【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分又はサリチル酸系製剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 アタザナビル硫酸塩、リルピビリン塩酸塩を投与中の患者

  3. 2.3 消化性潰瘍のある患者[アスピリンのプロスタグランジン生合成抑制作用により胃の血流量が減少し、消化性潰瘍を悪化させることがある。]

  4. 2.4 出血傾向のある患者[アスピリンにより血小板機能異常が起こることがあるため、出血傾向を助長するおそれがある。],

  5. 2.5 アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者[重篤なアスピリン喘息発作を誘発させることがある。],

  6. 2.6 出産予定日12週以内の妊婦

効能・効果

  • 下記疾患又は術後における血栓・塞栓形成の抑制(胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往がある患者に限る)

  • ・狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作(TIA)、脳梗塞)

  • ・冠動脈バイパス術(CABG)あるいは経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行後

用法・用量

通常、成人には1日1回1錠(アスピリン/ボノプラザンとして100mg/10mg)を経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1 本剤の長期投与にあたっては、定期的に内視鏡検査を実施するなど観察を十分行うこと。

  2. 8.2 脳梗塞患者への投与にあたっては、他の血小板凝集を抑制する薬剤等との相互作用に注意するとともに、高血圧が持続する患者への投与は慎重に行い、投与中は十分な血圧のコントロールを行うこと。,

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 血液の異常又はその既往歴のある患者

アスピリンは血液の異常を悪化又は再発させるおそれがある。

  1. 9.1.2 出血傾向の素因のある患者

アスピリンは出血を増強させるおそれがある。,

  1. 9.1.3 気管支喘息のある患者

(アスピリン喘息を有する場合を除く)

アスピリン喘息でないことを十分に確認すること。気管支喘息の患者の中にはアスピリン喘息患者も含まれている可能性があり、それらの患者では重篤な喘息発作を誘発させることがある。,

  1. 9.1.4 アルコールを常飲している患者

アスピリンはアルコールと同時に服用すると、消化管出血を誘発又は増強することがある。,

  1. 9.1.5 手術、心臓カテーテル検査又は抜歯前1週間以内の患者

アスピリンは手術、心臓カテーテル検査又は抜歯時の失血量を増加させるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 腎機能障害又はその既往歴のある患者

アスピリンは腎障害を悪化又は再発させるおそれがある。また、腎機能障害患者では、ボノプラザンの排泄が遅延することにより血中濃度が上昇することがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 肝機能障害又はその既往歴のある患者

アスピリンは肝障害を悪化又は再発させるおそれがある。また、肝機能障害患者では、ボノプラザンの代謝、排泄が遅延することにより血中濃度が上昇することがある。,

9.5 妊婦

  1. 9.5.1 出産予定日12週以内の妊婦

投与しないこと。アスピリンでは、妊娠期間の延長、動脈管の早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加につながるおそれがある。海外での大規模な疫学調査では、妊娠中のアスピリン服用と先天異常児出産の因果関係は否定的であるが、長期連用した場合は、母体の貧血、産前産後の出血、分娩時間の延長、難産、死産、新生児の体重減少・死亡などの危険が高くなるおそれを否定できないとの報告がある。また、ヒトで妊娠末期に投与された患者及びその新生児に出血異常があらわれたとの報告がある。さらに、妊娠末期のラットに投与した試験で、弱い胎児の動脈管収縮が報告されている。

  1. 9.5.2 妊婦(ただし、出産予定日12週以内の妊婦は除く)又は妊娠している可能性のある女性

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。アスピリンでは、動物試験(ラット)で催奇形作用があらわれたとの報告がある。妊娠期間の延長、過期産につながるおそれがある。ボノプラザンでは、動物試験(ラット)において、ボノプラザンの最大臨床用量(40mg/日)における曝露量(AUC)の約28倍を超える曝露量で、胎児体重及び胎盤重量の低値、外表異常(肛門狭窄及び尾の異常)、並びに内臓異常(膜性部心室中隔欠損及び鎖骨下動脈起始異常)が認められている。

9.6 授乳婦

  1. 9.6.1 *授乳を避けさせること。アスピリンで、ヒト母乳中に移行することが報告されている。

  2. 9.6.2 *健康授乳婦にボノプラザン20mgを1日1回又は1日2回4日間経口投与したとき、それぞれ投与量の0.012%又は0.023%が母乳中に移行した1)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では腎機能、肝機能等の生理機能が低下している。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
AL-P 頻度不明
ALT 頻度不明
AST 頻度不明
LDH 頻度不明
γ-GTPの上昇 頻度不明
そう痒 1〜5%未満
めまい 頻度不明
下痢 1〜5%未満
代謝性アシドーシス 頻度不明
低血糖 頻度不明
便秘 1〜5%未満
倦怠感 頻度不明
口唇腫脹 頻度不明
吐血 頻度不明
嘔吐 頻度不明
好酸球増多 1〜5%未満
心窩部痛 頻度不明
悪心 1〜5%未満
気管支炎 頻度不明
浮腫 1〜5%未満
発汗 頻度不明
発疹 頻度不明
結膜炎 頻度不明
耳鳴 頻度不明
胃腸障害 頻度不明
胃部不快感 1〜5%未満
胸やけ 頻度不明
腎障害 頻度不明
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
興奮 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血圧低下 1〜5%未満
血小板機能低下(出血時間延長) 頻度不明
血管炎 頻度不明
角膜炎 頻度不明
貧血 1〜5%未満
過呼吸 頻度不明
難聴 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 頻度不明
食道炎 1〜5%未満
鼻炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1 アスピリン

アスピリンは低用量で血小板シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)活性を阻害することから、トロンボキサンA2の生成を抑制し、血小板凝集能抑制作用を示す。このアスピリンの血小板COX-1に対する作用は不可逆的で血小板の寿命である7~10日間持続することから、アスピリンを反復投与すると血小板機能は累積的に抑えられ、血栓・塞栓形成の抑制作用を示す21)。

  1. 18.1.2 ボノプラザン

ボノプラザンは酸による活性化を必要とせず、可逆的でカリウムイオンに競合的な様式でH+, K+-ATPaseを阻害する。ボノプラザンは塩基性が強く胃壁細胞の酸生成部位に長時間残存して胃酸生成を抑制する。消化管上部の粘膜損傷形成に対して、ボノプラザンは強い抑制作用を示す22)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

  2. (1) アスピリン 健康成人男性233例にアスピリン/ボノプラザンとして100mg/10mg(配合錠投与)又はアスピリン腸溶錠100mg及びボノプラザン錠10mg(併用投与)をクロスオーバー法により朝食絶食下に1日1回投与した時のアスピリンの薬物動態学的パラメータ及び血漿中濃度推移は次のとおりである2)。

Cmax (ng/mL) Tmax (hr) AUC(last) (ng・hr/mL) T1/2z (hr)
配合錠 786.1±349.18 4.000(2.00-11.0) 975.7±327.58 0.4151±0.12045
単剤併用 677.8±404.26 4.500(1.00-12.0) 899.8±323.46 0.4894 ±0.98199
n=233、平均値±標準偏差、ただし、Tmaxは中央値(最小値-最大値)

朝食絶食下投与時のアスピリンの血漿中濃度

  1. (2) ボノプラザン 健康成人男性23例にアスピリン/ボノプラザンとして100mg/10mg(配合錠投与)又はアスピリン腸溶錠100mg及びボノプラザン錠10mg(併用投与)をクロスオーバー法により朝食絶食下に1日1回投与した時のボノプラザンの薬物動態学的パラメータ及び血漿中濃度推移は次のとおりである2)。
Cmax (ng/mL) Tmax (hr) AUC(last) (ng・hr/mL) T1/2z (hr)
配合錠 14.77±5.0945 1.500(1.00-3.00) 97.36±32.128 8.172±0.81625
単剤併用 14.09±5.0778 1.500(1.00-3.00) 96.41±31.431 8.047±1.1520
n=23、平均値±標準偏差、ただし、Tmaxは中央値(最小値-最大値)

朝食絶食下投与時のボノプラザンの血中濃度

16.2 吸収

  1. 16.2.1 食事の影響

健康成人男性12例にアスピリン/ボノプラザン配合錠として100mg/10mgを朝食開始30分後に投与した時、朝食絶食下投与と比較してアスピリンのCmaxは1.5倍に増加、AUCは1.2倍に増加、ボノプラザンのCmaxは1.4倍に増加、AUCは1.2倍に増加した2)。

16.3 分布

  1. 16.3.1 蛋白結合率

アスピリンの代謝物であるサリチル酸の蛋白結合率は血中濃度依存的に変化し、低濃度 (<100μg/mL)では約90%であるが、高濃度(>400μg/mL)では約75%である3)。また、[14C]ボノプラザンを0.1〜10μg/mLの範囲でヒト血漿に添加した時の蛋白結合率は、85.2〜88.0%である(in vitro)4)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1 アスピリンは主に消化管や肝臓で加水分解によりサリチル酸に代謝され、サリチル酸はグルクロン酸抱合やグリシン抱合を受けて代謝される。

  2. 16.4.2 ボノプラザンは主としてCYP3A4で代謝され、一部CYP2B6、CYP2C19及びCYP2D6で代謝される。また、硫酸転移酵素SULT2A1でも代謝される(in vitro)5),6)。

  3. 16.4.3 ボノプラザンは、CYP2B6、CYP2C19及びCYP3A4/5に対して時間依存的な阻害作用を示す(in vitro)。また、ボノプラザンは、濃度依存的なCYP1A2誘導作用をわずかに示すが、CYP2B6及びCYP3A4/5誘導作用はほとんど示さない(in vitro)7),8)。

16.5 排泄

健康成人男性12例にアスピリン/ボノプラザン配合錠として100mg/10mgを朝食絶食下又は朝食開始30分後投与した時、24時間後の尿中排泄率はアスピリン及びサリチル酸として77.53~80.89%であった。また、ボノプラザンは、投与後48時間後までに代謝物を含め尿中排泄率は7.683~8.903%であった2)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

ボノプラザンでは、腎機能正常者(eGFR:90mL/min/1.73m2以上)、軽度(eGFR:60~89mL/min/1.73m2)、中等度(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)及び高度腎機能障害(eGFR:15~29mL/min/1.73m2)のある患者、並びに末期腎不全(ESRD)(eGFR:15mL/min/1.73m2未満)患者を対象にボノプラザンとして20mgを投与した時の薬物動態に及ぼす腎機能障害の影響を検討した外国で実施した臨床試験において、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、軽度、中等度及び高度腎機能障害のある患者では腎機能正常者と比較してそれぞれ1.3〜2.4倍及び1.2〜1.8倍高く、腎機能の低下に伴い増加し、また、ESRD患者におけるAUC(0-inf)及びCmaxは、腎機能正常者と比較してそれぞれ1.3倍及び1.2倍高い9)。

  1. 16.6.2 肝機能障害患者

ボノプラザンでは、肝機能正常者、並びに軽度(Child-Pugh分類スコアA)、中等度(Child-Pugh分類スコアB)及び高度肝機能障害(Child-Pugh分類スコアC)のある患者を対象にボノプラザンとして20mgを投与した時の薬物動態に及ぼす肝機能障害の影響を検討した外国で実施した臨床試験において、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、軽度、中等度及び高度肝機能障害のある患者では肝機能正常者と比較してそれぞれ1.2〜2.6倍及び1.2〜1.8倍高い10)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 ボノプラザン、クラリスロマイシン併用時の薬物動態

外国健康成人男性を対象に1日目及び8日目にボノプラザンとして40mg注)を朝食30分後に単回投与し、3〜9日目にクラリスロマイシンとして500mg(力価)を1日2回、朝夕食30分前に反復投与した試験の結果、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、単独投与時と比較してクラリスロマイシンとの併用投与時に1.6倍及び1.4倍増加する11)。

  1. 16.7.2 ボノプラザン、低用量アスピリン併用時の薬物動態

健康成人男性を対象にボノプラザン40mg注)、アスピリン100mgを併用投与した試験の結果、ボノプラザンの薬物動態に及ぼす低用量アスピリンの影響、及び低用量アスピリンの薬物動態に及ぼすボノプラザンの影響について、いずれも明らかな影響は見られなかった12)。

  1. 16.7.3 ボノプラザン、ミダゾラム併用時の薬物動態

外国健康成人を対象に1日目及び9日目にミダゾラム2mgを単回経口投与し、2~10日目にボノプラザンとして20mg注)を1日2回反復経口投与した試験の結果、ミダゾラムのAUC(0-inf)及びCmaxは、単独投与時と比較してボノプラザンとの併用時にいずれも1.9倍増加する13)。

  1. 16.7.4 生理学的薬物速度論モデルによるシミュレーション(リファンピシン、エファビレンツ)

ボノプラザンとして10、20、40mgを単回投与又は10mgを1日1回、20mgを1日1回若しくは2回、7日間反復経口投与し、リファンピシン600mgを1日1回併用投与したときで、ボノプラザンのAUCtauは78~81%低下、Cmaxは71%又は72%低下することが推定された。 ボノプラザンとして10、20、40mgを単回投与又は10mgを1日1回、20mgを1日1回若しくは2回、7日間反復経口投与し、エファビレンツ600mgを1日1回併用投与したときで、ボノプラザンのAUCtauは54%低下、Cmaxは44~46%低下することが推定された14)。

注)本剤は、アスピリン/ボノプラザンとして100mg/10mgの配合剤である。