【警告】

  1. 1.1 本剤を投与する場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2 外国で実施された臨床試験において、中等度及び重度の肝機能障害を有する患者に対して本剤を投与後に真菌感染症により死亡に至った例が報告されていることから、これらの患者への投与の可否を慎重に判断すること。,

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2 ブレオマイシン塩酸塩を投与中の患者

効能・効果

  • CD30陽性の下記疾患:

  • ホジキンリンパ腫

  • 末梢性T細胞リンパ腫

  • **再発又は難治性の皮膚T細胞リンパ腫

用法・用量

  • 〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫〉

ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジンとの併用において、通常、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として以下の用量を2週間に1回、最大12回点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。 ・成人には、1回1.2mg/kg(体重) ・小児には、1回48mg/m2(体表面積)

  • 〈未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫〉

シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩及びプレドニゾロンとの併用において、通常、成人には、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8 mg/kg(体重)を最大8回点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

  • 〈再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉

通常、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8mg/kg(体重)を点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

  • **〈再発又は難治性のCD30陽性の皮膚T細胞リンパ腫〉

通常、成人には、ブレンツキシマブ ベドチン(遺伝子組換え)として3週間に1回1.8mg/kg(体重)を点滴静注する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1 Infusion reactionがあらわれることがあるので、本剤の投与は重度のInfusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること。2回目以降の本剤投与時に初めて重度のInfusion reactionを発現することもあるので、本剤投与中はバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)、臨床検査値及び自他覚症状等、患者の状態を十分に観察すること。

  2. 8.2 骨髄抑制があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。また、好中球減少やリンパ球減少があらわれることがあるので、免疫不全の徴候について綿密な検査を行うこと。,,

  3. 8.3 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。

  4. 8.4 急性膵炎があらわれることがあるので、定期的に膵酵素を含む検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5 劇症肝炎、肝機能障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。

  • 〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉
  1. 8.6 本剤とドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジンとの併用投与、又は本剤とシクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)との併用投与において、高頻度に発熱性好中球減少症が認められたことから、成人に本剤とこれらの薬剤を併用投与する際には、最新のガイドライン等を参考に予防投与(一次予防)を含めたG-CSF製剤の使用を考慮すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 感染症を合併している患者

骨髄抑制等により、感染症が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.2 末梢神経障害のある患者

末梢神経障害が増悪するおそれがある。,,,

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 重度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス値<30mL/min)

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の構成成分であるモノメチルアウリスタチンE(MMAE)の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。 MMAEの血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。 外国臨床試験において、中等度及び重度(Child-Pugh分類 B及びC)の肝機能障害を有する患者に対して本剤を投与後に真菌感染症により死亡に至った例が報告されている。 ,

9.4 生殖能を有する者

パートナーが妊娠する可能性のある男性患者には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊法を用いるよう指導すること。動物試験(ラット)で精巣毒性が報告されている1)。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合は、本剤投与による胎児への危険性(流産又は胎児毒性)について患者に十分説明すること。動物試験(ラット)では、ヒト推奨用量(1.8mg/kgを3週に1回投与)と同程度の曝露量となる3mg/kgの投与で、胚・胎児毒性が認められた2)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行は不明である。

9.7 小児等

  • 〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫〉

  • 低出生体重児、新生児、乳児又は5歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

  • **〈未治療のCD30陽性の末梢性T細胞リンパ腫及び再発又は難治性のCD30陽性の皮膚T細胞リンパ腫〉

  • 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

  • 〈再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉

  • 低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
AL-P増加 頻度不明
LDH増加 頻度不明
アレルギー性皮膚炎 頻度不明
しゃっくり 頻度不明
じん麻疹 頻度不明
そう痒性皮疹 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ほてり 頻度不明
リンパ節症 頻度不明
上気道感染 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢 頻度不明
不眠症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低リン酸血症 頻度不明
低血圧 頻度不明
体重減少 5%以上
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
労作性呼吸困難 頻度不明
単純ヘルペス 頻度不明
口内炎 頻度不明
口腔カンジダ症 頻度不明
口腔ヘルペス 頻度不明
口腔内潰瘍形成 頻度不明
口腔内痛 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
吐血 頻度不明
味覚異常 5%以上
呼吸困難 5%以上
咳嗽 頻度不明
咽喉絞扼感 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
嗜眠 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
多汗症 頻度不明
好酸球増加症 頻度不明
寝汗 頻度不明
尿路感染 頻度不明
帯状疱疹 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心(42.2%) 頻度不明
斑状丘疹状皮疹 頻度不明
斑状皮疹 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
毛包炎 頻度不明
気道感染 頻度不明
注入部位疼痛 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 5%以上
湿性咳嗽 頻度不明
潮紅 頻度不明
無力症 5%以上
爪変色 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
眼充血 頻度不明
知覚過敏 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 5%以上
筋骨格痛 頻度不明
粘膜の炎症 頻度不明
紅斑 頻度不明
紅斑性皮疹 頻度不明
結膜炎 頻度不明
肺塞栓症 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
背部痛 頻度不明
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
腫瘍フレア 頻度不明
腹痛 5%以上
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
舌潰瘍 頻度不明
記憶障害 頻度不明
関節痛 5%以上
静脈炎 頻度不明
非心臓性胸痛 頻度不明
頭痛 5%以上
頸部痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
顎痛 頻度不明
食欲減退 頻度不明
骨痛 頻度不明
高血糖 頻度不明
鼓腸 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻炎 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ブレンツキシマブ ベドチンは、細胞障害活性を有するMMAEと抗CD30 IgG1型キメラ抗体をプロテアーゼで切断されるリンカーを介して結合させた抗体薬物複合体(ADC)である。本剤の腫瘍増殖抑制作用は、まずCD30発現細胞にADCが結合し、ADC-CD30複合体として細胞内に取り込まれた後、蛋白質分解反応によってMMAEが遊離することによって発現する。遊離したMMAEがチューブリンに結合することにより、微小管形成が阻害され、細胞周期の停止とアポトーシスが誘導される19)。

18.2 抗腫瘍作用

  1. 18.2.1 In vitro試験

本剤は、CD30陽性ホジキンリンパ腫由来L540cy細胞株及びCD30陽性未分化大細胞リンパ腫由来Karpas 299細胞株の増殖を阻害した20)。

  1. 18.2.2 In vivo試験

本剤は、CD30陽性ホジキンリンパ腫由来L428細胞株及びL540cy細胞株、又はKarpas 299細胞株を皮下移植した異種移植マウスにおいて腫瘍増殖を抑制し、また、Karpas 299細胞株を静脈内に注入したマウスにおいて生存期間を延長した21)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  • 〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫〉
  1. 16.1.1 日本人患者に4週間を1サイクルとした1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジン投与との併用下で本剤1.2mg/kgを点滴静注したときの本剤の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。サイクル1の1日目(C1D1)に対するサイクル3の1日目(C3D1)投与時のAUC0-τの幾何平均比は1.01であり、本剤の顕著な蓄積性は示唆されなかった7)。
投与量 投与時期 Cmax (μg/mL) AUC0-τ (day・μg/mL) t1/2 (day)
1.2 mg/kg C1D1 (n=4) 30.6 (18.7) 48.0 (24.9) 3.75 (18.3)
C3D1 (n=3) 21.7 (24.0) 53.5 (24.2) 4.54 (10.7)
幾何平均(%変動係数)
  • 〈再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉
  1. 16.1.2 日本人患者に3週間に1回本剤1.2mg/kg又は1.8mg/kg注)を点滴静注したときの本剤の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。1回目に対する2回目投与時のAUC0-τ及びCmaxの幾何平均比はそれぞれ1.07〜1.12及び0.94〜1.08であり、本剤の顕著な蓄積性は示唆されなかった8)。
投与量注) 投与回数 Cmax(μg/mL) AUC0-τ(day・μg/mL) t1/2(day)
1.2mg/kg (n=3) 1 18.89(34) 40.17(29) 4.94(41)
2 20.31(40) 44.94(47) 5.06(65)
1.8mg/kg (n=3) 1 31.47(9.6) 66.76(1.5) 7.42(49)
2 29.60(13) 71.42(13) 7.29(13)
幾何平均(%変動係数) 注)本剤の再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫患者に対する承認用量は1.8mg/kgを3週間に1回投与である。

16.3 分布

本剤の定常状態における分布容積は6〜10Lであった6)。MMAEのヒト血漿蛋白に対するin vitro結合率は68〜82%であった。また、in vitro試験により、MMAEはP-糖蛋白の基質であることが示された9)。

16.4 代謝

in vitro試験により、MMAEは主にCYP3A4で代謝されることが示された9)。

16.5 排泄

造血器腫瘍患者に本剤1.8mg/kgを点滴静注したとき、投与後1週間までに投与量の約24%がMMAEとして尿糞中に排泄された6)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

軽度から重度の腎機能障害を有する造血器腫瘍患者に本剤1.2mg/kgを投与したとき、重度の腎機能障害患者におけるMMAEのAUC0-∞及びCmaxは腎機能正常患者より約1.9及び2.1倍高値であった6)(外国人データ)。

パラメータ 腎機能障害 総計(n=10)
軽度(n=4) 中等度(n=3) 重度(n=3)
AUC0-∞ 0.85 1.09 1.90 1.16
Cmax 0.78 0.92 2.07 1.10
腎機能正常患者のパラメータ値に対する幾何平均比 腎機能障害(クレアチニンクリアランス値):軽度(>50〜80mL/min)、中等度(30〜50mL/min)、重度(<30mL/min)
  1. 16.6.2 肝機能障害患者

軽度から重度の肝機能障害を有する造血器腫瘍患者に本剤1.2mg/kgを投与したとき、肝機能障害患者におけるMMAEのAUC0-∞及びCmaxは肝機能正常患者より約2.3及び1.7倍高値であった6)(外国人データ)。,

パラメータ 肝機能障害 総計(n=7)
軽度(n=1) 中等度(n=5) 重度(n=1)
AUC0-∞ 3.51 2.21 1.77 2.29
Cmax 2.79 1.63 1.21 1.68
肝機能正常患者のパラメータ値に対する幾何平均比 肝機能障害(Child-Pugh分類):軽度(A)、中等度(B)、重度(C)
  1. 16.6.3 小児等
  • 〈未治療のCD30陽性のホジキンリンパ腫〉
  1. (1) 5歳以上18歳未満の小児患者(日本人患者2例を含む)に4週間を1サイクルとした1及び15日目に、ドキソルビシン塩酸塩、ビンブラスチン硫酸塩及びダカルバジン投与との併用下で本剤48mg/m2を点滴静注したときの本剤の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。サイクル1の1日目(C1D1)に対するサイクル3の1日目(C3D1)投与時のAUC0-τの幾何平均比は1.3であり、本剤の顕著な蓄積性は示唆されなかった。C1D1における半減期は3.78日であった10)。
投与量 投与時期 Cmax (μg/mL) AUC0-τ (day・μg/mL)
48mg/m2 C1D1 22.5(22.6) (n=57) 46.7(33.5) (n=57)
C3D1 26.4(21.3) (n=55) 61.1(29.2) (n=54)
幾何平均(%変動係数)
  • 〈再発又は難治性のCD30陽性のホジキンリンパ腫及び末梢性T細胞リンパ腫〉
  1. (2) 2歳以上18歳未満の日本人小児患者に3週間に1回本剤1.8mg/kgを点滴静注したときの本剤の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。1回目に対する2回目投与時のAUC0-τ及びCmaxの幾何平均比はそれぞれ0.9569及び1.082であり、本剤の顕著な蓄積性は示唆されなかった11)。
投与量 投与回数 Cmax(μg/mL) AUC0-τ(day・μg/mL) t1/2(day)
1.8mg/kg (n=6) 1 28.77(25.88) 71.22(29.48) 4.541(37.65)
2 29.76(9.049) 62.10(46.52) 5.101(56.78)
幾何平均(%変動係数)