【警告】

本剤投与中に、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の重篤な血栓塞栓症があらわれ、死亡に至るおそれがある。本剤の投与開始前に、脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の合併症及び既往歴の有無等を含めた血栓塞栓症のリスクを評価した上で、本剤の投与の可否を慎重に判断すること。また、本剤投与中は、患者の状態を十分に観察し、血栓塞栓症が疑われる徴候や症状の発現に注意すること。血栓塞栓症が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

腎性貧血

用法・用量

  • 赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合

通常、成人には、ロキサデュスタットとして1回50mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこととする。

  • 赤血球造血刺激因子製剤から切り替える場合

通常、成人には、ロキサデュスタットとして1回70mg又は100mgを開始用量とし、週3回経口投与する。以後は、患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが、最高用量は1回3.0mg/kgを超えないこととする。

使用上の注意

  1. 8.1 本剤投与開始後及び用量変更後には、ヘモグロビン濃度が目標範囲に到達し、安定するまでは週1回から2週に1回程度ヘモグロビン濃度を確認すること。ヘモグロビン濃度が4週以内に2.0g/dLを超えるような急激な上昇を認めた場合は、減量・休薬等の適切な処置をとること。

  2. 8.2 本剤投与中はヘモグロビン濃度等を定期的に確認し、腎性貧血の治療に関する最新の情報を参考にして、必要以上の造血作用があらわれないように十分注意すること。赤血球造血刺激因子製剤の臨床試験においてヘモグロビンの目標値を高く設定した場合に、死亡、心血管系障害及び脳卒中の発現頻度が高くなったとの報告がある1),2),3)。

  3. 8.3 本剤投与中に中枢性甲状腺機能低下症があらわれることがあり、投与開始後約2週間であらわれたとの報告もある。本剤投与中は定期的に甲状腺機能検査(TSH、遊離T3、遊離T4)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  4. 8.4 本剤投与により血圧が上昇する場合があるので、血圧の推移に十分注意しながら投与すること。

  5. 8.5 造血には鉄が必要なことから、必要に応じて鉄の補充を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓等の患者、又はそれらの既往歴のある患者

本剤投与により血栓塞栓症を増悪あるいは誘発するおそれがある。

  1. 9.1.2 高血圧症を合併する患者

血圧上昇があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.3 悪性腫瘍を合併する患者

本剤の血管新生亢進作用により悪性腫瘍を増悪させる可能性がある。

  1. 9.1.4 増殖糖尿病網膜症、黄斑浮腫、滲出性加齢黄斑変性症、網膜静脈閉塞症等を合併する患者

本剤の血管新生亢進作用により網膜出血があらわれる可能性がある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 中等度以上の肝機能障害(Child-Pugh分類B及びC)のある患者

本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。 本剤100mgを中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)のある患者に単回投与した際、本剤の血漿中非結合型のCmax及びAUCinfが上昇した4)。また、本剤では重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

**妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。母動物(ラット)への投与で、本剤は胎児に移行し、本剤の最大臨床用量における曝露量の0.4倍の曝露量で出生児の発達遅延、0.8倍の曝露量で出生児生存率の低値等が報告されている5),6)。,

9.6 授乳婦

本剤投与中及び最終投与後28日まで授乳を避けさせること。母動物(ラット)への投与で、本剤は乳汁中に移行し、出生児において乳汁による曝露の影響と考えられる発生毒性が報告されている5),6)。

9.7 小児等

本剤では小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
ALT増加 頻度不明
CK増加 頻度不明
TSH減少 頻度不明
うっ血性心不全 頻度不明
シャント狭窄 頻度不明
そう痒症 頻度不明
リパーゼ増加 1%未満
下痢 頻度不明
不眠症 頻度不明
低アルブミン血症 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
全身性剥脱性皮膚炎 頻度不明
動悸 頻度不明
医療機器内血栓 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
女性化乳房 頻度不明
悪心 1%未満
末梢性浮腫 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
甲状腺機能低下症 頻度不明
結膜炎 頻度不明
網膜出血 頻度不明
胃障害 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 1%未満
血中ビリルビン増加 頻度不明
血中銅増加 頻度不明
血小板減少症 頻度不明
遊離T3減少 頻度不明
遊離T4減少 頻度不明
鉄欠乏 頻度不明
間質性肺疾患 頻度不明
食欲減退 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
高リン酸塩血症 頻度不明
高血圧 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ロキサデュスタットは、転写因子である低酸素誘導因子(HIF:hypoxia inducible factor)の分解に関わるHIF-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)を阻害する38)。それにより、HIF-αの分解が妨げられてHIF経路が活性化され、その結果、エリスロポエチンが増加することにより、赤血球形成が促進されると考えられる。

18.2 HIF-PH阻害作用及びエリスロポエチン産生作用

ロキサデュスタットは、in vitroにおいてHIF-PHであるプロリン水酸化酵素ドメイン(PHD)1、PHD2、及びPHD3を阻害した38)。また、ヒト肝細胞培養系においてHIF-2α蛋白の蓄積を誘導し、エリスロポエチン産生を増加させた39)。

18.3 貧血改善作用

ロキサデュスタットは、ラット貧血モデルにおいて、ヘモグロビンやヘマトクリットを増加させた40),41),42)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 健康成人

  2. (1) 単回投与

健康成人男性(30例)に本剤0.3~4.0mg/kgを空腹時に単回経口投与したとき、血漿中未変化体濃度の推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりであった19)。

本剤単回投与時の平均血漿中未変化体濃度の推移

投与量 例数 Cmax (μg/mL) Tmax (h) AUCinf (μg・h/mL) t1/2 (h)
0.3mg/kg 6 1.9±0.3 3.0(2.0-4.0) 13.8±3.4 8.3±0.9
1.0mg/kg 6 5.4±1.0 2.0(2.0-3.0) 43.6±11.9 8.4±2.3
2.0mg/kg 6 12.9±2.3 2.0(1.0-4.0) 99.7±13.3 9.3±2.1
3.0mg/kg 6 18.9±3.5 2.0(2.0-4.0) 139.3±18.9 9.0±1.9
4.0mg/kg 6 20.8±2.3 3.0(1.0-4.0) 168.8±22.0 8.0±0.5
平均値 ± 標準偏差、Tmaxは中央値(範囲)
  1. (2) 反復投与

健康成人男性(21例)に本剤0.3~3.0mg/kgを空腹時に週3回2週間反復経口投与したとき、血漿中未変化体濃度の推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりであった。いずれの投与量でも速やかに定常状態に達し、蓄積性はほとんど認められなかった19)。

本剤反復投与時の平均血漿中未変化体濃度の推移

投与量 測定日 例数 Cmax (μg/mL) Tmax (h) AUC24 (μg・h/mL) t1/2 (h)
0.3mg/kg 1 7 1.6±0.2 2.0 (1.0-3.0) 10.7±1.3 9.9±1.2
12 7 1.8±0.4 2.0 (0.5-3.0) 12.0±1.6 10.4±1.8
1.0mg/kg 1 7 5.4±1.4 2.0 (1.0-6.0) 37.4±4.2 9.6±1.1
12 7 5.2±0.8 4.0 (2.0-6.0) 39.7±3.8 9.0±1.6
3.0mg/kg 1 7 18.8±4.2 2.0 (1.0-2.0) 138.5±32.9 9.9±2.4
12 7 18.1±2.5 2.0 (1.0-4.0) 153.1±31.9 9.7±1.1
平均値 ± 標準偏差、Tmaxは中央値(範囲)
  1. 16.1.2 血液透析患者

血液透析患者(12例)に本剤1.0mg/kg又は2.0mg/kgを空腹時に単回経口投与したとき、透析前(透析2.5時間前)投与と透析後投与で本剤の薬物動態に顕著な差はなく、透析の影響はわずかであった20)。

投与量 投与タイミング 例数 Cmax (μg/mL) Tmax (h) AUC24 (μg・h/mL) t1/2 (h)
1.0mg/kg 透析前 6 4.4±0.5 2.5 (2.0-4.0) 40.2±5.5 15.8±5.1
透析後 6 5.6±1.3 1.5 (1.0-6.0) 45.8±5.2 15.5±3.1
2.0mg/kg 透析前 6 9.4±1.2 3.0 (1.0-4.0) 90.8±30.4 16.2±7.1
透析後 6 13.0±2.0 2.5 (1.0-4.0) 103.4±27.7 20.9±10.5
平均値 ± 標準偏差、Tmaxは中央値(範囲)
  1. 16.1.3 腹膜透析患者

母集団薬物動態解析の結果、腹膜透析患者と血液透析患者の薬物動態に明確な差はみられなかった21),22)。

  1. 16.1.4 保存期慢性腎臓病患者

母集団薬物動態解析の結果、保存期慢性腎臓病患者と透析患者の薬物動態に明確な差はみられなかった22)。

16.2 吸収

本剤を空腹時に経口投与したとき、おおむね投与2時間後にCmaxに到達する。 健康成人男性(16例)に本剤100mgを食後に単回経口投与したときのCmaxの平均値は、空腹時単回経口投与と比較して20%低値であったが、AUCinfへの影響はわずかであった23)。

16.3 分布

血漿蛋白結合率が非常に高く(約99%)、主にアルブミンと結合した24)(in vitro試験)。

16.4 代謝

健康成人男性(6例)に200mgの[14C]-ロキサデュスタットを空腹時に単回経口投与したとき、ヒト血漿中の主成分は未変化体であった。代謝物は4’-水酸化体の硫酸抱合体、4-O-β-グルクロン酸抱合体、4-O-β-グルコース抱合体が認められ、これら代謝物の曝露量はいずれも薬物由来物質の総曝露量の10%未満であった25)(外国人データ)。 ロキサデュスタットの水酸化代謝は主にCYP2C8が寄与し、4-O-β-グルクロン酸抱合代謝は主にUGT1A9が寄与する7),8)(in vitro試験)。

16.5 排泄

健康成人男性(16例)に本剤100mgを空腹時に単回経口投与したとき、未変化体の尿中排泄率は約1%であった23)。 健康成人男性(6例)に200mgの[14C]-ロキサデュスタットを空腹時に単回経口投与したとき、投与後192時間までの放射能の尿及び糞中排泄率はそれぞれ約46%及び約50%であった26)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

本剤100mgを重度の腎機能障害患者(eGFR < 30mL/min/1.73m2)9例に単回投与した際のAUCinfの平均値は、腎機能正常被験者と比較して2.2倍上昇した。Cmaxの平均値には明確な差はみられなかった27)(外国人データ)。

  1. 16.6.2 肝機能障害患者

本剤100mgを中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)8例に単回投与した際の血漿中非結合型のCmax及びAUCinfの平均値は、肝機能正常被験者と比較してそれぞれ16%高値及び70%高値であった4)(外国人データ)。

  1. 16.6.3 高齢者

高齢健康被験者(65歳以上)24例に本剤50~200mgを単回投与した際のCmax及びAUCinfの平均値は、非高齢健康被験者(18~45歳)と比較してそれぞれ15%高値及び23%高値であった28)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 In vitro試験

ロキサデュスタットはCYP2C8、UGT1A9、BCRP、OATP1B1、OAT1及びOAT3の基質であり、CYP2C8(Ki値16.0μM)、BCRP(IC50値3.05μM)及びOATP1B1(IC50値2.59μM)に対して阻害作用を有する7),8),9),29)。

  1. 16.7.2 本剤の薬物動態に及ぼす併用薬の影響

  2. (1) リン吸着薬

本剤とセベラマー炭酸塩又は酢酸カルシウムの併用により、本剤のAUCinf及びCmaxは低下した。本剤をリン吸着薬の投与の少なくとも1時間前又は1時間後に投与すると、本剤のCmax及びAUCinfの低下は軽減された10)(外国人データ)。 本剤と炭酸ランタン水和物の併用によって、本剤のAUCinfは12%低下し、Cmaxは影響を受けなかった30)。

リン 吸着薬 リン 吸着薬 投与量 本剤 投与量 本剤の投与 タイミング 例数 幾何平均比(90%信頼区間) (リン吸着薬併用投与時/ロキサデュスタット単独投与時)
Cmax AUCinf
セベラマー炭酸塩 2400mg 1日3回投与 200mg 単回投与 同時投与 24 0.34 (0.31, 0.38) 0.33 (0.31, 0.36)
リン吸着薬 投与1時間前 30 0.74 (0.68, 0.82) 0.59 (0.56, 0.63)
リン吸着薬 投与1時間後 30 0.88 (0.79, 0.97) 0.76 (0.72, 0.81)
酢酸カルシウム 1900mg 1日3回投与 同時投与 24 0.48 (0.43, 0.54) 0.54 (0.49, 0.58)
リン吸着薬 投与1時間前 30 0.81 (0.73, 0.89) 0.69 (0.65, 0.73)
リン吸着薬 投与1時間後 30 0.98 (0.89, 1.07) 0.83 (0.78, 0.88)
  1. (2) その他の薬剤

オメプラゾール(プロトンポンプ・インヒビター、外国人データ)、クレメジン(球形吸着炭)は本剤の薬物動態に対して影響を与えなかった31),32)。 本剤の薬物動態に対するその他の併用薬の影響は下表のとおりであった13),14)(外国人データ)。

併用薬 併用薬 投与量 本剤 投与量 例数 幾何平均比(90%信頼区間) (相互作用薬併用投与時/単独投与時)
Cmax AUCinf
ゲムフィブロジル(国内未承認) (CYP2C8及びOATP1B1阻害剤) 600mg 1日2回投与 100mg 単回投与 18 1.37 (1.29, 1.46) 2.35 (2.15, 2.56)
プロベネシド (UGT、OAT1及びOAT3阻害剤) 500mg 1日2回投与 18 1.38 (1.22, 1.56) 2.25 (2.14, 2.37)
  1. 16.7.3 本剤が併用薬の薬物動態に及ぼす影響

  2. (1) HMG-CoA還元酵素阻害剤(OATP1B1/BCRP基質)

本剤とシンバスタチン、シンバスタチンの活性代謝物(アシド体)、ロスバスタチン又はアトルバスタチンの併用により、これらのAUCinf及びCmaxは上昇した。 シンバスタチンを本剤投与の2時間前、4又は10時間後に投与したところ、同時投与時と同様に、シンバスタチンのAUCinf及びCmaxは上昇した11),12)(外国人データ)。

併用薬 併用薬 投与量 本剤 投与量 HMG-CoA還元酵素阻害剤投与のタイミング 例数 幾何平均比(90%信頼区間) (本剤併用投与時/単独投与時)
Cmax AUCinf
シンバスタチン シンバスタチンを40mg 単回投与 200mg 隔日投与 同時投与 28 1.87 (1.56, 2.23) 1.75 (1.47, 2.09)
本剤投与 2時間前 24 2.32 (1.92, 2.79) 1.68 (1.44, 1.96)
本剤投与 4時間後 24 3.10 (2.57, 3.74) 1.74 (1.50, 2.03)
本剤投与 10時間後 24 2.39 (1.98, 2.87) 1.56 (1.34, 1.82)
シンバスタチン アシド体 (代謝物) 同時投与 28 2.76 (2.34, 3.24) 1.85 (1.54, 2.23)
本剤投与 2時間前 24 2.34 (1.99, 2.76) 1.89 (1.62, 2.21)
本剤投与 4時間後 24 5.98 (5.08, 7.04) 3.42 (2.94, 3.99)
本剤投与 10時間後 24 3.37 (2.86, 3.97) 2.51 (2.16, 2.93)
ロスバスタチン 10mg 単回投与 同時投与 28 4.47 (3.86, 5.18) 2.93 (2.63, 3.25)
アトルバスタチン 40mg 単回投与 同時投与 24 1.34 (1.11, 1.63) 1.96 (1.71, 2.26)
  1. (2) その他の薬剤

本剤200mgとの併用によって、ブプロピオン(CYP2B6基質、国内未承認)、ワルファリン(CYP2C9基質)の薬物動態に変化は認められず、本剤150mgとの併用によってロシグリタゾン(CYP2C8基質、国内未承認)の薬物動態に変化は認められなかった33),34),35)(外国人データ)。