【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者

効能・効果

  • 無又は低ガンマグロブリン血症

  • *慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)

用法・用量

  • 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉

ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を皮下投与した後、約10分以内に同じ部位へ人免疫グロブリンGを皮下投与する。 人免疫グロブリンG及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の投与は、以下の用量の1/3又は1/4から開始し、漸増する。また、投与間隔は投与量に併せて延長する。

  • 通常、人免疫グロブリンGとして150~600mg(1.5~6mL)/kg体重を3週間に1回又は200~800mg(2~8mL)/kg体重を4週間に1回投与する。

  • ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)は、人免疫グロブリンG 1gあたり80単位(0.5mL)を投与する。

  • なお、患者の状態に応じて、3週又は4週あたりの投与量及び投与回数は適宜増減する。

  • 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)〉

*通常、成人には、ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を皮下投与した後、約10分以内に同じ部位へ人免疫グロブリンGを皮下投与する。 人免疫グロブリンG及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)は、以下の用法及び用量で皮下投与するが、原則として開始用量は、以下の用量の1/3又は1/4とし、投与量に併せて投与間隔を延長しながら漸増すること。

  • 人免疫グロブリンGとして1.0g(10mL)/kg体重を3週間に1回投与するが、患者の状態に応じて、0.3~1.6g(3~16mL)/kg体重を3週間に1回、又は0.4~2.2g(4~22mL)/kg体重を4週間に1回の範囲で適宜増減する。

  • ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)は、人免疫グロブリンG 1gあたり80単位(0.5mL)を投与する。

  • なお、1回あたりの人免疫グロブリンGの投与量及び忍容性に応じて、人免疫グロブリンG及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を48~72時間間隔で分割して投与することができる。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1 本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、ヒトの血漿を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、その理解を得るよう努めること。

  2. 8.2 人免疫グロブリン注射液の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HAV、HBV、HCV、HIV-1及びヒトパルボウイルスB19について核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用している。また、製造工程段階のプール血漿においてHBs抗原、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、HAV、HBV、HCV、HIV-1及びヒトパルボウイルスB19についてNATを実施し、適合していることを確認しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。人免疫グロブリン注射液の製造工程であるCohnの低温エタノール分画、ウイルス除去膜による濾過工程、有機溶媒/界面活性剤処理及び低pHインキュベーション処理は、各種ウイルスに対して不活化・除去作用を有することが確認されているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。

  3. 8.2.1 血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。,,

  4. 8.2.2 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。

  5. 8.3 人免疫グロブリン注射液は抗A及び抗B血液型抗体を有する。したがって、血液型がO型以外の患者に大量投与したとき、溶血性貧血を起こすことがある。

  6. 8.4 急性腎障害があらわれることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認すること。,

  7. 8.5 ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)注射液は、1mL中にナトリウム0.16mmol(3.68mg)を含有するため、ナトリウムの過剰摂取に注意して使用すること。

  8. 8.6 **在宅自己注射を行う場合、患者又は介護者に投与方法及び製剤と医療機器の安全な廃棄方法の指導を行うこと。

  9. 8.6.1 **自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者又は介護者が本剤投与による危険性と対処法について理解し、確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させるなど、適切な処置を行うこと。

  10. 8.6.2 **単回使用医療機器(使用済みのシリンジや注射針等)を再使用しないように患者又は介護者に注意を促すこと。

  11. 8.6.3 **製剤及び医療機器の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの製剤及び医療機器を廃棄する容器を提供することが望ましい。

  • 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制〉
  1. 8.7 *本剤による慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。

  2. 8.8 *臨床症状の観察を十分に行い定期的に継続投与の必要性を確認すること。また、継続投与の結果十分な効果が認められず、運動機能低下の再発・再燃等を繰り返す場合には、本剤の継続投与は行わず、他の治療法を考慮すること。

  3. 8.9 *本剤を継続投与した結果、運動機能低下の再発・再燃が認められなくなった場合には、本剤の減量又は投与中止を考慮すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。

  1. 9.1.2 IgA欠損症の患者

抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。

  1. 9.1.3 血栓塞栓症の危険性の高い患者

適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こすおそれがある。,

  1. 9.1.4 溶血性・失血性貧血の患者

ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。

  1. 9.1.5 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者

ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 腎機能障害又はその既往歴のある患者

適宜減量し、できるだけゆっくりと投与することが望ましい。腎機能を悪化させるおそれがある。,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性を否定できない。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

  • 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉

低出生体重児、新生児、乳児及び2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

  • 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制〉

*18歳未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下している。また、一般に脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者がみられ、血栓塞栓症を起こすおそれがある。,

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
Infusion reaction注) 頻度不明
アレルギー性皮膚炎 1%未満
インフルエンザ様疾患 1%未満
クームス試験陽性 1%未満
じん麻疹 1%未満
そう痒感 5%以上
そう痒症 頻度不明
ヘモジデリン尿症 1%未満
上腹部痛 頻度不明
下痢 頻度不明
下腹部痛 頻度不明
丘疹 頻度不明
低血圧 1%未満
倦怠感 頻度不明
副鼻腔炎 1%未満
呼吸困難 1%未満
嗜眠 1%未満
嘔吐 頻度不明
四肢不快感 頻度不明
四肢痛 頻度不明
外陰腟腫脹 1%未満
多汗症 1%未満
小結節 1%未満
性器浮腫 頻度不明
性器腫脹 1%未満
悪寒 頻度不明
悪心 5%以上
挫傷 頻度不明
振戦 1%未満
斑状丘疹状皮疹 1%未満
斑状皮疹 1%未満
末梢冷感 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
末梢腫脹 頻度不明
注入部位反応(疼痛 5%以上
注入部位漏出 頻度不明
洞性頻脈 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
潮紅 頻度不明
灼熱感 1%未満
無力症 頻度不明
熱感 1%未満
片頭痛 頻度不明
疲労 5%以上
疼痛 頻度不明
発熱 5%以上
発疹 頻度不明
皮膚浮腫 1%未満
筋肉痛 頻度不明
筋骨格硬直 1%未満
筋骨格系胸痛 頻度不明
紅斑 5%以上
紅斑 頻度不明
紅斑性皮疹 1%未満
背部痛 頻度不明
腫脹 頻度不明
腫脹等)(54.8%) 5%以上
腹痛 頻度不明
腹部圧痛 1%未満
腹部膨満 頻度不明
蒼白 頻度不明
遊離ヘモグロビン陽性 頻度不明
過敏症 1%未満
錯感覚 1%未満
関節痛 頻度不明
関節硬直 1%未満
限局性浮腫 頻度不明
頭痛(21.6%) 5%以上
頻脈 1%未満
顔面腫脹 頻度不明
食欲減退 1%未満
高血圧 頻度不明
鼡径部痛 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1 人免疫グロブリンG

人免疫グロブリンGの作用機序は完全には解明されていない。

  1. 18.1.2 ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)

結合組織におけるヒアルロン酸の脱重合を介し、皮下組織の浸透性が増加することで、人免疫グロブリンGの拡散吸収が促進する9)。

18.2 薬理作用

  1. 18.2.1 抗体価

広範囲の細菌及びウイルスに対して抗体価を有する(in vitro)10)。

  1. 18.2.2 オプソニン作用

大腸菌及びB群連鎖球菌に対してオプソニン作用が認められた(in vitro)11)。

  1. 18.2.3 感染防御作用

マウスにおける肺炎球菌及び肺炎桿菌感染に対して防御作用が認められた12)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉

2歳以上の日本人原発性免疫不全症候群患者16例を対象に、本剤を3週間隔(平均投与量:IgGとして92.2mg/kg/週、範囲:52.0~129.6mg/kg/週)又は4週間隔(平均投与量:IgGとして120.6mg/kg/週、範囲:55.8~179.8mg/kg/週)で皮下投与した際の定常状態(本剤投与開始19週目以降)における血清中IgGトラフ濃度推移は以下のとおりであった。 なお、本剤を3週間隔又は4週間隔で皮下投与した際の平均血清中IgGトラフ値は、それぞれ13.25g/L(2例:本剤投与開始28週目)又は9.343g/L(12例:本剤投与開始31週目)であった。

本剤を3週間隔又は4週間隔で皮下投与した際の血清中IgGトラフ濃度推移

12歳以上の日本人原発性免疫不全症候群患者4例を対象に、本剤を4週間隔で皮下投与(平均投与量:IgGとして452mg/kg、範囲:313~768mg/kg)した際の定常状態(本剤投与開始23週目又は27週目)における血清中IgGの薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。

AUC0-τ/week (g・day/L) Cmax (g/L) Cmin (g/L) Tmax (day) CL/F (mL/day/kg)
81.98(17.6) 12.72(23.4) 9.347(17.9) 6.94 [2.94, 8.85] 1.302(40.0)
幾何平均値(CV%)、Tmaxは中央値[最小値, 最大値]、AUC0-τ/week及びCL/Fの例数は3例
  • 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制〉

*日本人慢性炎症性脱髄性多発根神経炎患者19例及び多巣性運動ニューロパチー患者7例を対象に本剤を3週又は4週間間隔で皮下投与した際の投与6ヵ月目の血清中IgGトラフ濃度は、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎患者(平均投与量:IgGとして1.24g/kg/月、範囲:0.71~1.64g/kg/月)においては17.39g/L、多巣性運動ニューロパチー患者(平均投与量:IgGとして1.20g/kg/月、範囲:0.85~1.46g/kg/月)においては15.64g/Lであり、本剤投与期間中を通して血清中IgGトラフ濃度は維持された2),3)。