-
**手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置: 心房細動、心房粗動、洞性頻脈
-
**手術後の循環動態監視下における下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置: 心房細動、心房粗動、洞性頻脈
-
心機能低下例における下記の頻脈性不整脈: 心房細動、心房粗動
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
- 〈効能共通〉
-
2.1 心原性ショックの患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
-
2.2 糖尿病性ケトアシドーシス、代謝性アシドーシスのある患者[アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。]
-
2.3 房室ブロック(Ⅱ度以上)、洞不全症候群など徐脈性不整脈患者[刺激伝導系に対し抑制的に作用し、悪化させるおそれがある。]
-
2.4 肺高血圧症による右心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
-
2.5 未治療の褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者,
-
2.6 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 〈手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置〉
- 2.7 **うっ血性心不全のある患者[心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。]
効能・効果
用法・用量
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**〈手術時の下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置: 心房細動、心房粗動、洞性頻脈〉
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ランジオロール塩酸塩として、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01~0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。
-
**〈手術後の循環動態監視下における下記の頻脈性不整脈に対する緊急処置: 心房細動、心房粗動、洞性頻脈〉
-
ランジオロール塩酸塩として、1分間0.06mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.02mg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。5~10分を目安に目標とする徐拍作用が得られない場合は、1分間0.125mg/kg/minの速度で静脈内持続投与した後、0.04mg/kg/minの速度で静脈内持続投与する。投与中は心拍数、血圧を測定し0.01~0.04mg/kg/minの用量で適宜調節する。
-
〈心機能低下例における下記の頻脈性不整脈: 心房細動、心房粗動〉
-
ランジオロール塩酸塩として、1μg/kg/minの速度で静脈内持続投与を開始する。投与中は心拍数、血圧を測定し1~10μg/kg/minの用量で適宜調節する。
使用上の注意
- 〈効能共通〉
-
8.1 **心電図による監視、血圧の測定等、心機能をモニターしながら投与すること。血圧低下又は徐脈を認めた場合等は減量あるいは投与を中止し、必要に応じて適切な処置を行うこと。また、PQ時間が過度に延長した場合、投与を中止すること。,,
-
8.2 心筋虚血のリスクのある患者では、心拍数減少の有益性が血圧低下の危険性を上回ると判断された場合にのみ適用を考慮すること。
-
8.3 狭心症の患者で類似化合物(プロプラノロール塩酸塩)の投与を急に中止したとき、症状が悪化したり、心筋梗塞を起こした症例が報告されている。本剤の投与を中止する場合においても観察を十分に行うこと。
-
8.4 **心房細動及び心房粗動に対する使用に際しては、本剤の効果が心拍数の減少であることに留意し、頻脈性(型)であることを確認すること。
-
8.5 **本剤の心拍数の減少効果は、投与終了後、速やかに減弱するものの、この効果の消失には投与終了後30~60分を要することに留意すること。
- 〈手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置〉
-
8.6 **大侵襲手術後等の心拍出量が低下している患者に本剤を投与する場合、本剤投与開始前の心機能を慎重に観察するとともに、心電図による監視、血圧の測定に加え、心拍出量及び血液ガス等の心機能をモニターし、患者の全身状態を十分管理しながら投与すること。
-
8.7 **洞性頻脈に対して本剤を投与する場合は、心筋虚血や心不全等の発生及びその悪化のおそれのある患者における頻脈処置の必要性を十分考慮し、患者の基礎疾患、合併症の内容、手術前の状態及び手術内容等の事前の患者情報を精査した上で、頻脈の治療が必要とされる場合にのみ適用を考慮すること。
-
8.8 **心不全の徴候又は症状が見られた場合は本剤を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。また、本剤投与前に適切な緊急措置が可能となるように準備しておくこと。必要に応じてアトロピン、β1刺激剤、輸液や昇圧剤等を準備しておくことが望ましい。
-
8.9 **本剤は緊急治療を要する場合に短期間のみ適応すること。患者の状態を十分観察し、緊急治療の必要が無くなった場合は、漫然と継続投与しないこと。
- 〈手術時の頻脈性不整脈に対する緊急処置〉
- 8.10 **本剤投与5~10分を目安として、目標とする心拍数の低下が得られない場合は、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 〈手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置〉
- 8.11 **本剤投与5~10分を目安として、目標とする心拍数の低下が得られない場合は、最大用量に増量するか、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 〈心機能低下例における頻脈性不整脈〉
-
8.12 **本剤の投与により心不全が悪化するおそれがあり、重篤な状態に陥るおそれがあるため、心不全の悪化に常に注意すること。,,
-
8.13 患者の状態を十分観察し、治療の必要が無くなった場合は、漫然と継続投与しないこと。また、10μg/kg/minの速度まで本剤を増量しても目標とする心拍数の低下が得られない場合は、本剤投与を中止し、適切な処置を行うこと。
-
8.14 本剤の減量・中止時に、患者の状態に応じて経口β遮断剤への切り替えを考慮すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 〈効能共通〉
- 9.1.1 気管支痙攣性疾患の患者
気管支筋収縮作用により、痙攣症状の誘発、悪化を起こすおそれがある。本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ2受容体遮断作用も有する。
- 9.1.2 コントロール不十分な糖尿病患者
低血糖症状としての頻脈等の交感神経系反応をマスクするおそれがある。
- 9.1.3 低血圧症の患者
心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。
- 9.1.4 重篤な血液障害のある患者
薬剤の代謝、排泄が影響を受けるおそれがある。
- 9.1.5 末梢循環障害のある患者(壊疽、レイノー症候群、間歇性跛行等)
末梢血管の拡張を抑制し、症状が悪化するおそれがある。本剤はβ1受容体選択的遮断剤であるが、弱いながらもβ2受容体遮断作用も有する。
- 9.1.6 大量出血や脱水症状等により循環血液量が減少している患者
本剤投与により血圧低下をきたしやすい。
- 9.1.7 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者
本剤投与により急激に血圧が上昇するおそれがある。,
- 〈手術時・手術後の頻脈性不整脈に対する緊急処置〉
- 9.1.8 **左室収縮機能障害のある患者
心機能を抑制し、症状が悪化するおそれがある。
- 〈心機能低下例における頻脈性不整脈〉
- 9.1.9 非代償性心不全の患者
代償性心不全の患者よりも、心不全が増悪するおそれがあり、重篤な状態に陥るおそれがさらにある。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1 重篤な腎機能障害患者
薬剤の排泄が影響を受けるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
- 9.3.1 重篤な肝機能障害患者
薬剤の代謝、排泄が影響を受けるおそれがある。,
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
十分に患者の状態を観察しながら投与すること。生理機能が低下していることが多く、本剤の作用が強く発現するおそれがある。
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 | 症状・説明 |
|---|---|---|
| Al-P上昇 | 1%未満 | — |
| ALT上昇 | 頻度不明 | — |
| AST上昇 | 頻度不明 | — |
| BUN上昇 | 1%未満 | — |
| LDH上昇 | 1%未満 | — |
| ST低下 | 1%未満 | — |
| γ-GTP上昇 | 1%未満 | — |
| クレアチニン上昇 | 1%未満 | — |
| 低酸素血症 | 1%未満 | — |
| 喘息 | 1%未満 | — |
| 尿酸上昇 | 1%未満 | — |
| 徐脈 | 1%未満 | — |
| 白血球増多 | 1%未満 | — |
| 総ビリルビン上昇 | 頻度不明 | — |
| 肺動脈圧上昇 | 1%未満 | — |
| 血圧低下 | 頻度不明 | — |
| 血小板減少 | 1%未満 | — |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
主に心臓に存在するβ1受容体に作用し、交感神経終末及び副腎髄質より遊離されるノルアドレナリン及びアドレナリンによる心拍数増加作用に拮抗することで抗不整脈作用を発現する19)。
18.2 薬理作用
- 18.2.1 β1受容体選択性
,
-
(1) ランジオロール塩酸塩のβ1及びβ2受容体に対するKi値は、それぞれ62.1及び1,890nMである(in vitro)20)。
-
(2) ランジオロール塩酸塩のβ1(摘出心房筋)遮断作用及びβ2(気管平滑筋)遮断作用のpA2値は、それぞれ6.31及び3.91である(in vitro)21)。
-
(3) ランジオロール塩酸塩のα1及びα2受容体に対するKi値は、それぞれ81.5及び180.1μMであり、α受容体にはほとんど作用しない(in vitro)21)。
-
18.2.2 β遮断作用の持続性
イソプロテレノール投与による心拍数増加に対して、ランジオロール塩酸塩は用量に応じた心拍数増加抑制作用を示し、抑制作用の消失半減期は11分から18分である(イヌ)。一方、同モデルにおいてプロプラノロール塩酸塩の抑制作用の消失半減期は60分以上である21)。
- 18.2.3 不整脈に対する作用
交感神経電気刺激誘発頻脈及びイソプロテレノール誘発頻脈、ハロセン・アドレナリン誘発の不整脈あるいはアコニチン誘発不整脈に対して、ランジオロール塩酸塩は用量に応じて抑制作用を示す(イヌ)22)。
- 18.2.4 頻脈時の心拍出量減少に対する作用
アドレナリン投与による頻脈と低心拍出量に対して、ランジオロール塩酸塩は心拍数を減少させることにより、心拍出量の減少を改善する。この作用は、拍動時間が長くなることで一回拍出量が増加するためであると考えられるが、過量投与した場合には逆に心拍出量を減少させる可能性がある(イヌ)23)。
-
18.2.5 その他の作用
-
(1) 膜安定化作用(MSA:membrane stabilizing activity)及び内因性交感神経刺激作用(ISA:intrinsic sympathomimetic activity)は認められない(in vitro)21),24)。
-
(2) イソプロテレノール処置によるレニン分泌及び糖代謝の亢進に対して有意な変化を及ぼさない。一方、プロプラノロール塩酸塩はイソプロテレノール処置によるレニン分泌及び糖代謝の亢進を有意に抑制する(イヌ)25)。
-
18.2.6 薬力学的薬物相互作用
ジギタリス製剤、クラスⅠ抗不整脈剤、クラスⅢ抗不整脈剤、カルシウム拮抗剤及び麻酔剤との併用によって、ランジオロール塩酸塩の心拍数減少、PR間隔延長、平均血圧低下のいずれかが相乗的に増強される(イヌ)26),27)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1 60分間静脈内持続投与(健康成人)
健康成人5例に0.04mg/kg/minで60分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与開始約15分後で定常に達し、投与60分後の全血中濃度(C60min)は1,008ng/mLを示し、AUCは59.34μg・min/mLである。投与終了後の血中半減期(T1/2)は3.96分であり、全身クリアランス(CLtot)は41.8mL/min/kg、分布容積(Vd)は242mL/kgである1),2)。
| C60min (ng/mL) | AUC0-∞ (μg・min/mL) | T1/2 (min) | CLtot (mL/min/kg) | Vd (mL/kg) |
|---|---|---|---|---|
| 1008±303 | 59.34±12.49 | 3.96±0.46 | 41.8±8.3 | 242±67 |
| 平均値±標準偏差 | ||||
- 16.1.2 1分間+60分間静脈内持続投与(健康成人)
健康成人5例に0.25mg/kg/minで1分間投与後、0.04mg/kg/minで60分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与2分後で最高に達し、その全血中濃度(Cmax)は2,008ng/mLを示すが、その後全血中濃度は低下し、投与開始5分後にほぼ定常濃度となり、投与61分後の全血中濃度(C61min)は1,237ng/mLである。AUCは82.43μg・min/mL、投与終了後の血中半減期(T1/2)は3.47分である3)。
| Tmax (min) | Cmax (ng/mL) | C61min (ng/mL) | AUC0-∞ (μg・min/mL) | T1/2 (min) |
|---|---|---|---|---|
| 2 | 2008±798 | 1237±329 | 82.43±23.52 | 3.47±0.44 |
| 平均値±標準偏差 | ||||
- 16.1.3 2用量(1分間+10分間静脈内持続投与)漸増投与(健康成人)
健康成人6例に0.06mg/kg/minで1分間投与後、0.02mg/kg/minで10分間静脈内持続投与し、更に用量を切り替えて0.125mg/kg/minで1分間投与後、0.04mg/kg/minで10分間静脈内持続投与すると、全血中濃度は投与開始2分後で速やかに定常に達し、用量切り替えの2分後(投与開始13分後)にCmaxに達した後、速やかに定常に達した4),5)。
| Cmax(12-22min) (ng/mL) | Tmax(12-22min) (min) | AUC0-∞ (μg・min/mL) |
|---|---|---|
| 1990±280 | 13±0 | 27.8±3.4 |
| C11min (ng/mL) | T1/2 (min) | C22min (ng/mL) |
| 655±136 | 3.5±0.3 | 1270±160 |
| 平均値±標準偏差 | ||
16.3 分布
ヒト血清に対する蛋白結合率は1.5~7.0%である(in vitro、限外ろ過法)6)。
16.4 代謝
ランジオロールはヒト肝臓及び血漿中で加水分解され、速やかに代謝される。肝代謝クリアランスは肝血流が律速と考えられ、全身クリアランスの約半分を占める。また、in vitroの血漿中代謝半減期は4.1分であり、血漿中での代謝の寄与も大きい。ヒト肝臓における主代謝酵素はカルボキシエステラーゼ、ヒト血漿中における主代謝酵素は擬コリンエステラーゼであると推定された6),7)。 また、ランジオロール及びその代謝物(カルボン酸体、安息香酸体)はヒトのチトクロームP450の分子種(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4)に対してほとんど阻害活性を示さなかった(in vitro)8)。,
16.5 排泄
主排泄経路は尿中であり、健康成人に0.04mg/kg/minで60分間投与すると、投与24時間後までに約99%が尿中に排泄される。そのうち未変化体は8.7%であり、主要代謝物はカルボン酸体である1),9)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1 肝障害患者
肝障害患者6例(Child-Pugh分類A:5例、B:1例)及び健康成人6例に0.06mg/kg/minで1分間投与後、0.02mg/kg/minで60分間静脈内持続投与したとき、全血中濃度のCmax及びAUCはそれぞれ1.42及び1.44倍、肝障害患者で高く推移したが、T1/2は4.0分であり、健康成人と差がないことが示された10)。
| Cmax (ng/mL) | C61min (ng/mL) | AUC0-∞ (μg・min/mL) | T1/2 (min) | |
|---|---|---|---|---|
| 肝障害患者 | 942±140 | 866± 54 | 52.4±5.2 | 4.0±0.4 |
| 健康成人 | 665±119 | 641±125 | 36.3±3.6 | 4.0±1.5 |
| 平均値±標準偏差 | ||||