【警告】

  1. 1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)等の全身症状を伴う重度の皮膚障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている。以下の事項に注意するとともに、重度の皮膚障害が発現した場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。,

  • 異常が認められた場合には、皮膚科医と連携の上、適切な処置(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤の使用等)を行うこと。
  1. 1.3 間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。,,

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

根治切除不能な尿路上皮癌

用法・用量

通常、成人には、エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え)として1回1.25mg/kg(体重)を30分以上かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。ただし、1回量として125mgを超えないこと。なお、患者の状態により適宜減量する。 ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)と併用する場合は、通常、成人には、エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え)として1回1.25mg/kg(体重)を30分以上かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。ただし、1回量として125mgを超えないこと。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1 重度の皮膚障害があらわれることがあるので、本剤投与中(特に投与開始最初の1サイクル)は患者の状態を十分に観察すること。また、患者に対して、皮膚、粘膜又は眼等の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう指導すること。,

  2. 8.2 高血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、定期的に血糖値の測定を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、本剤の投与を開始する前に血糖値を適切にコントロールしておくこと。,

  3. 8.3 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  4. 8.4 腎機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。また、患者に対して、初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう指導すること。,,

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 高血糖、糖尿病若しくはその既往歴のある患者又は糖尿病の危険因子(BMI(Body Mass Index)高値等)を有する患者

高血糖の発現又は増悪リスクが高まるおそれがある。糖尿病の既往を有する患者及びBMI 30kg/m2以上の患者において、高頻度で高血糖の発現が認められた。臨床試験では、本剤投与前3カ月以内に糖尿病のコントロールが不良であった患者は除外された。,

  1. 9.1.2 末梢性ニューロパチーを合併している患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.3 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者

間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。,,

9.3 肝機能障害患者

本剤を構成するモノメチルアウリスタチンE(MMAE)は主に肝代謝により消失することから、肝機能障害のある患者ではMMAEの血中濃度が上昇する可能性がある。なお、肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1 妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。,

  2. 9.4.2 男性には、本剤投与中及び最終投与後1カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(ラット)において、本剤の臨床用量に相当する曝露量(Cmax)で生存胎児数の減少、胎児体重減少及び早期吸収胚の増加が認められた。また、動物試験(ラット)において、妊娠6日目及び13日目にMMAEを投与したところ、胚・胎児毒性及び催奇形性が報告されている1)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒトでの乳汁中移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ドライアイ 頻度不明
下痢 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
味覚不全 頻度不明
嘔吐 頻度不明
悪心 頻度不明
斑状丘疹状皮疹 頻度不明
斑状皮疹 頻度不明
水疱性皮膚炎 頻度不明
流涙増加 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
無力症 頻度不明
疲労 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚色素過剰 頻度不明
紅斑 頻度不明
紅斑性皮疹 頻度不明
結膜炎 頻度不明
脱毛症 頻度不明
腹痛 頻度不明
薬疹 頻度不明
角膜炎 頻度不明
霧視 頻度不明
食欲減退 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

エンホルツマブ ベドチンは、抗Nectin-4ヒト型IgG1モノクローナル抗体と、微小管重合阻害作用を有するMMAEを、リンカーを介して共有結合させた抗体薬物複合体である。エンホルツマブ ベドチンは、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するNectin-4に結合し、細胞内に取り込まれた後にプロテアーゼによりリンカーが切断され、MMAEが細胞内に遊離する11),12),13)。遊離したMMAEは微小管に結合し、細胞分裂を阻害してアポトーシスを誘導すること等により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている14),15),16)。

18.2 抗腫瘍作用

エンホルツマブ ベドチンは、膀胱癌患者由来AG-B8又はAG-B1腫瘍組織片を皮下移植した重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した17)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回及び反復投与

化学療法歴のある根治切除不能な尿路上皮癌患者に、28日間を1サイクルとして、本剤1.0注5)又は1.25mg/kgを1、8及び15日目に静脈内投与したときの、サイクル1の1日目及び15日目の本剤及びMMAEの血中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下の図及び表に示す。 本剤1.25mg/kg投与時の、サイクル1の1日目に対する15日目のCmax及びAUC(d0-7)に基づく本剤の蓄積係数はそれぞれ0.946及び1.14であった。また、本剤1.25mg/kg投与時の、サイクル1の1日目に対する15日目のCmax及びAUC(d0-7)に基づくMMAEの蓄積係数はそれぞれ1.60及び1.57であった5)。

図 化学療法歴のある根治切除不能な尿路上皮癌患者に本剤1.0mg/kg又は1.25mg/kgを投与後の本剤の血清中濃度推移図 化学療法歴のある根治切除不能な尿路上皮癌患者に本剤1.0mg/kg又は1.25mg/kgを投与後のMMAEの血漿中濃度推移

1.0mg/kg 1.25mg/kg
単回投与後(サイクル1の1日目)
N 9 8
Cmax (µg/mL) 20.4(12.4) 24.2(18.5)
Tmaxa)(day) 0.0237(0.0187, 0.0429) 0.0254(0.0237, 0.0450)
AUC(d0-7) (day·µg/mL) 26.7(19.2) 27.6(17.4)b)
t1/2(day) 1.89(17.9) 1.85(6.8)b)
反復投与後(サイクル1の15日目)
N 6 4
Cmax (µg/mL) 21.1(30.1) 20.1(8.0)
Tmaxa)(day) 0.0427(0.0237, 0.0867) 0.0452(0.0208, 0.0800)
AUC(d0-7) (day·µg/mL) 29.7(18.9) 28.1(12.1)
t1/2(day) 3.20(21.9) 3.02(28.1)
幾何平均値(幾何%CV)

a)中央値(最小値,最大値)

b)N=7

1.0mg/kg 1.25mg/kg
単回投与後(サイクル1の1日目)
N 9 7
Cmax (ng/mL) 1.69(50.2) 2.10(103.6)
Tmaxa)(day) 2.02(1.00, 3.04) 2.07(1.01, 3.01)
AUC(d0-7) (day·ng/mL) 9.27(47.4) 11.8(100.4)
反復投与後(サイクル1の15日目)
N 6 4
Cmax (ng/mL) 2.44(58.7) 3.94(91.5)
Tmaxa)(day) 2.02(0.998, 2.95) 1.94(0.977, 1.97)
AUC(d0-7) (day·ng/mL) 13.5(56.5) 21.7(91.5)
t1/2(day) 3.92(11.0)b) 4.30(35.2)
幾何平均値(幾何%CV)

a)中央値(最小値,最大値)

b)N=4

注5)本剤の承認用量はエンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え)として1回1.25mg/kg(体重)である。

16.3 分布

MMAEのヒト血漿蛋白に対するin vitro結合率は68〜82%であった6)。

16.4 代謝

in vitro試験により、MMAEは主にCYP3A4で代謝されることが示された2)。

16.5 排泄

ラットに放射性標識したMMAE 0.056mg/kgを単回静脈内投与したところ、投与48時間後までに投与放射能の約95%が尿又は糞中へ排泄され、投与672時間後までの放射能の糞中排泄率は雄及び雌でそれぞれ96.7及び102%、尿中排泄率はそれぞれ15.1及び9.4%であった7)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 ケトコナゾール

生理学的薬物動態モデルに基づいたシミュレーションにおいて、本剤単独投与時に対するケトコナゾール(強いCYP3A阻害剤)併用投与時のMMAEのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、それぞれ1.15及び1.38と推定された8)。

  1. 16.7.2 その他

生理学的薬物動態モデルに基づいたシミュレーションにおいて、本剤単独投与時に対するリファンピシン(強いCYP3A誘導剤)併用投与時のMMAEのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、それぞれ0.72及び0.47と推定された8)。