【警告】

本剤の投与により脈拍数が増加し、狭心症が発現することがあるので、狭心症の症状(胸痛等)に対する問診を注意深く行うこと。脳梗塞再発抑制効果を検討する試験において、長期にわたりPRP(pressure rate product)を有意に上昇させる作用が認められた。また、本剤投与群に狭心症を発現した症例がみられた。,,,

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 出血している患者(血友病、毛細血管脆弱症、頭蓋内出血、消化管出血、尿路出血、喀血、硝子体出血等)[出血を助長するおそれがある。]

  2. 2.2 うっ血性心不全の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  3. 2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  4. 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 慢性動脈閉塞症に基づく潰瘍、疼痛及び冷感等の虚血性諸症状の改善

  • 脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制

用法・用量

通常、成人には、シロスタゾールとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1 本剤の脳梗塞患者に対する投与は脳梗塞の症状が安定してから開始すること。

  2. 8.2 脳梗塞患者への投与にあたっては、他の血小板凝集を抑制する薬剤等との相互作用に注意するとともに、高血圧が持続する患者への投与は慎重に行い、投与中は十分な血圧のコントロールを行うこと。

  3. 8.3 冠動脈狭窄を合併する患者で、本剤を投与中に過度の脈拍数増加があらわれた場合には、狭心症を誘発する可能性があるので、このような場合には減量又は中止するなどの適切な処置を行うこと。,,,

  4. 8.4 本剤はPDE3阻害作用を有する薬剤である。海外においてPDE3阻害作用を有する薬剤(ミルリノン1) 、ベスナリノン2) )に関しては、うっ血性心不全(NYHA分類Ⅲ~Ⅳ)患者を対象にしたプラセボ対照長期比較試験において、生存率がプラセボより低かったとの報告がある。また、うっ血性心不全を有しない患者において、本剤を含むPDE3阻害剤を長期投与した場合の予後は明らかではない。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 月経期間中の患者

出血を助長するおそれがある。

  1. 9.1.2 出血傾向並びにその素因のある患者

出血した時、それを助長するおそれがある。

  1. 9.1.3 冠動脈狭窄を合併する患者

脈拍数増加により狭心症を誘発する可能性がある。,,,

  1. 9.1.4 糖尿病あるいは耐糖能異常を有する患者

出血性有害事象が発現しやすい。

  1. 9.1.5 持続して血圧が上昇している高血圧の患者(悪性高血圧等)

遺伝的に著しく高い血圧が持続し脳卒中が発症するとされているSHR-SP(脳卒中易発症高血圧自然発症ラット)において、シロスタゾール0.3%混餌投与群は対照群に比較して生存期間の短縮が認められた(平均寿命:シロスタゾール群40.2週、対照群43.5週)。

9.2 腎機能障害患者

腎機能が悪化するおそれがある。また、シロスタゾールの代謝物の血中濃度の上昇が報告されている。,

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重篤な肝障害のある患者

シロスタゾールの血中濃度が上昇するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で異常胎児の増加3) 並びに出生児の低体重及び死亡児の増加4) が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている5) 。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
AST・ALT・Al-P・LDHの上昇 頻度不明
BUN上昇 頻度不明
クレアチニン上昇 頻度不明
しびれ感 頻度不明
そう痒感 頻度不明
ほてり 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠 頻度不明
倦怠感 頻度不明
光線過敏症 頻度不明
動悸 頻度不明
口渇 頻度不明
味覚異常 頻度不明
失神・一過性の意識消失 頻度不明
好酸球増多 頻度不明
尿酸値上昇 頻度不明
心房細動・上室性頻拍・上室性期外収縮・心室性期外収縮等の不整脈 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿障害 頻度不明
浮腫 頻度不明
疼痛 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球減少 頻度不明
皮下出血 頻度不明
皮疹 頻度不明
眠気 頻度不明
筋痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
結膜炎 頻度不明
耳鳴 頻度不明
肩こり 頻度不明
胸やけ 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱力感 頻度不明
脱毛 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満感 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血尿 頻度不明
血糖上昇 頻度不明
貧血 頻度不明
頭痛・頭重感 頻度不明
頻尿 頻度不明
頻脈 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1 ウサギ血小板のセロトニン放出を抑制するが、セロトニン、アデノシンの血小板への取り込みには影響を与えない。また、トロンボキサンA2による血小板凝集を抑制する28) 。

  2. 18.1.2 血小板及び血管平滑筋PDE3(cGMP-inhibited phosphodiesterase)活性を選択的に阻害することにより29) 、抗血小板作用及び血管拡張作用を発揮する28),30) 。

  3. 18.1.3 ヒト血小板での血小板凝集抑制作用は培養ヒト血管内皮細胞31) 又は、プロスタグランジンE132) の存在下で増強する。

  4. 18.1.4 イヌ血小板での血小板凝集抑制作用はプロスタグランジンI2或いはアデノシンの存在下で増強する28) 。

18.2 抗血小板作用

  1. 18.2.1 ヒト血小板において、ADP、コラーゲン、アラキドン酸、アドレナリン、トロンビンによる血小板凝集を抑制した33),34) 。また、ずり応力によって誘発される血小板凝集を抑制した32) (in vitro)。

  2. 18.2.2 ヒト血小板において、ADP、アドレナリンによる血小板の一次凝集をも抑制し、また、凝集惹起物質により一旦凝集した血小板凝集塊を解離させた33) (in vitro)。

  3. 18.2.3 ヒト血小板において、トロンボキサンA2産生を抑制した31) (in vitro)。

  4. 18.2.4 ヒト血小板の血液凝固促進活性を抑制した34) (in vitro)。

  5. 18.2.5 ビーグル犬33) 及びブタ35) への経口投与で、ADP、コラーゲンによる血小板凝集を抑制した。

  6. 18.2.6 ラットへの連続経口投与で、ADPによる血小板凝集に対する抑制作用は減弱しなかった28) 。

  7. 18.2.7 慢性動脈閉塞症患者及び脳梗塞患者への経口投与で、ADP、コラーゲン、アラキドン酸、アドレナリンによる血小板凝集を抑制した36),37) 。

  8. 18.2.8 ヒトにおける血小板凝集抑制効果は投与後速やかに発現し、反復投与によってもその効果は減弱しなかった37) 。

  9. 18.2.9 シロスタゾールの投与中止により、抑制された血小板凝集能はシロスタゾールの血漿中濃度の減衰とともに48時間後には投与前値に復し、リバウンド現象(凝集亢進)も認められなかった37) 。

18.3 抗血栓作用

  1. 18.3.1 マウスにADP、コラーゲンを静脈内投与することにより誘発される肺塞栓致死を抑制した33) 。

  2. 18.3.2 イヌの大腿動脈にラウリン酸ナトリウムを投与することにより誘発される血栓性後肢循環不全の進展を抑制した38) 。

  3. 18.3.3 イヌの大腿動脈を人工血管で置換した際に、その部位に誘発される血栓性閉塞を抑制した39) 。

  4. 18.3.4 ブタの頸動脈での電気刺激により誘発される血栓形成を抑制した35) 。

  5. 18.3.5 ウサギの内頸動脈にアラキドン酸を注入することにより出現する脳梗塞域を減少させた40) 。

  6. 18.3.6 一過性脳虚血発作患者において発作回数の減少が認められた41) 。

18.4 血管拡張作用

  1. 18.4.1 KCl、プロスタグランジンF2αにより収縮させたイヌ摘出大腿動脈、中大脳動脈及び脳底動脈を弛緩させた30) 。

  2. 18.4.2 麻酔イヌの大腿動脈、椎骨動脈、総頸動脈及び内頸動脈血流量を増加させた42) 。

  3. 18.4.3 麻酔イヌ及び麻酔ネコの脳皮質血流量を増加させた42) 。

  4. 18.4.4 無麻酔ラットの脳皮質あるいは視床下部の血流量を増加させた30) 。

  5. 18.4.5 慢性動脈閉塞症患者において、足関節部、腓腹部の組織血流量を増加させることがプレチスモグラフィーにより認められた43),44) 。更に四肢の皮膚温度の上昇、皮膚血流量の増加がサーモグラフィーにより認められた45) 。

  6. 18.4.6 虚血性脳血管障害患者において、脳血流量を増加させることがキセノン吸入法により認められた46) 。

18.5 血管平滑筋細胞に対する作用

  1. 18.5.1 ヒトの培養血管平滑筋において血管平滑筋細胞の増殖を抑制した47) (in vitro)。

  2. 18.5.2 ラット頸動脈内膜バルーン損傷後の内膜肥厚を抑制した48) 。

18.6 血管内皮細胞に対する作用

  1. 18.6.1 ヒトの培養内皮細胞からのNO産生を促進した49) (in vitro)。

  2. 18.6.2 ヒトの培養内皮細胞の障害を抑制した50),51),52) (in vitro)。

  3. 18.6.3 ヒトの培養内皮細胞をホモシステインあるいはリポポリサッカライドにて刺激することによる乳酸脱水素酵素の漏出を抑制した53) (in vitro)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

健康成人男性にシロスタゾールOD錠100mgを空腹時単回経口投与した時の薬物動態パラメータを表16-1に示す9) 。

tmax (hr) Cmax (ng/mL) t1/2 (hr) AUC60h (ng・hr/mL)
水なし試験(n=20) 3.65±1.53 587.33±174.93 10.13±4.73 7,134±2,039
水あり試験(n=18) 3.50±1.04 515.45±152.73 13.46±6.90 8,344±2,843
(平均値±標準偏差) 水なしと水ありは別の被験者である。
  1. 16.1.2 生物学的同等性試験

シロスタゾール錠100mg「JG」とプレタール錠100mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(シロスタゾールとして100mg)健康成人男性に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された10) 。

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-48 (ng・hr/mL) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) T1/2 (hr)
シロスタゾール錠100mg「JG」 8515.9±2579.0 710.8±191.8 3.3±1.3 13.0±11.8
プレタール錠100mg 9158.8±2953.0 667.3±176.5 3.6±1.6 16.1±12.7
(Mean±S.D.,n=36)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.3 分布

ヒト血漿蛋白結合率は、シロスタゾールでは95%以上(in vitro、平衡透析法、0.1~6μg/mL)、活性代謝物OPC-13015及びOPC-13213はそれぞれ97.4%及び66%であった5),11) 。

16.4 代謝

健康成人男性にシロスタゾール100mgを経口投与した時、血漿中に活性代謝物としてシロスタゾールが脱水素化されたOPC-13015及び水酸化されたOPC-13213が検出された12) 。 シロスタゾールは肝ミクロゾーム中のチトクロームP450のアイソザイムのうち主としてCYP3A4、次いでCYP2D6、CYP2C19により代謝される13) (in vitro)。

16.5 排泄

健康成人男性にシロスタゾール50mg注1) を経口投与した時、投与後72時間までに投与量の約30%が代謝物として尿中に排泄された12) 。

注1)本剤の承認された用量は1回100mgを1日2回である。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

重度の腎機能障害被験者(クレアチニンクリアランス5~25mL/min)にシロスタゾール1日100mgを8日間連続経口投与した時、健康成人に比べシロスタゾールのCmaxは29%、AUCは39%減少したが、活性代謝物のOPC-13213のCmaxは173%、AUCは209%増加した。軽度(クレアチニンクリアランス50~89mL/min)及び中等度(クレアチニンクリアランス26~49mL/min)の被験者において差は認められなかった14) (外国人データ)。

  1. 16.6.2 肝機能障害患者

軽度(Child-Pugh分類A)及び中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害被験者にシロスタゾール100mgを単回経口投与した時、血漿中濃度は健康成人と差は認められなかった(シロスタゾールのCmaxは7%減少し、AUCは8%増加した)15) (外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 ワルファリン

シロスタゾール100mgとワルファリン25mgを併用投与したところ、シロスタゾールはR-、S-ワルファリンの代謝に影響を及ぼさなかった16) (外国人データ)。

  1. 16.7.2 エリスロマイシン

エリスロマイシン500mg(1日3回)を7日間前投与後、シロスタゾール100mgとエリスロマイシン500mg(1日3回)を併用投与したところ、シロスタゾール100mg単独投与に比べてシロスタゾールのCmaxは47%、AUCは87%増加した17) 外国人データ)。

  1. 16.7.3 ケトコナゾール

シロスタゾール100mgとケトコナゾール400mg(経口剤:国内未発売)を併用投与したところ、シロスタゾール100mg単独投与に比べてシロスタゾールのCmaxは94%、AUCは129%増加した18) (外国人データ)。

  1. 16.7.4 ジルチアゼム塩酸塩

シロスタゾール100mgとジルチアゼム塩酸塩180mgを併用投与したところ、シロスタゾール100mg単独投与に比べてシロスタゾールのCmaxは34%、AUCは44%増加した19) (外国人データ)。

  1. 16.7.5 グレープフルーツジュース

シロスタゾール100mgとグレープフルーツジュース240mLを併用投与したところ、シロスタゾール100mg単独投与に比べてシロスタゾールのCmaxは46%、AUCは14%増加した18) (外国人データ)。

  1. 16.7.6 オメプラゾール

オメプラゾール40mgを1日1回7日間前投与後、シロスタゾール100mgとオメプラゾール40mgを併用投与したところ、シロスタゾール100mg単独投与に比べてシロスタゾールのCmaxは18%、AUCは26%増加した20) (外国人データ)。

16.8 その他

シロスタゾール錠50mg「JG」は「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成18年11月24日 薬食審査発第1124004号 別紙2)」に基づき、シロスタゾール錠100mg「JG」を標準製剤とした溶出試験の結果、溶出挙動は同等と判定され、生物学的に同等とみなされた21) 。