【警告】

  1. 1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療機関において、がん化学療法に十分な知識及び経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又は患者の家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部CT検査等の実施など、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。,,,

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

用法・用量

通常、成人にはブリグチニブとして、1日1回90mgを7日間経口投与する。その後、1日1回180mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1 間質性肺疾患があらわれることがあるので、息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。また、胸部CT検査等の実施など、患者の状態を十分観察すること。必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLCO)等の検査を行うこと。,,,

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 間質性肺疾患又はその既往歴のある患者

間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。,,,

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 重度の腎機能障害(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)のある患者

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある患者

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1 妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は、適切な避妊を行うよう指導すること。

  2. 9.4.2 パートナーが妊娠する可能性のある男性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

  3. 9.4.3 生殖可能な年齢の男性に投与する場合には、造精機能の低下があらわれる可能性があることを考慮すること。反復投与毒性試験(ラット及びサル)で、最大臨床用量(180mg/日)におけるブリグチニブの曝露量(AUC)のそれぞれ約0.6倍及び0.12倍の曝露量で精巣毒性(ラットで精巣、精巣上体の大きさ及び重量の低値並びに精細管の変性及び精巣上体における精子減少、サルで精巣、精巣上体の大きさ及び重量の低値)が認められた。また、これらの精巣、精巣上体に対する作用は、ラットでは回復性がみられなかった1),2)。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 ラットを用いた胚・胎児発生毒性試験において、最大臨床用量(180mg/日)におけるブリグチニブの曝露量(AUC)の約0.5倍の曝露量で胎児重量の低値及び骨格変異が、約0.8倍の曝露量で吸収胚数及び着床後死亡率の増加並びに奇形(外表、内臓及び骨格)が認められている3)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤は乳汁中に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
CK上昇(54.8%) 頻度不明
LDH上昇 頻度不明
アミラーゼ上昇 頻度不明
そう痒症 頻度不明
リパーゼ上昇 頻度不明
リンパ球減少症 頻度不明
上気道感染 頻度不明
下痢(40.4%) 頻度不明
不眠症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低リン酸血症 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
光線過敏性反応 頻度不明
動悸 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
好中球減少症 頻度不明
徐脈 頻度不明
心電図QT延長 頻度不明
悪心 頻度不明
末梢性ニューロパチー 頻度不明
活性化部分トロンボプラスチン時間延長 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球減少症 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋骨格硬直 頻度不明
筋骨格系胸痛 頻度不明
肺炎 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
腹痛 頻度不明
血中クレアチニン上昇 頻度不明
血中コレステロール上昇 頻度不明
血小板減少症 頻度不明
視力障害 頻度不明
記憶障害 頻度不明
貧血 頻度不明
関節痛 頻度不明
非心臓性胸痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
食欲減退 頻度不明
高インスリン血症 頻度不明
高カルシウム血症 頻度不明
高尿酸血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
高血糖 頻度不明
鼓腸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ブリグチニブはALK融合タンパクのチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられる16)。

18.2 抗腫瘍作用

ブリグチニブは、ALK融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来NCI-H3122又はNCI-H2228細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した16)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回及び反復投与

日本人ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者に、本剤90mgを1日1回7日間経口投与した後180mgを1日1回経口投与したときの、投与1日目(単回投与)及び投与22日目(反復投与)の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を以下に示す4)。

パラメータ (単位) Cmax (ng/mL) tmax (h) AUC24 (h∙ng/mL)
90mg単回投与 (N=9) 414.0 (52.2) 3.98 (1.02、7.88) 5045注1) (48.4)
180mg反復投与 (N=9) 2119 (62.5) 2.08 (1.12、6.03) 31130 (60.0)
幾何平均値(%幾何変動係数)〔tmaxは中央値(最小値、最大値)〕 注1)N=8

血漿中濃度-時間プロファイル

16.2 吸収

  1. 16.2.1 食事の影響

健康成人21例にブリグチニブ180mg注2)を単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与におけるブリグチニブのCmax及び全身曝露量(AUC)の幾何平均値の比は、それぞれ0.87及び0.98であった(外国人データ)5)。

16.3 分布

非小細胞肺癌患者にブリグチニブ180mg注2)を1日1回経口投与したときの定常状態における分布容積(Vz/F)の幾何平均値(変動係数)は306.6L(58.2%)であった(外国人データ)6)。 健康成人にブリグチニブ90mgを単回経口投与したときのブリグチニブの血漿蛋白結合率は約91%であった(外国人データ)7),8)。

16.4 代謝

ブリグチニブは主に薬物代謝酵素CYP2C8及びCYP3A4により代謝される(in vitro)9)。 健康成人6例に14Cブリグチニブ180mg注2)を単回経口投与したとき、投与24時間後までの血漿中に、主に未変化体及びM36(N-脱メチル化体)が検出された(血漿中総放射能濃度に対する割合はそれぞれ91.5及び3.5%)(外国人データ)10)。

16.5 排泄

非小細胞肺癌患者にブリグチニブ180mg注2)を1日1回経口投与したとき、定常状態におけるブリグチニブの見かけの経口クリアランス(CL/Fss)の幾何平均値(変動係数)は8.88L/h(47.1%)、t1/2zは23.9時間(29.9%)であった(外国人データ)6)。 健康成人6例に14Cブリグチニブ180mg注2)を単回経口投与したとき、投与336時間後までの放射能の尿中及び糞中排泄率はそれぞれ25.0及び64.8%であった。また、投与240時間後までの尿中及び糞便中には、それぞれ未変化体及びM36、並びに未変化体、M36及びM28(システイン抱合体)が検出された(投与放射能に対する割合は、それぞれ21.4及び1.54%、並びに26.5、25.3及び9.09%)(外国人データ)10)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

ブリグチニブ90mg注2)を単回経口投与したとき、腎機能が正常(eGFR≥90mL/min/1.73m2)な健康成人8例に対する重度(eGFR<30mL/min/1.73m2)の腎機能障害患者8例の非結合型ブリグチニブのCmax,u及びAUC∞,uの幾何平均値の比は、それぞれ1.14及び1.92であった(外国人データ)8)。

  1. 16.6.2 肝機能障害患者

ブリグチニブ90mg注2)を単回経口投与したとき、健康成人9例に対する重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者6例の非結合型ブリグチニブのCmax,u及びAUC∞,uの幾何平均値の比は、それぞれ1.65及び1.37であった(外国人データ)7)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 イトラコナゾール

健康成人20例にブリグチニブ1日1回90mg注2)とイトラコナゾール(強いCYP3A阻害剤)1回200mgを1日2回併用投与したとき、ブリグチニブ単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUC∞の幾何平均値の比は、それぞれ1.21及び2.01であった(外国人データ)11)。

  1. 16.7.2 リファンピシン

健康成人20例にブリグチニブ1日1回180mg注2)とリファンピシン(強いCYP3A誘導剤)1日1回600mgを併用投与したとき、ブリグチニブ単独投与時に対するリファンピシン併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUC∞の幾何平均値の比は、それぞれ0.40及び0.20であった(外国人データ)11)。

  1. 16.7.3 ベラパミル、ジルチアゼム、エファビレンツ(生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション)

ブリグチニブ90mg単独投与時に対するベラパミル又はジルチアゼム(中程度のCYP3A阻害剤)併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、ベラパミル併用下においてそれぞれ1.15及び1.38、ジルチアゼム併用下においてそれぞれ1.13及び1.43と推定された。 また、ブリグチニブ90mg単独投与時に対するエファビレンツ(中程度のCYP3A誘導剤)併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、それぞれ0.83及び0.53と推定された12)。

  1. 16.7.4 *その他

健康成人20例にブリグチニブ1日1回90mg注2)とゲムフィブロジル(強いCYP2C8阻害剤、国内未承認)1回600mgを1日2回併用投与したとき、ブリグチニブ単独投与時に対するゲムフィブロジル併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUC∞の幾何平均値の比は、それぞれ0.59及び0.88であった11)(外国人データ)。 ブリグチニブはP糖蛋白質(P-gp)、BCRP及びOATP1A2の基質となり、CYP3A4の誘導作用並びにP-gp、BCRP、OCT1、MATE1及びMATE2-Kの阻害作用を示した(in vitro)13)。 ALK融合遺伝子陽性又はROS1融合遺伝子陽性の固形癌患者15例にブリグチニブ1日1回180mg反復投与とミダゾラム(CYP3A基質)1回3mgを単回併用投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対するブリグチニブ併用投与時のミダゾラムのCmax及びAUC∞の幾何平均値の比は、それぞれ0.84及び0.74であった(外国人データ)。

注2)本剤の承認された用法及び用量は「通常、成人にはブリグチニブとして、1日1回90mgを7日間経口投与する。その後、1日1回180mgを経口投与する。」である。