【警告】

  1. 1.1 小児等に本剤を使用する場合、小児等の不整脈治療に熟練した医師が監督すること。基礎心疾患のある場合は、有益性がリスクを上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  2. 1.2 新生児及び乳児に使用する際には、生命に危険があり、他の治療で効果がない場合にのみ投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 重篤な低血圧あるいは心原性ショックのある患者 [本剤は陰性変力作用ならびに血管拡張作用を有し、血圧を更に低下させることがある。]

  2. 2.2 高度の徐脈、洞房ブロック、房室ブロック(第Ⅱ、Ⅲ度)のある患者 [本剤は房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。]

  3. 2.3 重篤なうっ血性心不全のある患者 [本剤は陰性変力作用を有し、心不全症状を更に悪化させることがある。]

  4. 2.4 急性心筋梗塞のある患者 [本剤は陰性変力作用を有し、急性心筋梗塞時の心機能を更に悪化させることがある。]

  5. 2.5 重篤な心筋症のある患者 [本剤は陰性変力作用を有し、心機能を更に悪化させることがある。]

  6. 2.6 静注用β-遮断剤を投与中の患者

  7. 2.7 *イバブラジン塩酸塩を投与中の患者

  8. 2.8 *ロミタピドメシル酸塩を投与中の患者

  9. 2.9 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

頻脈性不整脈 (発作性上室性頻拍、発作性心房細動、発作性心房粗動)

用法・用量

成人: 通常、成人には1回1管(ベラパミル塩酸塩として5mg)を、必要に応じて生理食塩水又はブドウ糖注射液で希釈し、5分以上かけて徐々に静脈内に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

小児: 通常、小児にはベラパミル塩酸塩として1回0.1~0.2mg/kg(ただし、1回5mgを超えない)を、必要に応じて生理食塩水又はブドウ糖注射液で希釈し、5分以上かけて徐々に静脈内に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1 心電図を連続的に監視すること。

  2. 8.2 頻回の血圧測定を行うこと。

  3. 8.3 投与中に徐脈や血圧低下などの異常が観察された場合には、減量又は投与を中止すること。また必要に応じて適切な処置を行うこと。

  4. 8.4 投与中に不整脈が停止した場合は、患者の様子を見て投与を中止すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 低血圧の患者

本剤は血管拡張作用を有し、血圧を更に低下させることがある。

  1. 9.1.2 第Ⅰ度の房室ブロックのある患者

本剤は房室結節、洞結節を抑制する作用を有し、刺激伝導を更に悪化させることがある。

  1. 9.1.3 WPW、LGL症候群のある患者

本剤の房室伝導抑制作用により、心房興奮が副伝導路を通りやすくなる結果として心室細動を生じることがある。

  1. 9.1.4 うっ血性心不全のある患者

本剤は陰性変力作用を有し、心不全症状を更に悪化させることがある。

  1. 9.1.5 基礎心疾患(心筋症、弁膜症、高血圧性心疾患等)のある患者

本剤は陰性変力作用を有し、心機能を悪化させることがある。

  1. 9.1.6 筋ジストロフィーのある患者

本剤は主に平滑筋を弛緩させるが骨格筋に対しても作用を有し、筋収縮力を悪化させることがある。

  1. 9.1.7 遺伝性果糖不耐症の患者

本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 重篤な腎不全のある患者

本剤は肝及び腎で代謝・排泄されるため、このような患者では本剤の血中濃度が予測以上に増加し、副作用に発展することがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 重篤な肝不全のある患者

本剤は肝及び腎で代謝・排泄されるため、このような患者では本剤の血中濃度が予測以上に増加し、副作用に発展することがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。動物実験(マウス)で本薬の経口投与により胎児毒性(死胚)が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトにおいて本薬の経口投与で乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

新生児及び乳児はカルシウム拮抗剤の感受性が高く、徐脈、心停止等を生じる危険性が大きい。新生児及び乳児に本剤を投与した際、重篤な徐脈や低血圧、心停止等が認められたとの報告がある。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度 症状・説明
ALTの上昇等 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
一過性心停止 1%未満
上室性期外収縮 1〜5%未満
口渇 1%未満
嘔吐 1〜5%未満
徐脈 1〜5%未満
心室性期外収縮 1〜5%未満
心室性頻拍 1〜5%未満
悪心 1〜5%未満
房室ブロック 1〜5%未満
洞停止 1〜5%未満
洞房ブロック 1%未満
男性における血中黄体形成ホルモン・血中テストステロンの低下 頻度不明
胸痛 1〜5%未満
脚ブロック 1%未満
臭気感 1%未満
血中プロラクチンの上昇 頻度不明
血圧低下 1〜5%未満
頭痛 1%未満
顔面のほてり 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

細胞外液Ca++の細胞内流入阻止に基づくCa++拮抗作用である8)。

18.2 Ca++流入を抑え、抗不整脈作用を示す。

モルモット及びウサギの摘出心筋を用いた実験において、slow channelを通るCa++の流入を抑制することが確認されている。 また、麻酔イヌを用いた実験で、特に房室結節に作用して房室伝導系の有効不応期、機能的不応期を延長させ、房室伝導を遅延させる9),10),11)。

18.3 ノルアドレナリンや電気刺激による実験的不整脈を抑制する。

  1. 18.3.1 イヌ摘出心筋を用いた実験において、ノルアドレナリンの房室結節への局所投与によって誘発される上室性頻拍を消失又は著明に軽減する12)。

  2. 18.3.2 麻酔イヌを用いた実験において、電気刺激によって誘発された心房細動時の心室レートを有意に減少させる11)。

18.4 冠状動脈や末梢血管を拡張する。

イヌ摘出心筋や麻酔イヌを用いた実験において、冠状動脈を含む血管平滑筋の興奮-収縮連関を抑制し、冠血流量を増加し、末梢血管抵抗を減少する13),14)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人男子2ないし3名にベラパミル塩酸塩として2.5、5、10mg注1)を単回静脈内投与した際、血漿中濃度は急速に低下し、投与後15分以内に最高血漿中濃度の1/2~1/4に低下した。半減期及び血漿中濃度曲線下面積(AUC)は下表のごとくである。また、ベラパミル及び代謝物の尿中排泄率は、24時間までに投与量の23.7%であった。

ベラパミル塩酸塩単回静脈内投与後の血漿中濃度

投与量 t1/2α(min) t1/2β(min) t1/2γ(hr) AUC (ng・hr/mL)
2.5mg 2.2 26.2 4.2 93.9
5.0mg 1.0±0.2 32.3±13.8 4.0±0.7 140.6±2.4
10.0mg注1) 2.1±0.4 30.3±7.9 4.0±0.1 278.5±19.8
Mean±S.E., n=2~3

注1)本剤の承認された用法及び用量は、成人1回1管(ベラパミル塩酸塩として5mg)である。

16.4 代謝

ベラパミルの代謝酵素は主にCYP3A4であり、主要代謝物はN-脱メチル化されたノルベラパミルである1)。