【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症のある患者

効能・効果

遺伝性血管性浮腫の急性発作

用法・用量

*通常、成人にはイカチバントとして1回30mgを皮下注射する。 通常、2歳以上の小児には体重に応じてイカチバントとして1回10~30mgを皮下注射する。 効果が不十分な場合又は症状が再発した場合は、6時間以上の間隔をおいて同用量を追加投与することができる。ただし、24時間あたりの投与回数は3回までとする。,

使用上の注意

  1. 8.1 自己投与に際しては、以下の点に注意すること。

  2. 8.1.1 *自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者又はその保護者が理解し、患者又はその保護者が確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、適用後、本剤による副作用が疑われる場合や、自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。

  3. 8.1.2 シリンジの安全な廃棄方法について指導を行うと同時に、使用済みのシリンジを廃棄する容器を提供すること。

  4. 8.1.3 *本剤の自己投与の適用が可能と判断された患者に対しては、遺伝性血管性浮腫の発作が喉頭に発現した場合、本剤の投与を行った後、直ちに医療機関に受診するよう患者又はその保護者に指導すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 急性虚血性心疾患及び不安定狭心症の患者

虚血状態下ではブラジキニンB2受容体拮抗作用により、心機能低下と冠血流量減少が生じる可能性がある。

  1. 9.1.2 脳卒中後数週間以内の患者

ブラジキニンの後期神経保護作用を弱める可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(ラット、ウサギ)では、着床前死亡率、着床後死亡率及び胚・胎児死亡率の上昇、出産遅延が認められた1)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。3H-イカチバント酢酸塩を用いた動物試験(ラット)で、放射能の乳汁中への移行が確認されている2)。

9.7 小児等

  1. 9.7.1 *低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。,

  2. 9.7.2 幼若ラットにイカチバントを連日投与した試験では、雄で包皮分離遅延及び精巣毒性が、イカチバントを投与した雄と交配した非投与の雌で着床前死亡率の高値が認められている1)。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。高齢患者(65歳以上)では、非高齢患者(18~45歳)と比較して本剤の全身曝露量が増加する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
しびれ感 頻度不明
じん麻疹 頻度不明
じん麻疹 頻度不明
そう痒感 頻度不明
そう痒症 頻度不明
トランスアミナーゼ上昇 頻度不明
不快感 頻度不明
刺激感 頻度不明
悪心 頻度不明
注射部位反応(内出血 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
灼熱感 頻度不明
熱感)(96.7%) 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
知覚低下 頻度不明
紅斑 頻度不明
紅斑 頻度不明
腫脹 頻度不明
血腫 頻度不明
頭痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

遺伝性血管性浮腫では、C1エステラーゼインヒビター(C1-INH)の欠損や機能低下によりブラジキニンの濃度が上昇する。ブラジキニンはブラジキニン2(B2)受容体と結合し、血管拡張や血管透過性の亢進を引き起こし、血管性浮腫が発症すると考えられている。本剤はB2受容体に対する選択的な競合的拮抗薬である。

18.2 薬理作用

  1. 18.2.1 ブラジキニン受容体拮抗作用

In vitroにおいて、イカチバントのB2受容体親和性(Ki=2nM)は、ブラジキニン1(B1)受容体に対する親和性(Ki=1.2μM)の600倍であった21)。

  1. 18.2.2 血管透過性抑制作用

本剤の静脈内投与により、C1-INH欠損マウスにおいて亢進した血管透過性は抑制された22)。

  1. 18.2.3 ブラジキニンに対する阻害作用

本剤の静脈内投与により、ブラジキニンを負荷投与した健康成人において認められた、血圧低下、血管拡張及び反射性頻脈は阻害された23)(外国人データ)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 *単回投与
  • 〈健康成人〉 健康成人(12例)に本剤30mgを単回皮下投与したときの本剤の血中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す4)。
Cmax (ng/mL) tmax (h) AUC∞ (ng・h/mL) t1/2 (h) CL/F (mL/min) Vz/F (L)
1,190 ±261 0.63 [0.53, 1.03] 2,320 ±403 1.77 ±0.36 220 ±31.5 33.3 ±6.77
平均値±標準偏差、tmaxは中央値[最小値, 最大値]

本剤の血中濃度推移(平均値±標準偏差)

  • 〈小児〉 日本人小児の仮想集団に本剤を体重区分別用量で単回皮下投与したときの、母集団薬物動態モデルを用いたシミュレーションに基づく薬物動態パラメータを以下に示す5)。
体重 投与量 Cmax (ng/mL) AUC6 (ng∙h/mL)
12~25kg 10mg 778[476, 1270] 1236[818, 1876]
26~40kg 15mg 776[471, 1217] 1385[925, 2010]
41~50kg 20mg 856[543, 1287] 1632[1117, 2372]
51~65kg 25mg 873[557, 1448] 1734[1169, 2590]
65kg超 30mg 907[594, 1385] 1841[1274, 2635]
中央値[5%, 95%]
  1. 16.1.2 反復投与

健康成人(21例)に本剤30mgを6時間間隔で3回反復皮下投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであり、明らかな蓄積性は認められなかった6)(外国人データ)。

測定 時間 Cmax (ng/mL) tmax (h) AUC6 (ng・h/mL) AUC∞ (ng・h/mL) t1/2 (h) CL/F (mL/min) Vz/F (L)
1回目 957 ±342 0.75 [0.50, 1.00] 2,001 ±568 2,073±584 1.16 ±0.19 259 ±69.3 26.0 ±8.72
2回目 1,117±295 0.51 [0.50, 1.00] 2,125 ±522 1.06± 0.13
3回目 992 ±245 0.51 [0.50, 0.81] 2,046 ±530 1.07± 0.13
平均値±標準偏差、tmaxは中央値[最小値, 最大値]、-:未算出

16.2 吸収

本剤30mg皮下投与時の絶対的バイオアベイラビリティは、約97%であった7)(外国人データ)。

16.3 分布

In vitro試験において、本剤のヒト血漿タンパク結合率は44%であった8)。

16.4 代謝

本剤は、ペプチド分解酵素によって代謝されると考えられる9)。

16.5 排泄

本剤の静脈内投与後、未変化体として尿中に排泄される割合は投与量の10%未満であった10),11)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 肝機能障害患者における体内動態

肝機能障害(Child-Pugh 5~12)を有する被験者及び肝機能障害を有していない被験者で、イカチバント0.15mg/kg/日を3日間持続点滴静注したときの曝露量に差異は認められなかった12)(外国人データ)。

  1. 16.6.2 性別及び年齢の影響

本剤を女性被験者に投与したとき、平均AUC6及び平均Cmaxは男性被験者と比較し、約26%増加した。本剤を高齢者(65~82歳)に投与したとき、AUC6及びCmaxは非高齢者(18~64歳)と比較し、それぞれ約59%及び36%増加した13)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

In vitro試験において、本剤は、主要チトクロームP450アイソザイム(CYP1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4)を阻害せず、CYP1A2及び3A4を誘導しなかった14)。