【警告】

  • 〈効能共通〉
  1. 1.1 本剤の投与において、重篤な副作用(腎不全、心不全、感染症、全身痙攣、意識障害、脳梗塞、血栓性微小血管障害、汎血球減少症等)により、致死的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び本剤についての十分な知識と経験を有する医師が使用すること。

  2. 1.2 顆粒剤と本剤(錠剤)の生物学的同等性は検証されていないので、切り換え及び併用に際しては、血中濃度を測定することにより製剤による吸収の変動がないことを確認すること。

  • 〈臓器移植〉
  1. 1.3 本剤の投与は、免疫抑制療法及び移植患者の管理に精通している医師又はその指導のもとで行うこと。
  • 〈関節リウマチ〉
  1. 1.4 関節リウマチ治療に精通している医師のみが使用するとともに、患者に対して本剤の危険性や本剤の投与が長期にわたることなどを予め十分説明し、患者が理解したことを確認した上で投与すること。また、何らかの異常が認められた場合には、服用を中止するとともに、直ちに医師に連絡し、指示を仰ぐよう注意を与えること。
  • 〈ループス腎炎〉
  1. 1.5 本剤の投与は、ループス腎炎の治療に十分精通している医師のもとで行うこと。
  • 〈多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎〉
  1. 1.6 本剤の投与は、多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎の治療法に十分精通している医師のもとで行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 シクロスポリン又はボセンタン投与中の患者

  3. 2.3 カリウム保持性利尿剤投与中の患者,

  4. 2.4 生ワクチンを接種しないこと

効能・効果

  • 下記の臓器移植における拒絶反応の抑制

腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植

  • 骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制

  • 重症筋無力症

  • 関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)

  • ループス腎炎(ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合)

  • 難治性(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の活動期潰瘍性大腸炎(中等症~重症に限る)

  • 多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎

  • *細胞移植に伴う免疫反応の抑制

用法・用量

  • 〈腎移植の場合〉

  • 通常、初期にはタクロリムスとして1回0.15mg/kgを1日2回経口投与し、以後、徐々に減量する。維持量は1回0.06mg/kg、1日2回経口投与を標準とするが、症状に応じて適宜増減する。

  • 〈肝移植の場合〉

  • 通常、初期にはタクロリムスとして1回0.15mg/kgを1日2回経口投与する。以後、徐々に減量し、維持量は1日量0.10mg/kgを標準とするが、症状に応じて適宜増減する。

  • 〈心移植の場合〉

  • 通常、初期にはタクロリムスとして1回0.03~0.15mg/kgを1日2回経口投与する。また、拒絶反応発現後に本剤の投与を開始する場合には、通常、タクロリムスとして1回0.075~0.15mg/kgを1日2回経口投与する。以後、症状に応じて適宜増減し、安定した状態が得られた後には、徐々に減量して有効最少量で維持する。

  • 〈肺移植の場合〉

  • 通常、初期にはタクロリムスとして1回0.05~0.15mg/kgを1日2回経口投与する。以後、症状に応じて適宜増減し、安定した状態が得られた後には、徐々に減量して有効最少量で維持する。

  • 〈膵移植の場合〉

  • 通常、初期にはタクロリムスとして1回0.15mg/kgを1日2回経口投与する。以後、徐々に減量して有効最少量で維持する。

  • 〈小腸移植の場合〉

  • 通常、初期にはタクロリムスとして1回0.15mg/kgを1日2回経口投与する。以後、徐々に減量して有効最少量で維持する。

  • 〈骨髄移植の場合〉

  • 通常、移植1日前よりタクロリムスとして1回0.06mg/kgを1日2回経口投与する。移植初期にはタクロリムスとして1回0.06mg/kgを1日2回経口投与し、以後、徐々に減量する。また、移植片対宿主病発現後に本剤の投与を開始する場合には、通常、タクロリムスとして1回0.15mg/kgを1日2回経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。

なお、本剤の経口投与時の吸収は一定しておらず、患者により個人差があるので、血中濃度の高い場合の副作用並びに血中濃度が低い場合の拒絶反応及び移植片対宿主病の発現を防ぐため、患者の状況に応じて血中濃度を測定し、トラフレベル(trough level)の血中濃度を参考にして投与量を調節すること。特に移植直後あるいは投与開始直後は頻回に血中濃度測定を行うことが望ましい。なお、血中トラフ濃度が20ng/mLを超える期間が長い場合、副作用が発現しやすくなるので注意すること。

  • 〈重症筋無力症の場合〉

  • 通常、成人にはタクロリムスとして3mgを1日1回夕食後に経口投与する。

  • 〈関節リウマチの場合〉

  • 通常、成人にはタクロリムスとして3mgを1日1回夕食後に経口投与する。なお、高齢者には1.5mgを1日1回夕食後経口投与から開始し、症状により1日1回3mgまで増量できる。

  • 〈ループス腎炎の場合〉

  • 通常、成人にはタクロリムスとして3mgを1日1回夕食後に経口投与する。

  • 〈潰瘍性大腸炎の場合〉

  • 通常、成人には、初期にはタクロリムスとして1回0.025mg/kgを1日2回朝食後及び夕食後に経口投与する。以後2週間、目標血中トラフ濃度を10~15ng/mLとし、血中トラフ濃度をモニタリングしながら投与量を調節する。投与開始後2週以降は、目標血中トラフ濃度を5~10ng/mLとし投与量を調節する。

  • 〈多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎の場合〉

  • 通常、成人には、初期にはタクロリムスとして1回0.0375mg/kgを1日2回朝食後及び夕食後に経口投与する。以後、目標血中トラフ濃度を5~10ng/mLとし、血中トラフ濃度をモニタリングしながら投与量を調節する。

  • 〈細胞移植に伴う免疫反応の抑制の場合〉

  • *ラグネプロセルの移植前後に投与する場合には、ラグネプロセルの用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1 腎障害の発現頻度が高いので、頻回に臨床検査(クレアチニン、BUN、クレアチニンクリアランス、尿中NAG、尿中β2ミクログロブリン等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。特に投与初期にはその発現に十分注意すること。,,

  2. 8.2 高カリウム血症が発現することがあるので、頻回に血清カリウムの測定を行うこと。なお、カリウム保持性利尿剤(スピロノラクトン、カンレノ酸カリウム、トリアムテレン)の併用あるいはカリウムの過剰摂取を行わないこと。,

  3. 8.3 高血糖、尿糖等の膵機能障害の発現頻度が高いので、頻回に臨床検査(血液検査、空腹時血糖、アミラーゼ、尿糖等)を行うなど患者の状態を十分に観察すること。特に投与初期にはその発現に十分注意すること。,

  4. 8.4 本剤投与中に心不全、不整脈、心筋梗塞、狭心症、心筋障害(心機能低下、壁肥厚を含む)等が認められているので、使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど患者の状態をよく観察すること。,

  5. 8.5 高血圧が発現することがあるので、定期的に血圧測定を行い、血圧上昇があらわれた場合には、降圧剤治療を行うなど適切な処置を行うこと。

  6. 8.6 感染症の発現又は増悪に十分注意すること。,

  7. 8.7 過度の免疫抑制により感染に対する感受性の上昇、リンパ腫等の悪性腫瘍発生の可能性があるので、十分注意すること。,

  8. 8.8 本剤の投与により副腎皮質ホルモン剤維持量の減量が可能であるが、副腎皮質ホルモン剤の副作用の発現についても引き続き観察を十分行うこと。

  • 〈骨髄移植〉
  1. 8.9 移植片対宿主病が発症した場合は速やかに治療を開始することが望ましく、また、シクロスポリンが既に投与されている症例では継続治療が可能かどうかを早期に見極め、困難と判断されれば速やかにシクロスポリンを中止し、本剤に切り換えること。
  • 〈重症筋無力症〉
  1. 8.10 胸腺非摘除例に使用する場合、本剤の投与開始前及び投与開始後において、定期的に胸腺腫の有無を確認すること。胸腺腫が確認された場合には、胸腺摘除等の胸腺腫の治療を適切に実施するとともに、治療上の有益性と危険性を慎重に評価した上で本剤を投与すること。本剤の胸腺腫への影響は明らかになっていない。
  • 〈関節リウマチ〉
  1. 8.11 少数例ながら非ステロイド性抗炎症剤を2剤以上併用した症例でクレアチニン上昇発現率が高かったので腎障害の発現に注意すること。
  • 〈ループス腎炎〉
  1. 8.12 病態の進行による腎障害の悪化がみられるので特に注意すること。

  2. 8.13 基礎疾患である全身性エリテマトーデスにおいて冠動脈疾患の危険因子とされている高脂血症、高血圧症等の疾患を合併する場合が多いことから、それらの疾患の適切な治療を進めながら本剤を投与すること。

  • 〈潰瘍性大腸炎〉
  1. 8.14 本剤の投与は、潰瘍性大腸炎の治療法に十分精通している医師のもとで行うこと。
  • 〈多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎〉
  1. 8.15 本剤によりニューモシスティス肺炎発現のおそれがあるので、適切な予防措置を考慮すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 感染症のある患者

感染症が悪化する可能性がある。,

  1. 9.1.2 関節リウマチに間質性肺炎を合併している患者

間質性肺炎が悪化する可能性がある。

  1. 9.1.3 肝炎ウイルスキャリアの患者

肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。

  1. 9.1.4 C型肝炎直接型抗ウイルス薬が投与される患者

C型肝炎直接型抗ウイルス薬を投与開始後、本剤の増量が必要となった症例が報告されており、C型肝炎直接型抗ウイルス薬による抗ウイルス治療に伴い、使用中の本剤の用量調節が必要になる可能性がある。本剤を使用している患者にC型肝炎直接型抗ウイルス薬を開始する場合には、原則、処方医に連絡するとともに、本剤血中濃度のモニタリングを頻回に行うなど患者の状態を十分に観察すること。

9.2 腎機能障害患者

腎障害が悪化する可能性がある。副作用の発現を防ぐため、定期的に血中濃度を測定し、投与量を調節することが望ましい。

9.3 肝機能障害患者

薬物代謝能が低下し、本剤血中濃度が上昇する可能性がある。副作用の発現を防ぐため、定期的に血中濃度を測定し、投与量を調節することが望ましい。

9.5 妊婦

以下の報告を考慮し、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  • 〈効能共通〉
  1. 9.5.1 **動物実験(ウサギ)で催奇形作用、胎児毒性が報告されている1)。

  2. 9.5.2 **ヒトで胎盤を通過することが報告されている2)。

  3. 9.5.3 **妊娠中に本剤を投与された女性において、早産及び児への影響(低出生体重、先天奇形、高カリウム血症、腎機能障害)の報告がある3),4)。

  • 〈肝移植、腎移植〉
  1. 9.5.4 **海外で実施された、Transplant Pregnancy Registry Internationalのデータベースから利用可能な2,905件の肝移植及び腎移植患者の妊娠事例に関するコホート研究において、前向きに調査された症例について以下の結果が報告されている5)。
  • 大奇形が認められた症例は、本剤曝露群では6/297例(2.0%)、本剤非曝露群注1)では1/53例(1.9%)であった注2)。

  • 小奇形が認められた症例は、本剤曝露群では12/297例(4.0%)、本剤非曝露群では認められなかった注2)。

  • 自然流産が認められた症例は、本剤曝露群では33/335例(9.9%)、本剤非曝露群では3/56例(5.4%)であった注2)。

  • 腎移植患者において、子癇前症が認められた症例は、本剤曝露群では84/226例(37.2%)、本剤非曝露群では7/37例(18.9%)であった。

  • 早産児が認められた症例は、本剤曝露群では156/352例(44.3%)、本剤非曝露群では25/59例(42.4%)であった。

  • 妊娠週数に対して児が正常な出生体重であった症例は、本剤曝露群では289/352例(82.1%)、本剤非曝露群では40/59例(67.8%)であった。

  • 注1)アザチオプリン、シクロスポリン、エベロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、プレドニゾロン、シロリムスのいずれか1つ以上を含むレジメンによる治療を受けた患者

  • 注2)妊娠の6週間前から出産までの間にミコフェノール酸モフェチルに曝露している患者を除外した解析結果

9.6 授乳婦

本剤投与中は授乳しないことが望ましい。母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

**特に2歳未満の乳幼児例において、Epstein-Barrウイルスに関連したリンパ増殖性疾患あるいはリンパ腫の発現の可能性が高い。骨髄移植、腎移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植、重症筋無力症、関節リウマチ、ループス腎炎、潰瘍性大腸炎及び多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎では小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下している。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
Al-P上昇 5%以上
ALT上昇 5%以上
CK上昇 頻度不明
LDH上昇 5%以上
γ-GTP上昇) 5%以上
アシドーシス 1〜5%未満
アミラーゼ上昇 1〜5%未満
うつ病 1%未満
クレアチニンクリアランス低下 5%以上
クレアチニン上昇 5%以上
しびれ 1〜5%未満
せん妄 1〜5%未満
そう痒 1〜5%未満
ほてり 1〜5%未満
めまい 1%未満
リンパ球減少 1%未満
下痢 1〜5%未満
下血 1%未満
不安 1〜5%未満
不眠 1〜5%未満
低カリウム血症 1〜5%未満
低カルシウム血症 1〜5%未満
低ナトリウム血症 1〜5%未満
低マグネシウム血症 5%以上
低リン酸血症 1〜5%未満
低蛋白血症 1〜5%未満
体重減少 1〜5%未満
傾眠 1%未満
全身倦怠感 1〜5%未満
冷感 頻度不明
動悸 1〜5%未満
十二指腸潰瘍 1〜5%未満
口内炎 1〜5%未満
口渇 頻度不明
味覚異常 1%未満
咽喉頭異和感 1%未満
喘息 1〜5%未満
嘔吐 1〜5%未満
四肢硬直 1%未満
外転神経麻痺 1%未満
多尿 1〜5%未満
多汗 頻度不明
大腸炎 1〜5%未満
失見当識 1〜5%未満
好中球減少 頻度不明
尿糖 1〜5%未満
尿蛋白)(23.1%) 5%以上
尿量減少 1〜5%未満
幻覚 頻度不明
徐脈 1%未満
心電図異常 1〜5%未満
悪心 1〜5%未満
意識混濁 1%未満
感覚異常 1〜5%未満
振戦 5%以上
月経過多 1〜5%未満
残尿感 1%未満
浮腫 1〜5%未満
消化管出血 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
発赤 頻度不明
白血球増多 1〜5%未満
白血球減少 1〜5%未満
眼振 1%未満
眼痛 頻度不明
筋肉痛 1%未満
紅斑 1〜5%未満
肝機能異常(AST上昇 5%以上
胃潰瘍 1〜5%未満
胸やけ 頻度不明
胸水 1〜5%未満
胸痛 頻度不明
脱毛 1〜5%未満
腎障害(BUN上昇 5%以上
腸管運動障害 1〜5%未満
腹水 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
興奮 1%未満
血圧上昇 5%以上
血圧低下 1〜5%未満
血小板増多 1〜5%未満
血小板減少 1〜5%未満
血尿 1〜5%未満
貧血 1〜5%未満
運動失調 頻度不明
関節痛 1%未満
頭痛 1〜5%未満
頻尿 1%未満
頻脈 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
高カリウム血症 5%以上
高カルシウム血症 1〜5%未満
高クロール血症 1〜5%未満
高コレステロール血症 1〜5%未満
高トリグリセリド血症 1〜5%未満
高リン酸血症 1〜5%未満
高尿酸血症 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

タクロリムスは、T細胞受容体等からのシグナル伝達を介した免疫亢進作用に重要な酵素であるカルシニューリンを阻害することで、サイトカイン産生抑制及びそれに伴う免疫抑制作用を示す。73)

18.2 In vitro作用

  1. 18.2.1 T細胞刺激によるT細胞からのインターロイキン(IL)-2及びインターフェロン(IFN)-γのみならず、腫瘍壊死因子α、IL-1β及びIL-6等の産生も抑制する。74),75),76)

  2. 18.2.2 免疫系以外の骨髄細胞等の増殖に対する抑制作用は弱く、免疫系細胞に対する選択性が示されている。74),75)

18.3 移植に対する作用

  1. 18.3.1 同所性肝移植モデル(カニクイザル、イヌ、ラット)における移植臓器拒絶反応を抑制し、生存期間を延長させる。77),78),79)

  2. 18.3.2 ラット再生肝の促進及びイヌ門脈結紮による細胞萎縮の回復、分裂細胞数の増加等肝臓に対する増殖促進効果を有する。80),81),82)

  3. 18.3.3 移植片対宿主病モデル(マウス、ラット)において、移植片対宿主反応を抑制し、生存期間を延長させる。83),84)

  4. 18.3.4 腎移植モデル(ヒヒ、イヌ、ラット)、心移植モデル(ラット)、肺移植モデル(イヌ)及び膵移植モデル(イヌ)における移植臓器拒絶反応を抑制し、生存期間を延長させる。83),85),86),87),88),89)

18.4 関節炎に対する作用

関節炎モデル(ラット)における炎症性サイトカイン産生を抑制し、関節炎症及び骨・軟骨病変を改善する。90),91),92)

18.5 腎炎に対する作用

腎炎モデル(マウス)における抗二重鎖DNA抗体産生及び血中の補体成分の低下を抑制し、糸球体腎炎病変の悪化及び尿蛋白の上昇を抑制する。93)

18.6 大腸炎に対する作用

炎症性腸疾患モデル(マウス)において、大腸粘膜の活性化T細胞からのIFN-γの産生を抑制し、大腸炎病態を軽減する。94)

18.7 間質性肺炎に対する作用

間質性肺炎モデル(マウス)の肺胞におけるT細胞に起因する炎症反応及び線維化を抑制する。また、肺傷害モデル(マウス、イヌ)の生存率を改善する。95),96),97)

18.8 重症筋無力症に対する作用

重症筋無力症モデル(ラット)において、抗アセチルコリン受容体抗体の産生を抑制し、自発性微小終板電位の振幅を改善する。98)

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 腎移植

承認時までの臨床試験において、成人腎移植患者9例にタクロリムスカプセル0.16mg/kgを経口投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。9)

Tmax (h) Cmax (ng/mL) AUC0-12h (ng・h/mL) トラフ値※ (ng/mL) F※※ (%)
4.2±2.9 44±45 274±198 16±12 20±17.8
※12時間後血中濃度                     (平均±S.D.)※※生体内利用率
  1. 16.1.2 肝移植

小児肝移植患者(平均年齢5.3歳)においては、成人に比べ体重換算で2.7~4.4倍の経口投与量で同程度の血清中濃度が得られた(外国人でのタクロリムスカプセル投与時のデータ)。10)

  1. 16.1.3 小腸移植

小児小腸移植患者(平均年齢2.9歳)においては、成人に比べ体重換算で1.3~2.5倍の経口投与量で同程度の血漿中濃度が得られた(外国人でのタクロリムスカプセル投与時のデータ)。11)

  1. 16.1.4 関節リウマチ

成人関節リウマチ患者12例にタクロリムスカプセル3mgを経口投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった(外国人データ)。12)

Tmax (h) Cmax (ng/mL) AUC0-∞ (ng・h/mL) t1/2 (h) F※ (%)
1.3±0.58 19.64±6.32 192.88±86.42 34.89±8.69 25.1±14.4
※生体内利用率                        (平均±S.D.)

また、国内の成人関節リウマチ患者にタクロリムスカプセル1.5及び3mgを経口投与したときの血中濃度は用量の増加に伴い増加した。13),14) なお、国内の成人関節リウマチ患者での臨床試験において血中濃度を測定した326例中、タクロリムス投与8~16時間後の平均血中濃度が10ng/mL以上を示した患者は8例のみであった。クレアチニン上昇等の副作用は血中濃度が高い場合に多く認められる傾向にあった。15)

  1. 16.1.5 ループス腎炎

成人ループス腎炎患者25例にタクロリムスカプセル3mgを経口投与したときの投与8~16時間後の平均血中濃度は4.35ng/mL(1.70~7.30ng/mL)であった。16)

  1. 16.1.6 潰瘍性大腸炎

成人潰瘍性大腸炎患者8例にタクロリムスカプセル0.05mg/kgを経口投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。17)

Tmax(h) Cmax(ng/mL) AUC0-12h(ng・h/mL)
2.4±1.4 22±13 136±105
(平均±S.D.)
  1. 16.1.7 多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎

成人多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎患者25例にタクロリムスカプセルを1日2回経口投与したときの平均血中トラフ濃度は6.55ng/mL (2.52~11.40ng/mL)であった。その時の平均投与量は0.0721mg/kg/日 (0.030~0.156mg/kg/日)であった。なお、平均血中トラフ濃度が10ng/mL以上を示した患者は3例であった。18)

  1. 16.1.8 タクロリムスカプセルとタクロリムス顆粒の比較

成人腎移植患者9例にタクロリムスカプセル及びタクロリムス顆粒を同用量投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。19),

症例 番号 投与量 (mg/回) カプセル 顆粒 比(顆粒/カプセル)
Cmax (ng/mL) AUC0-12h (ng・h/mL) Cmax (ng/mL) AUC0-12h (ng・h/mL) Cmax AUC0-12h
1 2 3 4 6 7 8 9 10 2 1 3 1 1 2 1 1 3 10 10 27 14   9.9 13   6.2   4.1 20 42.7 70.2 165.4 105.6 61.5 92.0 36.7 32.6 230.8 18   9.3 23   7.2 14 13   6.8   3.8 42 94.4 68.6 113.3 41.8 69.2 103.8 27.6 34.1 320.0 1.80 0.93 0.85 0.51 1.41 1.00 1.10 0.93 2.10 2.21 0.98 0.69 0.40 1.13 1.13 0.75 1.05 1.39
平均値 ±S.D. 1.18 ±0.50 1.08 ±0.51
  1. 16.1.9 生物学的同等性試験
  • 〈タクロリムス錠0.5mg「トーワ」〉

タクロリムス錠0.5mg「トーワ」1錠とプログラフカプセル0.5mg1カプセル(タクロリムスとして0.5mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して全血中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。20)

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-72h(ng・h/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(h) t1/2(h)
タクロリムス錠0.5mg「トーワ」 24.39±13.29 2.865±1.280 1.48±0.57 32.95±6.65
プログラフカプセル0.5mg 25.30±13.50 3.196±1.356 1.45±0.38 31.95±7.19
(平均±S.D.,n=48)全血中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
  • 〈タクロリムス錠1mg「トーワ」〉

タクロリムス錠1mg「トーワ」1錠とプログラフカプセル1mg1カプセル(タクロリムスとして1mg)を、クロスオーバー法により健康成人男子に絶食単回経口投与して全血中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。20)

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-72h(ng・h/mL) Cmax(ng/mL) Tmax(h) t1/2(h)
タクロリムス錠1mg「トーワ」 50.4±25.9 6.299±2.728 1.46±0.50 30.62±3.35
プログラフカプセル1mg 48.3±23.1 5.760±2.296 1.67±0.47 30.66±3.24
(平均±S.D.,n=48)全血中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

  1. 16.2.1 健康成人にて食事によるタクロリムス薬物動態パラメータへの影響を検討したところ、食直後及び食後1.5時間に経口投与した場合は空腹時に比べ有意にCmax及びAUCの低下がみられ、Tmaxは延長した(外国人データ)。21)

  2. 16.2.2 成人潰瘍性大腸炎患者におけるトラフ濃度を用いた母集団薬物動態解析から、タクロリムスを食後投与時の経口吸収性は、平均的に絶食下服薬時の62%と推定された。22)

16.3 分布

  1. 16.3.1 タクロリムスの血漿蛋白結合率は98.8%以上であった。23)

  2. 16.3.2 肝移植後の授乳婦6例にてタクロリムスの乳汁中移行を検討したところ、平均血漿中濃度の約半分の移行が認められた(外国人データ)。4)

  3. 16.3.3 ラットに14C標識タクロリムス0.32mg/kgを静注したところ、5分後には放射能はほとんどの組織に移行し、特に副腎、肺、心臓、甲状腺に高かった。移行した放射能は血中濃度の低下とともに消失した。なお、大脳、小脳へは低濃度の移行が認められ、放射能の消失は遅かった。24)

16.4 代謝

  1. 16.4.1 タクロリムスは主として薬物代謝酵素CYP3A4及びCYP3A5で代謝される。25)

  2. 16.4.2 肝移植患者での血中、尿中及び胆汁中代謝物は主として脱メチル体及び水酸化体であった(外国人データ)。26)

16.5 排泄

代謝物の大部分は胆汁中に排泄され、未変化体の尿中排泄率は1%以下であった(外国人データ)。なお、タクロリムスの血中濃度は腎機能あるいは透析による影響を受けない。27)

16.7 薬物相互作用

タクロリムスは主として薬物代謝酵素CYP3A4で代謝されるため、CYP3A4で代謝される他の薬物との併用によりタクロリムスの血中濃度が上昇する可能性がある。また、CYP3A4を誘導する薬物との併用によりタクロリムスの血中濃度が低下する可能性がある。一方、タクロリムスがCYP3A4での代謝を阻害することにより、CYP3A4で代謝される他の薬物の血中濃度を上昇させる可能性がある。また、タクロリムスの血漿蛋白結合率は98.8%以上と高いので、血漿蛋白との親和性が強い薬剤との相互作用の可能性がある。23),28),29)

16.8 その他

  • 〈タクロリムス錠1.5mg「トーワ」〉

タクロリムス錠1.5mg「トーワ」は、タクロリムス錠0.5mg「トーワ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた。20)

  • 〈タクロリムス錠2mg「トーワ」、タクロリムス錠3mg「トーワ」〉

タクロリムス錠2mg「トーワ」及びタクロリムス錠3mg「トーワ」は、タクロリムス錠1mg「トーワ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた。20),30)