与量 サイクル n Css注1) (pg/mL) t1/2 (h) CL (L/h) Vz (L)
1日9µg 1 23 191±90.8 2.44±1.19
1日28µg 1 25 948±488 2.38±1.36注2) 1.62±0.925 6.02±6.09注2)
2 21 1,150±575 1.34±0.915
注1):定常状態における血清中濃度(投与開始から24時間以降又はt1/2の約5倍以上の時間が経過した後の血清中濃度に基づき算出)、注2):n=24、-:算出せず
  1. (2) 小児(18歳未満) 再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者にブリナツモマブ1日5µg/m2(体表面積)を7日間、その後1日15µg/m2(体表面積)を21日間持続点滴静注し、14日間休薬(1サイクル目)した後、2サイクル目以降は1日15µg/m2(体表面積)を28日間持続点滴静注したとき注4)の血清中ブリナツモマブの濃度時間推移を図2に、薬物動態パラメータを表2に示す。1)図2 小児(18歳未満)の再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者にブリナツモマブを体表面積補正用量にて持続点滴静注したときの血清中ブリナツモマブ濃度推移(平均値±標準偏差)
投与量 サイクル n Css注1) (pg/mL) t1/2 (h) CL (L/h/m2) Vz (L/m2)
1日5µg/m2 1 7 113±65.0 2.29±1.02
1日15µg/m2 1 7 361±137 1.92±1.12注2) 2.02±1.02 5.05±3.35注2)
2 6 427±66.0 1.49±0.218
注1):定常状態における血清中濃度(投与開始から24時間以降又はt1/2の約5倍以上の時間が経過した後の血清中濃度に基づき算出)、注2):n=5、-:算出せず

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

成人及び小児の再発又は難治性のB細胞性急性リンパ性白血病患者並びに成人の非ホジキンリンパ腫患者(正常腎機能患者[(クレアチニンクリアランス〈CrCL〉90mL/min以上]:531例、軽度腎機能障害患者[CrCL 60~89mL/min]:143例、中等度腎機能障害患者[CrCL 30~59mL/min]:47例)注2)にブリナツモマブを持続点滴静注したときのCLの平均値の差は、中等度腎機能障害患者と正常腎機能患者との間で2倍未満であった。CLの個体間変動は大きく(CV%:最大値93.5%)、軽度及び中等度腎機能障害患者におけるCLは正常腎機能患者の範囲内であった。2)(外国人データを含む) 注2)本剤の承認用法・用量とは異なる用法・用量で投与された臨床試験のデータも含む。