【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 他のMAO阻害薬(セレギリン塩酸塩及びサフィナミドメシル酸塩)を投与中の患者

  2. 2.2 ペチジン塩酸塩含有製剤、トラマドール塩酸塩又はタペンタドール塩酸塩を投与中の患者

  3. 2.3 *三環系抗うつ薬(アミトリプチリン塩酸塩、アモキサピン、イミプラミン塩酸塩、クロミプラミン塩酸塩、ドスレピン塩酸塩、トリミプラミンマレイン酸塩、ノルトリプチリン塩酸塩及びロフェプラミン塩酸塩)、四環系抗うつ薬(マプロチリン塩酸塩、ミアンセリン塩酸塩及びセチプチリンマレイン酸塩)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(フルボキサミンマレイン酸塩、パロキセチン塩酸塩水和物、セルトラリン塩酸塩及びエスシタロプラムシュウ酸塩)、セロトニン再取り込み阻害・セロトニン受容体調節薬(ボルチオキセチン臭化水素酸塩)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩及びベンラファキシン塩酸塩)、選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(アトモキセチン塩酸塩)、リスデキサンフェタミンメシル酸塩、メチルフェニデート塩酸塩、メタンフェタミン塩酸塩、マジンドール、ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬(ミルタザピン)、塩酸テトラヒドロゾリン・プレドニゾロン、ナファゾリン硝酸塩、トラマゾリン塩酸塩又はアプラクロニジン塩酸塩を投与中の患者

  4. 2.4 中等度以上の肝機能障害(Child-Pugh分類B又はC)のある患者,

  5. 2.5 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

パーキンソン病

用法・用量

通常、成人にはラサギリンとして1mgを1日1回経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1 起立性低血圧又は低血圧があらわれることがあるため、めまい、立ちくらみ、ふらつき、失神等の起立性低血圧の徴候又は症状が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

  2. 8.2 日中の傾眠、前兆のない突発的睡眠又は睡眠発作があらわれることがあるため、本剤投与中の患者には自動車の運転、機械の操作、高所での作業等、危険を伴う作業には従事させないように注意すること。

  3. 8.3 病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 低体重の患者

患者の状態を観察し、低用量での投与も考慮すること。本剤の血中濃度が上昇する可能性があり、副作用の発現が多く認められている。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 中等度以上の肝機能障害(Child-Pugh分類B又はC)のある患者

投与しないこと。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。,

  1. 9.3.2 軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類A)のある患者

低用量での投与も考慮すること。本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(ウサギ)において、本剤とレボドパ/カルビドパを併用投与した場合、本剤の最大臨床用量(ラサギリンとして1mg/日)における曝露量(AUC)の約8倍を超える曝露量で、着床後胚死亡率の増加が認められた。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行は不明である。また、動物試験(ラット)でプロラクチン分泌の阻害が認められた。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察し、低用量での投与も考慮すること。副作用の発現が多く認められており、また、一般に生理機能が低下している。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
アレルギー 頻度不明
インフルエンザ 頻度不明
うつ病 頻度不明
ジスキネジア 5%以上
ジストニア 頻度不明
めまい 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
尿意切迫 頻度不明
平衡障害 頻度不明
心筋梗塞 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
悪性黒色腫 頻度不明
手根管症候群 頻度不明
水疱性皮疹 頻度不明
狭心症 頻度不明
異常な夢 頻度不明
発熱 頻度不明
白血球減少症 頻度不明
皮疹 頻度不明
皮膚癌 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
結膜炎 頻度不明
脳卒中 頻度不明
腹痛 頻度不明
転倒 頻度不明
錯乱 頻度不明
関節炎 頻度不明
関節痛 頻度不明
頚部痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲減退 頻度不明
高血圧 頻度不明
鼓腸 頻度不明
鼻炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ラサギリンは非可逆的かつ選択的なMAO-B阻害作用を示し17)、線条体における細胞外ドパミン濃度を増加させる18)。ドパミン濃度の上昇により、ドパミン作動性運動機能障害を改善する19),20)。

18.2 MAO-B阻害作用

ラサギリンのヒト及びラットにおけるin vitro脳内MAO-B阻害のIC50値は2.5〜20nmol/Lである。MAO-A阻害における同値と比べると0.01〜0.05であることから、MAO-Bに対する高い選択性を有する。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

健康成人にラサギリンとして1mg及び0.5mg(各8例)を単回投与した時のラサギリンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおりであった1)。

血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)

投与量 Cmax (pg/mL) Tmax (h) AUC∞ (h・pg/mL) T1/2 (h)
1mg 7431(3122) 0.500 4743(1651) 1.830(0.486)
0.5mg 3196(956) 0.330 1999(395) 1.260(0.376)
平均値(標準偏差)、ただしTmaxは中央値
  1. 16.1.2 反復投与

健康成人にラサギリンとして1mg及び0.5mg(各8例)を1日1回10日間反復投与した時のラサギリンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおりであった1)。

血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)

投与量 Cmax (pg/mL) Tmax (h) AUCτ (h・pg/mL) T1/2 (h)
1mg 9846(4400) 0.500 11867(5062) 5.850(2.265)
0.5mg 3950(1167) 0.420 4105(1872) 3.710(2.161)
平均値(標準偏差)、ただしTmaxは中央値

16.2 吸収

  1. 16.2.1 バイオアベイラビリティ

ラサギリンとして2mg注)を単回経口投与した時の絶対的バイオアベイラビリティは約35%であった2)。

  1. 16.2.2 食事の影響

健康成人(18例)にラサギリンとして2mg注)を単回経口投与した時のバイオアベイラビリティに及ぼす食事の影響を検討した。空腹時投与と比較して、ラサギリンのCmaxの平均値は食後投与で約60%の低下が認められ、AUClast及びAUC∞の平均値は食後投与でそれぞれ約23%及び約22%の低下が認められた3)(外国人データ)。

16.3 分布

14C-ラサギリン塩酸塩をin vitroでヒト血漿に添加し、限外ろ過法により蛋白結合率を評価した。14C-ラサギリンのヒト血漿蛋白結合率は0.83、8.26及び82.6ng/mLの濃度において、男性で90.4〜93.7%、女性で88.6〜92.8%であった4)。 健康成人(14例)にラサギリンとして2mg注)を単回静脈内投与した時のラサギリンの定常状態における分布容積は86.7±39.0L(平均値±標準偏差)であった2)(外国人データ)。

16.4 代謝

ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験において、ラサギリンの代謝に主に関与するCYP分子種はCYP1A2であることが示唆された4)。 ラサギリンの主な消失経路は酸化的代謝又は抱合であると考えられる4)。

16.5 排泄

健康成人(2例)に14C-ラサギリン2mg注)を単回投与した時、38日間の採取期間を通じて、尿中に投与放射能の62.6%、糞便中に投与放射能の21.8%が排泄された。また、尿中に未変化体はほとんど認められなかった5)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 低体重の患者

パーキンソン病患者(352例)にラサギリンとして1、2mg注)及びプラセボを1日1回52週間(プラセボ投与群においては27週目は1mg、28週目から2mg)投与した時の母集団薬物動態解析の結果、ラサギリンの定常状態におけるCL/Fの低下は体重低下と関連した。解析対象集団の中で最も体重が軽かった42.3kgの患者で予測される定常状態におけるCL/Fは70kgの患者よりも約30%低いと推定された6)(外国人データ)。

  1. 16.6.2 高齢者

パーキンソン病患者(352例)にラサギリンとして1、2mg注)及びプラセボを1日1回52週間(プラセボ投与群においては27週目は1mg、28週目から2mg)投与した時の母集団薬物動態解析の結果、ラサギリンの定常状態におけるCL/Fの低下は年齢増加と関連した。79歳の患者で予測される定常状態におけるCL/Fは60歳の患者よりも約11%低く、32歳の患者よりも約30%低いと推定された6)(外国人データ)。

  1. 16.6.3 腎機能障害患者

中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス:30〜49mL/min)(12例)にラサギリンとして1mgを1日1回8日間反復投与した時、ラサギリンのAUCτ及びCmaxは健康成人と比較しそれぞれ92.6%及び79.0%であった7)(外国人データ)。

  1. 16.6.4 肝機能障害患者

軽度肝機能障害患者(Child-Pugh分類A)(8例)にラサギリンとして1mgを投与した時、ラサギリンのAUClast及びCmaxは健康成人と比較し、単回投与時でそれぞれ134.7%及び115.0%、1日1回7日間反復投与時でそれぞれ180.2%及び138.1%であった。中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)(8例)にラサギリンとして1mgを投与した時、ラサギリンのAUClast及びCmaxは健康成人と比較し、単回投与時でそれぞれ217.8%及び196.1%、1日1回7日間反復投与時でそれぞれ668.2%及び183.2%であった8)(外国人データ)。,,

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 レボドパ/カルビドパ

パーキンソン病患者(21例)にレボドパ/カルビドパ併用投与下でラサギリンとして1mgを1日1回反復投与した時、ラサギリンとして1mgを単独投与した時と比較して、ラサギリンの定常状態におけるCmax及びAUCτはそれぞれ107.8%及び106.2%であった9)(外国人データ)。

  1. 16.7.2 シプロフロキサシン

健康成人(13例)を対象にシプロフロキサシン500mg(CYP1A2阻害薬)がラサギリンとして2mg注)を1日1回反復投与した時の薬物動態に及ぼす影響を評価した。シプロフロキサシンと併用投与した時、ラサギリン単独投与時と比較して、定常状態時のラサギリンのAUCτ及びCmaxはそれぞれ197.5%及び98.2%であった10)(外国人データ)。

  1. 16.7.3 テオフィリン

健康成人(18例)を対象にテオフィリン(1回250〜500mgを1日2回反復投与、CYP1A2基質)とラサギリン(1mgを1日1回反復投与)を併用投与した時の薬物相互作用を評価した。テオフィリンの薬物動態はラサギリンによる影響を受けなかった。同様にラサギリンの薬物動態はテオフィリンによる影響を受けなかった11)(外国人データ)。

  1. 16.7.4 チラミン

健康成人にセレギリン5mgを1日2回14日間投与した時(15例)と、ラサギリンとして1、2、4、6mg注)を1日1回14日間(2mgのみ1日1回14日間又は30日間)投与した時(各15、27、17、12例)のチラミン(12.5〜800mg)感受性を比較した。ラサギリンとして1mgを投与した時とセレギリン5mgを1日2回投与した時とでチラミンに対する感受性は同様であった。また、ラサギリンとして2mgを1日1回30日間投与した時のチラミンに対する感受性はラサギリンとして2mgを1日1回14日間投与した時と比較して低く、ラサギリンのチラミン感受性に対する影響は投与2週間以内に定常状態に達することが示唆された。本剤群のチラミンに対する感受性は、用量に応じて増加する傾向がみられた12)(外国人データ)。

16.8 その他

  1. 16.8.1 喫煙の影響

パーキンソン病患者(352例)に本剤1、2mg注)又はプラセボ錠を1日1回52週間(プラセボ投与群においては27週目は1mg、28週目から2mg)投与した母集団薬物動態解析の結果、喫煙者におけるラサギリンの定常状態におけるCL/Fは非喫煙者及び元喫煙者と比較して39.1%高いと推定された6)(外国人データ)。

注)本剤の国内承認用量は1日1回1mgである。