【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分又は合成LH-RH、LH-RH誘導体に対して、過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  3. 2.3 授乳中の患者

効能・効果

  • 前立腺癌

  • 閉経前乳癌

用法・用量

通常、成人には12週に1回リュープロレリン酢酸塩として11.25mgを皮下に投与する。 投与に際しては、注射針を上にしてプランジャーロッドを押して、懸濁用液全量を粉末部に移動させて、泡立てないように注意しながら、十分に懸濁して用いる。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1 本剤は内分泌療法剤であり、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。

  2. 8.2 本剤は12週間持続性の製剤であり、徐放性の薬剤が注射部位に長くとどまり、硬結等の注射部位反応が発現することがあるので、注射部位を毎回変更し、注射部位をもまないように患者に説明するなど十分注意して投与すること。

  3. 8.3 本剤は徐放性製剤であるので、最終投与後も薬効持続期間中は患者の状態を観察すること。

  4. 8.4 アナフィラキシーがあらわれることがあるので、問診を十分に行うこと。

  • 〈前立腺癌〉
  1. 8.5 初回投与初期に、高活性LH-RH誘導体としての下垂体-性腺系刺激作用による血清テストステロン濃度の上昇に伴って骨疼痛の一過性増悪がみられることがある。また、尿路閉塞あるいは脊髄圧迫のみられるおそれがあるので慎重に投与し、投与開始1ヵ月間は十分観察を行うこと。
  • 〈閉経前乳癌〉
  1. 8.6 初回投与初期に、高活性LH-RH誘導体としての下垂体-性腺系刺激作用による血清エストロゲン濃度の上昇に伴って骨疼痛の一過性増悪等がみられることがある。

  2. 8.7 本剤で抗腫瘍効果が得られず進行を認めた場合は、投与を中止すること。

  3. 8.8 エストロゲン低下作用に基づく骨塩量の低下がみられることがあるので、長期にわたり投与する場合には、可能な限り骨塩量の検査を行い慎重に投与すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈前立腺癌〉
  1. 9.1.1 脊髄圧迫又は尿路閉塞による腎障害を既に呈している患者又は新たに発生するおそれのある患者

初回投与初期の血清テストステロン濃度の上昇に伴い、原疾患の症状が悪化する可能性がある。

  • 〈閉経前乳癌〉
  1. 9.1.2 粘膜下筋腫のある患者

出血症状が増悪することがある。

9.4 生殖能を有する者

治療に際しては妊娠していないことを確認し、治療期間中は非ホルモン性の避妊をさせること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。LH-RH誘導体による流産の報告があり、本剤の動物試験で胎児死亡の増加及び胎児体重の低値(ラット、ウサギ)1)並びに骨格異常の増加傾向(ウサギ)1)がみられている。,

9.6 授乳婦

投与しないこと。ラットで乳汁への移行がみられている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
AL-Pの上昇 1〜5%未満
ALT 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
BUNの上昇 1〜5%未満
LDH上昇 5%以上
γ-GTP 1〜5%未満
そう痒 頻度不明
そう痒 1〜5%未満
トリグリセライド上昇 1〜5%未満
ほてり 5%以上
めまい 1〜5%未満
下痢 1%未満
不眠 1〜5%未満
会陰部不快感 1〜5%未満
体重増加 1〜5%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
勃起障害 1〜5%未満
口唇・四肢のしびれ 1〜5%未満
嘔吐 1〜5%未満
壊死等の注射部位反応 頻度不明
女性化乳房 1〜5%未満
尿酸上昇 1〜5%未満
心胸比増大 1〜5%未満
心電図異常 1〜5%未満
性欲減退 1〜5%未満
悪寒 1〜5%未満
悪心 1〜5%未満
手指等のこわばり 1〜5%未満
歩行困難 1〜5%未満
浮腫 1〜5%未満
潰瘍 頻度不明
熱感 5%以上
熱感 頻度不明
疼痛 1〜5%未満
痙攣 頻度不明
発汗 1〜5%未満
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
発赤 1〜5%未満
皮膚炎 1〜5%未満
睾丸萎縮 1〜5%未満
知覚異常 1〜5%未満
硬結 5%以上
筋肉痛 1%未満
総コレステロール上昇 1〜5%未満
耳鳴 1〜5%未満
肉芽腫 頻度不明
肩・腰・四肢等の疼痛 1〜5%未満
胸部圧迫感 1〜5%未満
脱力感 1%未満
腫瘤 頻度不明
腫脹 頻度不明
膿瘍 頻度不明
血小板減少 1〜5%未満
血尿 1〜5%未満
血糖値上昇 1〜5%未満
貧血 1〜5%未満
関節痛 1〜5%未満
難聴 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
頭部発毛 1〜5%未満
頻尿 1〜5%未満
顔面潮紅 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
骨塩量の低下 1%未満
骨疼痛 1〜5%未満
高カリウム血症 1〜5%未満
黄疸 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

高用量のLH-RH又は高活性LH-RH誘導体であるリュープロレリン酢酸塩を反復投与すると、初回投与直後一過性に下垂体-性腺系刺激作用(急性作用)がみられた後、下垂体においては性腺刺激ホルモンの産生・放出が低下する。更に、精巣及び卵巣の性腺刺激ホルモンに対する反応性が低下し、テストステロン及びエストラジオール産生能が低下する(慢性作用)。リュープロレリン酢酸塩のLH放出活性はLH-RHの約100倍であり、その下垂体-性腺機能抑制作用はLH-RHより強い。リュープロレリン酢酸塩が高活性LH-RH誘導体であり、下垂体-性腺機能抑制作用が強い理由は、リュープロレリン酢酸塩が、LH-RHと比較して蛋白分解酵素に対する抵抗性が高いこと、LH-RHリセプターに対する親和性が高いことなどによる。更に、本剤は徐放性製剤であるので、常時血中にリュープロレリン酢酸塩を放出して効果的に精巣及び卵巣の反応性低下をもたらし、下垂体-性腺機能抑制作用を示す8),9),10),11),12)。

18.2 性腺ホルモン濃度抑制作用

  1. 18.2.1 前立腺癌患者において12週に1回の皮下投与により血清テストステロン濃度が持続的に去勢レベル以下に低下し、薬物的去勢作用が認められる13)。

  2. 18.2.2 閉経前乳癌患者において12週に1回の皮下投与により血清エストラジオール濃度は概ね閉経期レベル以下に低下し、卵巣機能抑制作用を認め、通常排卵は抑制され、月経は停止する5)。

18.3 生物学的同等性試験(薬力学的試験)

  • 〈前立腺癌〉
  1. 18.3.1 未治療前立腺癌患者を対象とした並行群間比較試験において、リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」又はリュープリンSR注射用キット11.25mg を、リュープロレリン酢酸塩として11.25mg単回皮下投与した。投与4週後の血清中テストステロン濃度は以下のとおりであった。投与群間の平均値の差の95%信頼区間は、同等性の判定基準とした±20ng/dLの範囲内であった。
n 投与4週後の血清中テストステロン濃度の平均値(ng/dL) (両側95%信頼区間) 平均値の差(ng/dL) (両側95%信頼区間)
リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」 16 13.2(7.5, 18.9) 1.9(-6.5, 10.2)
リュープリンSR注射用キット11.25mg 15 11.3(4.8, 17.9)

副作用発現頻度は、リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」投与群で56.3%(9/16例)であった。主な副作用は、ほてり43.8%(7/16例)であった14)。

  1. 18.3.2 未治療前立腺癌患者を対象とした並行群間比較試験において、リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」又はリュープリンSR注射用キット11.25mgを、リュープロレリン酢酸塩として11.25mg単回皮下投与した。投与4週後から12週後に血清中テストステロン濃度が去勢レベル(50ng/dL)以下となった被験者の割合は以下のとおりであった。投与群間の割合の差の95%信頼区間の下側信頼限界は、非劣性マージンとした-15%を上回った。
n 血清中テストステロン濃度が 去勢レベル(50ng/dL)以下と なった被験者の割合 割合の差 (両側95%信頼区間)
リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」 54 100.0%(54/54例) 3.8% (-3.4,13.0)
リュープリンSR注射用キット11.25mg 52 96.2%(50/52例)

副作用発現頻度は、リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」投与群で40.7%(22/54例)であった。主な副作用は、ほてり18.5%(10/54例)であった15)。

  • 〈閉経前乳癌〉
  1. 18.3.3 閉経前乳癌術後患者(ホルモン療法未治療)を対象とした並行群間比較試験において、リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」又はリュープリンSR注射用キット11.25mgを、リュープロレリン酢酸塩として11.25mg単回皮下投与(タモキシフェンクエン酸塩20mg/日を併用投与)した。投与4週後から12週後に血清中エストラジオール濃度が閉経期レベル(30pg/mL)以下となった被験者の割合は以下のとおりであった。投与群間の割合の差の95%信頼区間の下側信頼限界は、非劣性マージンとした-15%を上回った。
n 血清中エストラジオール濃度が 閉経期レベル(30pg/mL)以下と なった被験者の割合 割合の差 (両側95%信頼区間)
リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」 73 93.2%(68/73 例) -2.7% (-11.3,5.7)
リュープリンSR注射用キット11.25mg 72 95.8%(69/72 例)

副作用発現頻度は、リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」投与群で61.6%(45/73例)であった。主な副作用は、ほてり38.4%(28/73例)、倦怠感6.8%(5/73例)、注射部位疼痛6.8%(5/73例)であった16)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与
  • 〈前立腺癌〉

前立腺癌患者(未治療例)に、リュープロレリン酢酸塩として11.25mgを単回皮下投与した場合の血中濃度[代謝物M-I(Tyr-D-Leu-Leu-Arg-Pro-NHC2H5)を含む]は以下のとおりであった3)。

平均値(標準偏差)、n=10 血中濃度推移(代謝物M-Iを含む)

  1. 16.1.2 反復投与
  • 〈前立腺癌〉

前立腺癌既治療患者(リュープロレリン酢酸塩注射用3.75mgの投与により抗腫瘍効果が安定して得られている患者)51例を対象に、リュープロレリン酢酸塩として11.25mgを12週ごとに2回皮下投与した時の血中濃度(代謝物M-Iを含む)は、投与24週後までほぼ0.2~0.3ng/mLで推移した。血中濃度の推移からみて蓄積性はないと考えられる4)。

  • 〈閉経前乳癌〉

閉経前乳癌患者(術後患者)に、リュープロレリン酢酸塩として11.25mgを12週ごとに2回皮下投与(タモキシフェンクエン酸塩を併用投与)した時の血中濃度(代謝物M-Iを含む)は、定常状態に達した投与16週後以降、投与24週後までほぼ0.1~0.2ng/mLで推移した5)。

  1. 16.1.3 生物学的同等性試験

閉経後健康成人女性を対象とした並行群間比較試験において、リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」又はリュープリンSR注射用キット11.25mgを、リュープロレリン酢酸塩として11.25mg絶食下単回皮下投与して血漿中未変化体濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータについて90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、主要評価項目であるAUC0→16w及びCmaxはlog(0.80)~log(1.25)の範囲内であった6)。

Cmax (ng/mL) AUC0→16w (ng・hr/mL) AUC1→12w (ng・hr/mL) Tmax (hr)
リュープロレリン酢酸塩SR注射用キット11.25mg「NP」 注1) 25.969 ±4.743 389.653 ±113.957 139.730 ±68.217 1.88 ±0.39
リュープリンSR注射用キット11.25mg注2) 28.614 ±4.069 349.059 ±92.022 117.732 ±71.800 1.66 ±0.48
(Mean±S.D.、注1)n=96、注2)n=97)

血漿中未変化体濃度推移

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。