【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症

用法・用量

通常、成人にはベムペド酸として180mgを1日1回経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1 本剤投与にあたっては、あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法、禁煙、他の虚血性心疾患のリスクファクター(糖尿病、高血圧症等)の軽減等も十分考慮すること。

  2. 8.2 本剤投与中は血中脂質値を定期的に検査し、本剤に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。

  3. 8.3 HMG-CoA還元酵素阻害剤及び他の脂質異常症治療薬と併用する場合は、併用する薬剤の電子添文の2.禁忌、8.重要な基本的注意、9.特定の背景を有する患者に関する注意及び11.1重大な副作用の記載を必ず確認すること。

  4. 8.4 本剤はHMG-CoA還元酵素阻害剤の血中濃度を上昇させることから、横紋筋融解症等の副作用があらわれるおそれがある。本剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤を併用する場合は、定期的にCKを測定するなど患者の状態を十分に観察すること。また、これらの副作用の症状又は徴候があらわれた場合には速やかに医師に相談するよう患者に指導すること。

  5. 8.5 本剤投与により尿酸値が上昇し、高尿酸血症又は高尿酸血症の悪化があらわれるおそれがあるため、血清尿酸値の測定等の観察を十分行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 痛風の既往歴のある患者又は高尿酸血症の患者

症状が悪化し痛風を引き起こすおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重度の肝機能障害のある患者(Child-Pugh分類C)

本剤の非結合形の血中濃度が上昇するおそれがある。重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で臨床用量に相当又は下回る曝露で、胎児の骨格所見(肩甲骨と肋骨の弯曲)の発現頻度の増加が報告されている。また、動物実験(妊娠期及び授乳期ラット)で臨床用量の曝露量以下で、出生児の学習能力の遅延、死産児数の増加・生存率低下、及び体重の低値が報告されている。,,

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒトで乳汁中への移行が報告されている。,

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
ALT上昇 1%未満
AST上昇 1%未満
ヘモグロビン減少 頻度不明
四肢痛 1%未満
痛風 1〜5%未満
糸球体濾過率減少 頻度不明
肝機能検査値上昇 1〜5%未満
肝機能異常 1〜5%未満
血中クレアチニン増加 頻度不明
血中尿素増加 頻度不明
貧血 頻度不明
高尿酸血症 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ベムペド酸は肝臓においてETC-1002コエンザイムA(ETC-1002-CoA)へと活性化されてから、アデノシン三リン酸クエン酸リアーゼ(ACL)を阻害する。ACLはコレステロール生合成経路の3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルコエンザイムA(HMG-CoA)還元酵素の上流酵素である。ETC-1002-CoAによってACLが阻害されると、肝臓のコレステロール合成が低下し、低比重リポ蛋白質受容体(LDLR)の発現誘導によって血中の低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)が低下する。

18.2 ACL阻害作用

ベムペド酸のCoA活性体であるETC-1002-CoAは、ヒトACL活性阻害作用を発揮した22)(in vitro)。

18.3 脂質合成阻害作用とLDLR誘導作用

ヒト初代肝細胞において、ベムペド酸は脂質合成を阻害し、LDLR蛋白の発現量を増加させた22)(in vitro)。また、ベムペド酸はマウス肝臓においてLDLR蛋白の発現を促進させた23)。

18.4 血中脂質低下作用

食事誘発性の高コレステロール血症モデル動物において、ベムペド酸は血中のLDL-Cを低下させた24),25)(ハムスター、マウス)。

18.5 動脈硬化進展抑制作用

食事誘発性の高コレステロール血症モデル動物において、ベムペド酸は動脈硬化病変面積を低下させた23),26)(マウス、ミニブタ)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

健康成人に本剤180mgを空腹時に単回経口投与した時の、血漿中ベムペド酸濃度推移及び薬物動態パラメータを図16-1及び表16-1に示す2)。

図16-1 健康成人における本剤単回経口投与時の血漿中ベムペド酸濃度推移

用量 例数 tmax (h) Cmax (µg/mL) AUCinf (µg・h/mL) t1/2 (h)
180mg 6 2.00 (1.00-2.00) 17.8 (2.99) 280 (59.3) 20.1 (4.18)
平均値(標準偏差)、tmaxのみ中央値(最小値-最大値)
  1. 16.1.2 反復投与

健康成人に本剤180mgを空腹時に1日1回14日間反復経口投与した時の、血漿中ベムペド酸の薬物動態パラメータを表16-2に示す。14日間反復経口投与後のAUCtauと単回経口投与後のAUC24の比により算出したベムペド酸の累積係数の平均値は2.35であった2)。

用量 例数 tmax (h) Cmax (µg/mL) AUCtau (µg・h/mL) t1/2 (h)
180mg 6 2.00 (2.00-3.00) 30.7 (6.57) 391 (118) 25.2 (4.83)
平均値(標準偏差)、tmaxのみ中央値(最小値-最大値)

16.2 吸収

  1. 16.2.1 食事の影響

健康成人17例に本剤180mgを単回経口投与した時、空腹投与時に対する食後投与時のベムペド酸のCmax及びAUCinfの幾何平均比はそれぞれ0.88及び0.98であった3)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1 蛋白結合率

ベムペド酸のヒト血漿蛋白結合率は99.3%であった4)(in vitro、平衡透析法)。

  1. 16.3.2 乳汁移行

授乳中の健康成人女性8例に本剤180mgを1日1回6日間反復経口投与した時、乳汁中への移行が認められた。乳児の平均1日摂取量は0.0331mg/日、相対的乳児投与量は0.479%と推定された5)(外国人データ)。

16.4 代謝

ベムペド酸の代謝へのCYPの寄与は小さく、主にNADPH依存性の酸化及びUGT2B7によるグルクロン酸抱合により代謝される6)(in vitro)。

16.5 排泄

健康成人6例に14C-ベムペド酸240mg注1)を単回経口投与した時、投与放射能量の62.1%が尿中から、25.4%が糞便中から回収された。糞便中及び尿中にそれぞれ投与量の5%未満が未変化体として排泄された7)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

本剤180mgを単回経口投与した時、正常な腎機能を有する被験者(Ccr:90mL/min以上、6例)と比較し、軽度(eGFR:60~89mL/min/1.73m2、6例)、中等度(eGFR:30超~59mL/min/1.73m2、6例)及び重度(eGFR:30mL/min/1.73m2以下、6例)の腎機能障害のある被験者では、ベムペド酸のCmaxはそれぞれ1.23倍、1.15倍及び0.97倍、AUCはそれぞれ1.18倍、1.76倍及び1.90倍であった8)(外国人データ)。透析中の末期腎不全の被験者(eGFR:15mL/min未満、11例)に本剤180mgを透析1時間前及び透析23時間後に単回経口投与した時、正常な腎機能を有する被験者(10例)と比較し、ベムペド酸のCmaxはそれぞれ0.84倍及び0.83倍、AUCはそれぞれ1.47倍及び1.75倍であった9)(外国人データ)。 本剤を投与された2,403例(日本人159例を含む)を対象とした母集団薬物動態解析の結果より、正常な腎機能を有する患者と比較し、軽度及び中等度の腎機能障害のある患者では、ベムペド酸の定常状態におけるAUCはそれぞれ1.39倍及び1.88倍であった10)。

  1. 16.6.2 肝機能障害患者

本剤180mgを単回経口投与した時のベムペド酸のCmax及びAUCは、正常な肝機能を有する被験者(8例)と比較し、軽度の肝機能障害のある被験者(Child-Pugh分類A、8例)ではそれぞれ0.89倍及び0.78倍、中等度の肝機能障害のある被験者(Child-Pugh分類B、8例)ではそれぞれ0.86倍及び0.84倍であった。軽度及び中等度の肝機能障害被験者における非結合形のベムペド酸のCmaxは0.81倍及び1.38倍、AUCは0.73倍及び1.31倍であった11)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 プロベネシド

健康成人20例において、プロベネシド(UGT阻害剤)500mg 1日2回投与と併用して本剤180mgを単回経口投与した時、ベムペド酸単独投与時と比較して、ベムペド酸のCmax及びAUCはそれぞれ1.23倍及び1.74倍であった12)(外国人データ)。

  1. 16.7.2 HMG-CoA還元酵素阻害剤

以下の①~④の4試験において、本剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤の薬物相互作用が検討された。 ①健康成人11~12例にベムペド酸240mg注1)とシンバスタチン20mg、プラバスタチン40mg又はロスバスタチン10mgを併用投与した。②健康成人12例に本剤180mgとアトルバスタチン80mg、シンバスタチン40mg、プラバスタチン80mg又はロスバスタチン40mgを併用投与した。③高コレステロール血症患者40例にベムペド酸120mg注1)又は240mg注1)とアトルバスタチン10mgを併用投与した。④高コレステロール血症患者41例に本剤180mgとアトルバスタチン80mgを併用投与した。 上記の試験の結果、HMG-CoA還元酵素阻害剤単独投与時と比較して、アトルバスタチンのCmax及びAUCはそれぞれ0.99~1.69倍及び1.29~1.77倍、ロスバスタチンのCmax及びAUCはそれぞれ1.68~2.08倍及び1.45~1.69倍、シンバスタチン酸(活性代謝物)のCmax及びAUCはそれぞれ1.43~1.52倍及び1.91~1.96倍、プラバスタチンのCmax及びAUCはそれぞれ1.36~2.04倍及び1.46~1.99倍であった13),14),15),16)(外国人データ)。

  1. 16.7.3 エゼチミブ

健康成人40例において、本剤180mg 1日1回投与と併用してエゼチミブ10mgを単回経口投与した時、エゼチミブ単独投与時と比較して、エゼチミブのCmax及びAUCはそれぞれ1.16倍及び1.11倍、エゼチミブのグルクロン酸抱合体のCmax及びAUCはそれぞれ1.80倍及び1.67倍であった。エゼチミブ10mg 1日1回投与と併用して本剤180mgを単回経口投与した時、ベムペド酸単独投与時と比較して、ベムペド酸のCmax及びAUCはそれぞれ1.08倍及び1.05倍であった17)(外国人データ)。

  1. 16.7.4 メトホルミン

2型糖尿病被験者19例に本剤180mg及びメトホルミン500mgを併用投与した時、メトホルミン単独投与時と比較して、メトホルミンのCmax及びAUCはそれぞれ1.04倍及び0.97倍であった18)(外国人データ)。

  1. 16.7.5 経口避妊薬

健康成人16例に本剤180mg及び経口避妊薬(ノルエチンドロン1mg及びエチニルエストラジオール0.035mg)を併用投与した時、経口避妊薬単独投与時と比較して、ノルエチンドロンのCmax及びAUCはそれぞれ1.22倍及び1.03倍、エチニルエストラジオールのCmax及びAUCはそれぞれ1.09倍及び0.96倍であった19)(外国人データ)。

注1)本剤の承認された用量は、1日1回180mgである。