【警告】

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫

  • がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌

  • がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺癌

  • BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化癌

用法・用量

  • BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫、がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺癌、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化癌〉

エンコラフェニブとの併用において、通常、成人にはビニメチニブとして1回45mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

  • 〈がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉

  • エンコラフェニブ及びセツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはビニメチニブとして1回45mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1 重篤な眼障害が報告されているので、定期的に眼の異常の有無を確認すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

  2. 8.2 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を確認すること。

  3. 8.3 心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を確認すること。,

  4. 8.4 横紋筋融解症があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的にCK、クレアチニン等の検査を行い、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等に十分注意すること。

  5. 8.5 高血圧クリーゼがあらわれることがあるので、血圧の推移等に十分注意して投与すること。

  6. 8.6 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 心疾患又はその既往歴のある患者

症状が悪化するおそれがある。,

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 中等度以上の肝機能障害のある患者

本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた動物試験において臨床曝露量の10倍に相当する用量から胎児体重の低値及び骨化遅延、ウサギを用いた動物試験において臨床曝露量の1.4倍に相当する用量から流産、着床後胚損失率の増加、生存胎児数の減少及び胎児体重の低値、1.9倍に相当する用量で催奇形性(心室中隔欠損及び血管異常)が認められた。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。乳汁移行に関するデータはないが、本剤はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
アクロコルドン 頻度不明
アミラーゼ増加 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
カンジダ感染 頻度不明
ざ瘡様皮膚炎(27.3%) 5%以上
そう痒症 5%以上
ヘルペス感染 頻度不明
ほてり 頻度不明
メラノサイト性母斑 頻度不明
リパーゼ増加 頻度不明
リンパ球減少 頻度不明
下痢(39.9%) 5%以上
不安 頻度不明
不眠症 頻度不明
丘疹等)(27.1%) 5%以上
乳頭腫 頻度不明
乾燥症 頻度不明
低アルブミン血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低血圧 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 5%以上
倦怠感 頻度不明
傾眠 頻度不明
僧帽弁閉鎖不全症 頻度不明
光線過敏性反応 頻度不明
全身健康状態低下 頻度不明
冷感 頻度不明
動悸 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 5%以上
味覚異常 5%以上
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
嗜眠 頻度不明
嘔吐(21.1%) 5%以上
四肢不快感 頻度不明
四肢痛 頻度不明
回転性めまい 頻度不明
変視症 頻度不明
多汗症 頻度不明
大腸炎 頻度不明
失神 頻度不明
好中球減少 頻度不明
寝汗 頻度不明
尋常性白斑 頻度不明
急性腎障害 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心(33.9%) 5%以上
成長痛 頻度不明
扁平上皮癌 頻度不明
掌蹠角皮症 頻度不明
期外収縮 頻度不明
末梢性ニューロパチー 頻度不明
末梢腫脹 頻度不明
毛包炎 頻度不明
毛質異常 頻度不明
毛髪障害 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫(末梢性浮腫等) 頻度不明
消化不良 頻度不明
無力症 5%以上
爪真菌症 頻度不明
異常感覚 頻度不明
疲労(26.1%) 5%以上
発熱 5%以上
発疹(湿疹 5%以上
皮膚乾燥 5%以上
皮膚剥脱 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
皮膚腫瘤 頻度不明
皮膚色素減少 頻度不明
皮膚色素過剰 頻度不明
眼の障害 頻度不明
眼乾燥 頻度不明
眼刺激 頻度不明
眼瞼炎 頻度不明
睡眠障害 頻度不明
硝子体浮遊物 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋痙縮 5%以上
筋肉痛 5%以上
筋骨格痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
結膜炎 頻度不明
羞明 頻度不明
耳鳴 頻度不明
胃腸炎 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸水 頻度不明
脂漏性角化症 頻度不明
脂肪織炎 頻度不明
脱毛症 5%以上
腹痛 5%以上
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
膵炎 頻度不明
色視症 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血中CK増加 5%以上
血中クレアチニン増加 5%以上
血中リン減少 頻度不明
視力障害 頻度不明
視野欠損 頻度不明
貧血 5%以上
過敏症 頻度不明
過角化 5%以上
錯感覚 頻度不明
関節炎 頻度不明
関節痛 5%以上
霧視 5%以上
頚部痛 頻度不明
頭痛 5%以上
頻尿 頻度不明
顔面麻痺 頻度不明
食欲減退 5%以上
高カリウム血症 頻度不明
高コレステロール血症 頻度不明
高トリグリセリド血症 頻度不明
高尿酸血症 頻度不明
鼓腸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ビニメチニブは、ヒトMEK1及びMEK2の活性化及びキナーゼ活性を阻害した17)。また、ビニメチニブは、BRAF V600E変異を有するヒト悪性黒色腫由来細胞株(A375、COLO 800等)において、MAPK経路のシグナル伝達分子(ERK)のリン酸化を阻害した18)。

18.2 抗腫瘍効果

  1. 18.2.1 In vitro

ビニメチニブは、BRAF V600E変異を有するヒト悪性黒色腫由来細胞株(A375、COLO 800等)、BRAF V600D変異を有するヒト悪性黒色腫由来WM-115細胞株、BRAF V600K変異を有するヒト悪性黒色腫由来IGR-1細胞株及びBRAF V600E変異を有するヒト結腸・直腸癌由来細胞株(COLO 205、HT-29等)の増殖を抑制した19),20)。また、ビニメチニブとBRAF阻害剤であるエンコラフェニブとの併用により、各薬剤単独と比較して、BRAF V600E変異を有するヒト悪性黒色腫由来細胞株(A375、COLO 800等)、BRAF V600K変異を有するヒト悪性黒色腫由来IGR-1細胞株、BRAF V600E変異を有するヒト結腸・直腸癌由来細胞株(COLO 205、HT-29等)に対する増殖抑制作用が増強した21),22)。

  1. 18.2.2 In vivo

ビニメチニブは、A375細胞株及びCOLO 205細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した23),24)。また、ビニメチニブとエンコラフェニブとの併用により、各薬剤単独と比較してBRAF V600E変異を有するヒト悪性黒色腫患者由来HMEX1906腫瘍組織片を皮下移植したヌードマウスにおける腫瘍増殖抑制作用が増強した25)。さらに、ビニメチニブ、エンコラフェニブ及びセツキシマブの併用により、エンコラフェニブ又はセツキシマブ単独と比較して、HT-29細胞株を皮下移植したヌードマウスにおける腫瘍増殖抑制作用が増強した26)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 反復投与

日本人の固形がん患者にビニメチニブ45mgを1日1回又は1日2回反復投与した※1ときのビニメチニブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータを以下に示す。ビニメチニブの血漿中濃度は14日以内に定常状態に達し、累積係数は1.80倍であった1)。

試験日(日) Cmax (ng/mL) Tmax (hr) AUC0-12h (ng・hr/mL) AUC0-∞ (ng・hr/mL) T1/2 (hr)
1 (n=9) 559 ±145 1.5 (0.5, 4) 2030 ±475 2650 ±698 8.24 ±3.78
15 (n=9) 805 ±274 1.5 (0.5, 2) 3670 ±1100 3380 ±370※2 4.11 ±1.13
平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(最小値、最大値) ※1:1日目は1回投与し、2日目以降15日目まで1日2回投与した。 ※2:n = 5

16.2 吸収

  1. 16.2.1 食事の影響

健康成人(12例)にビニメチニブ45mgを空腹又は食後(高脂肪食)に単回投与注)したとき、空腹時と比較して、食後投与時のビニメチニブのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ0.828及び0.993倍であった2)(外国人データ)。

16.3 分布

ビニメチニブのヒト血漿中蛋白結合率は97.2%、ヒト血液/血漿中濃度比は0.718であった3)(in vitro)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1 In vitro

ビニメチニブの主な代謝経路はUGT1A1によるグルクロン酸抱合であり、CYP1A2及びCYP2C19によるN-脱メチル化も一部関与する4),5)。

  1. 16.4.2 In vivo

健康成人(6例)に14C-ビニメチニブ45mgを単回投与注)したとき、投与後24時間までの血漿中において、主に未変化体、M10.2(グルクロン酸抱合体)及びM3(N-脱メチル化体)が検出された(血漿中の総放射能に対する割合はそれぞれ60.2、5.5及び7.3%)6)(外国人データ)。

16.5 排泄

健康成人(6例)に14C-ビニメチニブ45mgを単回投与注)したとき、投与後360時間までに投与放射能量の62.3%が糞中に、31.4%が尿中に排泄された。尿中には投与後360時間までに投与放射能量の6.5%が未変化体として排泄された6)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 肝機能障害患者

肝機能障害患者※3(軽度:6例、中等度:6例、重度:5例)又は肝機能正常者(10例)にビニメチニブ45mg(重度肝機能障害患者は15mg)を単回投与注)したとき、軽度、中等度及び重度肝機能障害患者の血漿中非結合形ビニメチニブの投与量で補正したAUC0-120hは、肝機能正常者のそれぞれ1.22、3.80及び3.48倍であった。また、軽度、中等度及び重度肝機能障害患者の血漿中非結合形ビニメチニブの投与量で補正したCmaxは、肝機能正常者のそれぞれ1.28、2.63及び2.68倍であった7)(外国人データ)。 ※3:NCI-ODWG(National Cancer Institute - Organ Dysfunction Working Group)基準による分類(2011年8月時点)

  1. 16.6.2 腎機能障害患者

ビニメチニブの消失に腎排泄の寄与は小さい。重度腎機能障害患者(eGFR≦29mL/min/1.73m2、6例)又は腎機能正常者(6例)にビニメチニブ45mgを単回投与注)したとき、重度腎機能障害患者の血漿中非結合形ビニメチニブのCmax及びAUC0-∞は、腎機能正常者のそれぞれ1.43及び1.53倍であった8)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 その他

  2. (1) ラべプラゾールとの併用 健康成人(15例)にビニメチニブ45mgをラべプラゾール20mgと併用投与注)したとき、ビニメチニブ単独投与時と比較して、ビニメチニブのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ82.6及び104.2%であり、ラベプラゾール併用による胃内pH上昇はビニメチニブの薬物動態に影響を及ぼさなかった9)(外国人データ)。

  3. (2) ミダゾラムとの併用 健康成人(11例)にビニメチニブ30mgを1日2回2週間反復投与注)した後にミダゾラム4mgを併用投与したとき、ミダゾラム単独投与時と比較して、ビニメチニブ2週間投与後のミダゾラムのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ0.925及び1.10倍であり、ビニメチニブの明確なCYP3A4誘導作用は認められなかった10)(外国人データ)。

  4. (3) In vitro ビニメチニブはCYP2B6を可逆的に阻害し、Ki値は1.73μmol/Lであった11)。ビニメチニブはP-gp及びBCRPの基質である12),13)。

  5. (4) In vivo ビニメチニブは主にUGT1A1により代謝される。ビニメチニブの薬物動態は、UGT1A1阻害作用を有するエンコラフェニブとの併用による大きな影響を受けなかった。なお、UGT1A1を介した臨床薬物相互作用試験は実施していない。

注)本剤の承認された用法及び用量は、以下の通りである。

BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫、がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺癌、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な甲状腺未分化癌〉 エンコラフェニブとの併用において、通常、成人にはビニメチニブとして1回45mgを1日2回経口投与する。

〈がん化学療法後に増悪したBRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉 エンコラフェニブ及びセツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはビニメチニブとして1回45mgを1日2回経口投与する。