【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 胃腸、肝胆道系又は膵臓に悪性腫瘍を有する患者,,

  3. 2.3 過去5年以内に、胃腸、肝胆道系又は膵臓に悪性腫瘍の既往歴のある患者,,

効能・効果

短腸症候群

用法・用量

通常、テデュグルチド(遺伝子組換え)として1日1回0.05mg/kgを皮下注射する。

使用上の注意

  1. 8.1 臨床試験において、大腸ポリープが報告されている。成人では、本剤の投与開始前の6ヵ月以内に大腸内視鏡検査又は他の画像検査等を実施し、大腸ポリープを認めた場合には投与開始前に切除を検討すること。投与開始後1年から2年の間に、大腸内視鏡検査又は他の画像検査等により経過を観察することが望ましい。大腸ポリープのリスクの高い患者では、必要に応じてその後も5年以内を目途に大腸内視鏡検査を行うこと。大腸ポリープを認めた場合には、最新のポリープの治療に関するガイドライン等を参考に適切な処置を行うこと。大腸癌と診断された場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。 1歳以上の小児では、本剤の投与開始前に便潜血検査を行うこと。原因不明の潜血が認められた場合には大腸内視鏡検査又は他の画像検査等を行い、大腸ポリープを認めた場合には投与開始前に切除を検討すること。便潜血検査で原因不明の潜血が認められた小児では、本剤投与中は年1回の頻度で便潜血検査を行うこと。1歳未満の小児では、実施可能性も考慮した上で投与開始前の便潜血検査及び大腸内視鏡検査等を実施すること。全ての小児で、本剤投与中は投与開始1年後、それ以降は5年ごと、及び原因不明の消化管出血が認められた場合には、大腸内視鏡検査又は他の画像検査等を行い、大腸ポリープの有無を確認することが望ましい。大腸ポリープ又は大腸癌を認めた場合は適切な処置を行うこと。 本剤投与終了後は必要に応じて便潜血検査及び大腸内視鏡検査等を実施すること。,,

  2. 8.2 本剤の薬理作用及び非臨床試験成績から、胃、小腸、肝胆道系及び膵臓にポリープや増殖性変化が認められる可能性があるので、本剤の投与開始前、投与中及び投与終了後は患者の状態を十分観察し、胃、小腸、肝胆道系又は膵臓に悪性腫瘍が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。胃、小腸、肝胆道系又は膵臓に良性の腫瘍が認められた場合には、切除を検討する等、適切な処置を行うこと。,,

  3. 8.3 胆嚢炎、胆管炎及び胆石症があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査(ビリルビン、ALP等)や画像検査を行うこと。

  4. 8.4 慢性膵炎、急性膵炎、膵管狭窄、膵感染等の膵疾患があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に膵機能検査(リパーゼ、アミラーゼ等)や画像検査を行うこと。

  5. 8.5 本剤投与により、消化管から吸収される水分量が増加し、体液量が過剰となり、うっ血性心不全があらわれることがある。一方で、短腸症候群の患者は脱水症になりやすいため、本剤投与中は経静脈栄養量を注意深く調整すること。特に本剤の投与開始から数ヵ月間、中止時、急激に電解質バランスや体液量が変動するおそれがある場合(脱水、感染、腸閉塞、術後等)には、電解質バランス及び体液量の状態を注意深く観察すること。また、急激な体重増加、顔面や下肢の浮腫、呼吸困難等が認められた場合には、医師に相談するよう患者又はその家族に指導すること。なお、臨床試験において、投与開始4週間後まで体液量の過剰が高い頻度で認められた。

  6. 8.6 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。また、以下の点に注意すること。

  • 自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者又はその家族が理解し、患者又はその家族が確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。

  • 自己投与を適用する場合には、使用済みの注射針及び注射器を再使用しないように患者又はその家族に注意を促し、全ての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うと同時に、使用済みの注射針及び注射器を廃棄する容器を提供すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 胃腸、肝胆道系及び膵臓以外に悪性腫瘍を有する患者

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。非臨床試験において、胃腸、肝胆道系及び膵臓の増殖性変化が認められている1),2)。また臨床試験において、腸ポリープが認められている3)。,,,,

  1. 9.1.2 心不全及び高血圧等の心血管疾患の既往歴のある患者

特に投与開始から数ヵ月間は体液量の状態を注意深く観察すること。吸収水分量の増加により、うっ血性心不全のリスクが高まるおそれがある。,,

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 中等度以上の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス50mL/min未満)

投与量を0.025mg/kgにすること。腎機能の低下に応じて、血中濃度が上昇するおそれがある。,,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。マウス及びラットのがん原性試験において、それぞれ臨床用量の45.1倍以上及び9.8倍以上の曝露量で2年間曝露した結果、胃腸、肝胆道系及び膵臓の増殖性変化が認められた2)。一方、生殖発生毒性試験において、ラットの母動物に臨床用量の219倍の曝露量で妊娠6~17日まで曝露した結果、母動物及び児ともに異常は認められなかった4)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ラットにおいて、乳汁中への移行が確認されている5)。マウス及びラットのがん原性試験において、それぞれ臨床用量の45.1倍以上及び9.8倍以上の曝露量で2年間曝露した結果、胃腸、肝胆道系及び膵臓の増殖性変化が認められた2)。一方、生殖発生毒性試験において、ラットの母動物に臨床用量の500倍の投与量で妊娠7日~分娩後20日まで曝露した結果、母動物及び児ともに異常は認められなかった6)。

9.7 小児等

修正月齢4ヵ月未満の患者への投与は推奨されない。修正月齢4ヵ月未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

電解質バランス及び体液量の状態を注意深く観察しながら慎重に投与すること。腎機能や心機能が低下していることがあり、脱水による腎機能障害、体液量の過剰によるうっ血性心不全等があらわれるおそれがある。,,,

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
インフルエンザ 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
ストーマ乳頭サイズの増大等) 頻度不明
不眠症 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
悪心 頻度不明
注射部位反応(注射部位紅斑 頻度不明
注射部位疼痛等) 頻度不明
注射部位腫脹 頻度不明
消化管ストーマ合併症(ストーマサイズの増大 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
過敏症 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲減退 頻度不明
鼓腸 頻度不明
鼻咽頭炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

テデュグルチドは遺伝子組換えヒトグルカゴン様ペプチド-2(GLP-2)類縁体である。GLP-2は腸管内分泌細胞(L細胞)から分泌され、栄養分の吸収促進並びに腸管粘膜の維持及び修復に寄与している。GLP-2によりGLP-2受容体が活性化すると細胞内環状アデノシン一リン酸(cAMP)が上昇し、インスリン様増殖因子-1、ケラチノサイト増殖因子等の増殖因子の分泌を惹起する複数の下流シグナル経路が活性化される27),28),29),30),31)。

18.2 In vitro活性

cAMPを指標としたヒトGLP-2受容体に対する50%有効濃度は、テデュグルチド(0.5nmol/L)と天然型ヒトGLP-2(0.7nmol/L)で類似していた32),33)。

18.3 腸管に対する作用

テデュグルチドは、マウス及びラットにおいて、小腸及び大腸の重量及び長さ、絨毛高及び陰窩深、タンパク質及びDNA含量を増加させた34)。また、ラット中心静脈栄養(TPN)誘発性腸形成不全モデルにおいて、腸管重量並びにタンパク質及びDNA含量を回復させ、絨毛高及び絨毛高/陰窩深比を増加させた35)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

経静脈栄養を必要とする日本人成人短腸症候群患者7例を対象にテデュグルチド0.05mg/kgを単回皮下投与した時の血漿中テデュグルチド濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった8)。

単回投与時の血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)

Cmax(ng/mL) 7例 49.5±16.43
Tmax(h) 7例 3.6±1.64
AUC0-inf(ng・h/mL) 6例 252±85.37
t1/2(h) 6例 1.1±0.21
CL/F/weight(mL/h/kg) 6例 229±101.4
Vz/F/weight(mL/kg) 6例 356±189.2
平均値±標準偏差
  1. 16.1.2 反復投与

  2. (1) 成人

経静脈栄養を必要とする成人短腸症候群患者12例を対象にテデュグルチド0.03~0.15mg/kgを1日1回21日間皮下投与した時の薬物動態パラメータはDay 1及びDay 21で類似しており、蓄積性は認められなかった。また、0.03~0.15mg/kgの範囲で用量比例性が認められた9)注)(外国人データ)。 注)本剤の承認用量は1日1回0.05mg/kgである。

0.03mg/kg(3例) 0.10mg/kg(5例) 0.15mg/kg(4例)
Day 1 Day 21 Day 1 Day 21 Day 1 Day 21
Cmax(ng/mL) 39.7±16.9 43.4±10.5 122.5±64.6 111.9±30.5 179.4±119.9 138.5±70.9
Tmax(h) 3.3±2.3 2.7±0.3 3.1±0.7 2.7±0.6 3.3±0.6 3.5±0.7
AUC0-inf(ng・h/mL) 236.9注1) - 565.6±296.5 - 825.0±204.5 -
AUCτ (ng・h/mL) 139.7±86.1 148.5±42.8 539.0±286.7 533.0±197.9 792.3±217.4 698.8±261.7
t1/2(h) 2.0注1) 1.2±0.9 1.6±0.9 1.2±0.1 2.0±0.7 1.5±0.1注2)
平均値±標準偏差 注1)1例の個別値 注2)3例
  1. (2) 小児

修正月齢4ヵ月以上15歳以下の経静脈栄養を必要とする日本人短腸症候群患者を対象にテデュグルチド0.05mg/kgを反復皮下投与した時の血漿中テデュグルチド濃度は以下のとおりであった10)。

1歳以上(6例) 1歳未満(2例)
Day 1 投与後1時間 23.7±12.8(6例) 63.7注1)(2例)
投与後6時間 6.1±4.6(4例) 3.6注2)(1例)
Week 4 投与後2時間 26.2±9.1(6例) 31.2注1)(2例)
投与後4時間 18.3±12.4(6例) 7.2注1)(2例)
平均値±標準偏差 注1)2例の平均値 注2)1例の個別値

16.2 吸収

テデュグルチドを腹部に皮下投与後の絶対的バイオアベイラビリティは87.1%であった11)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1 蛋白結合率

テデュグルチドのヒト血漿蛋白結合率は検討した濃度範囲(25、100、1000及び10000ng/mL)で、79.2%~93.5%であった(in vitro)12)。

16.4 代謝

テデュグルチドは天然型GLP-2(グルカゴン様ペプチド-2)と同様に加水分解による代謝を受け、ペプチドやアミノ酸に分解されると考えられる。テデュグルチドはヒト肝細胞中で安定であり、肝細胞に関連する代謝経路はないことが示唆された(in vitro)13)。

16.5 排泄

健康被験者を対象にテデュグルチドを静脈内投与後のクリアランスは約123mL/h/kgで糸球体ろ過量(GFR)にほぼ等しく、テデュグルチドが主として腎臓を介して消失することが示唆された11)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

中等度並びに重度腎機能障害及び末期腎不全の患者にテデュグルチド10mgを単回皮下投与した時の血漿中テデュグルチド濃度のAUC0–inf及びCmaxは、腎機能障害の重症度が高いほど高値となり、中等度腎機能障害及び末期腎不全の患者では腎機能正常者と比較してAUC0–infがそれぞれ1.5倍及び2.6倍、Cmaxがそれぞれ1.6倍及び2.1倍であった14)(外国人データ)。また、母集団薬物動態解析の結果、軽度腎機能障害の日本人患者でのCL/F及びVc/Fの平均値は腎機能正常の日本人患者での値との差が10%以内であったが、中等度腎機能障害の日本人患者では腎機能正常の日本人患者と比較してCL/F及びVc/Fがそれぞれ37%及び24%低かった15)。,,

  1. 16.6.2 肝機能障害患者

中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類、グレードB)にテデュグルチド20mgを単回皮下投与した時の血漿中テデュグルチド濃度のCmax及びAUCは、中等度の肝障害を有する被験者の方が、肝機能正常者よりも10%~15%低かった16)(外国人データ)。

  1. 16.6.3 高齢者

テデュグルチド10mgを単回皮下投与した時の血漿中テデュグルチド濃度のCmax及びAUCは、65歳未満の健康被験者と65歳以上の健康被験者で同程度であった14)(外国人データ)。

  1. 16.6.4 母集団薬物動態解析

外国人健康成人並びに日本人及び外国人の短腸症候群患者(成人及び小児)(478例)から得られた血漿中テデュグルチド濃度データ(6,775ポイント)を用いて母集団薬物動態解析を行った。日本人成人及び小児短腸症候群患者にテデュグルチド0.05mg/kgを1日1回反復皮下投与した時の母集団薬物動態解析の結果に基づき推定した薬物動態パラメータは以下のとおりであった17),18)。

18歳以上(14例) 18歳未満(11例)
Cmax,ss(ng/mL) 46.3±11.0 32.2±11.9
AUCss(ng・h/mL) 232±52.9 102±31.1
t1/2(h) 1.10±0.304 0.890±0.294
CL/F/weight(L/h/kg) 0.228±0.0520 0.512±0.164
Vc/F/weight(L/kg) 0.348±0.0760 0.619±0.156
平均値±標準偏差

16.7 薬物相互作用

薬物相互作用を検討した臨床試験は実施されていない。テデュグルチドはCYP450の阻害及び誘導を引き起こさないことが示された(in vitro)19)。また、テデュグルチドはP-gpの基質や阻害剤ではないことが示された(in vitro)19)。