【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1 本剤の成分又は合成LH-RH、LH-RH誘導体に対して、過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  3. 2.3 授乳中の患者

  • 〈子宮内膜症、子宮筋腫、中枢性思春期早発症〉
  1. 2.4 診断のつかない異常性器出血の患者[悪性疾患の可能性がある。]

効能・効果

  • 〈製剤共通〉

  • 子宮内膜症

  • 過多月経、下腹痛、腰痛及び貧血等を伴う子宮筋腫における筋腫核の縮小及び症状の改善

  • 中枢性思春期早発症

  • 〈リュープリン注射用3.75mg、リュープリン注射用キット3.75mg〉

  • 閉経前乳癌

  • 前立腺癌

用法・用量

  • 〈子宮内膜症〉

通常、成人には4週に1回リュープロレリン酢酸塩として3.75mgを皮下に投与する。ただし、体重が50kg未満の患者では1.88mgを投与することができる。なお、初回投与は月経周期1~5日目に行う。

  • 〈子宮筋腫〉

通常、成人には4週に1回リュープロレリン酢酸塩として1.88mgを皮下に投与する。ただし、体重の重い患者、子宮腫大が高度の患者では3.75mgを投与する。なお、初回投与は月経周期1~5日目に行う。

  • 〈中枢性思春期早発症〉

通常、4週に1回リュープロレリン酢酸塩として30μg/kgを皮下に投与する。なお、症状に応じて180μg/kgまで増量できる。

  • 〈閉経前乳癌、前立腺癌〉

通常、成人には4週に1回リュープロレリン酢酸塩として3.75mgを皮下に投与する。

バイアル品の投与に際しては、1バイアル当たり、添付の懸濁用液1mLで泡立てないように注意しながら、十分に懸濁して用いる。 キット品の投与に際しては、注射針を上にしてプランジャーロッドを押して、懸濁用液全量を粉末部に移動させ、泡立てないように注意しながら、十分に懸濁して用いる。 キット品は投与量の調節が不可能なため、1回当たり全量投与が必要な患者にのみ使用すること。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1 本剤は徐放性製剤であるので、最終投与後も薬効持続期間中は患者の状態を観察すること。

  2. 8.2 アナフィラキシーがあらわれることがあるので、問診を十分に行うこと。

  • 〈子宮内膜症、子宮筋腫〉
  1. 8.3 投与に際して、類似疾患(悪性腫瘍等)との鑑別に留意し、投与中腫瘤が増大したり、臨床症状の改善がみられない場合は投与を中止すること。

  2. 8.4 初回投与初期に、高活性LH-RH誘導体としての下垂体-性腺系刺激作用による血清エストロゲン濃度の一過性の上昇に伴い、臨床所見の一過性の悪化が認められることがあるが、通常治療を継続することにより消失する。

  3. 8.5 やむを得ず長期にわたる投与や再投与が必要な場合には、可能な限り骨塩量の検査を行い慎重に投与すること。

  • 〈中枢性思春期早発症〉
  1. 8.6 初回投与初期に、高活性LH-RH誘導体としての下垂体-性腺系刺激作用による性腺ホルモン濃度の一過性の上昇に伴い、臨床所見の一過性の悪化が認められることがあるが、通常治療を継続することにより消失する。

  2. 8.7 治療中は定期的にLH-RHテストを行い、血中LH及びFSHの反応性が抑制されない場合には、投与を中止すること。

  • 〈閉経前乳癌〉
  1. 8.8 本剤は内分泌療法剤であり、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。

  2. 8.9 初回投与初期に、高活性LH-RH誘導体としての下垂体-性腺系刺激作用による血清エストロゲン濃度の上昇に伴って骨疼痛の一過性増悪等がみられることがある。

  3. 8.10 本剤で抗腫瘍効果が得られず進行を認めた場合は、投与を中止すること。

  4. 8.11 エストロゲン低下作用に基づく骨塩量の低下がみられることがあるので、長期にわたり投与する場合には、可能な限り骨塩量の検査を行い慎重に投与すること。

  • 〈前立腺癌〉
  1. 8.12 本剤は内分泌療法剤であり、がんに対する薬物療法について十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。

  2. 8.13 初回投与初期に、高活性LH-RH誘導体としての下垂体-性腺系刺激作用による血清テストステロン濃度の上昇に伴って骨疼痛の一過性増悪がみられることがある。また、尿路閉塞あるいは脊髄圧迫のみられるおそれがあるので慎重に投与し、投与開始1ヵ月間は十分観察を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈子宮筋腫〉
  1. 9.1.1 粘膜下筋腫の患者

観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。また、出血症状が増悪した場合には連絡するよう患者に対し注意を与えること。出血症状が増悪することがある。

  • 〈子宮内膜症、閉経前乳癌〉
  1. 9.1.2 粘膜下筋腫のある患者

出血症状が増悪することがある。

  • 〈前立腺癌〉
  1. 9.1.3 脊髄圧迫又は尿路閉塞による腎障害を既に呈している患者又は新たに発生するおそれのある患者

初回投与初期の血清テストステロン濃度の上昇に伴い、原疾患の症状が悪化する可能性がある。

9.4 生殖能を有する者

  • 〈子宮内膜症、子宮筋腫、閉経前乳癌〉

治療に際しては妊娠していないことを確認し、治療期間中は非ホルモン性の避妊をさせること。,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。LH-RH誘導体による流産の報告があり、本剤の動物試験で胎児死亡の増加及び胎児体重の低値(ラット、ウサギ)1)並びに骨格異常の増加傾向(ウサギ)1)がみられている。,

9.6 授乳婦

投与しないこと。ラットで乳汁への移行がみられている。

9.7 小児等

  • 〈中枢性思春期早発症〉

低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
AL-P 1〜5%未満
ALT 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
BUNの上昇 1〜5%未満
LDH 1〜5%未満
LDLコレステロール上昇 1〜5%未満
γ-GTP 1〜5%未満
いらいら感 1〜5%未満
ざ瘡 1〜5%未満
そう痒 頻度不明
そう痒 1〜5%未満
トリグリセライド上昇 1〜5%未満
のぼせ 5%以上
ビリルビンの上昇 1〜5%未満
ほてり 5%以上
めまい 5%以上
下痢 1〜5%未満
下肢痛 1〜5%未満
不正出血 1〜5%未満
不眠 5%以上
乳房の疼痛・緊満感・萎縮 1〜5%未満
体重増加 1〜5%未満
体重減少 1%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
冷感 1〜5%未満
卵巣過剰刺激症状 1〜5%未満
口内炎 1〜5%未満
口唇・四肢のしびれ 1〜5%未満
口渇 1〜5%未満
味覚異常 1%未満
嘔吐 1〜5%未満
壊死等の注射部位反応 頻度不明
多毛 1〜5%未満
帯下増加 1〜5%未満
心悸亢進 1〜5%未満
性交痛 1〜5%未満
性欲減退 1〜5%未満
息苦しさ 1〜5%未満
悪心 1〜5%未満
情緒不安定 1〜5%未満
手指等のこわばり 1〜5%未満
手根管症候群 1〜5%未満
排尿困難 1〜5%未満
注意力低下 1〜5%未満
浮腫 1〜5%未満
潰瘍 頻度不明
熱感 5%以上
熱感 頻度不明
爪の異常 1〜5%未満
甲状腺機能異常 1%未満
疲労 1〜5%未満
疼痛 1〜5%未満
痙攣 頻度不明
発汗 5%以上
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
発赤 1〜5%未満
白血球減少 1〜5%未満
皮膚乾燥 1〜5%未満
眠気 1〜5%未満
知覚異常 1〜5%未満
硬結 1〜5%未満
筋痙攣 1〜5%未満
筋肉痛 1〜5%未満
総コレステロール上昇 1〜5%未満
耳鳴 1〜5%未満
肉芽腫 頻度不明
肩こり 5%以上
胸部不快感 1〜5%未満
脱力感 1〜5%未満
脱毛 1〜5%未満
腟乾燥 1〜5%未満
腟炎 1〜5%未満
腫瘤 頻度不明
腫脹 頻度不明
腰痛 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
膿瘍 頻度不明
血圧上昇 1〜5%未満
血小板減少 1〜5%未満
血清リン上昇 1〜5%未満
視覚障害 1〜5%未満
記憶力低下 1〜5%未満
貧血 1〜5%未満
赤血球増多 1〜5%未満
部分トロンボプラスチン時間延長 1〜5%未満
関節痛 5%以上
難聴 1〜5%未満
頭痛 5%以上
頻尿 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
骨塩量の低下 1〜5%未満
骨疼痛等の疼痛 5%以上
高カリウム血症 1〜5%未満
高カルシウム血症 1〜5%未満
黄疸 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

高用量のLH-RH又は高活性LH-RH誘導体であるリュープロレリン酢酸塩を反復投与すると、初回投与直後一過性に下垂体-性腺系刺激作用(急性作用)がみられた後、下垂体においては性腺刺激ホルモンの産生・放出が低下する。更に、卵巣及び精巣の性腺刺激ホルモンに対する反応性が低下し、エストラジオール及びテストステロン産生能が低下する(慢性作用)。リュープロレリン酢酸塩のLH放出活性はLH-RHの約100倍であり、その下垂体-性腺機能抑制作用はLH-RHより強い。リュープロレリン酢酸塩が高活性LH-RH誘導体であり、下垂体-性腺機能抑制作用が強い理由は、リュープロレリン酢酸塩が、LH-RHと比較して蛋白分解酵素に対する抵抗性が高いこと、LH-RHリセプターに対する親和性が高いことなどによる24),25),26),27)。更に、本剤は徐放性製剤であるので、常時血中にリュープロレリン酢酸塩を放出して効果的に卵巣及び精巣の反応性低下をもたらし、下垂体-性腺機能抑制作用を示す。

18.2 性腺ホルモン濃度抑制作用

  1. 18.2.1 子宮内膜症患者、子宮筋腫患者及び閉経前乳癌患者において、4週に1回の皮下投与により血清エストラジオール濃度は概ね閉経期レベル近くにまで低下し、卵巣機能抑制作用を認め、通常排卵は抑制され、月経は停止する4),7),9),18),19)。

  2. 18.2.2 前立腺癌患者において4週に1回の皮下投与により血清テストステロン濃度が持続的に去勢レベル以下に低下し、薬物的去勢作用が認められる8),22),23)。

  3. 18.2.3 中枢性思春期早発症の女児及び男児において、4週に1回の皮下投与により性腺ホルモン濃度は、前思春期レベルにまで低下し、二次性徴の進行抑制作用が認められる19),20)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回及び反復投与
  • 〈中枢性思春期早発症〉

中枢性思春期早発症患者にリュープロレリン酢酸塩として30μg/kgを4週ごとに12回皮下投与した場合の初回投与後の未変化体の血中濃度推移は以下のとおりであった。 また、以降の未変化体の血中濃度からみて、蓄積性はないと考えられる。

平均値(標準偏差) 血中濃度推移

  • 〈前立腺癌〉

前立腺癌患者にリュープロレリン酢酸塩として3.75mgを単回皮下投与した場合の血中濃度推移は以下のとおりであった。 なお、前立腺癌患者(17例)にリュープロレリン酢酸塩として3.75mgを4週ごとに3回皮下投与した時の血中濃度からみて、蓄積性はないと考えられる8)。

平均値(標準偏差)、n=4 血中濃度推移

  1. 16.1.2 反復投与
  • 〈子宮内膜症〉

子宮内膜症患者にリュープロレリン酢酸塩として1.88mg又は3.75mgを4週ごとに6回皮下投与した場合の血中濃度推移は以下のとおりであった。 なお、子宮内膜症患者(77例)にリュープロレリン酢酸塩として3.75mgを4週ごとに6回皮下投与した時の未変化体と代謝物M-I(Tyr-D-Leu-Leu-Arg-Pro-NHC2H5)とを合せた血中濃度からみて、蓄積性はないと考えられる4),5),6)。

平均値(標準偏差) 血中濃度推移

  • 〈子宮筋腫〉

子宮筋腫患者における薬物動態は子宮筋腫と同様のエストロゲン依存性疾患であり患者の年齢層も比較的類似する子宮内膜症における薬物動態と同様と考えられる。

  • 〈閉経前乳癌〉

閉経前乳癌患者にリュープロレリン酢酸塩として3.75mgを4週ごとに3回皮下投与した場合の未変化体の血中濃度推移は以下のとおりであった。また、2回目及び3回目投与の4週後の血中濃度は初回投与4週後の血中濃度よりも高値を示さず蓄積性はないと考えられる7)。

平均値(標準偏差)、n=11 血中濃度推移

16.5 排泄

  • 〈子宮内膜症〉
  1. 16.5.1 子宮内膜症患者にリュープロレリン酢酸塩として3.75mgを4週間ごとに6回皮下投与した場合、初回投与後24時間及び6回目投与後24時間の未変化体及び代謝物M-Iの尿中排泄率は以下のとおりであった6)。
初回投与後24時間 6回目投与後24時間
未変化体 M-I 未変化体 M-I
1.1(8) 1.1(8) 1.3(7) 1.3(7)
数字は尿中排泄率(%)、( )内は例数
  • 〈子宮筋腫〉
  1. 16.5.2 子宮筋腫患者における薬物動態は子宮筋腫と同様のエストロゲン依存性疾患であり患者の年齢層も比較的類似する子宮内膜症における薬物動態と同様と考えられる。
  • 〈中枢性思春期早発症〉
  1. 16.5.3 中枢性思春期早発症患者(1例)にリュープロレリン酢酸塩として30μg/kgを単回皮下投与した場合の初回投与後28日までの未変化体及び代謝物M-Iの尿中累積排泄率はそれぞれ1.8%及び7.1%であった。
  • 〈前立腺癌〉
  1. 16.5.4 前立腺癌患者(2例)にリュープロレリン酢酸塩として3.75mgを単回皮下投与した場合、投与後28日までの未変化体及び代謝物M-Iの尿中累積排泄率はそれぞれ2.9%及び1.5%であった。