【警告】

本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

再発又は難治性のFLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病

用法・用量

通常、成人にはギルテリチニブとして120mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回200mgを超えないこと。

使用上の注意

  1. 8.1 QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、必要に応じて電解質補正(カリウム、マグネシウム等)を行うこと。,,

  2. 8.2 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 8.3 出血があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  4. 8.4 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5 腎障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  6. 8.6 間質性肺疾患があらわれることがあるので、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者

QT間隔延長が起こるおそれがある。,,

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重度の肝機能障害のある患者

重度の肝機能障害のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1 **妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  2. 9.4.2 **男性には、本剤投与中及び最終投与後4カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。また、マウスにおいて遺伝毒性が認められている1)。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(ラット)において、臨床曝露量未満に相当する用量で胎児発育抑制、胚・胎児死亡及び催奇形性が認められている2)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている3)。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
ALP増加 頻度不明
CK増加 頻度不明
LDH増加 頻度不明
アミラーゼ増加 頻度不明
アルドラーゼ増加 頻度不明
クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎 頻度不明
しゃっくり 頻度不明
そう痒症 頻度不明
トランスアミナーゼ上昇 頻度不明
リンパ球数減少 頻度不明
上気道感染 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢 頻度不明
下部消化管出血 頻度不明
不眠症 頻度不明
丘疹性皮疹 頻度不明
低アルブミン血症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低カルシウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低リン酸血症 頻度不明
低血圧 頻度不明
低酸素症 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
傾眠 頻度不明
内出血発生の増加傾向 頻度不明
労作性呼吸困難 頻度不明
医療機器関連感染 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
口腔カンジダ症 頻度不明
口腔内出血 頻度不明
口腔粘膜水疱形成 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
国際標準比増加 頻度不明
塞栓症 頻度不明
大腸炎 頻度不明
心筋炎 頻度不明
急性前骨髄球性白血病分化症候群 頻度不明
急性熱性好中球性皮膚症 頻度不明
悪心 頻度不明
感覚鈍麻 頻度不明
斑状皮疹 頻度不明
末梢性ニューロパチー 頻度不明
末梢性感覚ニューロパチー 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
末梢腫脹 頻度不明
汎血球減少症 頻度不明
洞性頻脈 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 頻度不明
点状出血 頻度不明
無力症 頻度不明
異常感覚 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
痙攣発作 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
皮膚疼痛 頻度不明
皮膚色素過剰 頻度不明
眼乾燥 頻度不明
眼窩周囲浮腫 頻度不明
知覚過敏 頻度不明
神経痛 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
粘膜の炎症 頻度不明
紫斑 頻度不明
結膜出血 頻度不明
網膜出血 頻度不明
羞明 頻度不明
肝機能検査値上昇 頻度不明
肝機能異常 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
胸水 頻度不明
脱水 頻度不明
腟出血 頻度不明
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
薬疹 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
血中リン減少 頻度不明
視力低下 頻度不明
起立性低血圧 頻度不明
転倒 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節痛 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔面浮腫 頻度不明
食欲減退 頻度不明
駆出率減少 頻度不明
高トリグリセリド血症 頻度不明
高ビリルビン血症 頻度不明
高リン酸塩血症 頻度不明
高尿酸血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
高血糖 頻度不明
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ギルテリチニブは、FLT3等のチロシンキナーゼに対する阻害作用を示し、FLT3を介したシグナル伝達を阻害することにより、FLT3遺伝子変異(FLT3-ITD及びFLT3-TKD(D835Y))を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられる19),20),21)。

18.2 抗腫瘍効果

  1. 18.2.1 In vitro試験

ギルテリチニブは、FLT3遺伝子変異を有するヒト急性骨髄性白血病由来MV4-11細胞株に対して増殖抑制作用を示した21)。

  1. 18.2.2 In vivo試験

ギルテリチニブは、MV4-11細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した22)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

再発又は難治性の日本人急性骨髄性白血病患者に本剤20~300mg注)を単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度は投与後3~7時間でCmaxに達した。未変化体のCmax及びAUC24は用量の増加に伴って上昇した9)。

日本人急性骨髄性白血病患者に本剤20~300mgを単回経口投与したときの血漿中未変化体濃度推移(平均値±標準偏差)

  1. 16.1.2 反復投与

再発又は難治性の日本人急性骨髄性白血病患者に本剤20~200mg注)を1日1回反復経口投与したとき、ギルテリチニブの血漿中未変化体濃度は、反復投与開始15日目には定常状態に達したと考えられた。また、定常状態におけるギルテリチニブのAUC24は単回投与時の5.6~8.1倍であり、消失半減期は84~126時間であった9)。

日本人急性骨髄性白血病患者に本剤20~200mgを1日1回反復経口投与したときの第28日目における血漿中未変化体濃度推移(平均値±標準偏差)

20mg 40mg 80mg 120mg 200mg 300mg
単回投与 例数 1 4 4 4 9 2
Cmax(ng/mL) 15.32 29.81 (13.56) 67.07 (26.02) 216.38 (167.00) 221.22 (97.05) 292.49
Tmaxa) (h) 4.01 (3.88,4.08) 4.03 (2.00,9.93) 3.03 (1.93,6.17) 5.92 (3.85,10.00) 6.93 (3.88,9.98)
AUC24 (ng・h/mL) 241.65 435.59 (167.16) 1047.54 (574.97) 3340.23 (2353.76) 3595.61 (1463.99) 5367.62
反復投与 例数 1 3 3 2 5
Cmax (ng/mL) 70.53 122.96 (66.06) 205.90 (36.78) 680.23 1016.28 (295.23)
Tmaxa) (h) 3.92 (2.05,3.95) 6.08 (1.93,6.12) 5.06 (4.03,6.08) 6.00 (3.98,10.00)
AUC24 (ng・h/mL) 1345.53 2411.97 (1181.65) 4142.27 (738.07) 13463.35 21573.86 (6230.86)
t1/2 (h) 84.04 88.93 (11.65) 90.65 (68.18) 124.09 126.23 (61.54)

a)中央値(最小,最大)。N=1の場合、算出せず。

16.2 吸収

  1. 16.2.1 食事の影響

健康成人男女(32例)に本剤40mg注)を空腹時又は食後単回経口投与したとき、空腹時投与に対する食後投与のCmax及びAUCinfの幾何平均比(90%信頼区間)は、それぞれ74.0%(62.2%~88.1%)及び93.8%(81.2%~108.4%)であった10)(外国人データ)。

16.3 分布

ギルテリチニブの血漿蛋白結合率は約90%であり、ヒト血漿中の主要結合蛋白はヒト血清アルブミンであった11)(in vitro試験)。

16.4 代謝

ギルテリチニブは主にCYP3A4で代謝される4)(in vitro試験)。ヒト血漿中の主成分は未変化体であり、認められた3種の代謝物の曝露量はいずれも未変化体の10%未満であった12)(外国人データ)。

16.5 排泄

再発又は難治性の日本人急性骨髄性白血病患者に本剤20~300mg注)を反復経口投与したとき、全投与群を通じて未変化体の尿中排泄率は13.11%以下であった9)。外国人固形癌患者(5例)にギルテリチニブ120mgを14日間連日投与した後、14C-ギルテリチニブを空腹時単回経口投与したとき、投与後768時間までの放射能の尿中及び糞中排泄率はそれぞれ16.4%及び64.5%であった12)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 肝機能障害患者

本剤10mg注)を単回経口投与したとき、健康成人(8例)に対する軽度肝機能障害患者(Child-Pugh A、8例)のCmax及びAUCinf(非結合型)の幾何平均比(90%信頼区間)は119.49%(91.25%~156.46%)及び88.42%(65.92%~118.61%)であった。同様に、中等度肝機能障害患者(Child-Pugh B、8例)のCmax及びAUCinf(非結合型)の幾何平均比(90%信頼区間)は117.72%(89.90%~154.15%)及び88.48%(65.97%~118.69%)であった13)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 リファンピシン

健康成人男女(20例)にCYP3A誘導作用及びP-gp誘導作用を有する薬剤であるリファンピシン600mgを1日1回21日間経口投与した。投与開始8日目に本剤20mg注)を単回経口投与したとき、本剤単独投与群(20例)に対する併用群のCmax及びAUCinfの幾何平均比(90%信頼区間)は73.44%(61.36%~87.91%)及び28.47%(24.21%~33.48%)であった14)(外国人データ)。

  1. 16.7.2 イトラコナゾール

健康成人男性(20例)に強いCYP3A阻害作用及びP-gp阻害作用を有する薬剤であるイトラコナゾール200mgを投与初日に1日2回経口投与した後、投与開始2~28日目までイトラコナゾール200mgを1日1回経口投与した。投与開始6日目に本剤10mg注)を単回経口投与したとき、本剤単独投与群(20例)に対する併用群のCmax及びAUCinfの幾何平均比(90%信頼区間)は119.80%(100.09%~143.39%)及び221.39%(188.26%~260.36%)であった14)(外国人データ)。

  1. 16.7.3 その他

  2. (1) フルコナゾール

健康成人男女(20例)に中程度のCYP3A阻害作用を有する薬剤であるフルコナゾール400mgを投与初日に1日1回経口投与した後、投与開始2~28日目までフルコナゾール200mgを1日1回経口投与した。投与開始6日目に本剤10mg注)を単回経口投与したとき、本剤単独投与群(20例)に対する併用群のCmax及びAUCinfの幾何平均比(90%信頼区間)は115.73%(96.69%~138.52%)及び143.46%(121.99%~168.71%)であった14)(外国人データ)。

  1. (2) ミダゾラム

再発又は難治性の急性骨髄性白血病患者(16例)を対象に、本剤300mg注)を1日1回反復経口投与した。本剤投与開始前日及び投与開始15日目にCYP3Aの基質であるミダゾラム2mgを単回経口投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対するギルテリチニブ併用時のミダゾラムのCmax及びAUC24の幾何平均比(90%信頼区間、それぞれ9例及び8例)はそれぞれ、111.64%(69.54%~179.25%)及び109.46%(49.82%~240.48%)であった15)(外国人データ)。

  1. (3) セファレキシン

再発又は難治性の急性骨髄性白血病患者(20例)を対象に、本剤200mgを1日1回反復経口投与した。本剤投与開始前日及び投与開始15日目にMATE1の基質であるセファレキシン500mgを単回経口投与したとき、セファレキシン単独投与時に対するギルテリチニブ併用時のセファレキシンのCmax及びAUClastの幾何平均比(90%信頼区間、ともに16例)はそれぞれ、91.46%(74.60%~112.12%)及び97.71%(74.19%~128.70%)であった15)(外国人データ)。

  1. (4) トランスポーターに対する阻害

ギルテリチニブはP-gp、BCRP及びOCT1を阻害した(in vitro試験)。

注)本剤は通常、120mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回200mgを超えない。