【警告】

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される患者についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫

  • 原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫

用法・用量

通常、成人にはチラブルチニブとして1日1回480mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1 出血があらわれることがあり、外科的処置に伴って大量出血が生じる可能性があることから、本剤投与中に手術や侵襲的手技を実施する患者に対しては本剤の投与中断を考慮すること。

  2. 8.2 感染症(日和見感染症を含む)の発現若しくは悪化、又はB型肝炎ウイルス、帯状疱疹等の再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス等の感染の有無を確認すること。本剤投与前に適切な処置を行い、本剤投与中は感染症の発現又は悪化に十分注意すること。,,

  3. 8.3 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与に際しては定期的に血液検査を行うこと。,

  4. 8.4 間質性肺疾患があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認、胸部X線検査の実施等、観察を十分に行うこと。

  5. 8.5 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与に際しては定期的に肝機能検査を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 感染症を合併している患者

骨髄抑制等により、感染症が悪化するおそれがある。,

  1. 9.1.2 骨髄機能低下のある患者

血球減少を悪化させるおそれがある。,

  1. 9.1.3 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)

本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがある。,

9.3 肝機能障害患者

本剤は、主として肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇するおそれがある。なお、肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた動物試験において臨床曝露量の10倍に相当する用量で分娩障害及びそれに伴う母動物の死亡が認められた。また、臨床曝露量の13倍に相当する用量で胎児死亡率の高値及び催奇形性(胸骨及び肋軟骨の異常)、5.9倍に相当する用量で出生児の生存率の低値が認められ、16倍に相当する用量で出生児の約半数が死亡した。ウサギを用いた動物試験において臨床曝露量の7.8倍に相当する用量で胎児死亡率の高値が認められた。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ラットを用いた動物試験で本剤の乳汁への移行が確認されており、雌ラットに着床から離乳までの期間本剤を経口投与した試験において、臨床曝露量の5.9倍に相当する用量で出生児の体重増加抑制が認められた。乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。,

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
CRP増加 頻度不明
HDL減少 頻度不明
INR増加 頻度不明
アミラーゼ増加 頻度不明
インフルエンザ 頻度不明
カンジダ症 頻度不明
しゃっくり 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ヘルペス 頻度不明
マロリー・ワイス症候群 頻度不明
リパーゼ増加 頻度不明
リンパ球増加 頻度不明
リンパ球浸潤 頻度不明
下痢 頻度不明
下肢静止不能症候群 頻度不明
不眠症 頻度不明
乾癬 頻度不明
伸展性足底反応 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低リン酸血症 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 5%以上
倦怠感 頻度不明
健忘 頻度不明
光線過敏症 頻度不明
免疫性血小板減少症 頻度不明
全身性皮疹 頻度不明
前立腺炎 頻度不明
剥脱等) 頻度不明
副鼻腔炎 頻度不明
十二指腸炎 頻度不明
反射消失 頻度不明
口内炎 5%以上
口渇 頻度不明
口腔内出血 頻度不明
口腔内潰瘍 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
喉頭炎 頻度不明
嗜眠 頻度不明
嘔吐 頻度不明
回転性めまい 頻度不明
失神 頻度不明
尿路感染 頻度不明
帯状疱疹 頻度不明
平衡障害 頻度不明
心窩部不快感 頻度不明
心電図2相性T波 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 5%以上
感覚消失 頻度不明
挫傷 頻度不明
振戦 頻度不明
敗血症 頻度不明
頻度不明
斑状丘疹状皮疹 5%以上
末梢性ニューロパチー 頻度不明
毛包炎 頻度不明
毛髪変色 頻度不明
気管支反応性亢進 頻度不明
気管支炎 頻度不明
気道の炎症 頻度不明
気道感染 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫(末梢性等) 頻度不明
点状出血 頻度不明
無力症 頻度不明
異常感覚 頻度不明
疲労 頻度不明
痙攣発作 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹(36.4%) 5%以上
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
皮膚色素過剰 頻度不明
皮膚障害(変色 頻度不明
真菌感染 頻度不明
眼のそう痒 頻度不明
眼充血 頻度不明
眼出血 頻度不明
眼刺激 頻度不明
眼脂 頻度不明
知覚過敏 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
紅斑性皮疹 頻度不明
紫斑 頻度不明
結膜出血 頻度不明
結膜炎 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
胸痛 頻度不明
脂質異常症 頻度不明
腱痛 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
腹部膿瘍 頻度不明
膀胱炎 頻度不明
舌苔 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
薬疹 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
血尿 頻度不明
血腫 頻度不明
譫妄 頻度不明
起立性低血圧 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節炎 頻度不明
関節痛 頻度不明
関節硬直 頻度不明
非定型マイコバクテリア感染 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔面浮腫 頻度不明
顔面腫脹 頻度不明
食欲減退 頻度不明
骨折 頻度不明
骨髄浮腫 頻度不明
高カリウム血症 5%以上
高トリグリセリド血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

チラブルチニブは、B細胞に発現するB細胞受容体の下流シグナル伝達分子であるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)と結合し、BTKのキナーゼ活性を阻害することにより、B細胞性腫瘍の増殖を抑制すると考えられている11)。

18.2 抗腫瘍効果

  1. 18.2.1 In vitro

チラブルチニブは、ヒトびまん性大細胞型B細胞リンパ腫由来TMD8細胞株等の増殖を抑制した11)。

  1. 18.2.2 In vivo

チラブルチニブは、TMD8細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した12)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回及び反復投与

日本人の再発又は難治性の中枢神経系原発リンパ腫患者に本剤480mgを1日1回反復空腹時経口投与したときのチラブルチニブの薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を以下に示した3)。

投与日 Cmax (ng/mL) Tmax (hr) AUC24hr (ng·hr/mL) T1/2 (hr)
1 (n=6) 1760 (929) 2.49 (1.93-6.20) 9830 (2650) 5.21 (1.49)
28 (n=5) 2690 (1120) 2.87 (2.05-3.98) 13400※ (3910) 3.55 (0.841)
平均値(標準偏差)、Tmaxは中央値(最小値-最大値) ※:投与28日目のAUC24hrのうちAUC12-24hrは予測値を用いた。

16.2 吸収

  1. 16.2.1 食事の影響

日本人の健康成人12例に本剤320mgを食後(標準食)及び空腹時単回経口投与注)したときのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(食後/空腹)は、1.74及び1.29であった4)。

16.3 分布

チラブルチニブのヒト血清中蛋白結合率は92%、ヒト血液/血漿中濃度比は0.71~0.83であった(in vitro)5)。

16.4 代謝

チラブルチニブの主代謝酵素はCYP3A4であった(in vitro)5)。健康成人8例に14C-チラブルチニブ75mgを空腹時に単回経口投与注)したとき、投与24時間後までの血漿中には主にM33(水酸化体の硫酸抱合体)、M12(水酸化体のグルクロン酸抱合体)及び未変化体が検出された(血漿中総放射能に対する割合はそれぞれ33.1、28.6及び17.3%)6)。

16.5 排泄

健康成人8例に14C-チラブルチニブ75mgを空腹時に単回経口投与注)したとき、投与360時間後までに投与放射能量の52.2%が糞中に、42.1%が尿中に排泄された。投与96時間後までの尿中に未変化体は確認されなかった(外国人データ)6)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 イトラコナゾール

日本人の健康成人12例にイトラコナゾール(CYP3A阻害剤)200mgとチラブルチニブ20mgを食後に併用投与注)、及びチラブルチニブを食後に単独投与したときのチラブルチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用/非併用)は、1.24及び1.49であった4)。

  1. 16.7.2 リファンピシン

健康成人15例に有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1/1B3の阻害剤として単回投与時のリファンピシン600mgとチラブルチニブ100mgを空腹時に併用投与注)、及びチラブルチニブを空腹時に単独投与したときのチラブルチニブのCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比(単回併用/非併用)は、1.30及び1.11であった。また、CYP3A誘導剤としてリファンピシン600mgを反復投与後にチラブルチニブ100mgを空腹時に併用投与注)、及びチラブルチニブを空腹時に単独投与したときのチラブルチニブのCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比(反復併用/非併用)は、0.30及び0.29であった(外国人データ)7)。

  1. 16.7.3 生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション

チラブルチニブ480mgとCYP3A阻害作用を有するエリスロマイシン、クラリスロマイシン及びジルチアゼムを併用投与、及びチラブルチニブを単独投与したときのチラブルチニブのAUCの幾何平均値の比(併用/非併用)は、それぞれ1.51、1.58及び1.48と推定された。また、CYP3A誘導作用を有するカルバマゼピン及びエファビレンツを併用投与、及びチラブルチニブを単独投与したときのチラブルチニブのAUCの幾何平均値の比(併用/非併用)は、それぞれ0.48及び0.46と推定された8)。

  1. 16.7.4 その他

  2. (1) 健康成人12例にオメプラゾール(胃酸分泌抑制剤)20mgとチラブルチニブ100mgを空腹時に併用投与注)、及びチラブルチニブを空腹時に単独投与したときのチラブルチニブのCmax及びAUCinfの最小二乗幾何平均値の比(併用/非併用)は、0.92及び1.05であった(外国人データ)9)。

  3. (2) 日本人の健康成人12例にチラブルチニブ320mgを食後に反復投与後注)、ミダゾラム(CYP3A4基質)2mgと併用投与、及びミダゾラムを単独投与したときのミダゾラムのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比(併用/非併用)は、それぞれ0.74及び0.79であった4)。

  4. (3) チラブルチニブはP-糖タンパク(P-gp)の基質であり、P-gp、OATP1B1及び多剤・毒性化合物排出タンパク(MATE)1を阻害し、そのヒト主代謝物M33(水酸化体の硫酸抱合体)はOATP1B1及びMATE1を阻害した(in vitro)8)。

注)本剤の承認された用法及び用量は、「通常、成人にはチラブルチニブとして1日1回480mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。」である。