【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者

  2. 2.2 高プロリン血症1型又は2型の患者[本剤に含有されるプロリンが通常の代謝経路では代謝されないため、血中プロリン濃度が高値になり、症状があらわれることがある。]

効能・効果

  • 無又は低ガンマグロブリン血症

  • 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)

用法・用量

  • 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉

通常、人免疫グロブリンGとして50~200mg(0.25~1mL)/kg体重を週1回皮下投与する。2週間に1回投与する場合には、1週あたりの用量の2倍量(100~400mg(0.5~2mL)/kg体重)を皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、1週もしくは2週あたりの投与量及び投与回数は適宜増減する。

  • 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)〉

通常、成人には人免疫グロブリンGとして1週あたり200mg(1mL)/kg体重を1日又は連続する2日で分割して皮下投与するが、患者の状態に応じて、最大400mg(2mL)/kg体重から投与を開始することもできる。なお、維持用量は200~400mg/kg体重で適宜増減する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1 本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、血液を原材料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。

  2. 8.2 本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HIV-1、HBV、HCV及びHAVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、ヒトパルボウイルスB19についてもNATによるスクリーニングを実施し、適合した血漿を用いている。 その後の製造工程であるデプスフィルトレーション、pH4処理及びナノフィルトレーションは、HIV、HBV、HCV等のエンベロープを有するウイルス及びエンベロープを有しないHAV、ヒトパルボウイルスB19をはじめとする各種ウイルス除去・不活化効果が確認されているが、投与に際しては、次の点に十分に注意すること。 血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。,,

  3. 8.3 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。

  4. 8.4 在宅自己注射を行う場合、患者に投与方法及び製剤と医療機器の安全な廃棄方法の指導を行うこと。

  5. 8.4.1 自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者又は介護者が本剤投与による危険性と対処法について理解し、確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させるなど、適切な処置を行うこと。

  6. 8.4.2 医療機器を再使用しないように患者に注意を促すこと。

  7. 8.4.3 製剤及び医療機器の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。同時に、使用済みの製剤及び医療機器を廃棄する容器を提供することが望ましい。

  • 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉
  1. 8.5 本剤による慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。

  2. 8.6 臨床症状の観察を十分に行い定期的に継続投与の必要性を確認すること。また、継続投与の結果十分な効果が認められず、運動機能低下の再発・再燃等を繰り返す場合には、本剤の継続投与は行わず、他の治療法を考慮すること。

  3. 8.7 本剤を継続投与した結果、運動機能低下の再発・再燃が認められなくなった場合には、本剤の減量又は投与中止を考慮すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.2 IgA欠損症の患者

抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。

  1. 9.1.3 血栓塞栓症の危険性の高い患者

人免疫グロブリン製剤を使用した患者で血栓塞栓症の報告がある。,

  1. 9.1.4 溶血性・失血性貧血の患者

ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。

  1. 9.1.5 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者

ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある。

9.7 小児等

  • 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉
  1. 9.7.1 低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉
  1. 9.7.2 18歳未満の患者は臨床試験では除外されている。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。また、一般に脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者がみられ、血栓塞栓症を起こすおそれがある。,

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
じん麻疹 頻度不明
そう痒症 頻度不明
そう痒症 頻度不明
上咽頭炎 頻度不明
下痢 頻度不明
不快感 1%未満
低体温 頻度不明
低血圧 頻度不明
倦怠感 1%未満
内出血 頻度不明
出血 1%未満
刺激感 頻度不明
嘔吐 頻度不明
圧痛 1%未満
悪寒 頻度不明
悪心 1%未満
振戦 頻度不明
浮動性めまい 1%未満
温感 頻度不明
溶血 頻度不明
潮紅 1%未満
潰瘍 頻度不明
灼熱感 頻度不明
炎症 1%未満
片頭痛 1%未満
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱 1%未満
発疹 1%未満
発疹 頻度不明
皮膚不快感 1%未満
硬結 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋痙縮 1%未満
筋骨格痛 頻度不明
精神運動亢進 頻度不明
紅斑 頻度不明
胸痛 頻度不明
腫瘤 1%未満
腫脹 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部硬直 1%未満
血中クレアチニン増加 1%未満
過敏症 頻度不明
関節痛 1%未満
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
高血圧 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤の作用機序は完全には解明されていない。

18.2 抗体活性及びFc機能による作用

IgG機能は、Fab機能とFc機能が知られ、IgG分子のFab部分は抗体の特異性(Fab機能)を決定する。多価IgG製品が治療効果を有するためには生理学的に意味のある抗体特異性のスペクトルを持つことが必要であるが、本剤は、5つの異なる特異性を持つ抗体(抗HBs、抗ポリオウイルス1型、抗ジフテリア毒素、抗パルボウイルスB19、抗ストレプトリジンO)の存在が確認されている。 IgG分子のFc部分はエフェクター機能(Fc機能)の媒介となるが、本剤のFcエフェクター機能は他の市販されている人免疫グロブリン製剤と同等であることが確認された。従って、本剤は、広範な各種の細菌及びウイルス性因子に対して広いスペクトルのオプソニン作用及び中和作用を示し、適切なFcエフェクター機能を有することが示唆された7) 。

18.3 脱髄性疾患モデルに対する作用

本剤はラット実験的アレルギー性脳脊髄炎モデルに対して症状の発現及び進行を抑制した8) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉

原発性免疫不全症候群患者を対象とした国内第III相試験1) において、本剤を毎週反復皮下投与し、定常状態に達した後(投与開始16週、20週又は24週)、25例中8例で測定した血清IgG濃度は、投与から次の投与までの1週間、安定した値を示した。1週間の平均投与量は76.16mg/kg体重で、最高血中濃度の平均値は7.63g/L、最高血中濃度到達時間の中央値は2.56日であった。

原発性免疫不全症候群患者を対象とした海外第III相試験2) において、本剤を週1回及び2週間に1回投与した結果、定常状態(週1回投与は投与開始6週時に測定、2週間に1回投与は投与開始12週時に測定)における本剤の血清IgG濃度パラメータ(Cmax、トラフ値及びdAUC)は両投与間で類似していた。

週1回投与(n=9) 2週間に1回投与(n=9)
平均投与量 (mg/kg体重) 109±17.2 207±38.4
Cmax(g/L) 10.63±1.70 11.63±2.03
Ctrough(g/L) 10.04±1.63 9.86±1.68
AUC0-tau(h*g/L) 1707±294 3561±594
dAUC(h*g/L/mg) 0.24±0.04 0.26±0.04
平均値±標準偏差 AUC0-tau:週1回投与はAUC0-7日、2週間に1回投与はAUC0-14日 dAUC:投与量で補正したAUC0-tau
  • 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎患者を対象とした国際共同第III相試験3) において、本剤0.4g/kg体重又は0.2g/kg体重を週1回皮下投与したときの24週後のIgGトラフ値は、0.4g/kg体重群で20.4±3.24g/L、0.2g/kg体重群で15.4±3.06g/Lであり、24週まで持続してトラフ値が維持された。