【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本製品に包装されている各製剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 *,アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩、ピモジド、エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン、ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩、スボレキサント、ダリドレキサント塩酸塩、ボルノレキサント水和物、ロミタピドメシル酸塩、タダラフィル〔アドシルカ〕、マシテンタン・タダラフィル、チカグレロル、イブルチニブ、イバブラジン塩酸塩、ベネトクラクス(慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫の用量漸増期)、ルラシドン塩酸塩、アナモレリン塩酸塩、フィネレノン、イサブコナゾニウム硫酸塩、ボクロスポリン、マバカムテン、アゼルニジピン、オルメサルタン メドキソミル・アゼルニジピン、ロナファルニブを投与中の患者

  3. 2.3 肝臓又は腎臓に障害のある患者で、コルヒチンを投与中の患者,,

  4. 2.4 伝染性単核症のある患者[アモキシシリン水和物で紅斑性丘疹の発現頻度が高いとの報告がある。]

  5. 2.5 高度の腎障害のある患者

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

アモキシシリン、クラリスロマイシンに感性のヘリコバクター・ピロリ

  • 〈適応症〉

*胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・免疫性血小板減少症・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

用法・用量

通常、成人にはボノプラザンとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。

使用上の注意

  1. 8.1 本製品に包装されている個々の製剤を単独、もしくは本製品の効能又は効果以外の目的に使用しないこと。また、用法及び用量のとおり、同時に服用すること。
  • 〈アモキシシリン水和物〉
  1. 8.2 ショック、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群、薬剤により誘発される胃腸炎症候群の発生を確実に予知できる方法はないが、事前に当該事象の既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質によるアレルギー歴は必ず確認すること。,,,

  2. 8.3 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  3. 8.4 顆粒球減少、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  • 〈クラリスロマイシン〉
  1. 8.5 血小板減少、汎血球減少、溶血性貧血、白血球減少、無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈アモキシシリン水和物〉
  1. 9.1.1 ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、アモキシシリン水和物に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

  2. 9.1.2 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、じん麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者

  3. 9.1.3 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

  • 〈クラリスロマイシン〉
  1. 9.1.4 他のマクロライド系薬剤に対する過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.5 心疾患のある患者、低カリウム血症のある患者

QT延長、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、心室細動を起こすことがある。

9.2 腎機能障害患者

ボノプラザンの排泄が遅延することにより血中濃度が上昇することがある。また、クラリスロマイシンの血中濃度が上昇するおそれがある。

  1. 9.2.1 腎機能障害患者でコルヒチンを投与中の患者

投与しないこと。クラリスロマイシンとの併用によるコルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状が報告されている。,

  1. 9.2.2 高度の腎機能障害患者

投与しないこと。アモキシシリン水和物、クラリスロマイシンの血中濃度が上昇することがあり、本製品では各製剤の投与量を調節できない。

9.3 肝機能障害患者

ボノプラザンの代謝、排泄が遅延することにより血中濃度が上昇することがある。また、クラリスロマイシンにより肝機能障害を悪化させることがある。,

  1. 9.3.1 肝機能障害患者でコルヒチンを投与中の患者

投与しないこと。クラリスロマイシンとの併用によるコルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状が報告されている。,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  • 〈ボノプラザンフマル酸塩〉
  1. 9.5.1 動物試験(ラット)において、40mg/日でのヒトにおけるボノプラザンの曝露量(AUC)の約28倍を超える曝露量で、胎児体重及び胎盤重量の低値、外表異常(肛門狭窄及び尾の異常)、並びに内臓異常(膜性部心室中隔欠損及び鎖骨下動脈起始異常)が認められている。
  • 〈クラリスロマイシン〉
  1. 9.5.2 母動物に毒性があらわれる高用量において、胎児毒性(心血管系の異常、口蓋裂、発育遅延等)が報告されている。なお、国外における試験で次のような報告がある。SD系ラット(15~150mg/kg/日)及びCD-1系マウス(15~1,000mg/kg/日)において、それぞれ母動物に毒性があらわれる最高用量でラット胎児に心血管系異常並びにマウス胎児に口蓋裂が認められた。また、サル(35~70mg/kg/日)において、母動物に毒性があらわれる70mg/kg/日で9例中1例に低体重の胎児がみられたが、外表、内臓、骨格には異常は認められなかった。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

  • 〈ボノプラザンフマル酸塩〉
  1. 9.6.1 *健康授乳婦にボノプラザン20 mgを1日1回又は1日2回4日間経口投与したとき、それぞれ投与量の0.012%又は0.023%が母乳中に移行した1)。
  • 〈アモキシシリン水和物〉
  1. 9.6.2 外国人データで母乳中へ移行することが報告されている2)。
  • 〈クラリスロマイシン〉
  1. 9.6.3 ヒト母乳中へ移行することが報告されており、また、動物試験(ラット)の乳汁中濃度は、血中濃度の約2.5倍で推移した。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に肝機能、腎機能等の生理機能が低下している。アモキシシリン水和物による副作用が発現しやすく、クラリスロマイシンの高い血中濃度が持続するおそれがある。また、アモキシシリン水和物によるビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
ALTの上昇 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
下痢(10.6%) 5%以上
口内炎 1〜5%未満
味覚異常 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
腹部不快感 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

アモキシシリン水和物は細菌の細胞壁合成を阻害することにより効果を発揮し、また、クラリスロマイシンは細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し蛋白合成を阻害することにより効果を発揮する30),31)。 ボノプラザンは酸による活性化を必要とせず、可逆的でカリウムイオンに競合的な様式でH+, K+-ATPaseを阻害する。ボノプラザンは塩基性が強く胃壁細胞の酸生成部位に長時間残存して胃酸生成を抑制する。ボノプラザンは抗ヘリコバクター・ピロリ活性及びヘリコバクター・ピロリウレアーゼ阻害活性は示さない32)。アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンとの3剤療法におけるボノプラザンの役割は胃内pHを上昇させることにより、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの抗菌活性を高めることにあると考えられる。

18.2 薬理作用

  1. 18.2.1 抗菌作用

  2. (1) アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンはヘリコバクター・ピロリに対し殺菌的な抗菌作用を示す。

  3. (2) クラリスロマイシンの抗菌力はpHの影響を受け、酸性では中性に比べて減弱する。一方、アモキシシリン水和物はクラリスロマイシンと比べてpHの影響は少ない。

  4. (3) アモキシシリン水和物とクラリスロマイシンとの併用における抗菌力には、相乗又は相加作用が認められ、いずれの菌株においても拮抗作用は認められていない。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 ボノプラザン、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシン併用時

健康成人男子を対象にボノプラザンとして20mg、アモキシシリン水和物として750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして400mg(力価)を1日2回朝食後及び夕食後に7日間投与(投与最終日は朝食後1回)した時、投与7日目の薬物動態学的パラメータは下表のとおりである21)。

Cmax(ng/mL) Tmax(h) AUC0-12(ng・h/mL) T1/2(h)
70.2±17.3 3.0(1.0,4.0) 538.8±134.1 9.8±1.8
n=11、平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(最小値、最大値)
Cmax(μg/mL) Tmax(h) AUC0-12(μg・h/mL) T1/2(h)
10.1±2.3 3.0(2.0,4.0) 34.9±5.7 1.3±0.1
n=11、平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(最小値、最大値)
Cmax(μg/mL) Tmax(h) AUC0-12(μg・h/mL) T1/2(h)
未変化体 2.9±0.9 2.0(1.0,6.0) 18.3±4.9 4.6±0.5
代謝物 0.9±0.2 2.0(1.0,4.0) 7.5±0.1 8.0±1.2
n=11、平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(最小値、最大値)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

  2. (1) ボノプラザン単独投与時

腎機能正常者(eGFR:90mL/min/1.73m2以上)、軽度(eGFR:60~89mL/min/1.73m2)、中等度(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)及び高度腎機能障害者(eGFR:15~29mL/min/1.73m2)、並びに末期腎不全(ESRD)(eGFR:15mL/min/1.73m2未満)患者を対象にボノプラザンの薬物動態に及ぼす腎機能障害の影響を検討した臨床試験において、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、軽度、中等度及び高度腎機能障害者では腎機能正常者と比較してそれぞれ1.3~2.4倍及び1.2~1.8倍高く、腎機能の低下に伴い増加し、また、ESRD患者におけるAUC(0-inf)及びCmaxは、腎機能正常者と比較してそれぞれ1.3倍及び1.2倍高かった22)(外国人データ)。

  1. (2) クラリスロマイシン単独投与時

腎機能正常者と種々な程度の腎機能障害者に200mg(力価)を空腹時単回経口投与したときのクラリスロマイシン(未変化体)の血中濃度パラメータは下表のとおりであった23)(測定法:Bioassay)。

クレアチニンクリアランス(mL/min) Cmax(μg/mL) Tmax(h) T1/2(h) AUC(μg・h/mL)
Ccr≒100(n=5) 2.02 1.24 2.38 8.89
Ccr≒50(n=5) 2.15 1.89 5.74 21.69
Ccr≒30(n=5) 2.55 0.96 4.69 18.73
Ccr≒5(n=5) 3.54 1.48 6.13 36.89
  1. 16.6.2 肝機能障害患者

  2. (1) ボノプラザン単独投与時

肝機能正常者、並びに軽度(Child-Pugh分類スコアA)、中等度(Child-Pugh分類スコアB)及び高度肝機能障害者(Child-Pugh分類スコアC)を対象にボノプラザンの薬物動態に及ぼす肝機能障害の影響を検討した臨床試験において、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、軽度、中等度及び高度肝機能障害のある患者では肝機能正常者と比較してそれぞれ1.2~2.6倍及び1.2~1.8倍高かった24)(外国人データ)。

  1. 16.6.3 高齢者

  2. (1) クラリスロマイシン単独投与時

重篤な基礎疾患のない66~82歳(平均72.2歳)の女性3名に200mg(力価)を空腹時単回経口投与したときのクラリスロマイシン(未変化体)の血中濃度パラメータは下表のとおりであった25)(測定法:Bioassay)。

Cmax(μg/mL) Tmax(h) T1/2(h) AUC(μg・h/mL)
n=3 3.72 2.3 4.2 19.20

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 ボノプラザン、クラリスロマイシン併用時の薬物動態

外国健康成人男子を対象に1日目及び8日目にボノプラザンとして40mgを朝食30分後に単回投与し、3~9日目にクラリスロマイシンとして500mg(力価)を1日2回、朝夕食30分前に反復投与したとき、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、単独投与時と比較してクラリスロマイシンとの併用投与時に1.6倍及び1.4倍増加した26)。

  1. 16.7.2 ボノプラザン、ミダゾラム併用時の薬物動態

外国健康成人を対象に1日目及び9日目にミダゾラム2mgを単回経口投与し、2~10日目にボノプラザンとして20mgを1日2回反復経口投与した試験の結果、ミダゾラムのAUC(0-inf)及びCmaxは、単独投与時と比較してボノプラザンとの併用時にいずれも1.9倍増加する27)。

  1. 16.7.3 生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーション(リファンピシン、エファビレンツ)

ボノプラザンとして10、20、40mgを単回投与又は10mgを1日1回、20mgを1日1回若しくは2回、7日間反復経口投与し、リファンピシン600mgを1日1回併用投与したときで、ボノプラザンのAUCtauは78~81%低下、Cmaxは71%又は72%低下することが推定された。ボノプラザンとして10、20、40mgを単回投与又は10mgを1日1回、20mgを1日1回若しくは2回、7日間反復経口投与し、エファビレンツ600mgを1日1回併用投与したときで、ボノプラザンのAUCtauは54%低下、Cmaxは44~46%低下することが推定された28)。